パイプの本』(The Pipe Book)は、イギリスのファッションブランド、ダンヒルの創業者であるアルフレッド・ダンヒルが著した、たばこに関する解説書である。

本の概要と出版状況 編集

たばこの起源からその喫煙法の変遷について詳述された文化史で、とりわけパイプの歴史について極めて詳細に書かれており、すぐれたパイプの研究書として名高い。また、トマス・マロリーを引き合いに出されるほど、文体が晦渋なことでも知られている。

初版はA&C Black Ltd.より1924年に出版された。のちに、著者の息子であるアルフレッド・H・ダンヒルが、時代背景に配慮して若干の改訂を施し、多数の図版を付加してArthur Barker Ltd.より1969年に再版した。以後出版されたものは、この1969年版を底本としている。イギリスでは2002年にThe Lyons Pressから出版されたものを最後に、現在は絶版となっている。

日本語訳は1969年版を底本に、劇作家の梅田晴夫が、1971年に完訳版を翻訳出版した。その後何度か再版されたが、1980年代に入ってからは重版されていない。理由は原書に差別的表現が散見されるため、今日の社会状況に配慮したものと推察される。

目次 編集

日本語タイトルは梅田晴夫の訳に拠る。

  1. 人は何故煙草をのむか-Why Men Smoke
  2. 代用パイプと煙草-Makeshift Pipes and Tobacco
  3. 真直ぐなパイプあるいは筒型パイプ-Straight or Tube Pipes
  4. 土塁パイプ-Mound Pipes
  5. インディアン・パイプとパイプの秘儀-Indian Pipes and Pipe Mysteries
  6. 南アメリカの喫煙家および非喫煙家-Smokers and Non Smokers of South America
  7. 極北のパイプ-Pipes of the Far North
  8. 極東のパイプ-Smoke Far Eastern Pipes
  9. 水煙管-Water Pipes
  10. アフリカ・パイプの種々相-The Myriad Pipes of Africa
  11. クレイ・パイプ-Clay Pipes
  12. ヨーロッパ・パイプ-Smoke Choice European Pipes
  13. 現代のブライアー-The Modern Briar

出版記録 編集