人工物発達学(じんこうぶつはったつがく)は、特定の目標達成を支援する目的で開発された人工物デザインがなぜ多様であるのか、またその多様性には歴史的・環境的・社会的・文化的な必然性があるのかどうか、またそこには認知工学的・人間工学的な合理性があるのかどうかを明らかにする研究領域である。

人工物発達学の定義

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人工物発達学は、特定の目標達成を支援する目的で開発された人工物のデザインがなぜ多様であるのか、またその多様性には歴史的・環境的・社会的・文化的な必然性があるのかどうか、またそこには認知工学的・人間工学的な合理性があるのかどうかを明らかにする研究領域である。つまり、同一の目標達成を支援するために多様なデザインがあった時、それらが歴史的・環境的・社会的・文化的にみて、それなりに必然として成立したデザインといえるかどうかを分析評価する。その上で、ユーザビリティの観点、つまり認知工学や人間工学の観点からみても最適となっているかどうかを分析評価する。

人工物には、たとえば歴史的必然性はあっても、認知工学や人間工学から見たときに合理性や必然性がないものもある。人工物発達学は単純に歴史や文化を否定するものではないが、合理性がないデザイン、あるいは低いデザインについては、少なくともそうした認識は必要であり、またユーザが合理性や必然性を追求する場合には、利用するデザインの切り替えが発生しても然るべきだと提唱者黒須正明は考えた。

参考文献

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  • Beyer, H. and Holtzblatt, K. (1997/9) "Contextual Design - Defining Customer-Centered Systems" Morgan Kaufmann ISBN 978-1558604117
  • Strauss, A.L. and Corbin, J.M. (1998/9) “Basics of Qualitative Research: Techniques and Procedures for Developing Grounded Theory”SAGE ISBN 978-0803959392
  • 木下康仁 『グラウンデッド・セオリー・アプローチの実践』 弘文堂、2003年8月。ISBN 978-4335550898
  • 黒須正明 『人工物発達学の提唱』 人間中心設計Vol.3, No.1、2007年。
  • 黒須正明 『人工物発達学への取り組み』ヒューマンインタフェースシンポジウム2007
  • 黒須正明 『目標達成のための人工物開発の構造性』 日本心理学会2007年全国大会
  • 黒須正明 『人工物発達の観点からみたデザインの最適性』 ヒューマンインタフェース学会ユーザビリティ専門研究会、2007年。
  • 黒須正明、橋爪絢子 『コミュニケーション手段の選択とその状況依存性』人間中心設計機構Vol.4, No.1、HCD-Net機構誌、p.34-41 2008年[1]
  • 黒須正明 他 『ユーザビリティハンドブック』 ユーザビリティハンドブック編集委員会編、共立出版、2007年8月24日。ISBN 978-4320121928
  • 黒須正明、伊東昌子、時津倫子 『ユーザ工学入門―使い勝手を考える・ISO13407への具体的アプローチ』 共立出版、1999年9月。ISBN 978-4320071469
  • 箕浦康子 『フィールドワークの技法と実際-マイクロ・エスノグラフィ入門』ミネルヴァ書房、1999年3月。ISBN 978-4623030040
  • 黒須正明 編 『人工物発達研究』Vol.1 総合研究大学院大学文化科学研究科メディア社会文化専攻黒須研究室刊、2008年。ISSN 1883-0595

脚注

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