塩素の同位体(えんそのどういたい)は、32g/molから40g/molのものが存在し、35Cl(75.77%)と37Cl(24.23%)の2つの安定同位体がある。標準原子量は35.453(2) uである。

塩素36 編集

環境中には放射性同位体36Clが痕跡量存在し、その存在比は安定同位体に対して7×10-13程度である。36Clは、36Arと宇宙線中の陽子との衝突による破砕で生じる。地表では、36Clは35Clの中性子捕獲40Caのミュー粒子捕獲によって生じる。36Clは、30万8000年の半減期36Sか36Arに崩壊する。親水性で不活性な同位体であるため、6万年から100万年程度の放射年代測定に適している。さらに、1952年から1958年に行われた大気中核実験によって、海水から大量の36Clが生成された。大気中の36Clの残留時間は約1週間である。そのため、ここ50年の地下水の年代を知ることができる。36Clは他にも、地質学気象学等の分野で利用されている。

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同位体核種 Z(p) N(n) 同位体質量 (u) 半減期 核スピン数 天然存在比 天然存在比
(範囲)
励起エネルギー
28Cl 17 11 28.02851(54)# (1+)#
29Cl 17 12 29.01411(21)# <20 ns (3/2+)#
30Cl 17 13 30.00477(21)# <30 ns (3+)#
31Cl 17 14 30.99241(5) 150(25) ms 3/2+
32Cl 17 15 31.985690(7) 298(1) ms 1+
33Cl 17 16 32.9774519(5) 2.511(3) s 3/2+
34Cl 17 17 33.97376282(19) 1.5264(14) s 0+
34mCl 146.36(3) keV 32.00(4) min 3+
35Cl 17 18 34.96885268(4) STABLE 3/2+ 0.7576(10) 0.75644-0.75923
36Cl 17 19 35.96830698(8) 3.01(2)E+5 y 2+ 7×10-13
37Cl 17 20 36.96590259(5) STABLE 3/2+ 0.2424(10) 0.24077-0.24356
38Cl 17 21 37.96801043(10) 37.24(5) min 2-
38mCl 671.361(8) keV 715(3) ms 5-
39Cl 17 22 38.9680082(19) 55.6(2) min 3/2+
40Cl 17 23 39.97042(3) 1.35(2) min 2-
41Cl 17 24 40.97068(7) 38.4(8) s (1/2+,3/2+)
42Cl 17 25 41.97325(15) 6.8(3) s
43Cl 17 26 42.97405(17) 3.07(7) s 3/2+#
44Cl 17 27 43.97828(12) 0.56(11) s
45Cl 17 28 44.98029(13) 400(40) ms 3/2+#
46Cl 17 29 45.98421(77) 232(2) ms
47Cl 17 30 46.98871(64)# 101(6) ms 3/2+#
48Cl 17 31 47.99495(75)# 100# ms [>200 ns]
49Cl 17 32 49.00032(86)# 50# ms [>200 ns] 3/2+#
50Cl 17 33 50.00784(97)# 20# ms
51Cl 17 34 51.01449(107)# 2# ms [>200 ns] 3/2+#

参考文献 編集

外部リンク 編集