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| 亜目 = [[頚吻亜目]] [[:w:Auchenorrhyncha|Auchenorrhyncha]]
| 下目 = [[セミ型下目]] [[:w:Cicadomorpha|Cicadomorpha]]
| 上科 = '''セミ上科''' [[:w:Cicadoidea|Cicadoidea]]<!-- <br />★★★, [[@@@@年|@@@@]] -->
| 学名 = Cicadoidea {{AUY|{{Taxonomist|Westwood}}|1840}}
<!-- | 英名 = [[:en:Cicada|Cicada]] -->
| 和名 = セミ(蝉)
| 下位分類名 = [[科 (分類学)|科]]
| 下位分類 =
* [[セミ科]] [[:w:Cicadidae|Cicadidae]]
* [[テチガルクタ科]] [[:w:Tettigarctidae|Tettigarctidae]]
<!-- | 英名 = [[:en:Cicada|Cicada]] -->
}}
 
'''セミ'''(蝉・{{lang|zh-tw|蟬}})は、[[カメムシ目]](半翅目)・[[頚吻亜目]]・'''セミ上科'''(Cicadoidea)に分類される[[昆虫]]の総称。「鳴く昆虫」の一つとして知られる。
 
== 特徴 ==
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== 生態 ==
セミは、[[卵]]→[[幼虫]]→[[成虫]]という[[完全変態]]をする虫である。
[[日本]]の場合、成虫が出現するのはおもに夏だが、[[ハルゼミ]]のように[[春]]に出現するもの、[[チョウセンケナガニイニイ]]のように[[秋]]に出現するものもいる。成虫期間は1-2週間ほどと言われていたが、これは成虫の飼育が困難ですぐ死んでしまうことからきた俗説で、野外では1か月ほどとも言われている<ref>読売テレビ ニューススクランブル 「今年はセミが大発生!?セミの謎に迫る」(2007/8/3)<br />http://www.ytv.co.jp/ns/special/bn/2007/08/asx/sp070803.asx</ref>。さらに、[[幼虫]]として地下生活する期間は3-17年([[アブラゼミ]]は6年)に達し、短命どころか昆虫類でも上位に入る寿命の長さをもつ。
 
[[日本]]の場合、成虫が出現するのはおもに夏だが、[[ハルゼミ]]のように[[春]]に出現するもの、[[チョウセンケナガニイニイ]]のように[[秋]]に出現するものもいる。成虫期間は1-2週間ほどと言われていたが、これは成虫の飼育が困難ですぐ死んでしまうことからきた俗説で、野外では1か月ほどとも言われている<ref>読売テレビ ニューススクランブル 「今年はセミが大発生!?セミの謎に迫る」(2007/8/3)<br />http://www.ytv.co.jp/ns/special/bn/2007/08/asx/sp070803.asx</ref>。さらに、[[幼虫]]として地下生活する期間は3-17年([[アブラゼミ]]は6年)に達し、短命どころか昆虫類でも上位に入る寿命の長さをもつ
鳴き声や鳴く時間帯は種類によって異なり、種類を判別する有効な手がかりとなる。たとえば日本産セミ類では[[クマゼミ]]は午前中、[[アブラゼミ]]や[[ツクツクボウシ]]は午後、[[ヒグラシ]]は朝夕、[[ニイニイゼミ]]は早朝から夕暮れまで、などとなる。夏に多いとはいえ真昼の暑い時間帯に鳴くセミは少なく、比較的涼しい朝夕の方が多くの種類の鳴き声が聞かれる。
 
さらに、[[幼虫]]として地下生活する期間は3-17年([[アブラゼミ]]は6年)に達し、短命どころか昆虫類でも上位に入る寿命の長さをもつ。
 
===鳴き声===
鳴き声や鳴く時間帯は種類によって異なり、種類を判別する有効な手がかりとなる。たとえば日本産セミ類では[[クマゼミ]]は午前中、[[アブラゼミ]]や[[ツクツクボウシ]]は午後、[[ヒグラシ]]は朝夕、[[ニイニイゼミ]]は早朝から夕暮れまで、などとなる。夏に多いとはいえ真昼の暑い時間帯に鳴くセミは少なく、比較的涼しい朝夕の方が多くの種類の鳴き声が聞かれる。
 
夏に多いとはいえ真昼の暑い時間帯に鳴くセミは少なく、比較的涼しい朝夕の方が多くの種類の鳴き声が聞かれる。
 
=== 文芸 尿===
セミを捕えるのに失敗すると、逃げざまに「[[尿]]」をかけられることが多い。
 
* セミを捕えるのに失敗すると、逃げざまに「[[尿]]」をかけられることが多い。俗に「仕返しにおしっこをかける」などと言われるが、実際は飛翔の際に体を軽くするためという説や膀胱が弱いからという説もある。体内の余剰水分や消化吸収中の樹液を外に排出しているだけで、外敵を狙っているわけではない。そのため飛翔時だけでなく樹液を吸っている最中にもよく排出する。また、「セミのおしっこ」はほとんど水で、有害物質はほぼ含まれない
 
また、「セミのおしっこ」はほとんど水で、有害物質はほぼ含まれない。
 
== 生活史 ==
セミの幼虫は地中生活で人目に触れず、成虫は飼育が難しいので、その生態について十分に調べられているとは言えない。したがって、ここに書かれていることも含めて、検証が不十分なことがあることを認識しておくべきである。
 
===幼虫===
交尾が終わったメスは枯れ木に産卵管をさし込んで産卵する。枯れ木の上を移動しながら次々と産卵するため、セミが産卵した枯れ木は表面が線状にささくれ立つ。
 
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|}
 
===羽化===
晴れた日の夕方、目の黒い終齢幼虫は[[羽化]]をおこなうべく地上に出てきて周囲の樹などに登ってゆく。羽化のときは無防備で、この時にスズメバチやアリなどに襲われる個体もいるため、周囲が明るいうちは羽化を始めない。このため室内でセミの羽化を観察する場合は電気を消して暗くしなくてはならない。夕方地上に現れて日没後に羽化を始めるのは、夜の間に羽を伸ばし、敵の現れる朝までには飛行できる状態にするためである。木の幹や葉の上に爪を立てたあと、背が割れて白い成虫が顔を出す。成虫はまず上体が殻から出て、足を全部抜き出し多くは腹で逆さ吊り状態にまでなる。その後、足が固まると体を起こして腹部を抜き出し、足でぶら下がって翅を伸ばす。
 
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翌朝には[[外骨格]]が固まり体色がついた成虫となるが、羽化後の成虫の[[性成熟]]には雄雌共に日数を必要とする。オスはすぐに鳴けるわけではなく、数日間は小さな音しか出すことができない。ミンミンゼミの雌は、交尾直前になると、雄の鳴き声に合わせて腹部を伸縮させるようになるので、その時期を知ることができる。この行動はツクツクボウシの雌でもみられる。
 
===成虫===
成虫も幼虫と同じように木に口吻を刺して樹液を吸う。幼虫は道管液を吸うが、成虫が樹液を摂食した痕には[[糖]]分が多く含まれる液が出てきてアリなどが寄ってくることから、成虫の餌は[[師管]]液と考えられる。ほとんど動かず成長に必要な[[アミノ酸]]などを摂取すればよい幼虫と異なり、飛び回ったり生殖に伴う発声を行う成虫の生活にはエネルギー源として大量の糖分を含む師管液が適するのであろう。また逆に、土中の閉鎖環境で幼虫が師管液を主食とした場合、大量の[[糖]]分を含んだ[[甘露]]を排泄せざるを得なくなり、幼虫の居住場所の衛生が保てなくなるという問題もあり、幼虫が栄養価の乏しい道管液を栄養源とする性質にも合理性が指摘できる。
 
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== 分類 ==
=== セミ科 Cicadidae ===
;==== セミ亜科 Cicadinae====
* ニイニイゼミ族 Platypleurini
** ニイニイゼミ属 ''Platypleura'' : [[ニイニイゼミ]]、[[クロイワニイニイ]]、[[ミヤコニイニイ]]、[[ヤエヤマニイニイ]]、[[イシガキニイニイ]]、[[コニイニイゼミ]]
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** クサゼミ属 ''Mogannia'' : [[クサゼミ]]、[[イワサキクサゼミ]]、[[クロバネクサゼミ]]、[[ルリクサゼミ]]
 
;==== チッチゼミ亜科 Tibicininae====
* チッチゼミ族 Cicadettini
** チッチゼミ属 ''Cicadetta'' : [[チッチゼミ]]、[[エゾチッチゼミ]]、[[オカモトチッチゼミ]]、[[クサチッチゼミ]]、[[チョウセンチッチゼミ]]
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=== テチガルクタ科 Tettigarctidae ===
[[オーストラリア]]に1属2種が生息する。
*テチガルクタ属 ''Tettigarcta'' : [[チカメゼミ]]
 
== おもな種類 ==
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</gallery>
 
=== 外国産その他 ===
[[画像:Magicicada fg07.jpg|thumb|200px|ジュウシチネンゼミ]]
 
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: 特定の種類ではなく、''M. decim''、''M. cassini''、''M. decula''の3種類の総称として呼ばれる。翅端まで30-40mmで、セミとしては小型種。[[北アメリカ]]の中部・東部に分布し、うち北部に分布するものは17年に一度、南部に分布するものは13年に一度大発生を起こす(ジュウサンネンゼミ)。大発生時は採集しやすく、成虫を揚げて食べる人もいる。ジュウシチネンゼミ、ジュウサンネンゼミを合わせて'''周期ゼミ'''(Periodical cicada)、'''[[素数ゼミ]]'''とも総称される。
 
== 害 ==
===食用・薬用===
セミの抜け殻は[[中国]]で古くから蝉蛻(せんたい。蝉退とも書く)という[[漢方薬]]として使われており、止痒、解熱作用などがあるとされる。ちなみに日本で使われる蝉退配合の方剤に消風散があり、保険適用処方でも服用できる。
 
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沖縄でのセミ食の習慣については、同県出身の[[お笑い芸人]][[ダチョウ倶楽部]]のリーダー[[肥後克広]]が、子供の頃セミを焼いて食べたエピソードを紹介している。彼によれば翅と脚を除去し火で炙って食べる。特に腹腔が美味という。
 
===害===
樹木の小枝に産卵する雌ゼミが、あやまって[[電線]]や[[光ケーブル]]に産卵する場合があり、それによって[[通信]]に影響を与える場合があることが知られる。特に[[クマゼミ]]のメスが枯れ枝と間違えて光ケーブルに産卵してしまい、ケーブルが傷付いて断線してしまう事故が、クマゼミの生息域に該当する[[西日本]]で報告されている。
 
== 文化 ==
種毎に独特の鳴き声を発し、地上に出ると短期間で死んでいくセミは、日本では古来より感動と無常観を呼び起こさせ、「[[もののあはれ]]」の代表であった。蝉の抜け殻を空蝉(うつせみ)と呼んで、現世(うつしみ)と連して考えたものである。
 
=== 文芸 ===
===作品===
==== 文学 ====
* [[源氏物語]][[空蝉]]の巻
* [[俳諧]]
** 閑さや 岩に染み入る蝉の声([[松尾芭蕉]])
 
==== 音楽 ====
; 『蝉の曲』([[胡弓]]楽曲・[[箏曲]])
: 名古屋、京都で活躍した盲人音楽家[[吉沢検校]]が[[天保]]頃作曲。馬場守信作詞。胡弓の本曲として有名な曲。蝉の声に寄せて、夏の終わりに恋の終わりを予感する心情をうたっている曲。[[手事]](てごと - 楽器だけの長い間奏部)では胡弓が蝉の声を描写する美しい部分がある。 吉沢検校は天才音楽家として評判が高く、そのため同僚の音楽家たちに妬まれた。[[尾張徳川家]]の雛の[[節句]]でのこの曲の演奏のおり、[[箏]]の伴奏を同僚たちに頼んだが誰も受けてくれない。仕方なく胡弓を独奏したが、それが大変に素晴らしく、並みいる人々みな感じ入ったという。
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その他、[[鈴木輝昭]]が“tiritiritiri...”と表記するひぐらしのモティーフをよく合唱作品に用いる。
 
=== 欧米で扱い ===
* [[アイソーポス|イソップ]]童話の有名な「[[アリとキリギリス]]」の物語は、地中海南欧沿岸のギリシアで編纂された原話では、本来「アリとセミ」の話であった。セミは元来熱帯系の昆虫で、日本より緯度が高い[[ヨーロッパ]]や[[北アメリカ]]ではセミの種類も少なく、また小型で迫力がないので知名度が低い。そのため、より分かりやすいようにキリギリスに置き換えたもので、日本にはこの置き換えられた物語が伝わった。
* [[イギリス]]から北アメリカ[[移民]]した人々が、ジュウシチネンゼミ分布地に入植してこのセミの成虫の大量出現に遭遇したとき、驚いた移民達はいったいどういう昆虫なのか理解できず、[[聖書]]を紐解き、[[旧約聖書]]の[[出エジプト記]]などに記された[[蝗害]]の記事にこの現象を当てはめ、本来の英語でセミを示す cicada ではなく、蝗を意味する locust の語を当てた。そのため、アメリカ英語ではセミを言い表すときに、 cicada と locust の両方の語を使う慣習が生じた。
* [[明治維新]]の時、日本にやってきた[[ヨーロッパ]]人は[[イタリア]]や[[フランス|南仏]]などの地中海沿岸地域出身者を除くとセミを知らないものが多く、「なぜ木が鳴くのか」と尋ねたものもいたという。現在でも、日本のドラマを欧米に出すとき、夏の場面ではセミの声を消して送るという。日本ではいかにも暑い盛りのBGMと感じられるが、あちらでは妙なノイズが乗っていると思われる場合が多いという。
 
* セミの幼虫または、その抜け殻について全国共通の名称は存在しないが、多くの方言で成虫と区別する名称が存在する。一方「[[空蝉]](うつせみ)」はセミの抜け殻の古語である。
===呼び名===
* セミを捕えるのに失敗すると、逃げざまに「[[尿]]」をかけられることが多い。俗に「仕返しにおしっこをかける」などと言われるが、実際は飛翔の際に体を軽くするためという説や膀胱が弱いからという説もある。体内の余剰水分や消化吸収中の樹液を外に排出しているだけで、外敵を狙っているわけではない。そのため飛翔時だけでなく樹液を吸っている最中にもよく排出する。また、「セミのおしっこ」はほとんど水で、有害物質はほぼ含まれない。
* セミの幼虫または、その抜け殻について全国共通の名称は存在しないが、多くの方言で成虫と区別する名称が存在する。一方「[[空蝉]](うつせみ)」はセミの抜け殻の古語である。
 
== 脚注 ==