マーヴィン・チェスター・ストーン(Marvin Chester Stone、1842年4月4日 - 1899年5月17日[1]は、アメリカ合衆国の発明家である。飲用ストローの発明者としてよく知られる。

南北戦争中のストーン

前半生 編集

ストーンは1842年にオハイオ州ポーテージ郡に生まれた。発明家の息子として少年時代に多くの有用な物品を作った。彼の教科課程は南北戦争によって中断されたものの、オーバリン大学を卒業した[2]。南北戦争中、ストーンは第七オハイオ歩兵連隊に属していた[3]。彼はルックアウト・マウンテンの戦い英語版で負傷した後、古兵予備軍団としてワシントンD.C.に移動した[3]

大学ののち、ストーンは神学課程を専攻したが、諦めワシントンD.C.で数年間新聞通信員として働いた[2]

経歴 編集

 
ストーンの紙ストローの広告、1895年

ストーンの発明者としての経歴は紙のシガレット・ホルダーを作る機械を製作することからはじめた。ストーンは、アメリカン・タバコ・カンパニーとの契約を確保し、同社のカメオ・ブランドのためのシガレット・ホルダーを生産するためワシントンD.C.に工場を開設した[4][5]

後に、ストーンは近代の飲用ストローを開発した[2]。この発明以前は天然の麦わらがストローとして利用されていたが、これは飲料に望ましくない草の風味を与えた[6]。この問題を解決するため、ストーンは紙片を鉛筆に巻き、その両端を接着して、最初の飲用ストローの原型を作った[7]。彼は次にパラフィンワックスをコートしたマニラ紙で実験した。ストーンのストローは長さは8.5インチ(約21.59センチメートル)で[8]、直径は種のような物が管に詰まらないだけの大きさであった[9]

ストーンは1888年1月3日に、紙製の「人造ストロー」の特許を取得した[9][10]。1890年までに、ストーンの工場は、シガレット・ホルダーよりも飲用ストローを多く生産していた[7]

ストーンは他にも万年筆の一種[3]や傘[11]など、多数の発明をしている。

慈善 編集

ストーンは、ストローの発明から生じた利益を、さまざまな慈善事業に使用した[9]。彼は、大図書室、音楽室、会合室およびダンシング・フロアがついた女性被雇用者用の下宿の提供や[2]、知り合いとワシントンD.C.のアフリカ系アメリカ人の住民のために2ブロックのテナント・ハウスを建てるなどの慈善活動を行った[9]

私生活 編集

ストーンは、ジェーン・「ジェニー」・プラットと結婚した[10]

1899年5月17日に、長い闘病の末、ワシントンD.C.のコロンビア・ロードにある自宅で死亡した[2]。遺体はメリーランド州ボルチモアのグリーン・マウント共同墓地に埋葬された[12]

脚注 編集

  1. ^ Wilson, Lawrence (1907). Itinerary of the Seventh Ohio Volunteer Infantry, 1861-1864: With Roster, Portraits and Biographies. New York and Washington: Neale Publishing Company. pp. 440–441. https://books.google.com/books?id=tBJCAAAAIAAJ&dq 
  2. ^ a b c d e Obituary, Marvin Chester Stone. Home Furnishing Review, Volume 15. (1899). p. 323. https://books.google.com/books?id=RmsoAAAAYAAJ&pg=PA323#v=onepage&q&f=false. 
  3. ^ a b c “Death of Marvin C. Stone”. Evening Star (Washington, D.C.). (1899年5月18日). https://chroniclingamerica.loc.gov/lccn/sn83045462/1899-05-18/ed-1/seq-16 2018年7月23日閲覧。 
  4. ^ “Untitled Article”. Washington, D.C.: National Republican. (1886年9月11日). https://chroniclingamerica.loc.gov/lccn/sn86053573/1886-09-11/ed-1/seq-2/#date1=1830&sort=relevance&rows=20&words=C+Marvin+Stones&searchType=basic&sequence=0&index=16&state=&date2=1904&proxtext=%22marvin+c.+Stone%22&y=0&x=0&dateFilterType=yearRange&page=5 2018年7月23日閲覧。 
  5. ^ A Cigarette Holder Factory”. The Weekly Sentinel (Winston-Salem, N.C.) (1886年10月21日). 2018年7月23日閲覧。
  6. ^ Thompson, Derek (November 22, 2011). The Amazing History and the Strange Invention of the Bendy Straw. The Atlantic. https://www.theatlantic.com/business/archive/2011/11/the-amazing-history-and-the-strange-invention-of-the-bendy-straw/248923/. 
  7. ^ a b Broda-Bahm, Chris. The Straight Truth About the Flexible Drinking Straw. Smithsonian Museum of American History, Lemelson Center for the Study of Invention and Innovation. http://invention.si.edu/straight-truth-about-flexible-drinking-straw. 
  8. ^ Madrigal, Alexis (2018年6月21日). “Disposable America”. The Atlantic. 2018年7月23日閲覧。
  9. ^ a b c d Bisset, Colin (2013年9月30日). “How the drinking straw created a fairer America”. Australian Broadcasting Corporation. 2018年8月8日閲覧。
  10. ^ a b What Once Was Washington DC, Center of Manufacturing”. TheInTowner (2015年7月18日). 2018年8月8日閲覧。
  11. ^ “Patents Issued”. Washington, D.C.: Evening Star. (1884年1月1日). https://chroniclingamerica.loc.gov/lccn/sn83045462/1884-01-01/ed-1/seq-1 2018年7月23日閲覧。 
  12. ^ Marvin Chester Stone”. Find a Grave. 2018年8月8日閲覧。 Memorial ID 35496022.