ヤケクソ中合(やけくそちゅうあい)とは、詰将棋における手筋の一つ。いずれ取られることになる玉方の駒を能動的に移動合で捨てることで、詰手数を2手長くする手筋をいう。

概説編集

玉方が最長手数で応接するという、詰将棋の規則を利用した手筋である。

いずれ取られてしまう駒を、取られる以前に移動合で捨てることで、移動合の手とそれを取る攻め方の手とで、合計2手の手数延ばしの効果が得られる。いずれ取られる駒を先に与えても、最終的な駒の損得は帳尻が合うため、ヤケクソ中合は無駄合にはならない。

2手延ばすこと以外に、局面の改善効果は皆無であり、好手、妙手の本来の意味とは無縁な手筋である。つまり将棋の対局で使われることはない(使用しても無意味である)。

解答募集形式の出題で誤解答を期待する、いわゆる「ヒッカケ」の要素が大きいことから、一般向けの出題で使用されることは、ほとんどない。

原理と例題編集

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▲持ち駒 香
図1
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▲持ち駒 桂
図2
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▲持ち駒 なし
図3

図1で1手目に▲1九香とすると、△1八合駒か△2五玉しか有効な応手がないように見える。△1八合駒は▲2六金以下5手詰となり、△2五玉も▲2六金(図2)以下5手詰となる。

ここで、いずれ取られてしまう2六の桂を2手目に△1八桂成(図3)と捨てるのがヤケクソ中合である。以下▲同香、△2五玉、▲2六金で図2とほぼ同じ局面(1九香と1八香の差)となり、2手目に単に△2五玉とする場合と比べて、手数を2手延ばした効果が得られる。

(図1は▲1九香、△1八桂成、▲同香、△2五玉、▲2六金、△2四玉、▲3六桂まで7手詰)

名称について編集

「どうせ取られる駒だから捨ててしまえ」という心情が連想できるため、この名がついている。

当初は俗称であったが、これに代わる適当な用語がないこともあり、現在は定着した名称となっている。

中合でない移動合も原理的にはあり得るが、中合以外の作例が少ないために他の語(中合でなく、捨合、など)が用いられることはほとんどない。


関連項目編集