フェニルグリオキサール
フェニルグリオキサール (phenylglyoxal) は、化学式がC6H5C(O)C(O)Hの有機化合物。アルデヒド基とケトン基の両方を含む。無水物のときは黄色の液体であるが、容易に無色の結晶性水和物になる。アミノ酸の一種、アルギニンの修飾のための試薬として使われる[1]。
フェニルグリオキサール Phenylglyoxal | |
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Phenylglyoxal | |
別称 oxo(phenyl)acetaldehyde, 1-phenylethanedione, | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 1075-06-5, (一水和物) 1074-12-0(無水物) |
UNII | N45G3015PA |
日化辞番号 | J95.649J |
RTECS番号 | KM5775180 |
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特性 | |
化学式 | C8H6O2 |
モル質量 | 134.13 g mol−1 |
外観 | 黄色液体(無水物) 白色結晶(無水物) |
融点 |
76-79 °C(水和物) |
沸点 |
63–65 °C(0.5 mm, 無水物) |
水への溶解度 | 水和物を形成 |
その他溶媒への溶解度 | 一般的な有機溶媒に溶ける |
危険性 | |
主な危険性 | 毒性 |
Rフレーズ | 22-36/37/38 |
Sフレーズ | 22-26-36 |
関連する物質 | |
関連する無水物 | 3,4-ジヒドロキシフェニルアセトアルデヒド |
関連物質 | ベンジル グリオキサール アセトフェノン |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
性質
編集その他のアルデヒドと同様に重合し、これは液体が固化することを意味する。熱するとポリマーがクラックし、黄色のアルデヒド体に戻る。結晶性水和物になる反応は以下の通り。
C6H5C(O)COH + H2O → C6H5C(O)CH(OH)2
熱すると水分が失われ無水物の液体に戻る。
合成法
編集オキシムの亜硫酸誘導体を熱分解することにより合成する[2]。
C6H5C(O)CH(NOSO2H) + 2 H2O → C6H5C(O)CHO + NH4HSO4
安息香酸メチルとKCH2S(O)CH3との反応により、PhC(O)CH(SCH3)(OH)が生成し、これを酢酸銅(II)で酸化して合成することもできる[3]。あるいは、アセトフェノンを二酸化セレンで酸化しても合成できる[4]。
出典
編集- ^ Kenji Takahashi (1968). “The Reaction of Phenylglyoxal with Arginine Residues in Proteins”. J. Biol. Chem. 243 (23): 6171–9. PMID 5723461 .
- ^ H. von Pechmann (1887). “Zur Spaltung der Isonitrosoverbindungen”. Chem. Ber. 20 (2): 2904–2906. doi:10.1002/cber.188702002156.
- ^ Mikol, G. J.; Russell, G. A. (1973). "Phenylglyoxal". Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, vol. 5, p. 937
- ^ Riley, H. A.; Gray, A. R. (1943). "Phenylglyoxal". Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, vol. 2, p. 509