「岸辺露伴 ルーヴルへ行く (映画)」の版間の差分

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| 言語 = [[日本語]]<br />[[フランス語]]
| 製作費 =
| 興行収入 = 12.5億円<ref name=eiren2023>{{Cite web|和書|url=http://www.eiren.org/toukei/img/eiren_kosyu/data_2023.pdf|title=2023年(令和5年)全国映画概況|accessdate=2024-02-02|date=2024-01-30|format=pdf|website=一般社団法人 日本映画製作者連盟 公式サイト|publisher=日本映画製作者連盟|archiveurl=https://web.archive.org/web/20240412183819/http://www.eiren.org/toukei/img/eiren_kosyu/data_2023.pdf|archivedate=2024-04-12}}</ref>
| 配給収入 =
| 前作 =
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{{Main|岸辺露伴 ルーヴルへ行く#登場人物}}
; [[岸辺露伴]](きしべ ろはん)
: 相手を本にして生い立ちや秘密を読み、指示を書き込むこともできる特殊能力「ヘブンズ・ドアー」を持った人気漫画家{{Sfnp|パンフレット|2023|p=3}}。新作執筆の過程で、かつて奈々瀬より聞かされた「この世で最も黒い絵」の存在を思い出し、その画の謎を追うためルーヴル美術館に訪れる<ref>{{Cite web|和書|url=https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1503165.html|title=映画「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」本日公開! 岸辺露伴最大の事件が完全映画化|accessdate=2023-11-03|author=緑里孝行|date=2023-05-26|website=GAME Watch|publisher=インプレス|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231007010736/https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1503165.html|archivedate=2023-10-07}}</ref>。
;泉京香(いずみ きょうか)
: 岸辺露伴の担当編集。露伴の取材に同行し、ともに事件に巻き込まれる{{Sfnp|パンフレット|2023|p=4}}。
: {{出典範囲|text1=本作では京香の父が5歳の頃に亡くなっていたことが明らかになるが、|ref1={{Sfnp|パンフレット|2023|p=4}}|text2=この設定はテレビドラマ『岸辺露伴は動かない』第1話「富豪村」で登場する、助監督が制作した京香の本に書かれていた設定であり、本作の制作にあたりこの設定の一部が活かされた|ref2=<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.cinematoday.jp/news/N0137057|title=実写「岸辺露伴」で泉京香が全エピソードに登場する理由|accessdate=2023-12-01|author=石井百合子|date=2023-05-27|website=シネマトゥデイ|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231028085329/https://www.cinematoday.jp/news/N0137057|archivedate=2023-10-28}}</ref>}}。
; 奈々瀬(ななせ)
: 露伴が青年の頃、祖母の家で出会ったミステリアスな女性{{Sfnp|ヴィジュアルブック|2023|p=128}}。露伴に「この世で最も黒い絵」がルーヴル美術館にあることを教える{{Sfnp|パンフレット|2023|p=5}}。
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== キャスト ==
* 岸辺露伴、山村仁左右衛門:[[高橋一生]]<ref name="realsound20230105">{{Cite web|title=『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』映画化決定 高橋一生、飯豊まりえ、スタッフ陣が再集結|url=https://realsound.jp/movie/2023/01/post-1227907.html|website=リアルサウンド映画部|publisher=blueprint|date=2023-01-05|accessdate=2023-01-05|archiveurl=https://web.archive.org/web/20230105043731/https://realsound.jp/movie/2023/01/post-1227907.html|archivedate=2023-01-05}}</ref>{{R|oricon20230201}}<ref name="realsound1350204">{{Cite web|和書|url=https://realsound.jp/book/2023/06/post-1350204.html|title=映画『岸辺露伴ルーヴルへ行く』原作を補う“改変”が見事 高橋一生が見せた、最も切ない「ヘブンズ・ドアー」の卓越さ|accessdate=2023-12-20|author=島田一志|date=2023-06-15|website=リアルサウンド映画部|publisher=blueprint|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231103150339/https://realsound.jp/book/2023/06/post-1350204.html|archivedate=2023-11-03}}</ref>
* 泉京香:[[飯豊まりえ]]{{R|realsound20230105}}
* 岸辺露伴(青年):[[長尾謙杜]]<ref name="oricon20230201">{{Cite web|url=https://www.oricon.co.jp/news/2265869/full/|title=青年期の岸辺露伴役はなにわ男子・長尾謙杜 映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』追加キャスト4人発表|date=2023-02-01|website=ORICON NEWS|publisher=oricon ME|accessdate=2023-02-01|archiveurl=https://web.archive.org/web/20230319212054/https://www.oricon.co.jp/news/2265869/full/|archivedate=2023-03-19}}</ref>
* 辰巳隆之介:[[安藤政信]]{{R|oricon20230201}}
* エマ・野口:[[美波 (女優)|美波]]{{R|oricon20230201}}
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* 骨董屋A:[[中村まこと]]{{Sfnp|パンフレット|2023|p=13}}
* 骨董屋B:[[増田朋弥]]{{Sfnp|パンフレット|2023|p=13}}
* モリス・ルグラン:Arnaud Le Gall<ref name="productionnote">{{Cite web|和書|url=https://kishiberohan-movie.asmik-ace.co.jp/productionnote/|title=PRODUCTION NOTES|accessdate=2023-11-03|author=渡辺彰浩|website=映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』公式サイト|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231202222211/http://kishiberohan-movie.asmik-ace.co.jp/productionnote/|archivedate=2023-12-02}}</ref>
* ユーゴ・ルナール:ロバ{{R|productionnote}}
* ニコラス・トーマ:Jean-Christophe Loustau{{R|productionnote}}
* アナウンサー:[[バッキー木場]]<ref name="natalie20230608">{{Cite web|和書|url=https://natalie.mu/comic/news/527917|title=「岸辺露伴」ネタバレありで制作陣が語りまくり、「この先も期待していい?」への回答は|accessdate=2023-11-03|date=2023-06-08|website=コミックナタリー|publisher=ナターシャ|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231103174852/https://natalie.mu/comic/news/527917|archivedate=2023-11-03}}</ref>
* 猷:[[白石加代子]]{{Sfnp|パンフレット|2023|p=13}}
* 奈々瀬:[[木村文乃]]{{R|oricon20230201}}
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== 制作 ==
=== 企画 ===
監督の渡辺とNHKエンタープライズのプロデューサー・土橋圭介は2018年ごろにテレビドラマ『岸辺露伴は動かない』(以下、「ドラマシリーズ」という)を企画している時から妄想レベルで本作を構想しており、「このドラマがうまくいってシリーズ化、最後は長編映画で、長編やるならやっぱり『ルーヴルへ行く』だよね」と話をしていた<ref name="cinematoday20230427">{{Cite web|和書|url=https://www.cinematoday.jp/news/N0136520|title=「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」映画化が実現するまで パリロケで思わぬハプニングも|accessdate=2023-11-03|author=石井百合子|date=2023-04-27|website=シネマトゥデイ|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231103165833/https://www.cinematoday.jp/news/N0136520|archivedate=2023-11-03}}</ref>。また撮影中においても、露伴を演じた高橋一生と渡辺は雑談中に度々「『ルーヴルへ行く』を映画でできたらいいね」と話をしていたという{{Sfnp|ヴィジュアルブック|2023|p=116}}。
 
本作の企画はドラマシリーズ第1期のキービジュアルが発表された後に、アスミック・エースのプロデューサー・井出陽子が渡辺と土橋に、ドラマシリーズを再編集し応援上映を行う企画を持ちかけたことがきっかけとなり、本格的に動き出した{{Efn2|ドラマシリーズ第1期のキービジュアルが発表されたのは2020年10月14日のこと<ref>{{Cite web|和書|url=https://natalie.mu/comic/news/400587|title=荒木飛呂彦「岸辺露伴は動かない」NHKでドラマ化!露伴は高橋一生、脚本は小林靖子|accessdate=2024-04-21|date=2020-10-14|website=コミックナタリー|publisher=ナターシャ|archiveurl=https://web.archive.org/web/20240420182141/https://natalie.mu/comic/news/400587|archivedate=2024-04-20}}</ref>。}}{{R|cinematoday20230427}}。井出は『ジョジョ』シリーズのファンであり、ドラマシリーズのキービジュアルを観た際に「原作ファンも喜ぶ作品になる」と直感し、話を持ちかけたと語っている<ref name="finders20230526">{{Cite interview|和書|date=2023-05-26|subject=井手陽子(映画プロデューサー、アスミック・エース所属)|interviewer=赤井大祐、文:船岡花奈 |title=『岸辺露伴』はどのように「ルーヴル」へ行ったのか。プロデューサーが語る制作秘話|url=https://finders.me/kqFQpDM3Mzk|work=FINDERS|publisher=シー・エヌ・エス・メディア|accessdate=2023-12-15|archiveurl=https://web.archive.org/web/20240428022209/https://finders.me/kqFQpDM3Mzk|archivedate=2024-04-28}}</ref>。{{出典範囲|text1=話を受けた渡辺と土橋は応援上映ではなく『ルーヴルへ行く』の実写化の企画書を書き上げて井出に提出し、|ref1={{R|cinematoday20230427}}|text2=打ち合わせを重ねる中で劇場版にチャレンジすることが決まった|ref2={{R|finders20230526}}}}。
 
数ある原作のエピソードの中で『ルーヴルへ行く』を選んだ理由を、井出は以下のように語っている。
{{Quotation|テレビと違って映画はお金を払って観るメディアですよね。{{Interp|中略|和文=1}}ドラマとは違う面白さを感じるものでなければならない。そう考えた時に、『ルーヴルへ行く』は、露伴が海外に赴く話なのでスケールも大きく、なおかつ露伴の過去や、露伴のルーツに迫っていくという、ドラマの中では描かれていない切り口があったので|井出陽子{{R|cinematoday20230427}}}}
 
原作者の荒木と[[版元]]の集英社の許諾を得、2021年10月ごろより本格的に企画は進み始めた。高橋によれば、脚本の初稿が俳優陣に上がってきたのはドラマシリーズ第2期が終わる頃(2021年12月末)であったという<ref>{{Cite web|和書 |url=https://www.gqjapan.jp/article/20230524-kishiberohan-movie-issey-takahashi-interview |title=高橋一生「ずっと岸辺露伴でもいいですよ」──映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』インタビュー |accessdate=2024-01-16 |author=斎藤岬 |date=2023-05-24 |website=GQ Japan |publisher=CONDÉ NAST |archiveurl=https://web.archive.org/web/20240423062341/https://www.gqjapan.jp/article/20230524-kishiberohan-movie-issey-takahashi-interview|archivedate=2024-04-23}}</ref>。{{出典範囲|text1=脚本を担当した小林はルーヴルでの撮影交渉が難航した影響で、パリおよびルーヴル美術館でのシナリオハンティングなしで脚本を書き上げる事になったが、|ref1={{R|cinematoday20230427}}|text2=ルーヴル美術館に詳しい人や[[東京藝術大学]]保存修復日本画研究室教授の荒井経に取材を行い、脚本に反映させた|ref2={{R|natalie20230608}}}}。また、原作者の荒木から受けたいくつかの要望に従い、原作からいくつかの要素が足されている([[#原作との違い|後述]])。
 
{{出典範囲|text1=脚本の骨格が出来上がり始めた頃、ルーヴル美術館との撮影交渉も進み始めた。原作がルーヴル美術館の主催するバンド・デシネプロジェクトの作品であるため、ルーヴル美術館サイドの反応は上々であったが、[[コロナ禍]]の影響などから日程などの具体的な交渉は困難を極めた。2022年6月には撮影日程が固まらないままパリでのロケハンが行われ、ようやく撮影日程が決まったのは日本での撮影が始まってから(2022年9月)であった|ref1={{R|cinematoday20230427}}}}。また、円安の影響から制作費がかさみ、一部費用が足りなくなったことから、[[テレビ東京]]が製作に参加し出資した{{R|finders20230526}}。
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ドラマシリーズに引き続き脚本を務めた小林は荒木より、仁左右衛門と奈々瀬を悲恋にすること、そしてルーヴル美術館で死ぬ消防士たちを悪者にしてほしいという要望を受けていた{{R|natalie20230608}}。そのため本作ではZ-13倉庫のシーンのあとに、新たに書き起こされた尺の長い過去編が入る構成となっている{{Sfnp|ヴィジュアルブック|2023|p=124}}。また、本作の露伴は原作より年齢が高く設定されているため{{Efn2|明確な年齢は設定されていないが、演じている高橋と同じくらいの30代後半と設定されている{{R|natalie20230608}}。なお、原作の露伴は27歳{{Sfnp|原作|2011|p=1}}。}}、奈々瀬を思い出す展開に違和感が生じないよう、モリス・ルグランや黒い絵の設定を足し、「露伴が漫画のために美術を調べていて、そのためにオークションに潜入し、そこから事件に巻き込まれることで過去に少しずつ繋がっていく」という展開となっている{{Sfnp|ヴィジュアルブック|2023|p=127}}。
 
ドラマシリーズから引き継がれたオリジナル要素の一つとして、露伴と京香のコンビがある。ドラマシリーズでの京香は荒木の物語に存在する「ユーモア」の要素を引き受ける、息抜きになるようなキャラクターとして描かれた<ref>{{Cite web|和書|url=https://mindra.jp/post/154/|title=演出・渡辺一貴インタビュー『岸辺露伴~』は作り続けたい|accessdate=2023-12-10 |date=2021-12-23|website=TVガイドみんなドラマ|publisher=東京ニュース通信社|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231210073401/https://mindra.jp/post/154/|archivedate=2023-12-10}}</ref>。小林は二人の関係を「全然住む世界が違っていて、普通なら友だちになることもなく関係が終わっちゃうふたり」と捉えており、本作では、露伴は京香を「ちょっと面白いかも」と感じるようにはなりつつも、それ以上の関係にはならないように意識されている{{Sfnp|ヴィジュアルブック|2023|p=129}}。
 
=== キャスティング ===
青年期の露伴には[[長尾謙杜]]が起用された。{{出典範囲|text1=キャスティングの際には憂いがあり、また駆け出しでスタイルが確立されていない「まだ完成される前の露伴」が前提となり、渡辺が画像検索で長尾の写真を見つけ、キャストの検討会議に提案した。渡辺は長尾が人気アイドルであること、また「ジョジョ」のファンであることを知らずに推薦したため、土屋は不思議な縁を感じたという|ref1=<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.cinematoday.jp/news/N0136616|title=青年期の岸辺露伴に長尾謙杜を起用した理由 不思議な巡り合わせも|accessdate=2023-11-25|author=石井百合子|date=2023-05-02|website=シネマトゥデイ|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231125073708/https://www.cinematoday.jp/news/N0136616|archivedate=2023-11-25}}</ref>}}。長尾は渡辺のアドバイスから高橋の露伴を意識しないようにし、また年齢感が近いことから原作だけでなく『[[ダイヤモンドは砕けない]]』も読み直し、役作りを行った{{Sfnp|ヴィジュアルブック|2023|p=144}}。
 
=== 衣装・劇中画 ===
{{出典範囲|text1=ドラマシリーズに引き続き人物デザイン監修{{Efn2|扮装のコンセプトを決め、各キャラクターのデザインを描き、登場人物の扮装を統括する役割<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.cinematoday.jp/news/N0136435 |title=実写「岸辺露伴」の衣装、なぜモノトーン?大反響のビジュアルが出来上がるまで|accessdate=2023-11-25|author=石井百合子|date=2023-04-22|website=シネマトゥデイ|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231125092435/https://www.cinematoday.jp/news/N0136435|archivedate=2023-11-25}}</ref>。}}を担当した[[柘植伊佐夫]]は原作を読んだ際、辻褄が合っているのに合っていないような不思議な読後感を感じたといい、本作では各パートごとに分裂した、整合性や共通性のなさを意識したという。またドラマシリーズでは元気さや生命力がイメージされていたが、今作は悲劇性のある物語であることから、より重みのある印象になるよう意識されている|ref1={{Sfnp|ヴィジュアルブック|2023|pp=132-134}}}}。なお、京香の衣装はドラマシリーズに引き続き、靴とタイツ以外のすべてが[[オートクチュール]]となっている{{Sfnp|ヴィジュアルブック|2023|p=143}}。パリパートの衣装は「パリの街やルーヴルに露伴と京香が立ったとき、しっくり来るものなのか」を意識して制作された{{Sfnp|ヴィジュアルブック|2023|p=134}}。また、ルーヴルで撮影すると聞いた時点で映画『[[シャレード (1963年の映画)|シャレード]]』の[[ケーリー・グラント]]と[[オードリー・ヘプバーン]]のようにしたいと考え、色の組み合わせなどをオマージュしている{{Sfnp|ヴィジュアルブック|2023|p=136}}。
 
{{出典範囲|text1=仁左右衛門の描いた絵画を始めとした劇中画は日本画家の宮崎優が担当した。劇中で仁左右衛門の描いた「蘭画」「微笑む奈々瀬」は1770年代の[[秋田蘭画]]を参考に約250年前の画材や技法で制作された。一方、物語の肝となる「黒い絵」は時代考証を無視して制作され、遠目から見ると真っ黒な板に見えるほどの絵画に仕上がっている。「黒い絵」での奈々瀬の黒髪は、まるで奈々瀬の魂が閉じ込められているように、時間の止まった空間に漂うようなイメージで描かれている。宮崎は、仁左右衛門の描きたいものに執着し周りが見えなくなるところに共感し、「黒い絵」の制作時には最初から完成形がはっきりとイメージできたという|ref1={{Sfnp|ヴィジュアルブック|2023|pp=154-155}}}}。
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==== ロケ地 ====
;[[ホテルニューグランド]]
:オークションのシーンが撮影された。渡辺が挙式した場所であり、クラシカルな場所というイメージで思い浮かんだことからオークション会場として選ばれた<ref name="cinematoday20230526">{{Cite web|和書|url=https://www.cinematoday.jp/news/N0136997|title=『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』なぜ曇り空のパリ?渡辺一貴監督のロケーションの流儀|accessdate=2023-11-03|author=石井百合子|date=2023-05-26|website=シネマトゥデイ|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231104213914/https://www.cinematoday.jp/news/N0136997|archivedate=2023-11-04}}</ref>
;[[葉山加地邸]]
:テレビドラマシリーズに引き続き、露伴の自宅として使用された。{{出典範囲|text1=ドラマシリーズとの違いとして、部屋には顔料のもととなる植物などが大量に吊るされており、これらは磯貝が荒井に行った取材がもとになっている。また、ドラマシリーズとの繋がりが感じられるよう、ホットサマー・マーサのフィギュアやバキンのフードボウルなども置かれている|ref1={{Sfnp|ヴィジュアルブック|2023|p=150}}}}。
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:ルーヴル美術館文化メディエーション部のオフィスとして使用された{{Sfnp|ヴィジュアルブック|2023|p=79}}。
;ルーヴル美術館
:撮影は閉館後から翌朝にかけて行われた。渡辺らによる下見は10回ほど行われたが、閉館後の人がいない美術館は雰囲気が全く異なり、本番では考えてきたことをリセットし、その場で感じたことを大事にしながら撮影は行われた<ref>{{Cite web|和書|url=https://otocoto.jp/interview/ikenobe210/2/|title=渡辺一貴監督が語る 現実にルーヴルへ行くという奇跡が起きた『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』|accessdate=2023-11-19|author=池ノ辺直子|date=2023-05-27|website=otocoto|publisher=バカ・ザ・バッカ|page=2|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231125073709/https://otocoto.jp/interview/ikenobe210/2/|archivedate=2023-11-25}}</ref>。
;[[大森ベルポート]]地下3階・能忍寺の廃トンネル
:Z-13に続く地下通路のシーンが撮影された。螺旋階段のシーンの撮影では[[ステディカム]]が使用され、動きのあるダイナミックな映像となっている{{R|productionnote}}。
;大谷石採石場跡
:本作のクライマックスシーンの一つであるZ-13倉庫のシーンが撮影された{{R|productionnote}}{{Sfnp|ヴィジュアルブック|2023|p=143}}。{{出典範囲|text1=渡辺は[[アンドレイ・タルコフスキー]]の映画『[[ストーカー (1979年の映画)|ストーカー]]』をイメージし、|ref1={{Sfnp|ヴィジュアルブック|2023|pp=152-153}} |text2=20分以上続く無機質な暗がりのシーンを、いかにエンターテイメントとして飽きさせないものにするかに注力したという<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.creativevillage.ne.jp/category/topcreators/visual-creators/135115/|title=映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』監督 渡辺一貴———引っ掛かるのは〝記憶″というキーワード。最近の作品はすべてそれがモチーフなのではと思うほど。|accessdate=2023-11-03|author=永瀬由佳|date=2023-05-24|website=CREATIVE VILLAGE|publisher=クリーク・アンド・リバー|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231108094451/https://www.creativevillage.ne.jp/category/topcreators/visual-creators/135115/|archivedate=2023-11-08}}</ref>}}。
;霧幻峡・大内宿
:仁左右衛門と奈々瀬の物語が描かれた江戸時代パートが撮影された。{{出典範囲|text1=仁左右衛門が黒に魅せられていく場面はZ-13倉庫のシーンとリンクされており、蜘蛛の巣が徐々に増える演出が施されている。また、御神木の黒い樹液は、木から流れるものと指についたものとで素材を変えるなどこだわって制作された|ref1={{Sfnp|ヴィジュアルブック|2023|p=153}}}}。
 
=== 音楽 ===
ドラマシリーズに引き続き音楽を担当した[[菊池成孔]]は原作を読んだことはなかったものの、周囲には「ジョジョ」の熱狂的なファンが多くおり、『ルーヴルへ行く』についてもある程度予備知識を持った状態で制作に臨むことができたという{{Sfnp|ヴィジュアルブック|2023|p=147}}。本作の音楽制作は映像がすべて完成してから行われ、菊池は様々な時代が描かれる映像に合わせて、音楽も統一感を出さず[[オムニバス]]のような形で制作した。なお、本作ではドラマシリーズに引き続き「新音楽制作工房{{Efn2|菊池の私塾「ペンギン音楽大学」の生徒らと菊池自身が立ち上げた音楽ギルド<ref name="snrec20231121">{{Cite interview|和書|date=2023-11-21|subject=菊地成孔|subjectlink=菊地成孔|interviewer=Satoshi Torii、写真:Hiroki Obara|subject2=佐々木語|subject3=丹羽武史|subject4=大野格|title=『岸辺露伴は動かない/岸辺露伴 ルーヴルへ行く』OST〜菊地成孔/新音楽制作工房が紡ぐ新時代の劇伴とは|url=https://www.snrec.jp/entry/ex/interview/kishiberohan_kikuchi-naruyoshi_shin-on-gak|work=サンレコ|publisher=リットーミュージック|accessdate=2023-12-15|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231209061549/https://www.snrec.jp/entry/ex/interview/kishiberohan_kikuchi-naruyoshi_shin-on-gak|archivedate=2023-12-09}}</ref>。}}」も音楽制作を行っている{{Sfnp|パンフレット|2023|p=19}}。
 
菊池はドラマシリーズとの違いとして、[[シネマコンプレックス|シネコン]]の大出力のスピーカーにも耐えうる音の厚みを心がけたといい、ドラマシリーズでは4人編成でダビングを2回行い最大8人分の音だったストリングスが、今作では14人編成でレコーディングが行われた{{Sfnp|ヴィジュアルブック|2023|p=148}}。メインテーマである「大空位時代」も今作に向けて音を厚くアレンジされており、この曲のブローアップが本作の最初のミッションであった{{Sfnp|パンフレット|2023|p=19}}。
 
{{出典範囲|text1=今作の音楽制作にはAIを使用した楽曲が使われており「AI制作によるふたつの弦楽四重奏の同時演奏」がその一つである。この曲は[[Max (ソフトウェア)|Max]]が2台入ったモデルを使い、片方のMaxが生成したものにもう片方のMaxを反応させて制作されている|ref1=<ref>{{Cite web|和書|url=https://realsound.jp/2023/09/post-1429944.html|title=菊地成孔が考えるAIと音楽のこれから 常識を揺るがす可能性があるも“100パーセント肯定”な理由|accessdate=2023-12-01|author=小池直也|date=2023-09-16|website=リアルサウンド音楽部|publisher=blueprint|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231209061547/https://realsound.jp/2023/09/post-1429944.html|archivedate=2023-12-09}}</ref>}}。
 
{{出典範囲|text1=露伴の青年期が描かれる過去編の音楽は、菊池が映像を見た際に[[花街]]のような印象を受けたことから、浄瑠璃音楽の一つ[[清元節]]を元に、インドネシアの打楽器アンサンブルである[[ガムラン]]とシンセサイザーの一種[[モーグ・シンセサイザー#モジュラーシステム|モジュールシンセ]]をミクスチャーしたものとなっている。レコーディングではこれらの奏者を集め、本編映像を観ながらのセッションが24分間ノンストップで行われた|ref1={{Sfnp|ヴィジュアルブック|2023|pp=148-149}}}}。
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== 封切り ==
=== 制作発表から公開まで ===
{{出典範囲|text1=2022年12月27日に放送されたテレビシリーズ第8話「ジャンケン小僧」のエンドロール後に京香が本作を匂わすセリフ{{Efn2|(ルーヴル美術館にて京香の父が撮った写真を掲げながら)「パリ……ルーブル美術館!」{{Sfnp|パンフレット|2023|p=8}}{{R|cinemacafe20221228}}}}を発し、|ref1=<ref name="cinemacafe20221228">{{Cite web|和書|url=https://www.cinemacafe.net/article/2022/12/28/82739.html|title=飯豊まりえ“京香”のセリフに「匂わせワードが盛り沢山」、SNSでは早くも“次回作”考察…「岸辺露伴は動かない」第8話|accessdate=2023-12-01|author=笠緒 |date=2022-12-28|website=シネマカフェ|publisher=イード|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231215230607/https://www.cinemacafe.net/article/2022/12/28/82739.html|archivedate=2023-12-15}}</ref>|text2=それから9日後の2023年1月5日、ティザービジュアルと超特報映像とともに本作の映画化が発表された|ref2={{R|realsound20230105}}}}。4月24日には初号試写が行われ、翌25日には当時ルーヴル美術館展が行われていた[[国立新美術館]]にて完成報告イベントが開催された<ref>{{Cite web|和書|url=https://natalie.mu/eiga/news/522263 |title=高橋一生が不思議で素敵な「岸辺露伴」アピール、長尾謙杜は「ジョジョ好きだよね?」で仲間入り|accessdate=2023-12-01|date=2023-04-25|website=映画ナタリー|publisher=ナターシャ|archiveurl=https://web.archive.org/web/20240402054153/https://natalie.mu/eiga/news/522263|archivedate=2024-04-02}}</ref>。{{出典範囲|text1=5月18日には[[TOHOシネマズ日比谷]]にて先行上映会が行われ、高橋と渡辺が登壇した。イベントの最後にはサプライズとして荒木が本作に描き下ろしたイラストの複製原画が高橋に送られた|ref1=<ref>{{Cite web|和書|url=https://natalie.mu/eiga/news/525033|title=「岸辺露伴」高橋一生、荒木飛呂彦とは「芝居とマンガで文通している感覚だった」|accessdate=2023-12-01|date=2023-05-18|website=映画ナタリー|publisher=ナターシャ|archiveurl=https://web.archive.org/web/20240402054159/https://natalie.mu/eiga/news/525033|archivedate=2024-04-02}}</ref>}}。この描き下ろしイラストはのちに第2弾入場者プレゼントとして配布された<ref>{{Cite web|和書|url=https://natalie.mu/comic/news/526789|title=「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」入場者特典第2弾は荒木飛呂彦描き下ろしのイラストカード|accessdate=2023-12-01|date=2023-05-31|website=コミックナタリー|publisher=ナターシャ|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231209061547/https://natalie.mu/comic/news/526789|archivedate=2023-12-09}}</ref>。
 
=== 公開後 ===
本作は2023年5月26日に全国272スクリーンで公開され、翌27日には[[六本木ヒルズ#TOHOシネマズ六本木ヒルズ|TOHOシネマズ六本木ヒルズ]]にて公開記念舞台挨拶が行われた<ref name="animeanime20230619">{{Cite web|和書|url=https://animeanime.jp/article/2023/06/19/78033.html|title=映画「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」興行収入10億円を突破! 渡辺一貴監督による全国ティーチインイベントも開催 |accessdate=2023-12-01|author=仲瀬コウタロウ|date=2023-06-19|website=アニメ!アニメ!|publisher=イード|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231202025519/https://animeanime.jp/article/2023/06/19/78033.html|archivedate=2023-12-02}}</ref><ref name="natalie20230527">{{Cite web|和書|url=https://natalie.mu/eiga/news/526262|title=「岸辺露伴」高橋一生は目の奥が真っ黒、木村文乃は長尾謙杜の“立ち振る舞い”を絶賛|accessdate=2023-12-01|date=2023-05-27|website=映画ナタリー|publisher=ナターシャ|archiveurl=https://web.archive.org/web/20240402054204/https://natalie.mu/eiga/news/526262|archivedate=2024-04-02}}</ref>。舞台挨拶の最後に高橋は次のように述べている。
 
{{Quotation|この作品は娯楽です。娯楽作品は人の心を動かし得るものだと思っています。僕は岸辺露伴の役をいただいたときに、この虚構の世界で皆さんに夢を見ていただき、現実で生きる力を携えていただきたいと思い、3年間やってきました。その集大成がこの作品に詰まっています。|高橋一生{{R|natalie20230527}}}}
185行目:
{{Quotation|ドラマや本劇場作を拝見して感じることは、出演される俳優さんたちに恵まれているということです。(中略)画面の向こうに本当に存在しているように思えて、原作を忘れて観てしまいます。着ている衣装や包み込む音楽がその世界観をさらに煽ってくるのです。きっと映画を見た皆様の心の中にも深く残るキャラクターたちになってくれているのだと思います。|荒木飛呂彦{{Sfnp|パンフレット|2023|p=17}}}}
 
同年6月9日からはスマートフォンアプリ「HELLO! MOVIE」を利用した副音声コメンタリー上映が行われ、高橋一生、飯豊まりえ、木村文乃、渡辺一貴が参加した<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.evixar.com/archives/13678|title=HELLO! MOVIEアプリにて、映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(アスミック・エース 配給)、「副音声コメンタリー上映」実施のご案内|accessdate=2023-12-01|date=2023-06-06|website=エヴィクサー 公式サイト|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231209061549/https://news.evixar.com/archives/13678|archivedate=2023-12-09}}</ref>。
 
同年9月6日に公式X(旧Twitter)で、本作の日本国内での上映を終了したことが発表された<ref>{{Cite tweet|user=rohan_movie|author=映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』公式|number=1699262830179197194|title=映画『#岸辺露伴 ルーヴルへ行く』は先日国内上映を終了いたしました。|date=2023-09-06|accessdate=2023-12-15|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231215074856/https://twitter.com/rohan_movie/status/1699262830179197194|archivedate=2023-12-15}}</ref>。
 
同年9月22日には台湾にて『岸邊露伴在羅浮』の題で公開された<ref>{{Cite web|和書|url=https://japan.focustaiwan.tw/photos/202308305003|title=高橋一生、映画PRで来月15~17日に台湾訪問 ファンの前に|accessdate=2023-12-01|author=王心妤(文)、名切千絵(編集)|date=2023-08-30|website=フォーカス台湾|publisher=中央通訊社|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231209171813/https://japan.focustaiwan.tw/photos/202308305003|archivedate=2023-12-09}}</ref>。公開に先立ち、高橋と渡辺は15日から17日までの3日間の日程で台湾に渡り、3回の上映会に参加した<ref>{{Cite web|和書|url=https://japan.focustaiwan.tw/society/202309170003|title=高橋一生が映画PRで台湾訪問 中国語であいさつ「一生愛してる」|accessdate=2023-12-01|author=王心妤(文)、田中宏樹(編集)|date=2023-09-17|website=フォーカス台湾|publisher=中央通訊社|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231209061548/https://japan.focustaiwan.tw/society/202309170003|archivedate=2023-12-09}}</ref>。
 
== 評価 ==
=== 興行収入 ===
本作は公開3日間で22万1000人を動員し、興行収入は3億1500万円を記録した<ref name="realsound20230602">{{Cite web|和書|url=https://realsound.jp/movie/2023/06/post-1340483.html|title=『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』好スタート その「快挙」の背景にあるもの|accessdate=2023-12-01|author=宇野維正|date=2023-06-02 |website=リアルサウンド映画部|publisher=blueprint|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231209061547/https://realsound.jp/movie/2023/06/post-1340483.html|archivedate=2023-12-09}}</ref>。{{出典範囲|text1=これは2023年に公開された300館以下の劇場映画の初週3日間の成績としては同年5月末時点で最高の興行収入であり、|ref1=<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.oricon.co.jp/news/2280784/full/|title=映画『岸辺露伴』公開3日間で興収3億円突破 2023年300館以下の出足は最高興収|accessdate=2023-12-01|date=2023-05-29 |website=ORICON NEWS|publisher=oricon ME|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231209063004/https://www.oricon.co.jp/news/2280784/full/|archivedate=2023-12-09}}</ref>|text2=ライターの[[宇野維正]]は[[日本映画製作者連盟|映連4社]]以外の配給作品としては異例であると述べている|ref2={{R|realsound20230602}}}}。本作はその後も成績を伸ばし、6月18日にはNHKの連続ドラマの映画化作品として初めて興行収入が10億円を突破した{{R|animeanime20230619}}。最終的な興行収入は12.5億円を記録{{R|eiren2023}}。
 
宇野は、NHKの連続ドラマの映画化作品は公共放送局というNHKの特性上、ドラマの放送から映画公開までのタイムラグが大きく、また民放のような局を挙げての宣伝ができないため大きなヒットに繋がりにくいという特徴があるが、本作はドラマシリーズの最新話の放送から映画公開までが6か月以内というタイムリーさを実現したため、快挙と言っていい成績を残すことができたと述べている{{R|realsound20230602}}。
 
=== 反響 ===
本作は公開直後からパンフレットを始めとしたグッズの売り切れが続出し、[[MANTANWEB]]が関係者に取材した話によると、観客は女性が多く、劇場内の物販コーナーは行列状態であったという<ref>{{Cite web|和書|url=https://mantan-web.jp/article/20230529dog00m200037000c.html|title=岸辺露伴 ルーヴルへ行く:週末興行ランキングで邦画1位 3日で興入3億1400万円突破 パンフレット売り切れ続出|accessdate=2023-12-01|date=2023-05-29|website=MANTANWEB|publisher=MANTAN|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231202020523/https://mantan-web.jp/article/20230529dog00m200037000c.html|archivedate=2023-12-02}}</ref>。
 
=== 批評 ===
{{出典範囲|text1=『[[キネマ旬報]]』のレビューでは、宇野維正・北川れい子・千浦僚がレビューを行った。映画ライターの宇野は星3つとし、美点として「(露伴と京香の)『作家と編集者』や『男と女』の定型に収まらない洒脱な関係性と軽妙な台詞の掛け合い」を、欠点として「アート作品『風』の小賢しいカメラの構図の多用と、散見される稚拙な編集」をそれぞれ挙げ、トリッキーな設定に慣れるのには時間を要したが最終的にはかなり楽しめたと評している。映画評論家の北川は原作漫画もドラマも未読と断った上で星2つとし、露伴のヘアバンドを始めとした形振りや特殊能力、そしてルーヴル美術館を巻き込んだ因縁話はかなりぶっ飛んでおり、「映画のリアリティーを超越した幻覚的ミステリ」と述べている。元[[映写#映写技師|映写技師]]で、映画評論家として活動している千浦は星3つとし、ミステリアスなネタを追う展開はキビキビとして飽きさせず、パリの街とルーヴル美術館でのロケ撮影も効果的であったと評し、本作と同じくパリでロケを行った2015年の映画『[[王妃の館#映画|王妃の館]]』と非常に近い作品だと述べている|ref1=<ref name="kinejun_review">{{Cite web|和書|url=https://www.kinejun.com/criticreview/detail?id=97936|title=岸辺露伴 ルーヴルへ行くの映画専門家レビュー一覧|accessdate=2023-12-01|website=キネマ旬報WEB|publisher=キネマ旬報社|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231209061548/https://www.kinejun.com/criticreview/detail?id=97936|archivedate=2023-12-09}}</ref>}}。
 
{{出典範囲|text1=『[[シネマトゥデイ]]』の短評では、なかざわひでゆき・村松健太郎が短評を寄せた。映画ライターのなかざわは星3つをし、プロットが複雑なうえ説明過多なセリフが多いことからストーリーがわかりにくくなっているものの、大正ロマン的な幻想怪奇ムードや陰鬱なパリの景色は魅力的であったと評している。映画ライターの[[村松健太郎]]は星4つとし、テンションの高い劇画的な原作が、どこかこの世の話ではない雰囲気が漂う、非常に風変わりな怪奇譚に仕上がっていると評している|ref1=<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.cinematoday.jp/movie/T0028410/review|title=岸辺露伴 ルーヴルへ行く (2023):映画短評|accessdate=2023-12-01|website=シネマトゥデイ|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231209061547/https://www.cinematoday.jp/movie/T0028410/review|archivedate=2023-12-09}}</ref>}}。
 
{{出典範囲|text1=元漫画雑誌編集者で、『漫画家、映画を語る。』などの著書がある島田一志は、[[リアルサウンド]]での特集記事において、原作ではやや分かりにくかった部分を本作ではオリジナルエピソードによって補完しており、かつその改変部分には原作への深い愛情と敬意が感じられるため全く気にならないと評している。特に本作で深く掘り下げられた仁左右衛門のエピソードは、仁左右衛門を高橋が一人二役で演じたことによって、露伴もまた仁左右衛門と同じく「呪われた絵師」になりうると暗に語る物語になったと述べている。また、露伴を演じた高橋の演技は、漫画では難しい複雑な感情表現が為されており、そういった意味で本作は漫画の実写化に「成功」しているといってもいいと評価している|ref1={{R|realsound1350204}}}}。
 
{{出典範囲|text1=お笑い芸人の[[宮下兼史鷹]]は、リアルサウンドで連載している自身の映画コラム「宮下兼史鷹のムービーコマンダー」にて、ドラマシリーズの劇場版でありながらスケールが大きくなりすぎず、ドラマシリーズの良さがしっかり活きた作品になっていたと評している。また自身は木村文乃のファンであると語っており、木村の演技については彼女の陰の部分を強調した役柄を評し、露伴のように恋をしてしまったと述べている|ref1=<ref name="realsound20230619">{{Cite web|和書|url=https://realsound.jp/movie/2023/06/post-1352834.html|title=『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』は完璧な映画化 宮下兼史鷹が高橋一生の“声”を絶賛 |accessdate=2023-12-10|author=アナイス|date=2023-06-19|website=リアルサウンド映画部|publisher=blueprint|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231209061547/https://www.cinematoday.jp/movie/T0028410/review|archivedate=2023-12-09}}</ref>}}。
 
== サウンドトラック ==
223行目:
| Tracklist =
}}
菊地成孔と新音楽制作工房によるサウンドトラックは、ドラマシリーズの劇伴とカップリングされ、2023年10月25日に発売された<ref>{{Cite web|和書|url=https://tower.jp/article/feature_item/2023/06/26/0711|title=菊地成孔と新音楽制作工房が手掛ける『「岸辺露伴は動かない/岸辺露伴 ルーヴルへ行く」オリジナル・サウンドトラック』10月25日発売|accessdate=2023-12-01|date=2023-06-26|website=TOWER RECORDS ONLINE|publisher=タワーレコード|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231202014128/https://tower.jp/article/feature_item/2023/06/26/0711|archivedate=2023-12-02}}</ref>。同年6月に本作の制作が発表された際には9月13日に発売予定であると予告されていたが、制作上の都合により延期された<ref>{{Cite tweet|author=コロムビアクラシック|user=Co_Classics|number=1694973601961898394|title=【発売日変更】 9月13日に予定しておりました「岸辺露伴は動かない/岸辺露伴 ルーヴルへ行く」オリジナル・サウンドトラック【完全生産限定版】の発売日を、制作上の都合により10月25日に延期させて頂くこととなりました。|date=2023-08-25|accessdate=2023-12-23|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231223142717/https://twitter.com/Co_Classics/status/1694973601961898394|archivedate=2023-12-23}}</ref>。同年12月1日には本作のスペシャルイベントが開催され、菊地成孔、高橋一生、飯豊まりえ、渡辺一貴が出演した<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.jiji.com/jc/article?k=000003371.000019470&g=prt|title=10月25日(水)発売『岸辺露伴』オリジナル・サウンドトラックのトークイベントに飯豊まりえの参加が決定!|accessdate=2023-12-01|date=2023-10-23|website=時事ドットコム|publisher=時事通信社|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231202014128/https://www.jiji.com/jc/article?k=000003371.000019470&g=prt|archivedate=2023-12-02}}</ref>。初週の[[オリコン]]の週間アルバムチャートでは25位を記録した<ref>{{Cite web|url=https://www.oricon.co.jp/prof/913092/products/1484196/1/|title=「岸辺露伴は動かない/岸辺露伴 ルーヴルへ行く」オリジナル・サウンドトラック|accessdate=2023-12-23|website=ORICON NEWS|publisher=oricon ME|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231223142717/https://www.oricon.co.jp/prof/913092/products/1484196/1/|archivedate=2023-12-23}}</ref>。
 
{{-}}
 
{{Tracklist
| 1 = 出典<ref name=tower5762480>{{Cite web|和書|url=https://tower.jp/item/5762480/|title=「岸辺露伴は動かない/岸辺露伴 ルーヴルへ行く」オリジナル・サウンドトラック[2CD+ブックレット]<完全生産限定盤>|accessdate=2023-12-23|website=タワーレコード オンライン|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231223151323/https://tower.jp/item/5762480/|archivedate=2023-12-23}}</ref>
| collapsed = yes
| headline = Disc 1
522行目:
:
; 映像ソフト
: Blu-rayとDVDが[[NHKエンタープライズ]]より2024年7月26日に発売予定<ref>{{Cite web|和書|url=https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1581050.html|title=「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」BD化。豪華版に日仏ロケの裏側に迫る秘蔵映像|accessdate=2024-04-15|author=野澤佳悟|date=2024-04-02|website=AV Watch|publisher=インプレス |archiveurl=https://web.archive.org/web/20240410192617/https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1581050.html|archivedate=2024-04-10}}</ref>。
 
== テレビ放送 ==
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|
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|先行放送<ref name="natalie20240401">{{Cite web|和書|url=https://natalie.mu/eiga/news/567589|title=ドラマ「岸辺露伴」新作エピソードが5月OA、映画「ルーヴルへ行く」もTV初放送|accessdate=2024-04-29|date=2024-04-01|website=映画ナタリー|publisher=ナターシャ|archiveurl=https://web.archive.org/web/20240410224012/https://natalie.mu/eiga/news/567589|archivedate=2024-04-10}}</ref><ref name="nhk8L75G2JGY3">{{Cite web|和書|url=https://www.nhk.jp/p/ts/8L75G2JGY3/|title=映画「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」|accessdate=2024-04-29|website=NHK公式サイト|publisher=NHK|archiveurl=https://web.archive.org/web/20240429094053/https://www.nhk.jp/p/ts/8L75G2JGY3/|archivedate=2024-04-29}}</ref>
<!--|-
|2
|2024年{{0}}5月{{0}}6日 15時55分 - 17時54分
541行目:
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|
|テレビ地上波初放送{{R|natalie20240401|nhk8L75G2JGY3}}
-->
|}
 
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=== 体験型イベント ===
本作の体験型イベント「岸辺露伴 ルーヴルへ行く 体験型イベント 〜ようこそ、岸辺露伴の世界へ〜」が2023年9月より池袋、梅田、博多の「バンダイナムコ Cross Store」にて順次開催された。オリジナルグッズやコラボメニューの販売や、自分だけの「ヘブンズ・ドアー」の記事を作れるアトラクションなどが行われた<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.famitsu.com/news/202308/23314153.html|title=映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』体験型イベントが東京、大阪、福岡で開催。自分だけの“ヘブンズ・ドアー”記事が作成できるアトラクションが展開|accessdate=2023-12-01|date=2023-08-23|website=ファミ通.com|publisher=KADOKAWA Game Linkage|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231202030303/https://www.famitsu.com/news/202308/23314153.html|archivedate=2023-12-02}}</ref>。
 
== コラボレーション ==
2023年5月15日から6月15日にかけて[[京王電鉄]]とのタイアップ企画「岸辺露伴 ルーヴルへ行く×KEIO」が行われ、「ヘブンズ・ドアー」を模した[[京王井の頭線]]の記念乗車券が発売された<ref>{{Cite web|和書|url=https://ascii.jp/elem/000/004/134/4134452/|title=記念乗車券は京王線新宿駅でも販売! 「岸辺露伴 ルーヴルへ行く×KEIO」タイアップ企画を京王線・井の頭線にて5月15日~6月15日実施|accessdate=2023-12-01|author=西新宿LOVEWalker|date=2023-04-25|website=ASCII.jp|publisher=角川アスキー総合研究所|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231202015809/https://ascii.jp/elem/000/004/134/4134452/|archivedate=2023-12-02}}</ref>。
 
2023年5月15日から6月11日にかけて[[フランス料理]]店「[[俺のフレンチ]]」とのタイアップ企画が行われ、コラボメニュー「高知県産カツオのたたきルーヴル仕立て 〜岸辺露伴のノワールを添えて〜」が販売された<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.oreno.co.jp/2023/05/11/kishiberohan_orenofrench|title=映画「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」と「俺のフレンチ」がコラボ!映画をテーマにしたスペシャルメニューをご注文で、オリジナルポストカードプレゼント!|accessdate=2023-12-01|date=2023-05-11|website=俺の株式会社 公式サイト|archiveurl=https://web.archive.org/web/20231211014740/https://www.oreno.co.jp/2023/05/11/kishiberohan_orenofrench|archivedate=2023-12-11}}</ref>。
 
== 脚注 ==