メチルパラチオン (Methyl Parathion) は農薬殺虫剤に含まれる、無色または白色の固体。結晶の形は様々。一般名及び別名はパラチオンメチルである。

メチルパラチオン
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識別情報
CAS登録番号 298-00-0
PubChem 4130
ChemSpider 3987
EC番号 015-035-00-7
国連/北米番号 2783
RTECS番号 TG0175000
特性
化学式 (CH3O)2P(S)OC6H4NO2
モル質量 263.2 g/mol
外観 白〜黄褐色の結晶性固体・粉末[1]
匂い にんにくの様な刺激臭[1]
密度 1.36 g/mL (20°C)[1]
融点

37 °C, 310 K, 99 °F [1]

沸点

143 °C, 416 K, 289 °F [1]

への溶解度 0.006% (25°C)[1]
蒸気圧 0.00001 mmHg (20°C)[1]
危険性
主な危険性 強力な酸化剤および水と反応する[1]
許容曝露限界 無し[1]
半数致死量 LD50 67 mg/kg (rat, dermal)[2]
10-25 mg/kg (male rat, oral)[3]
24 mg/kg (female rat, oral)[3]
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

性質 編集

構造式はパラチオンと類似。殺虫剤としてはパラチオンを上回るものの、農薬としては6割程度である。これはパラチオンより不安定で分解しやすいため。

使用 編集

日本では1952年1月24日に農薬登録を受け、「ホリドール」等の商品名で有機リン系殺虫剤として稲のニカメイチュウ・カメムシウンカ、果樹のアブラムシ・ハマキムシに使われたが、1971年11月9日に登録失効した。

毒性 編集

毒性はパラチオンの3分の1であるが、摂取した際の危険性は否定できない。許容量を超えると死に至ることがある。

世界保健機関(WHO)では、極めて危険とされる毒性等級(Ia)に、ロッテルダム条約では極めて有害に分類されている。世界中のほぼすべての国で販売と輸入が許可されていないが、いくつかの特定の条件付でのみ取引が許可されている[4][5][6][7]

関連する事件 編集

  • 2008年2月20日に中国製の冷凍食品からの検出が判明して問題になった。(中国産食品の安全性
  • 2017年2月13日、暗殺された北朝鮮人の金正男の遺体から検出されたのは「パラチオンメチル」と一部メディアから報じられた[8]が、その後マレーシア警察は「VXガス」が使用されたと発表し、朝日新聞は2月24日朝刊で「捜査当局は当初、成分構造からパラチオンメチルという物質の可能性があるとみていたが、最終的に同じリンを主成分とするVXだと判断した模様だ」とした[9]

関連項目 編集

出典 編集

外部リンク 編集