和・メルボルン生け花フェスティバル

和・メルボルン生け花フェスティバルは、メルボルンの花道家グループ和[1]が主催する国際的な生け花イベント。

歴史 編集

環境問題が重要な課題となっている今日、人と自然の関係を再認識する機会として生け花を捉えたいという人々が現れてきた。このような環境芸術としての生け花の側面[2][3]をよりPRしたいと、メルボルンの花道家グループ和は2015年から活動を開始した。和は2019年度より、年1回の合同花展を「メルボルン生け花フェスティバル[4]」に拡大、ビクトリア州外からも出展者を公募するイベントへと発展。第1回目は約60名の現地(ビクトリア州内)の出展者に加え、6名の出展者を州外、海外(日本や諸外国)から迎えた。国際的な文化イベントの誕生として開催市、開催州政府からも祝辞があった。

コロナ禍の影響で第2回は2022年9月にアボッツフォード・コンベントで開催された。コロナ禍の影響もあり、州外、海外からの出展者は限られたが、草月流ビクトリア支部、小原流支部を始め多数の現地の出展者があった。いくつかの同時開催イベントが追加されたが、特にメルボルン・リサイタル・センターでのジャズピアニスト、ポール・グラボウスキーと華道家、新保逍滄との生け花パフォーマンス・コラボは注目され、オーストラリアの全国紙、The Ageにも関連記事が掲載[5]された。

同時開催イベント 編集

生け花の様々な魅力をメルボルンの人々にPRし、生け花愛好家を増やしていくことを一つの目標としている。会場であるアボッツフォード・コンベント英語版では、花展に加え、ワークショップ[6]、デモ、パフォーマンス、生け花コンフェレンス(国際いけ花学会[7]共催)、などを同時開催している[8]。また、出展者の中から特に優れた新人華道教師を顕彰するために和生け花賞も設けられている。2019年度には吉本梨沙(広島、草月流)が受賞した。さらに、2019年度にはメルボルン・リサイタル・センター英語版で、華道家とグレゴリャン・ブラザーズ英語版とのコラボも開催された[9]

なお、2011年度には付属イベントとして花信(Hanadayori: Ikebana by Request)も開催された。花信は一般の方からどんな花が見たいかリクエストを募り、華道家に新作を作ってもらうオンライン花展である。片山健草月流)、山根由美真生流家元)、塚越応駿いけばな松風副家元)、谷田貝一也池坊)を含む24名の華道家が出展した。作品集はYoutubeにて公開された。

2022年度の同時開催イベントは、ワークショップ、デモ、上述の生け花パフォーマンスのほか、生け花ディナーショーが日本レストランOchaで開催された。また、生け花コンフェレンス(国際いけ花学会共催、オンライン・イベント)では、小原流家元小原宏貴マーガレット・トレイル博士(ビクトリア大学パフォーマンス・スタディーズ元講師)らを招き「生け花パフォーマンスとは何か」という議題について様々な提言があった。同年の和生け花賞はShoka Healey (メルボルン、草月流)が受賞した。さらに、新企画としてメルボルン花器賞が開催された。メルボルン花器賞にはオーストラリア各地から36名の応募があり、Colin Hopkins が第1回のヒロエ・スウェン賞(賞金Aus$1000)を受賞した。

脚注 編集

  1. ^ 花道家グループ和
  2. ^ Shimbo, Shoso (2016). “Environmental Art and Ikebana: Reflection of Wye River Project” (英語). International Journal of Ikebana Studies Vol.4: pp.27 - 38. https://www.academia.edu/42633851/Environmental_Art_and_Ikebana_Reflection_of_Wye_River_Project. 
  3. ^ 華道家・華道研究家新保逍滄”. SBS日本語. 2023年1月22日閲覧。
  4. ^ メルボルン生け花フェスティバル
  5. ^ https://www.theage.com.au/lifestyle/life-and-relationships/the-whole-universe-reflected-in-a-single-leaf-the-quiet-beauty-of-ikebana-20220729-p5b5kh.html”. The Age Newspaper. 2022年12月25日閲覧。
  6. ^ Lo, Shoan (2019). “Ikebana Workshops for Kids: Findings on Conducting Ikebana Workshops for Young Children”. International Journal of Ikebana Studies Vol.7: pp.90 - 91. 
  7. ^ 国際いけ花学会”. 2021年4月5日閲覧。
  8. ^ Duke, Shoto, Lo, Shoan and Healey, Sue (2019). “Wa Melbourne Ikebana Festival: Welcoming Exhibitors from All over the World”. International Journal of Ikebana Studies Vol.7: p.103 - 105. 
  9. ^ Melbourne Ikebana Festival (31 August & 1 September) - 豪日協会; What's on, July August September 2019; Melbourne Recital Centre, p.29; World class flower meets world class music, Scoop 24X7; So Magazine, No.261, p.14, April 2020, Sogetsu School Publication.

外部サイト 編集