サテライトDNA
サテライトDNA (Satellite DNA) は、巨大なタンデムリピートの繰り返しから構成される、ノンコーディングDNAである。
セントロメアの機能の重要な役割を担っており、構造的にはヘテロクロマチンの主要な構成要素である[1][2]。
「サテライトDNA」という名称は、密度勾配遠心を行った際にゲノムDNAのバンドとは別に小さなバンドを生じることにちなむ。これはサテライトDNAが短い塩基配列の繰り返しであるため、アデニン、シトシン、グアニン、チミンの各塩基の構成比がゲノム配列のそれと異なっており、これが密度の違いを生じて2本目、またはその他の小さなバンド(サテライト)を生じることによる[3]。
サテライトDNAの種類
編集サテライトDNAは、ミニサテライトやマイクロサテライトと共に反復配列(タンデムリピート)と呼ばれる[4]。
ヒトゲノム中には以下のようなサテライトDNAが存在する。
種類 | 繰り返し単位配列長 (bp) | 染色体中の場所 |
---|---|---|
α (alphoid DNA) | 170 [5] | 全染色体 |
β | 68 | セントロメア 1, 9, 13, 14, 15, 21, 22 and Y |
サテライト1 | 25-48 | ほとんどの染色体のセントロメアとヘテロクロマチン内 |
サテライト2 | 5 | ほとんどの染色体 |
サテライト3 | 5 | ほとんどの染色体 |
出典
編集- ^ Knight, Julian C. (2009). Human Genetic Diversity: Functional Consequences for Health and Disease. Oxford University Press. p. 167. ISBN 978-0-19-922769-3
- ^ "satellite DNA" - ドーランド医学辞典
- ^ Kit, S. (1961). “Equilibrium sedimentation in density gradients of DNA preparations from animal tissues”. J. Mol. Biol. 3 (6): 711–716. doi:10.1016/S0022-2836(61)80075-2. ISSN 0022-2836. PMID 14456492.
- ^ Tandem Repeat - MeSH・アメリカ国立医学図書館・生命科学用語シソーラス
- ^ Tyler-Smith, Chris; Brown, William R. A. (1987). “Structure of the major block of alphoid satellite DNA on the human Y chromosome”. Journal of Molecular Biology 195 (3): 457–470. doi:10.1016/0022-2836(87)90175-6. PMID 2821279.
参考文献
編集- Beridze, Thengiz (1986). Satellite DNA. Springer-Verlag. ISBN 978-0-387-15876-1
- Hoy, Marjorie A. (2003). Insect molecular genetics: an introduction to principles and applications. Academic Press. p. 53. ISBN 978-0-12-357031-4
関連項目
編集外部リンク
編集- Satellite DNA - MeSH・アメリカ国立医学図書館・生命科学用語シソーラス