ルー物語』(ルーものがたり、Roman de Rou)は、ウァース(ワース)作の、ロロの時代から1106年のティンチェブライの戦い(Battle of Tinchebray)までのノルマンディー公国Duchy of Normandy)の歴史を扱った、韻文で書かれた年代記。ノルマンディー民族叙事詩である。

セント・ヘリアにあるこの記念碑の引用は、ウァースは『ルー物語』の読者に自分がジャージー島出身であることを知らせるもの。

概要

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イギリスの歴史を語った『ブリュ物語』の成功に続いて、ウァースはヘンリー2世から、ノルマン人の起源とノルマン・コンクエストイングランド征服)に関する類似の本を書くように依頼された。しかしウァースは書いている歴史がその当時に達する前に語るのをやめた。第3部の最後で読者に、王が同じ仕事をMaistre Beneeit(Benoît de Sainte-Maureと言われる)に委託したと書いている。

仕事に着手したのは1160年で、1170年代の中頃には最後の改訂を行ったと思われる。

『ルー物語』の構成は以下の通りである。

  • 「Chronique Ascendante」として知られる、ノルマンディー公についての時代を遡る年代記で、315行。『ルー物語』の一部ではなく、ウァースによる別個の作品と考える研究者もいる。
  • 「第二部」として知られるアレクサンドランで書かれた4425行。
  • 「第三部」として知られる八音節行(Octosyllable)で書かれた11440行。

いくつかの版に含まれる「Le Romaunz de Rou et des dus de Normendie」として知られる750行は、初期の草稿の中にあるもので、最終的な編集で捨てられたか改訂されたものである。

ウァースはノルマンディー公国の歴史に関して以下の文献を利用した。

参考文献

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関連項目

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