「クセノフォン」より「クセノポン」の方がギリシャ語に近い表記ではなかったですかね? るがこむ 15:18 2003年5月6日 (UTC)

最初が X で始まると、ザ行の発音になるのではありませんでしたっけ。ゼノポン? ……この人の表記としては一般的ではありませんね。(^_^;
- Gombe 00:49 2003年5月7日 (UTC)
手元にある岩波文庫『ソークラテースの思い出』クセノフォーン著によると、クセノフォーンの綴りは「ΞΕΝΟΦΩΝΤΟΣ」となっています。「ΦΩΝ」のところは、「フォーン」でよいようです。最後の「ΤΟΣ」が発音に出てこないのがなぜなのかを説明する知識はありませんが、一番近いのは、やはり「クセノフォーン」なのだと思います。上記の発音についての疑問は、英語で「Xenophon」と綴ることから来る話ではないですか? でも、そんなに発音に凝らなくても、一般に使われている「クセノフォン」でいいんじゃないですか? きりがないですよ! - Sutou 15:03 2003年5月7日 (UTC)
岩波文庫『アナバシス』クセノポン著では、クセノポンの綴りは「ΞΕΝΟΦΩΝ」となっていました。また、岩波文庫『ギリシア哲学者列伝』ディオゲネス・ラエルティオス著でもクセノポンとなっていましたが、この本の最初に「ギリシア文字の片カナ表記は、ΦΧΘとΠΚΤとを区別しないで同じように書き」となっていました。これですと、「ΞΕΝΟΦΩΝ」が「ΞΕΝΟΠΩΝ」となって、「クセノポン」になります。どうしてこうするのかは、理由が書いていないのでわかりません。まぁでも、この但し書きから、「クセノフォン」が一番もとの発音に近いのかなという印象は持ちました。 - Sutou 16:19 2003年5月7日 (UTC)
Xがザ行に、というのは英語的発音でしたか、失礼しました。
ギリシアからオリエントにかけてはこの発音で始まる人を何人か見るので、常々疑問に思っていたのですが、ナゾが解けました。ありがとうございました。
私自身は「正しい表記よりも事典として引きやすい・見つけやすい表記で良い」と思っているので、一般的な呼び名で行くことに異論はございません。(笑)
- Gombe 17:41 2003年5月7日 (UTC)

Φは英語ではf音ですが、古典ギリシア語ではpの帯気音なので、「クセノポン」の方が正しい感じがします。 ぐぐってみても、「クセノポン」としている刊行物も多いようですが。るがこむ 16:05 2003年5月10日 (UTC)

私としては、Sutou様やGombe様の「日本語として一般的な呼び名で行く」案に賛成。
学問的に正確でも、馴染みが無い表記では、そもそも事典として引くのに不便ですし。 例えば、アケメネス朝ペルシャのダレイオス王の事を「この人はどんな人なんだろう」と思って 調べたい人が、「ダーラヤワウ」で検索かけられると思います?

で、私の場合は「困った時の広辞苑頼み」というのがありまして、要するに 広辞苑に項目として出ている形が有れば、その表記が日本語として定着していると見なし、 それに従うというのがあります。
まあ、広辞苑でなくても 手持ちの辞典がおありでしたら、それを参照するのも一つの方法かと。 Peehyoro Acala 16:42 2003年5月10日 (UTC)

アマゾンコムで検索すると、「クセノポン」か「クセノポーン」の表記が一般的で、「クセノフォン」としているものはないんですが。るがこむ 16:52 2003年5月10日 (UTC)

岩波文庫でいくと、「クセノフォン」となっている本よりも「クセノポン」となっている本の方が、新しいようです。どうして「クセノフォン」→「クセノポン」となったのかを説明してくれる人がいるといいのですが、まぁ最新動向は「クセノポン」なのでしょう。「クセノフォン」がアマゾンコムで出てこないのは、そういう本が絶版になっているからかな?
しかし、昨日も「デルフォイ」「デルポイ」「デルファイ」「デルフィ」「クリュタイメストラ」「クリュタイムネストラ」「クリタイムネストラ」「アテネ」「アテナイ」「アテーナイ」(アテーナイがお気に入りなので、本当はこれで行きたかった)でしばし迷ったのですが、これらにいちいちひっかかっていても書く気が失せていくだけなので、「一般に通用している表記ならそれでよい」という方針でどんどん書いて行きました。私としては、「一般に通用している表記なら良い。一般に通用していない表記はダメ」という以上のこだわりはありません。「どちらの方がより通用しているのか」まで調べないといけないとなると、ゲンナリとしてきます。こだわりのある人が、こだわりの表記で統一してくれるならそれが一番です。私としては「一般に通用している別の表記」に直されていたら「そういうものか」と、ちょっと思うだけです。
私がどちらがより正しいかにこだわらないのは、「音」が残らないからです。言葉は発音されると同時に空中に走り去り、消えていきます。日本語の例を出してみましょう。旧仮名遣いですと、「飢え」は「うゑ」、「上」は「うえ」、「要る」は「いる」、「居る」は「ゐる」です。現代では発音に違いがありませんが、昔は違っていたはずです。日本人である我々は、これらを発音し分けることができるでしょうか。日本の古典文学を研究している外国の人から、「その時代に発音されていた通りに、ローマ字でつづってみてくれ」といわれて、それができるのでしょうか。研究者ならできるかもしれません。しかし、私は疑いを持っています。「音」は残らないからです。ですので、研究者がいくら「正しい発音はこうだった」と言っても、私は「学会では正しい発音はこうだったということになっている」という風に頭の中で読み替えてしまいます。我々が古代ギリシャ語においてやろうとしていることは、上記の日本の古典文学を研究している外国の人に質問された人がやらなければいけないことと同じことです。いろいろあるうちの、どれが正しいのかは「音」が残らない以上、判別しがたい。ですので「正しいとされている表記」「一般に通用している表記」なら良い、としているのです。上でダレイオスの例が出ていますが、事典はそれで良いのだと思います。もしも、通用していないけれどより正しいという表記があるならば、それは記事の中に書いておけば、それで良いと思います。また、複数の表記の片方から他方にリダイレクトを設定し、必要に応じてその理由を記事の中に書いておけば良いと思います。
上記のような発音についての疑いの他、私はいわゆる「正しい言葉」というものにも対しても疑いを持っています。テレビなどで「正しい日本語」とか、「日本語が乱れてきている」という話を聞くと、「正しい日本語とは、どの時代の、どの地方で、どんな身分の人が話していた言葉のこと?」と聞き返したくなります。そして、「たぶん古い日本語の方が正しくて、だんだん乱れて来ているのでしょうから、たとえば万葉集に載っている日本語でしゃべってみてくれますか?」とお願いしてみたくなります。橋本進吉氏の上代特殊仮名遣に関する研究によると、万葉仮名にはイロハでは書けない13の音と、その濁音が含まれているそうです。目の前で「正しい日本語」と言われたら、失われた13の音とその濁音を聞くために上の質問をぶつけてみたいのですが、まだそういう機会には出会っていません。こういうこともあって、私は「正しい言葉」にこだわりを持たない、もしくは持たないように心がけている(たとえば、「食べれる」は間違っていて、「食べれる」が正しいなどと考えない)ようにしているのです。というよりも、いわゆる「正しい言葉」の追求を諦めているのですね。「一般に通用してしまえば、それが正しくなるのだ」ということで。
同じようなことが続いたので、私の考えの背景などを長々と書いてみましたが、結論は単純で、『こだわりのある人が、こだわりの表現で統一してくれるならそれが一番です。私としては「一般に通用している別の表記」に直されているのなら「そういうものか」と、ちょっと思うだけです。』 というものです。今回は修正が入るのではなく、質問があったので、「クセノフォンの方が良さそう」という私の考えを記したのですが、「クセノポンはいやだ」と思っているわけではありません。どっちの方がより良いか、について、それほどこだわりがないのです。それでは(^^)y - Sutou 21:18 2003年5月10日 (UTC)

日本は、従来は英米を中心に世界をとらえていたので、非欧米の固有名詞も英語風に表記することが多かったわけですが、最近は非欧米の国からも直接情報が入ってくるようになった中で、固有名詞なども現地の言葉で表すことが一般的になってきたということではないでしょうか。学校の教科書もそうなってきているようです。
「クセノフォン」も従来は英語風に表記していたが、古典ギリシャ語の研究が普及することによって、「クセノポン」の方が古典ギリシャ語に近いと表記が改められるようになった、ということだと思います。当然のことながら、今後は百科事典にもこのような風潮が及んでゆくのではないでしょうか。
異論が無いようでしたら、「クセノポン」に移動し、理由もつけます。前述したようにΦはpの帯気音なので、ほかの項目でも「パピプペポ」で表記するようにするつもりです。たかが表記、されど表記。るがこむ 14:36 2003年5月11日 (UTC)

「クセノポン」は一般に通用している表記ですので異論はありません。私の手元にあるギリシア語の本は、1962年に改訂第1刷が出ている岩波全書『ギリシア語入門 改訂版』田中美知太郎・松平千秋著(いまのところ積んであるだけ)なのですが、そこには「φ」の音価は「ph」と書いてあって、「ギリシア語の発音は音価に従ってそのまま読め」という意味のことが書いてあるだけです。これは、「昔のはわかるわけがない」という私の考えに通じる諦めた感じの記述で、私は気に入っています。「クセノポン」の方がよいという根拠の「Φはpの帯気音なので」というのは、何を見るとわかるのでしょうか? どちらでもいいと言いつつ、だんだん気になってきましたので。 - Sutou 16:06 2003年5月11日 (UTC)

え、るがこむ様へ,,
そこまでこだわりをお持ちなら、「正しい表記」を世に広める為に頑張ってください。
他にも、ソークラテースとかダーラヤワウとかマオ・ツートンとかにも「正しくない表記」が いろいろ流布していますが、それも るがこむ様に正して頂ければ幸いです。

前にも申しました通り、私はそういう思想ではないので お手伝いしようとは思いませんが、 世を改めようとする志士の行く末を見守ろう....くらいは思っています。 それで「正しい表記」が定着していくならそれでよし。定着しないなら、 あいつはそれまでのやつだった、という事で....。

あ、でも、「できる限り原語に近づけたい」と仰るなら、 「クセノポーン」でないといけませんよ。Xenophonの二番目のoはオメガですから。 贅沢を言えば、そのオメガに曲アクセントが付くことまで示せれば良いのですが、方法はありますかね。

それからSutou様へ,,。
φがpの帯気音という事は、他の言語での音写で判るそうです。 例えばラテン語に借用されたギリシャ語のφは、古くはpと、紀元前2世紀以後はphで表記されていました。ラテン語にはfの音があるのにφをfとしなかったからには、φはfよりpやphに近い音だったと 推測できるわけです。
ちなみにネタ本は、 岩波文庫の高津春繁著「比較言語学入門」です。 Peehyoro Acala 14:22 2003年5月12日 (UTC)

Peehyoro Acala様、皮肉は結構ですが、「正しい表記」というより現実の表記がそうなりつつあるということだけです。上にも書いたように、いままで英米風に表していたものを原語に近く変える世の風潮があるということで、現実に流布していない表記を無理に使おうということではないです。ちなみに手元のギリシア語の教科書には「クセノポォン」とあり、長音を表す表記は定まっていないのでしょう(ダーラヤワウが正しいかどうかは疑問。中国語のカナ表記は定まっていないが、強いて読めばマオ・ツォトンですか)。

Sutou様、私はラテン語の先生から教わりましたが、ラテン語にはギリシア語からの借用語が多いので、「帯気音」はラテン語の教科書に載ってることが多いようです。手元のギリシア語の教科書ではΦを「ぱぴぷぺぽ」と表記し「のどのおくから息を吐き出すように発音する」と説明しています。『ギリシア・ローマ神話辞典』(高津春繁著、岩波書店)では「無声帯気閉鎖音(ch,ph,th)は無声閉鎖音(k,p,t)と同じく、カキクケコ、パピプペポ、タティトゥテトと表した」しています。るがこむ 15:08 2003年5月12日 (UTC)

皆様ありがとうございます。なるほど、ラテン語を使うのですか。そうすると、少なくとも、どちらに近いかはわかるのですね。納得です。実は岩波文庫の高津春繁著「比較言語学入門」は、未読で部屋のどこかにあるはずなのですが発見できない状態です。そのうち見つけて確認してみます。『ギリシア・ローマ神話辞典』(高津春繁著、岩波書店)は、手元にあって時々事実の確認に使うのですが(あんまりじ~っと見ると影響されすぎてしまうので、ちらっとだけ)、発音について書いてあるのには気がつきませんでした。ちなみに、この本の発行年を確認しようとして、「高津」は「こうづ」と読むということをはじめて知りました。高津春繁氏の訳した本は、結構読んだことがあるはずなのですが(^^;) それでは。 - Sutou 16:14 2003年5月12日 (UTC)
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