フィッツパトリックのスキンタイプ

スキンフォトタイプから転送)

フィッツパトリックのスキンタイプ(Fitzpatrick skin typing)とは、紫外線に曝露されたことによる感受性を元に、ヒトの肌の色を6段階に分類した尺度である。フィッツパトリックのスキンフォトタイプ(Fitzpatrick skin phototyping)とも呼ばれる他、省略して、フィッツパトリック尺度(Fitzpatrick scale)や、スキンフォトタイプ(skin phototyping)などと呼ばれることもある。日焼けの起こり方や、それによる皮膚がん発生のリスク評価、皮膚科の処置や化粧品の反応を評価するためなどに用いられる[2]。1975年にトーマス・B・フィッツパトリック英語版によって開発された[2]

フィッツパトリック尺度と皮膚がんのリスク[1]。つまり、白いほど紫外線に敏感であり、皮膚がんのリスクが高い。よって、白いほど紫外線に対する防護が必要になる。

開発編集

最初、日光に暴露した白人の反応を分類するためにIからIIIまでで分類した[2]。1972年に、アメリカ食品医薬品局 (FDA) は日焼け止め指数の SPF の評価にこの分類を採用した[2]

紫外線燈への皮膚の反応の違いを評価するために、このスキンタイプの分類は、1975年にトーマス・B・フィッツパトリック英語版によって開発された[3]。ある種の光線過敏症の治療に用いられるPUVA療法の際に、当初は髪と目の色に基づいて照射する紫外線の強さを決めていたものの、それでは患者にとって強過ぎる紫外線となることがあった。そこで、紫外線に対する皮膚の反応に基づいて、照射する紫外線を決定するように変更し、加えて、広い範囲のスキンタイプへと拡張された[4][5][6]

スキンタイプの分類編集

 
Felix von Luschan による肌の色のカラーチャート

フィッツパトリックのスキンタイプは、紫外線に曝露された時に発生する火傷にあたる「赤い日焼け」と、その後に反応として起こる紫外線から身を守るために皮膚でメラニンを合成したことによる「黒い日焼け」の発生の仕方によって分類されている。なお、併記されている点数は、より古いVon Luschan's chromatic scaleの36点との対応を示す[7][8]

  • タイプI (0–6点) - 紫外線を浴びると常に火傷し、赤くなる。しかし、皮膚でのメラニン色素の合成亢進状態に当たる日焼けは起こらない。ただし、日焼けと同じく皮膚でメラニン色素の合成亢進が亢進した状態ながら、それが局所的に不可逆的に発生して色素沈着が起きたそばかすなどが[9]、発生することはある。
  • タイプII (7–13点) - 紫外線を浴びると簡単に火傷し、赤くなる。その後も、ほとんど日焼けしない。
  • タイプIII (14–20点) - 紫外線を浴びると軽い火傷をし、ある程度赤くなる。その後、時間をかけて中程度の褐色に日焼けする。
  • タイプIV (21–27点) - 紫外線を浴びると僅かに火傷をし、多少赤くなる。皮膚のメラニン合成能が比較的高いため、その後容易に中程度の褐色にまで日焼けする。
  • タイプV (28–34点) - 元々肌の色は褐色で、紫外線を浴びても非常にたまに火傷する程度で、ほとんど赤くならない。日焼けしやすく、肌は暗褐色になる。
  • タイプVI (35–36点) - 元々肌の色は暗褐色で、紫外線を浴びても火傷せず、赤くならない。最も暗い暗褐色から黒い肌をしている。

このタイプは遺伝に基づく肌の色だけでは決まらず、日焼けの習慣によって変わってくる[2]。したがって、同じ人種であってもタイプが異なることもある。なお、白色人種でタイプIからIII程度、黄色人種でタイプIIからIV程度と言われている。

紫外線によって紅斑を生じさせる最小紅斑線量 (MED) と、スキンタイプとの関係は、タイプIを「1.0」とした時、次の通りである[10]

  • タイプI MED1.0
  • タイプII MED2.0
  • タイプIII MED2.7
  • タイプIV MED3.6

利用編集

フィッツパトリックのスキンタイプは、紫外線に曝露された時に対する日焼けの仕方の評価の他にも、紫外線による色素沈着の発生のリスク評価、皮膚がん発生のリスク評価、光老化のリスク評価などに用いられる。また、ケミカルピーリング美白剤日焼け止め剤マイクロダーマブレーション英語版など研究でも使われる尺度である[2]

出典編集

[脚注の使い方]
  1. ^ D'Orazio, John; Jarrett, Stuart; Amaro-Ortiz, Alexandra; Scott, Timothy (7 June 2013). “UV Radiation and the Skin”. International Journal of Molecular Sciences 14 (6): 12222–12248. doi:10.3390/ijms140612222. PMC: 3709783. PMID 23749111. http://www.mdpi.com/1422-0067/14/6/12222/htm 2017年6月23日閲覧。. 
  2. ^ a b c d e f Sachdeva, Silonie (2009). “Fitzpatrick skin typing: Applications in dermatology”. Indian Journal of Dermatology, Venereology and Leprology 75 (1): 93. doi:10.4103/0378-6323.45238. PMID 19172048. https://doi.org/10.4103/0378-6323.45238. 
  3. ^ Fitzpatrick, T. B. (1975). "Soleil et peau" [Sun and skin]. Journal de Médecine Esthétique (in French) (2): 33–34
  4. ^ Fitzpatrick, T.B. (1988), “The validity and practicality of sun-reactive skin types i through vi”, Archives of Dermatology 124 (6): 869–871, doi:10.1001/archderm.1988.01670060015008, http://archderm.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=549509 
  5. ^ Pathak, M. A.; Jimbow, K.; Szabo, G.; Fitzpatrick, T. B. (1976). "Sunlight and melanin pigmentation". In Smith, K. C. (ed.): Photochemical and photobiological reviews, Plenum Press, New York, 1976: 211-239
  6. ^ Fitzpatrick, T. B. (1986). "Ultraviolet-induced pigmentary changes: Benefits and hazards", Therapeutic Photomedicine, Karger, vol. 15 of "Current Problems in Dermatology", 1986: 25-38
  7. ^ “The Fitzpatrick Skin Type Classification Scale”. Skin Inc. (November 2007). http://www.skininc.com/skinscience/physiology/10764816.html 2014年1月7日閲覧。. 
  8. ^ Fitzpatrick Skin Type”. Australian Radiation Protection and Nuclear Safety Agency. 2017年11月30日閲覧。
  9. ^ サンタン [suntan]”. 日本化粧品技術者会. 2019年12月23日閲覧。
  10. ^ スキンタイプ [skin type]”. 日本化粧品技術者会. 2019年7月2日閲覧。

関連項目編集