数学において、ディリクレの判定法(ディリクレのはんていほう、: Dirichlet's test)は、級数収束判定法の一つである。名称はこれを記述したペーター・グスタフ・ディリクレにちなんでいるが、発表されたのは彼の死後、1862年の "Journal de Mathématiques Pures et Appliquées英語版フランス語版" においてであった[1]

主張 編集

実数 複素数  が次の条件

  •  
  •  
  • ある定数   があり、全ての正の整数 N に対して  

を満たすならば、級数   は収束する。

証明 編集

   とおく。

部分和分法により   と変形できる。

  は絶対値が M で抑えられていて   なので、第1項は0に収束する:

  ( )

一方   は非増加数列なので   は任意の k に対し非負であり、  となるが、

 

であるから、   のとき   に収束する。

よって比較判定法により   もまた収束する。級数  絶対収束するから自身もまた収束する。

以上より   が収束することが言えた。

応用 編集

  • ディリクレの判定法で
 
とした特別な場合が交代級数判定法英語版である。
  •   が減少して0に収束する実数列であれば、  は常に収束する。

広義積分 編集

広義積分の収束に対しても類似した命題が成り立つ。実軸の非有界区間で定義された関数 fg があって、f は任意の積分範囲での積分値の絶対値がある定数で一様に(積分範囲に依らず)上から抑えられていて、g は非負値かつ単調非増加のとき、fg の広義積分は収束する。

脚注 編集

  1. ^ Démonstration d’un théorème d’Abel. Journal de mathématiques pures et appliquées 2nd series, tome 7 (1862), p. 253-255.

参考文献 編集

  • Hardy, G. H., A Course of Pure Mathematics, Ninth edition, Cambridge University Press, 1946. (pp. 379–380).
  • Voxman, William L., Advanced Calculus: An Introduction to Modern Analysis, Marcel Dekker, Inc., New York, 1981. (§8.B.13-15) ISBN 0-8247-6949-X.

外部リンク 編集