タイプII超弦理論(タイプ2ちょうげんりろん、英語:type II superstring theory)とは、10次元時空において定義される5種類の超弦理論のうちの2つ(タイプIIA、タイプIIB)のことである。この2つの理論は、ともに最大の超対称性(32の超対称性チャージ)を持っている。これらはともに向き付けのある閉じた弦の理論であるが、世界面上でのGSO射影の課し方による違いがある。

タイプIIA超弦理論 編集

タイプIIA超弦理論の低エネルギー有効理論は10次元タイプIIA超重力理論である。この理論は、10次元での   の超対称性をもつノンカイラル(スピンの右巻き成分と左巻き成分が対称)な理論であり、アノマリーは存在しない。

1990年代にウィッテンは、ダフやタウンゼントらの仕事を元に、タイプIIA超弦理論の強結合極限がM理論と呼ばれる新しい11次元の理論になることを示した。

タイプIIB超弦理論 編集

タイプIIB超弦理論の低エネルギー有効理論は10次元タイプIIB超重力理論である。この理論は、10次元での   の超対称性をもつカイラル(スピンの右巻き成分と左巻き成分が非対称)な理論である。アノマリーは非自明に相殺されている。

1990年代に、理論の結合定数 g のタイプIIB超弦理論は 結合定数が 1/g の同じ理論と等価であることが示された。この等価性はS双対性と呼ばれる。

タイプIIB超弦理論のオリエンティフォルドはタイプI超弦理論となる。

タイプII超弦理論の相互の関係 編集

1980年代に、タイプIIA超弦理論とタイプIIB超弦理論はT双対性により関係づけられることが示されている。

参考文献 編集

  • Michael B. Green, John H. Schwarz, Edward Witten (1988). Superstring Theory. Cambridge University Press. ISBN 978-0521357524 
  • Joseph Polchinski (2005). String Theory Vol. 2. Cambridge University Press. ISBN 978-0521672276 

関連項目 編集