国境炭素税(こっきょうたんそぜい)は、自地域の削減規制に比べて規制が緩い国からの輸入品に対する関税である。欧州が炭素国境調整メカニズム(CBAM:Carbon Border Adjustment Mechanism)の導入を計画している他[1]、米国でも国境炭素調整 (BCA:Border Carbon Adjustments)の導入が検討されている[2]

概要 編集

欧州では2021年春には炭素価格が50ユーロ/t-CO2に達している[3]。国境炭素税を課さなければEUから規制の緩い国に生産拠点がうつってしまう炭素リーケージが懸念される[4]。そのためEU域内の課税同等分を輸入品にも貸すのがCBAMの制度である。

環境規制の緩い途上国への産業流出を防ぐ効果もあり、欧州や米国などの先進国は導入に積極的だが[5]、中国などのCO2排出の多い途上国からは反発の声もあがっている[6]

国境炭素税の導入で中国などのCO2大量排出途上国をCO2削減に巻き込むことができれば、CO2の削減が大幅に進むとの見方もある[7]

脚注 編集

  1. ^ 欧州委、炭素国境調整メカニズム(CBAM)の設置規則案を発表(EU) | ビジネス短信”. ジェトロ. 2021年8月10日閲覧。
  2. ^ 「国境炭素税」米議会でも議論始まる 与党議員が法案(写真=AP)”. 日本経済新聞 (2021年7月20日). 2021年8月10日閲覧。
  3. ^ EU、排出権価格は「さらに上昇」が必要-環境目標達成のために”. Bloomberg.com. 2021年8月10日閲覧。
  4. ^ 「炭素税」の拡充 軸に検討を 国境炭素調整の課題(写真=ロイター)”. 日本経済新聞 (2021年8月10日). 2021年8月10日閲覧。
  5. ^ Chon, Gina「コラム:国境炭素税は機能するか、西側の雇用流出防ぐ側面も」『Reuters』、2021年3月25日。2021年8月10日閲覧。
  6. ^ Staff, Reuters「EUの国境炭素税、WTOの原則に違反=中国生態環境省」『Reuters』、2021年7月26日。2021年8月10日閲覧。
  7. ^ 国境炭素税、中国巻き込めば、効果4倍 | 公益社団法人 日本経済研究センター:Japan Center for Economic Research”. 公益社団法人 日本経済研究センター (2021年7月15日). 2021年8月10日閲覧。