ノート:医療倫理

最新のコメント:4 年前 | トピック:英語版から翻訳 | 投稿者:Torumyax

英語版から翻訳 編集

医療倫理という基本的な概念を記述したページが日本版ウィキペディアに今日まで存在していなかったので、英語版のページから翻訳しました。まだ査読が完全には終わっていないので、一部、です調が残ってしまっている可能性がありますが、ご容赦・ご協力をお願いいたします。Torumyax会話2019年5月16日 (木) 18:36 (UTC)返信

  • ついでに「生命倫理」のページも翻訳して更新しておきました。Torumyax会話2019年5月27日 (月) 22:30 (UTC)返信
  • 関連で、「臨床研究倫理」も(まだ要加筆を入れたままですが)翻訳して公開しました。いずれも「おおざおっぱな翻訳」をつけておりまして、何かありましたらよろしくお願いいたします。Torumyax会話2019年6月1日 (土) 21:30 (UTC)返信
  • 翻訳告知、をつけてみました。 オリジナル翻訳版はかなりシンプルだったため、翻訳初版はだいたいです。その後、表現をかなり(てにおは等)修正し諸々修正がかかったものになっています。 Torumyax会話2019年6月1日 (土) 23:49 (UTC)返信

Autonomy(オートノミー)の訳語について 編集

(以下、翻訳者自身による、翻訳者の訳語採用における「客観性・中立性」を保つ為の、「決定プロセスと情報の自己開示」であり、「自己問答」であります。長ったらしくなり、「オートノミー」のページも出来、訳語と由来と定義が明瞭化・整理されたため、不要かと思うので、過去ログ化して頂いて構いませんTorumyax会話2019年5月22日 (水) 20:51 (UTC)返信

Autonomyですが、日本の医療界では「自律性原則」「自律尊重原則」などとされて通用しちゃっておりいる場合がありますが、辞書的な意味では「自律」の他に「自治」、「自立」、「自己決定権」、「自主」があります。どれもAutonomy(autonomous)の訳語でして、使い分けが非常に悩ましい所であります。

カントの道徳論的な日本語訳である「自律」から来ている[1][2]んだとは思いますが、素直に読むときは、寧ろ、自主・自立性(自由、権利、危害、正義に関する)という定義がしっくりきます。しかも、このページ[3]で良く解説されているのですが、「自律には、いわゆる自己決定を意味する自律と、 カント的な自律の二種類がある」「(前者) の意味での自律の対義語はパターナリズムである」「 カントの考えた道徳の本質としての自律 (道徳的自律)はずっと厳しいもので・・・」とあります。カント的なのは「欲求を抑えて理性を働かせることが出来ること」としますと、医療倫理の文脈ではカントの「自律」ではないので不正確、というのがはっきりします。自己決定の方ですから。当然ピアジェからの「自律」(小児心理学の発達)の文脈でもない。一足飛びに「オートノミーは自律のことである」とやっちゃうのは論理の飛躍。「オートノミーが、カントの言う自律に由来することは否定し難いことと思われる[1]」などと言ってしまうのはこじ付け(古ギリシャ語由来ですし)。そもそも哲学用語である「自律」に「自己決定」の意味合いを持ってきて無理やり含めてしまうのがオカシイのです。私の違和感はこれです。日本語には色々別の語があるのです。

本来は、ページ中にも原語から触れられているように「自ら治む"autos" (self) and "nomos (rule=統治・支配)」でして、「自己決定原則」「自治原則」「自立性原則」のほうが適している(まだまし)かもしれませんし、英語的には(文中にチラっと説明あるように)色々含まれていますし、日本語的にピントこない。とても説明し辛いのですが。。。英語版の「Autonomy」での注釈が分かり易い。 古代ギリシャ語(Ancient Greek)の: αὐτονομία, romanized: autonomia, from αὐτόνομος, autonomos, from αὐτο- auto- "self" and νόμος nomos, "law", hence when combined understood to mean "one who gives oneself one's own law"、直訳すると「自分で自分に自身の法を与える者」

単語の定義的には、Autonomy is the capacity of a rational individual to make an informed, un-coerced decision; or, in politics, self-government. 「合理的な個人として、インフォームドされつつ他から影響されない意思決定をすることが可能なキャパシティー(能力を与えられている状態=権利)。政治においては自治」となります。長ったらしい。ただ、自律性「自分を律する」は全てを表さないので誤りで、寧ろ語弊がある(「自分の行為を主体的に規制すること」ではないのです)。「自発的」とか「自律的」というのはここでは「弱い」のです。「内向き」なのです。ここではカント的ではなく、もっと権力的なのです。ニュアンス的に。通常「自主性を尊重する」はOKでも「自律性を尊重」は変なのです(お前は禁欲的な修道士かっ、みたいな)。では「自己決定」かと言うと、原文で「autonomy and self-determination」とあって、これでは「自己決定と自己決定(民族自決)」になってしまいます。また「自己決定権」と「権利」をつけると下から求める権利、という法的なニュアンスが付くのでここの文脈ではちょっと違います。法的なニュアンスが付くとしても、「上から」もしくは「水平」なんです、「自治」的な。「自主独立」(権利なぞわざわざ主張するのでなく権利は自分が決めるもんだ)的な。。。

では、というと困るのですが「自由自治自主自立自己決定尊重原則」?なんてことになりますので、とりあえず「自ずから主とす、自分があるじ、己がヌシ」が一番と思いますので、「自主尊重原則」とか「自主・自己決定」あたりにさせてください。。。Torumyax会話2019年5月18日 (土) 02:40 (UTC)返信

ふと思って、「自主尊重原則」でググってみたら中国語サイトで「Autonomy 自主原則『自主』」「尊重自主原則」とあって、やっぱり、とちょっと嬉しいです。ウィキペディア中国版でも「病患自主」となってますね。「自律神経系」までも「自主神经系统」!! 。。。「自律性原則」の表記が広まってしまった日本は(したり顔でドヤってた人達は放っておくとしても)さてはてどうするんでしょうかね。せめてウィキペディアではより正確と思われる訳語にしてみたいと思います。Torumyax会話2019年5月18日 (土) 03:31 (UTC)返信

文中に注釈をつけることにしました。Torumyax会話2019年5月18日 (土) 16:23 (UTC)返信

もういっそのこと、オートノミーとは、というウィキペディアのページを作ってしまおうかな。。。変に詳しくなってしまった。ただ、日本語版ではAutonomyが自治権にリンクされてしまっているんですよね。。。>修正して解除したけど「オートノミー」が別の会社名で乗っ取られてる(ため改名提案してます)。Torumyax会話2019年5月19日 (日) 00:21 (UTC)返信

英語版の「Autonomy」のページを翻訳していたところ、説明で、「カントは現代倫理に関する3つのテーマによってオートノミーを定義した。 第一に、他者からの干渉を排除して自らの決定を下す権利としてのオートノミー(自決権・自主性)。 第二に、自らの心の独立性を通してそして個人的な熟考の後にそのような決断をする能力としてのオートノミー(自律心)。 第三に、オートノミー(自立的)に生活するための理想的な方法として 」>>>つまり、外からの干渉を受けない「自主性」、内面の道徳的「自律心」この両方が必要、という事になります。つまり「自主自律」による「自立」。ですから、単に「自律」とするのはやはり誤りと言えます。権利の文脈で「自主」、心と人格の文脈で「自律」、両方あって「自立」。じゃぁ「自立」でいいよねって話しだと、通常の日本語の「自立」は、「自らの足で立つ」ですから、医療の文脈で「じゃ、自分の足で立ってないから**ホニャララ」的に捉えられてしまう懸念があります。なので、カント的な道徳倫理の文脈で話すなら、「自主自律」と書くべき、となります。ただ、医療倫理においては、心理学でも哲学分野の内面の心の話しをしている訳ではなく、やはり「自主」が適切かつ適当かと思います。Torumyax会話2019年5月19日 (日) 18:52 (UTC)返信

カント専門家に突っ込みを入れられかねないので、一応上記の英語版の原文「カントは現代倫理に関する3つのテーマによってオートノミーを定義した~」の出典から原本を確認すると、Oliver Sensen著 "Kant on Moral Autonomy" という本(2012年)の15ページにある、「"Kant argued that autonomy of the will is necessary presupposition of all morality. His idea of autonomy is abstract,fundational, normative, and a key to his defense of the rationality of moral commitment. In contemporary ethics philosophers often appeal to ideas of autonomy more specifically, for example, as a moral right to make one's own decisions or as a psychological ideal of independent thinking and rational self-control."」ですね。要約すると「カントのオートノミーについての考えは抽象的で・・・。ただ、近代倫理においては、哲学者たちはしばしばより具体的に・・・道徳的権利として、自分で自分の決断を下す権利、または独立した思考による精神的理念として、そして合理的自己制御として・・・」となっていて、近代倫理の哲学者たちの解釈では、という話しで3つの分野を挙げたわけですね。カント自身が三つのテーマを挙げたわけではなく。Torumyax会話2019年5月20日 (月) 02:27 (UTC)返信
あ、当然ながら医療倫理の場合「自己決定権」の話しですから、「自分で自分の決断を下す権利」の意味合いです。精神の自由は~とか、内面の欲求自己制御でもありません。つまり「自律」ではない。Torumyax会話2019年5月20日 (月) 02:33 (UTC)返信

余談なのでアレですが、非常に捻くれた見方をすると、日本の医療界において「自律尊重原則」と「したい」のは、「あなたの内面の信条・価値観=『自律』は尊重するけど、『自主』は無い(パターナリズムで行きたい)から別に良いよね、インフォームド・コンセントなんて面倒くさいし」と。。。。いう裏の意思・意図を感じてしまうのですが。長年の医師会等の抵抗を見てますと。。。w Torumyax会話2019年5月19日 (日) 19:52 (UTC)返信

  • 『Autonomyですが、日本の医療界では「自律性原則」「自律尊重原則」などとされて通用しちゃっております』とのことであれば、ウィキペディアではそれを採用するのが穏当です。一般に通用している用語より正しい用語があるというご主張は、啓蒙書の出版等を通じてなされるのがよろしいかと思います。すでに出版された文献上で論争が確認できるのであれば、誰が何と主張したかという、「論争を記述する」こと(Wikipedia:中立的な観点)が適切です --2001:240:2415:BBB:BC8B:DCB7:2A1:4269 2019年5月20日 (月) 00:06 (UTC)返信
  • 「自立の尊重(人に対する敬意)」である[4]、でも通じちゃっているのであります。なので、まだ訳語は固まっていない、という認識だったのですが。。。Torumyax会話2019年5月20日 (月) 00:10 (UTC)返信
  • さらに言えば、他の、「無加害原則」は、無加害だけでなく「無危害[5]」「不傷害」等々、色々です。与益原則の方は「善行原則」やら。なので、これと言って、標準はなく、より正確なものを訳語として採用するのは、基本的には翻訳上の範疇・責任でもあるかと。。。。Torumyax会話2019年5月20日 (月) 00:15 (UTC)返信
    • JinkaWikiは「文教大学の学生によって人間科学大事典を作成するプロジェクト」[1]とのことなので、信頼性の観点(WP:RS)から出典とすべきではありません。 --2001:240:2415:BBB:BC8B:DCB7:2A1:4269 2019年5月20日 (月) 00:25 (UTC)返信
      • 神戸大学の「人に対する敬意(respect for persons)[人格の尊重・自律]」[6]とか、皆さん苦労されているのです。Torumyax会話2019年5月20日 (月) 00:28 (UTC)返信
        • つまり、ここでは、文中ではっきり書いてあるように、ビーチャムとチルドレスの4原則[7]の話しで、カントの話しをしているのではないのです。ビーチャムとチルドレスの4原則をより正確に正しく翻訳する責任がありまして、それを「与益原則」と書くか「善行原則」と書くか、「自律原則」と書くか「自主原則」と書くか、訳す上で、翻訳者として全体を見ながら、定義から由来まで調べて、結論を出して、その経緯まで明らかにして文中にも記述し、注釈もつけている原義の古ギリシャ語ですよ、はい。Torumyax会話2019年5月20日 (月) 00:38 (UTC)返信
        • もし、「自律」にしたら、文中に出てくる定義に合わない意味になってしまうのです。そして、インフォームド・コンセントなどがでてくる理由の「自己決定権」の説明がつかなくなります。「自律権」とは、「懲罰や議事手続など、国会や各議院の内部事項については自主的に決定できる権能」になってしまいます(法学的に)。カント的に敢えていえば「内心の自由権」でしょうか。これでは「自己決定権」の説明にならなくなってしまうのです。Torumyax会話2019年5月20日 (月) 00:44 (UTC)返信
        • さらに言うと、日弁連が「『説明と同意』という訳語はインフォームド・コンセントの理念を正しく伝えず、むしろ従来型のパターナリズムを温存させるものである」と批判をしたように、ここで「自律」の訳を採用すること自体が日本の医療におけるパターナリスティクな慣習と抵抗の現れであると(原文でも同趣旨の事が書いてありますが)、批判を受けかねません。中立性の観点から言って「自律」の意味合いは、まずいのです。医療倫理#日本における「"自律"尊重原則」として日本的事情に少し触れましたように。。。Torumyax会話2019年5月20日 (月) 00:57 (UTC)返信
        • つまり、 Wikipedia:日本中心にならないようにWikipedia:中立的な観点、つまり「World Viewで書け(世界的視点で書け)」を一生懸命に考えてこそ、のことなのです。Torumyax会話2019年5月20日 (月) 01:07 (UTC)返信
  • まぁ、私がノートでつぶやいた「通用しちゃってる」という一点をもって揚げ足とるのでなく、まずは本文と関連項目をお読みなってくださいな。よろしくお願いいたします。Torumyax会話2019年5月20日 (月) 01:23 (UTC)返信

確認ですが、原文を毀損する誤訳を採用する訳にはいかないので、「オートノミーが、カントの言う自律に由来することは否定し難いことと思われる[1]」という「思われる」で誤訳を採用することは出来ません。英語版の原文では、古ギリシャ語からの由来で~と詳しく書いてあるのですから。その点も、なにとぞご了承ください。Torumyax会話2019年5月20日 (月) 01:34 (UTC)返信

詳細を「オートノミー」のページに譲る 編集

詳細は「オートノミー」のページで、という記述にし、この記事では詳細(医療倫理#日本における「"自律"尊重原則」)を書かないほうがいいと思います(問題があることは変わっていないのですが、ほぼ同内容の記述が「オートノミー」のページに書かれたため、改善のための議論もオートノミーのページのノートでとした方がいいでしょう)。Template:Mainを適用するといいと思います。 --2001:240:2420:7DBD:BC8B:DCB7:2A1:4269 2019年5月23日 (木) 00:04 (UTC)返信

重複については、ちょうど自分で書いていて思っていた所なので、詳細をざっくり、Template:Mainで置き換えて、内容をオートノミーのページへ飛ばすようにしました。Torumyax会話2019年5月23日 (木) 00:10 (UTC)返信
なお、日本のウィキペディアでは「インフォームド・コンセント」と言うページ名になっており、「説明と同意」というページ名にはなっていません。その意味を考えると「自律」と「自主権・自己決定権」の名称の問題の根底が見えてくると思います。Torumyax会話2019年5月23日 (木) 00:30 (UTC)返信
この4原則の「オートノミー」の定義は原文の通りであり、「いや自律では『ない』根拠を出せ」とあくまでも主張されても、それは無いことの証明=「悪魔の証明」ですから。Torumyax会話2019年5月23日 (木) 00:57 (UTC)返信

日本医師会のスタンス 編集

  • 日本医師会は、「患者のオートノミー」の場合は「自律性で患者の自己規制」というあくまでも「自律性」の訳語スタンスを押し通し、自分らの「プロフェッショナル・オートノミー」という時だけ「プロフェッショナル・オートノミーと臨床上の独立性に関するWMAソウル宣言」[8]と、「カタカナ表記」の訳。酷すぎる・・・酷すぎる・・・なんなんだ日本医師会は。インテグリティが無いまさに偽善的。
  • 「WMA(世界医師会)の考えが日本の医療界に浸透しないのは、日本医師会の『誤った認識』がそれを妨げているからでしょう。日本医師会は『WMAの考えを隠したい』という『意図』を持っているようです」・・・「日本医師会の訳では『個々の医師のあり方』を述べていることになります。これは『the medical profession』と『individual physicians』との区別を無くしたための『誤訳』です。一例を挙げましたが、このようなprofessionに関する『誤訳』はWMAの他の 宣言などでも一貫して出てきます。したがってこれは『意図的な誤訳』でしょう」[2]
  • どうしようもない。翻訳者として、早めに気が付いて良かった。Torumyax会話2019年5月29日 (水) 17:02 (UTC)返信






  1. ^ a b c 医の倫理の基礎知識|医師のみなさまへ|医師のみなさまへ|公益社団法人日本医師会”. www.med.or.jp. 2019年5月19日閲覧。
  2. ^ 第2部 倫理とコミュニケーション 3.専門職としての意識と責任 医療倫理”. 厚生労働省. 2019年5月20日閲覧。
  3. ^ AUTONOMY”. plaza.umin.ac.jp. 2019年5月19日閲覧。
  4. ^ 生命倫理 - Jinkawiki”. kwww3.koshigaya.bunkyo.ac.jp. 2019年5月20日閲覧。
  5. ^ 医療・医学研究における生命倫理4原則”. 神戸大学. 2019年5月20日閲覧。
  6. ^ 医療・医学研究における生命倫理4原則”. 神戸大学. 2019年5月20日閲覧。
  7. ^ 医療倫理の4原則とは?|Web医事新報|日本医事新報社”. www.jmedj.co.jp. 2019年5月20日閲覧。
  8. ^ プロフェッショナル・オートノミーと臨床上の独立性に関するWMAソウル宣言|世界医師会|国際活動|医師のみなさまへ|日本医師会”. www.med.or.jp. 2019年5月29日閲覧。
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