強肩

野球において、強肩(きょうけん)とは、野手捕手の返球・送球能力(主にキャリー(=ワンバウンドするまでの距離)及びライフ(=送球が勢いを失わない距離)を指す)が高い事を指す。かつては鉄砲肩と呼ばれる事もあったが、この呼び方は「飛距離が出るがコントロールが定まらない」という悪い意味を含める事が多い。

強肩であるか否かは、主に外野手本塁やその他の塁への返球による補殺数や、各塁への送球頻度が高い内野手二塁手三塁手遊撃手)の守備能力に大きく関わっている。もちろん、強肩であるからといって即守備の能力が高いとは言えず、送球のコントロールや正確性、さらには状況判断が必要である。例えば、強肩の外野手が、走者をアウトに出来ないのにもかかわらず本塁へ返球してしまい、三塁や二塁に打者・他の走者を進ませてしまうようでは宝の持ち腐れである。逆に、強肩とはいえない野手であっても、送球の正確性や捕球から送球への移行の素早さ、ポジショニングなどでこれをカバーする選手もいる。

また、投手としては挫折した後、コンバートされて強肩の野手として活躍した選手も多い。その理由として、野手は投手のように球種や繊細なコントロールが要求されないこと、投球(送球)のメカニクスが全く違うことなどが考えられる。

なお、捕手が強肩であると相手チームの盗塁を阻止しやすいと誤解されることがあるが、実際の盗塁阻止に重要な要素は、投手が投球モーションの癖を盗まれないこと、走者を牽制し走者に大きなリードを取らせないこと、投手がクイックモーションで投球することなどの方が実際には遥かに重要であり、投手陣がそれらをできれば、捕手の肩は平均並みであれば盗塁阻止率に大きな違いは生じないため、盗塁阻止において捕手が強肩である必要性は大きいとは言えない。捕手の肩はどちらかと言えば弱いよりは強い方が良いが、プロ野球の正捕手は、強肩は必須の条件とは言えない。

「強肩」の定義編集

一般には、硬球を90メートル前後ノーバウンドで投げられれば、強肩と評される(両翼―本塁間が日本一広い、MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島で100メートル)。ただし、外野手に求められる、ボールを100メートル投げられる肩の強さと、内野手や捕手に求められる、20メートル内外の距離を即座に送球できる肩の強さとは別だとも多くのプロ野球経験者が証言している。

表現の仕方編集

アメリカではstrong arm(強腕)という表現がされる。60年代にピッツバーグ・パイレーツで活躍したロベルト・クレメンテは、その類い希な送球の強さが小銃になぞらえ「ライフルアーム」と讃えられた。

日本では強肩の外野手の送球を指してレーザービームなどと言うことがある。これは、MLBの2001年4月13日のシアトル・マリナーズオークランド・アスレチックス戦で、ライトへのヒットで三進を試みた一塁走者のテレンス・ロングを、右翼手イチローが正確かつ力強い送球で三塁補殺した際、実況アナウンサーであったリック・リズが「イチローからのレーザービーム攻撃だ!」(A laser beam strike from Ichiro!)と叫んだコメントに由来する。