パブピア: PubPeer)は、「Pub=出版された論文(意訳)」+「Peer=研究者仲間からの評価・審査・議論(意訳)」の造語で、学術誌に出版された論文を研究者仲間が議論するウェブサイトである。出版後査読(post-publication peer-review)の1つである。

パブピア "PubPeer"
創立者 ブランドン・ステル(Brandon Stell)、ジョージ・スミス(George Smith、ハンドルネーム)、リチャード・スミス(Richard Smith、ハンドルネーム
団体種類 出版後査読(post-publication peer-review)
設立 2012年10月
所在地 米国カリフォルニア州
主眼 学術論文の質的向上
活動内容 出版された学術論文の内容を公開で議論・質疑応答
活動手段 オンライン・ジャーナル・クラブ
ウェブサイト https://pubpeer.com/ ツイッタ― https://twitter.com/PubPeer
創立から2015年8月31日まで匿名で運営していた
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歴史 編集

2012年10月の創始から2015年8月31日まで匿名で運営していたが、2015年8月31日、3人の創始者のうち1人が実名で活動することに切り替えた。

運営者は、フランス国立科学研究センターの神経科学者・ブランドン・ステル(Brandon Stell)と、他の2人はハンドルネームだが、ジョージ・スミス(George Smith)、リチャード・スミス(Richard Smith)である[1]

活動 編集

学術誌に出版された論文についての議論や質疑応答するウェブサイトである。言語は英語で、無料で利用できる。

議論や質疑応答の閲覧は登録せずにできるが、議論や質疑応答するには登録が必要である。

登録には、学術誌に出版した論文のDOIデジタルオブジェクト識別子)、PubMed ID、またはarXiv ID が必要である。しかも、その論文の第一著者または最後著者しか登録できない[2]。議論や質疑応答する人は、必然的に研究者に限定される。サイト運営者には、登録した人物を特定することができる。ただし、コメントは匿名で表示されるので、閲覧者はコメントした人の所属や名前を特定できない。

投稿したコメントは査読され、即時掲載されない。査読の結果、採択されない場合もある。採択されたコメントはウェブサイトに掲載と同時に、コメント対象の論文著者にも通知される。

このサイトで議論した結果、論文中のデータ捏造改竄、データや文章の盗用の指摘に至ることがしばしばある。

例えば、2014年春に日本で問題になった小保方晴子の「ネイチャー」論文は、2014年1月29日の論文出版直後からパブピアでも議論が始まった。数日後、データの異常が指摘された[3]

脚注・文献 編集

  1. ^ Ewen Callaway (2015年8月31日). “Pioneer behind controversial PubPeer site reveals his identity”. Nature. 2015年9月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年2月24日閲覧。
  2. ^ PubPeer > FAQ”. 2016年1月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年2月24日閲覧。
  3. ^ PubPeer - Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency”. 2014年9月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年2月24日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集

  • PubPeer”. 2016年2月24日閲覧。