ノート:ヒョウモンダコ

最新のコメント:10 年前 | トピック:ハパロトキシン(Hapalotoxin)について | 投稿者:Apple2000

ハパロトキシン(Hapalotoxin)について 編集

記事内で書かれている「ハパロトキシン」という毒物ですが、本当に存在するのでしょうか? ハパロトキシンに関する参考文献として記事内で挙げられている「フグ毒の起源を探る」ですが、この中にはハパロトキシンに関する記述は一切存在せず、それどころかヒョウモンダコがカニを捕食するのに使っている毒はテトロドトキシンである、と逆の内容が書いてあり、率直に言って何故この文献を参考文献に選んだのか分かりません。

ハパロトキシンに関する初出の論文はおそらく1977年の "Hapalotoxin, a second lethal toxin from the octopus Hapalochlaena maculosa." だと思われます。前述の「フグ毒の起源を探る」では、「1978年に(ヒョウモンダコがカニの捕食に使っているのは)テトロドトキシンだと確認された」と書かれており、おそらくはこの"Hapalotoxin, a second lethal toxin from the octopus Hapalochlaena maculosa."の内容は、発表から一年後に否定されたと私は考えます(専門は化学ではないのであくまで想像です)。

日本化学物質辞書( http://nikkajiweb.jst.go.jp/nikkaji_web/pages/top.html )で調べてもハパロトキシンはヒットしません。これはつまり、ハパロトキシンという毒物は存在していないか、1977年の論文から36年も経過しているのに未だに化学式が判明していないということになります。

「ない」ことを証明するのは困難なので、状況証拠ばかりを並べ立てる形になりましたが、いかがでしょうか?有力な反論がなければハパロトキシンに関する内容を削除しようと思います。--雲霞会話2013年10月27日 (日) 00:40 (UTC)返信

いくつか誤解があるようなので訂正しておきます。
  • まず、1978年の論文はこちら[1]だと思いますが、ここでTTXと確認されているのは"Maculotoxin"です。ハパロトキシンについては否定も肯定もされていません。
  • "36年も経過しているのに未だに化学式が判明していない"ということはよくあります(研究する人がいなければその分野の研究は進展しませんから…)。
  • 唾液で獲物を麻痺させるのはヒョウモンダコだけではありません。マダコなど他のタコの唾液にも甲殻類を麻痺させる成分は存在し、これはヒスタミン・セロトニンなどであろうと考えられています。
ハパロトキシンに関しては、「そのような物質の存在を示唆した論文もある」程度の記述に留めておくのがいいように思います--Ltsc2335会話2013年10月27日 (日) 03:56 (UTC)返信
ありがとうございます。いくつか疑問に思うことがあったので補足、あるいは質問させてください。
  • 「フグ毒の起源を探る」が参考にしているのが"Maculotoxin: a neurotoxin from the venom glands of the octopus Hapalochlaena maculosa identified as tetrodotoxin"という事でしょうか。こちらは未読なので後で目を通しておきます。
  • 記事内では、甲殻類にはテトロドトキシンが効かないがハパロトキシンは有効であるためこれを用いてヒョウモンダコはカニを捕食する、と一種のストーリー仕立てでハパロトキシンについて記されています。一方「フグ毒の起源を探る」ではテトロドトキシンがカニに対して有効であることが暗に示されています。従って前述のストーリーは否定された、ということを意図していました。もちろんこれはハパロトキシンの存在の是非には関係しません。勇み足な表現でした。
  • 「"36年も経過しているのに未だに化学式が判明していない"ということはよくあります(研究する人がいなければその分野の研究は進展しませんから…)」、というご指摘は全くもって仰る通りです。しかし後続の研究が無い(少ない)というのは、元となる研究の確かさが十分に審査されていないという事ではないでしょうか。そのような物が百科事典の記事に掲載されてしまうのは個人的には抵抗があります。(Ltsc2335さんの意見は現状維持ではないようなので、こういう言い方をしてもあまり意味はありませんが)
  • 「唾液で獲物を麻痺させるのはヒョウモンダコだけではありません。…」というのはどういう文脈での指摘なのかちょっと分かりませんでした。教えていただけると幸いです。--雲霞会話2013年10月27日 (日) 12:46 (UTC)返信
少し回答させていただきます。
  • 「フグ毒の起源を探る」の「1978年にTTxと確認された」に関しては、該当する論文がこれしか見当たりませんでした。私もアブストしか読んでいないのですが、内容的に考えてもこの論文のことだろうと思います。
  • 記事でのストーリー仕立ての表現は、この編集において無出典で追加されたものです。誤解を招くので全面的に削除したほうがいいように思います。
  • 「元となる研究の確かさが十分に審査されていない」という指摘は、物理学などの厳密性を重視する学問ではその通りだと思います。ですが、生物学や動物学は研究対象が膨大で、しかも例外が多い学問です。このような場合、個々の事例に対して"このような研究報告もある"という形で論文を示しておくのは十分に意味のあることだと思います。
  • 「唾液で獲物を麻痺させる…」の指摘は、記事の方の文章と混同していました。申し訳ありません。記事の毒性節が、獲物を麻痺させる毒を持つのはヒョウモンダコのみであるように読めたので、そこを修正したほうがいい、という提案でした。
以上です。--Ltsc2335会話2013年10月27日 (日) 14:16 (UTC)返信
ありがとうございました。理解しました。
ご指摘を受けた現在、私はこの記事の中のハパロトキシンの記述はどうあるべきか、強く確信が持てない状態になっています。
自分から話題に出しておいて無責任ですが、私自身の意見については少し保留させてください。
予断ですがテトロドトキシンも化学式が判明するまでに非常に長い時間がかかったことを知りました。これについては完全に私の無知によるところで、ご指摘感謝しています。--雲霞会話2013年10月29日 (火) 22:06 (UTC)返信


ハパロトキシンに関する文献 編集

言いだしっぺなので集めてみます。

maculotoxinは捕食者からの防御に、hapalotoxinはカニの捕食に用いるとの事。ヒョウモンダコの本場であるオーストラリアの政府が配布している文章なのでそこまで間違いはなさそうですが、maculotoxinという言葉をまだ使っているなど化学的な正確性については微妙な気がします--雲霞会話2013年10月27日 (日) 13:24 (UTC)返信
  • 英語版wikipediaのヒョウモンダコの記事
"The octopus produces venom containing tetrodotoxin, histamine, tryptamine, octopamine, taurine, acetylcholine, and dopamine."「ヒョウモンダコはテトロドトキシン、ヒスタミン、トリプタミン、オクトパミン、タウリン、アセチルコリン、ドーパミンを含んだ毒を生産する。」出展無しなので更に追う必要はありそうですが、ハパロトキシンについての記述は無し。
  • カニ体液中に存在するフグ毒結合タンパク質に関する研究
  • カニ類のテトロドトキシンおよびサキシトキシンに対する抵抗性ならびに両毒に対するカニ体液の減毒効果
カニの体内(体液内)にある特定の蛋白質はテトロドトキシンと結合し無毒化するため、高い耐毒性を持つという研究。素人考えですが、イオンチャネルがテトロドトキシンと結合しないフグほど強くはないように思えます。--雲霞会話2013年10月29日 (火) 21:58 (UTC)返信
ハパロトキシンは何故か日本においてだけ認知度が高く、英語のみで検索し、かつそれでも漏れてくる日本語の記事を除くと2013年10月現在で67件しかヒットしません。--雲霞会話2013年10月29日 (火) 22:38 (UTC)返信
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/0041010177901271 Hapalotoxin, a second lethal toxin from the octopus Hapalochlaena maculosa に有りますね(但し、英文/有料、1ページ目だけプレビュー可)。www.jstage.jst.go.jpmaculotoxin で検索しても、一次情報源となりそうなものは見いだせず。しかし、論文の引用先から調べると、http://www.sciencemag.org/content/199/4325/188 Maculotoxin: a neurotoxin from the venom glands of the octopus Hapalochlaena maculosa identified as tetrodotoxin(Science 13 January 1978:Vol. 199 no. 4325 pp. 188-189) が有力でしょうか?--Apple2000会話2013年10月30日 (水) 02:21 (UTC)返信

脚注 編集

  1. ^ Sheumack, DD and Howden, ME and Spence, I and Quinn, RJ (1978). “Maculotoxin: a neurotoxin from the venom glands of the octopus Hapalochlaena maculosa identified as tetrodotoxin”. Science 199 (4325): 188-189. 
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