ヘブライ数字(ヘブライすうじ)は、ヘブライ文字数字として使った記数方法である。

アムステルダムシナゴーグにある18世紀の時計

現代のイスラエルでは通常アラビア数字が使われるが、ユダヤ暦の日付を記したり、聖書の章節番号を記すときにはヘブライ数字が用いられる。

歴史編集

 
ユダヤ戦争時の半シェケル銀貨。古ヘブライ文字聖杯の上にש(שנה「年」の略)ב‎(2)と記し、戦争の第2年(西暦67-68年)を意味する。

ヘブライ文字を使った記数方法は、紀元前2世紀のシモンの硬貨に見えるものがもっとも古い[1]。当時ギリシアではギリシア・アルファベットを使ったイオニア式の数字(ギリシアの数字参照)が行われており、これを借用したものと考えられる。

14世紀以降[2]、聖書に章節番号がつけられると、そこにもヘブライ数字が使われた。

表記編集

下表において、ヘブライ文字のラテン文字への翻字はISO 259英語版方式による。

ヘブライ文字 翻字 数価 ヘブライ文字 翻字 数価 ヘブライ文字 翻字 数価
文字 読み[3] 文字 読み 文字 読み
א Alef ʾ 1 י Yod Y 10 ק Qof Q 100
ב Bet B 2 כ Kaf K 20 ר Resh R 200
ג Gimel G 3 ל Lamed L 30 ש Shin 300
ד Dalet D 4 מ Mem M 40 ת Tav T 400
ה He H 5 נ Nun N 50
ו Vav W 6 ס Samekh S 60
ז Zayin Z 7 ע Ayin ʿ 70
ח Het 8 פ Pe P 80
ט Tet 9 צ Tsadi 90

500 から 900 までは、400+100 (תק‎)、 400+200 (תר‎)、 400+300 (תש‎)、 400+400 (תת‎)、 400+400+100 (תתק‎) のように表す。別の方法として、5つの末尾形(ך ם ן ף ץ‎)を 500 から 900 までの数字に使う方法がある[4]

複数の桁からなるときは、上の桁を先に(右に)書く。例:121 は קכא‎ になる。

ただし、15 は 10+5(יה‎)ではなく、9+6(טו‎)と書く。また 16 も 10+6(יו‎)ではなく 9+7(טז‎)と書く。これは、「יה‎」が神の名の最初の2文字であること、יו‎ も固有名詞で神の名の略形として使われるため、それを避けたものである。

1000 以上の数は、1で1000を、2で2000を……というように繰りかえし用いる。あいまいさを防ぐために、千の桁のうしろにアポストロフィに似た記号をつけたり[5]、文字の上にトレマに似た2つの点をつけて表す[4]ことがある。

補助記号編集

通常の単語と誤ることを避けるため、数字であることを示す記号が2種類ある。本来は省略記号だが、数字の表記に転用したものである。

数字が1文字の場合には、文字の後(左)にアポストロフィに似た記号を置く。例:א׳

数字が複数文字の場合には、最後の文字の前(右)に引用符に似た記号を置く。例:קכ״א

Unicode では以下のように定義されている。

文字 符号位置 文字名称
׳ U+05F3 Hebrew Punctuation Geresh
״ U+05F4 Hebrew Punctuation Gershayim

編集

聖書の詩篇23篇は、תהלימ כג‎ と書き、ヘブライ文字のまま「テヒリーム カフ・ギメル」と読む[6]

ユダヤ暦5775年(西暦2015年)は、ה׳תשע״ה‎ と書く。

脚注編集

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  1. ^ Kautzsch (1990) p.30
  2. ^ キリスト聖書塾(1991) p.386
  3. ^ Unicode Characters in the Hebrew Block”. 2021年8月26日閲覧。
  4. ^ a b 左近 (1989) p.99
  5. ^ キリスト聖書塾(1991) p.188
  6. ^ キリスト聖書塾(1991) p.189

参考文献編集

  • Kautzsch, E. Cowley, A.E.訳 (1990) [1910], Gesenius' Hebrew Grammar (2nd English ed.), Oxford: Clarendon Press, ISBN 0198154062 
  • 左近義慈 『ヒブル語入門』(9版) 教文館、1989年 [1966年]。ISBN 476427003X 
  • キリスト聖書塾 『ヘブライ語入門』(2版)、1991年。ISBN 4896061055 
  • Hebrew”. Unicode Consortium. 2015年5月30日閲覧。

関連項目編集

外部リンク編集