A64FXは、富士通が設計したARMアーキテクチャの64ビットマイクロプロセッサである[1][4]。このプロセッサは、富士通のスーパーコンピュータ向けプロセッサとして、SPARC64 VIIIfxに代わるものである[4]。2020年6月現在、TOP500ランキングで世界最速のスーパーコンピュータ「富岳」に搭載されている[5][4][6]

A64FX
生産時期 2019から
販売者 富士通
設計者 富士通
生産者 TSMC
アーキテクチャ ARMv8.2-A with SVE and SBBA level 3
マイクロアーキテクチャ 社内
コア数 CPUあたり48[1]+オプションのアシスタントコア[2][3]
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設計 編集

富士通はARMと共同でこのプロセッサを開発し、512ビットのベクトル実装を備えたARMv8.2-A Scalable Vector Extension SIMD命令セットを使用した初のプロセッサとなる[5]。このプロセッサを使用したプロトタイプのコンピュータは、2019年11月のTop500リストで世界で159番目に速いコンピュータとしてランク付けされた[7]

このプロセッサは、毎秒256GBの帯域を持つ8GBの容量のHBM2メモリを4つ接続して毎秒1TBの帯域幅を持つ32ギガバイトの主記憶を構成している[5]。プロセッサには、GPGPUFPGAなどのアクセラレータに接続するためのPCI Express Gen 3レーンを16個搭載している[1]。報告されているトランジスタ数は約87億個である[5]

各CPUは「ノード」として構築された48個のコアを内蔵している(CPU内部はメモリとの接続に関係してそれぞれ12コアからなる4つのコアメモリグループCMGに分かれて構成されている)。富岳ノードには4個の「アシスタントコア」を搭載しているが、富士通は0個または2個のアシスタントコアを搭載した低スペック機を生産するとしている[2][3]

実装 編集

富士通は富岳のためにA64FXを設計した。2020年6月現在、富岳はTOP500のランキングで世界最速のスーパーコンピュータである[8]。富士通は、A64FXプロセッサを搭載した小型機を販売する意向である[2][3]。Anandtechは、2020年6月に、A64FXノードを2基搭載したPRIMEHPC FX700サーバーのコストは¥4,155,330 (c. US$39,000) であると報告している[9]

CrayはA64FXを使ったスーパーコンピュータApollo 80システムを開発し販売している[10][11]。Isambard 2 スーパーコンピュータは、ブリストル大学を中心に、富士通のプロセッサを使用して英国気象庁を含む英国のコンソーシアムのために構築されている[12][13]。これは、別のARMアーキテクチャのマイクロプロセッサであるMarvell ThunderX2英語版で構築されたIsambardスーパーコンピュータのアップグレードである[13]

関連項目 編集

脚注 編集

  1. ^ a b c Hot Chips 30 conference; Fujitsu briefing”. Toshio Yoshida. 2020年10月31日閲覧。
  2. ^ a b c “Fujitsu Launches New PRIMEHPC Supercomputers Using Fugaku Technology - Fujitsu Global”. www.fujitsu.com. (2019年11月13日). https://www.fujitsu.com/global/about/resources/news/press-releases/2019/1113-02.html 2020年6月28日閲覧。 
  3. ^ a b c FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC Specifications”. www.fujitsu.com. 2020年6月28日閲覧。
  4. ^ a b c Morgan, Timothy Prickett (2018年8月24日). “Fujitsu’s A64FX Arm Chip Waves The HPC Banner High”. The Next Platform. https://www.nextplatform.com/2018/08/24/fujitsus-a64fx-arm-chip-waves-the-hpc-banner-high/ 2020年3月8日閲覧。 >
  5. ^ a b c d Fujitsu Successfully Triples the Power Output of Gallium-Nitride Transistors - Fujitsu Global”. www.fujitsu.com. Fujitsu. 2020年3月8日閲覧。
  6. ^ https://www.r-ccs.riken.jp/en/postk/project/outline
  7. ^ A64FX prototype - Fujitsu A64FX, Fujitsu A64FX 48C 2GHz, Tofu interconnect D | TOP500 Supercomputer Sites”. www.top500.org. 2020年3月8日閲覧。
  8. ^ https://www.top500.org/system/179807/ SUPERCOMPUTER FUGAKU - SUPERCOMPUTER FUGAKU, A64FX 48C 2.2GHZ, TOFU INTERCONNECT D
  9. ^ Cutress, Dr Ian (2020年6月26日). “HPC Systems Special Offer: Two A64FX Nodes in a 2U for $40k”. www.anandtech.com. https://www.anandtech.com/show/15885/hpc-systems-special-offer-two-a64fx-nodes-in-a-2u-for-40k 2020年6月28日閲覧。 
  10. ^ HPE:Crayブランドをキープ、HPE Crayスーパーコンピューティングラインを発表”. 2024年4月19日閲覧。
  11. ^ HPE Apollo 80 System”. 2024年4月19日閲覧。
  12. ^ February: GW4 Isambard - News and features - University of Bristol”. www.bristol.ac.uk. 2020年3月8日閲覧。
  13. ^ a b Burt, Jeffrey (2020年3月9日). “Isambard 2 Is About Driving Technology Diversity”. The Next Platform. https://www.nextplatform.com/2020/03/08/isambard-2-is-about-driving-technology-diversity/ 2020年3月9日閲覧。 

外部リンク 編集