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対格言語(たいかくげんご、accusative language)とは自動詞主語他動詞の主語が同じように扱われ、他動詞目的語だけが違う扱いを受ける言語を言う。

いっぽうで、自動詞の主語と他動詞の目的語が同じように扱われ、他動詞の主語だけが別の扱いを受けるという性質(能格性)をもつ言語は能格言語(ergative language)と呼ばれるが、対格性と能格性を兼ね備えている言語も多い。

概要編集

日本語では、下の例のように、自動詞の主語にも他動詞の主語にも助詞「が」が付き、一方、他動詞の目的語には「を」が付く。このように、自動詞の主語と他動詞の主語が同じ標識(日本語なら「が」)で示される場合、その主格と呼び、他動詞の目的語の格(日本語なら「を」)を対格と呼ぶ。主格と対格を持つ格体系は主格・対格 (nominative-accusative) 型、略して対格型の言語と言われる。

日本語の例
a. 「太郎 来た」
b. 「花子 来た」
c. 「太郎 花子 見た」
d. 「花子 太郎 見た」

一方、オーストラリアクイーンズランド州の先住民語・ジルバル語英語版では、自動詞の主語と他動詞の目的語には何も付かず、他動詞の主語にだけ ŋgu という標識が付く。このように、自動詞の主語と他動詞の目的語が同じように標示される(ジルバル語ならゼロで標示される)場合、その格を絶対格と呼び、他動詞の主語の格(ジルバル語なら ŋgu )を能格と呼ぶ。能格と絶対格を持つ格体系は絶対格・能格 (absolutive-ergative) 型、略して能格型と言われる。

ジルバル語の例[1]
a. ŋuma banaga-nyu
父+絶対格 来る-非未来
「父が来た」
b. yabu banaga-nyu
母+絶対格 来る-非未来
「母が来た」
c. ŋuma yabu-ŋgu bura-n
父+絶対格 母-能格 見る-非未来
「母が父を見た」
d. yabu ŋuma-ŋgu bura-n
母+絶対格 父-能格 見る-非未来
「父が母を見た」

それぞれの格体系をまとめると下表のようになる。

二つの格体系の違い
対格型 能格型
主格 他動詞の主語 能格
自動詞の主語 絶対格
対格 他動詞の目的語

対格型や能格型の格体系は、文中の名詞や名詞句の標示の仕方に見られる対格性や能格性の例と言える。

対格言語の例編集

脚注編集

  1. ^ Dixon (1994), p. 10.

参考文献編集

関連項目編集