データ中心アプローチ(データちゅうしんアプローチ、: data oriented approach, DOA)は日本で生まれたソフトウェア工学上の業務分析・業務設計手法の総称アメリカでは: information engineering, IE または: data-centric engineering, DCE と呼ぶ。

この用語は、堀内一の『データ中心システム設計』(1988年刊)が初出だといわれる。

概要

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1975年に開催された第1回VLDB(Very Large Data Base (英語版)国際会議においてピーター・チェン実体関連図: entity-relationship diagram, ERD)を発表した[1]。偶然にも同じ学会で、椿正明穂鷹良介THモデル(椿・穂鷹モデル)を発表した。このTHモデルが日本のDOAの発祥である。

ERDエンティティ(実体:Entity (英語版)とリレーションシップ: Relationship (英語版)の二元論だが、THモデルは参照キー(関係データベース外部キー)の関数従属性だけで表現する一元論である。

THモデルの継承ではないが、同時発生的に佐藤正美T字形ER手法(現在ではTMと称する)や、渡辺幸三三要素分析法など独自に進化した手法が日本で生まれた。それらを総称してDOAと呼んでいる。それぞれ手順や記述法すら大きく異なるが、1つ共通なのは、「関数従属性」を重要視していることである。その1点で、ERDとは大きく異なる。

参照文献

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  • 堀内一『データ中心システム設計』オーム社、1988年3月。ISBN 4274074056 
  • 椿正明『データ中心システム入門』オーム社、1994年9月。ISBN 4274078000 
  • 佐藤正美『論理データベース論考―データ設計の方法:数学の基礎とT字形ER手法』ソフトリサーチセンター、2000年4月。ISBN 4883731340 
  • 渡辺幸三『業務別データベース設計のためのデータモデリング入門』日本実業出版社、2001年7月。ISBN 4534032501 

脚注

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  1. ^ 1. VLDB 1975: Framingham, Massachusetts”. www.vldb.org. 2024年5月18日閲覧。

関連項目

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