ファインマンルールとは、場の量子論における摂動計算で、 ファインマン・ダイアグラムと共に用いられる一連のルールであり、 リチャード・P・ファインマンにより提唱された。

具体的には、主にファインマンダイアグラムの 頂点(verteces)、外線(external lines)、内線(internal lines)のそれぞれに 物理変数からなる因子(factor)(多くの場合ベクトル[要曖昧さ回避]テンソルスピノルである)を対応させるルールのことで、これらを全般的にファインマンルールと呼ぶ。 このルールに従い、それぞれのダイアグラムに対応する因子をかけ合わせ、積分するだけで、 摂動的に、S行列から粒子の崩壊率(decay rate)、寿命断面積(cross section)などの観測可能な物理量を、計算することができる。

座標空間でのファインマンルールと運動量空間でのファインマンルールがある。


これらの対応表を与えるルールは、ある程度の一般的な形もあるが、通常、相互作用の形によってそれぞれ違った形のものが使われる。 一般的なファインマンルールの大雑把な計算の流れは次のように与えられる。


一般的なファインマンルールを用いたS行列の計算の流れ 編集

  1. 求めたい摂動の次数に等しいだけの頂点を持ったファインマンダイアグラムをすべて書き出す。この時、相互作用の形によって頂点から出る線の種類と数は決まっている。粒子と反粒子が異なるような場(実でない場)の場合、矢印で粒子の進行する向き(反粒子の進行とは逆方向)を示すことでこれを区別する。
  2. ファインマンルールに従い、頂点、内線、外線に対応する因子を全てかけ合わせ、積分を実行する。このときの積分は座標空間の場合、頂点に伴う座標変数について行い、運動量空間の場合は、内線に伴う運動量について行う。
  3. ダイアグラムに対称性がある場合は同じ形になるダイアグラムの個数で割る。(Symmetry factor)
  4. フェルミオンの反交換関係から出る符号(±)を掛ける。(fermionic sign)
  5. 全てのダイアグラムに対して足しあわせる。

関連項目 編集