ダイナマイト・プランジャー
ダイナマイト・プランジャー(Dynamite Plunger)とは、発破を行うときに電気雷管を起爆させるための電気を起こす一種の人力発電機である。起爆スイッチまで含めた全体を指して「発破器(Blasting Machine)」と呼ばれる。
一般的にはT字型ハンドルが付いた大きな箱の姿をしている。電線をつなぐための端子があり、端子の先には起爆スイッチをつなぎ、その先にダイナマイトなどの爆薬に接続された雷管がつながれる。戦争映画などでは、ハンドル棒を押し込むと起爆するような描写がなされ、起爆装置そのものとして描かれることが多いが(「特攻野郎Aチーム」のオープニングにまで登場する)、実際には起爆に必要な電力を供給するための発電装置であり、上下にピストン運動させることによって発電させる。本物の起爆スイッチが付いている起爆装置(Detonator)は、ダイナマイト・プランジャーと電線で接続しており、回転させるためのつまみがついた小さな箱である。
欧米ではコレクターが多く、ネットオークションなどによく出品されている。ダイナマイト・プランジャーをモチーフとした玩具も多い。
歴史編集
発破の規模が大きくなると多数のダイナマイトを同時に起爆させる必要から、導火線の代りに電気雷管が使用されるようになった。1805年にオーストリアで世界初の電気雷管を使用した発破が行われたが、これはガルバニ電池を電源に用い、コイルの塊でできた変圧器で昇圧した起爆装置を使っていた。しかし、電池と変圧器の組み合わせは野外で運用するには重くかさばりすぎて不便だった上に、電圧の不安定さから起爆失敗も多かった。
1860年代にジークフリート・マルクスがマグネトーとコンデンサーを組み合わせた装置を発明した。これは、人力でT字型の棒を上下運動させることでマグネトーを回転させ、コンデンサーに電気をためる装置であった。この装置は「ヴィーナー・ツュンダー(Wiener Zünder)」として1864年にシーメンス社から販売され、世界的に使用されるようになった。
T字型の棒を上下運動させる構造は当時のマグネトーが大変に力の要る装置であったため、体重をかけて押し込み、背筋を使って引き上げなければならなかったためである。後にマグネトーが改良され、小さな力でも十分な電力が起こせるようになると手回し式に変わった。 現代では電池式の起爆装置に置き換わっている。
参考文献編集
- 1922年版のBLASTERS HANDBOOKの91から93頁にかけて使用法、構造、原理が解説されている。
- Museum Malchin Marcus