フォーミデブル系とは、洋ランデンドロビウムに含まれる範疇の一つである。夏に白い大輪花を少数つける。品種の数は多くない。

Dendrobium infundibulum
品種フォーミデブルの片親

概説 編集

デンドロビウムには多数の原種と交配品種があり、それらは往々にいくつかの系統にまとめて語られる。特にノビル系とファレノプシス系(デンファレ系)が有名だが、フォーミデブル系もそのようなまとまりの一つである。名称はデンドロビウム・フォーミデブル Dendrobium Formidible という交配品種を元にしている。

細長い偽球茎の先端付近から、白い大輪花を少数だけつけるのが特徴である。開花期は初夏から夏。これはその他の洋ランの開花が少ない時期に当たるため、それを埋める商品として重視される。

特徴 編集

 
D. formosum
フォーミデブルのもう片親

偽球茎は細長く、高さ50cm前後。節ごとに葉をつけ、茎あたり数枚をつける。その茎の先端近くの節から花をつける。花は短い花茎に3輪くらいまで、一つの茎に数輪程度をつける。花は平らに開く大輪花で径10cmに達する(ノビル系で8cm程度)。萼はやや細く、側花弁はやや幅広く、唇弁は大きく広がって縁が波打つ。その形はややカトレアを思わせる[1]。花色は白で、唇弁の中央が黄色く色づくものもある。他の花色は、今のところはない。

なお、この系統の隠れた特徴として、茎に生えた毛がある。偽球茎に短く立った黒い毛がまばらに生えている。

種類 編集

代表的な品種であるフォーミデブルは原種フォルモサム D, formosum とインフンディブルム D. infundibulum の交配品である。他に原種ではサンデレー D. sanderae やデアレイなども近縁であり、それらを使った交配品もこの範疇に含める。

利用 編集

洋ランとして栽培される。デンドロビウムとしてはデンファレ系ほど低温に弱くない。ただしノビル系のように低温を経験させる必要もない。最低気温5℃程度までは耐えるが、10℃程度には保ってやる。

春に出た偽球茎は夏を越えて成熟し、翌年につぼみを持つ。開花期は初夏から夏で、花期は長く、2ヶ月も咲き続ける物もある。さわやかで涼しげな雰囲気があり、戸外で楽しむにも向く。また、開花期が開花する洋ランの種類が少ない時期に当たるので、ギフト用としても人気がある[1]

 
Dendrobium sanderae

出典 編集

  1. ^ a b 岡田(2011)p.94

参考文献 編集

  • 岡田弘、『咲かせ方がよくわかる はじめての洋ランの育て方』、(2011),主婦の友社
  • 土橋豊、『洋ラン図鑑』、(1993)、光村推古書院