「子ども手当」の版間の差分

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=== 財源の問題 ===
民主党が野党時代から主張してきた政策であるが、財源の確保が明示されていないことが問題点として指摘されている。財源は初年度で2兆2500億円、翌年からは倍の4兆5000億円ほど必要になる予定。であり、その財源不足対し、民主党ついて[[扶養控除]]の廃止を充てるとされていた。これによって得られる税収増は扶養控除8000億円、配偶者控除6000億円であり、子ども手当の必要経費には及ばない<ref>{{cite news
|url=http://osaka.yomiuri.co.jp/mama/society/ms20091015kk03.htm
|title=扶養控除、財源難で廃止前倒し
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|date=2009-10-15
|accessdate=2009-10-18
}}</ref>。
}}</ref>。他にも、補正予算の[[子育て応援特別手当]]を停止することで1100億円積み増すなど財源の確保に努めている。子ども手当の負担について全額国側で負担するのか、[[地方公共団体]]に一部を負担をさせるのかで意見が割れるなど<ref>{{cite news
 
[[国際通貨基金]]や[[経済協力開発機構]]などの国際経済機関からも見直しを求められている。国際通貨基金(IMF)は日本の財政赤字が[[国内総生産]](GDP)に対して10.5%に達する見通しであると発表し、子ども手当など[[国債]]増発により[[イギリス]]や[[アイルランド]]のように大規模な財政調整が必要になると指摘した。経済協力開発機構(OECD)は、子ども手当を実行するよりも、OECD加盟国中最低の母親の就労率を上げるために保育施設の充実などといった[[少子化]]対策を行うべきだと指摘。また、税制改革として「[[負の所得税|給付付き税額控除]]」を導入し、所得格差を是正することを提言した<ref name="OECD">{{cite news
|url=http://megalodon.jp/2009-1120-0824-19/www.47news.jp/CN/200911/CN2009111801000220.html
|title=子ども手当は見直しを OECDの政策提言
|newspaper=[[共同通信]]
|date=2009-11-18
|accessdate=2010-04-17
}}</ref>。
 
==== 地方負担 ====
当初民主党は子ども手当の負担について全額国費で負担することを明言していたが、児童手当で設けられていた[[地方公共団体]]の一部負担について継続するかどうかで政府閣僚内で意見が割れた<ref>{{cite news
|url=http://osaka.yomiuri.co.jp/mama/society/ms20091020kk03.htm
|title=官房長官…子ども手当「地方負担も」全額国費財源厳しく
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|date=2009-10-20
|accessdate=2009-10-30
}}</ref>政府内で統制が取れ。また地方公共団体の負担の継続についおらず、地方から不満の声が噴出している<ref>{{cite news
|url=http://sankei.jp.msn.com/life/welfare/091022/wlf0910221158001-n1.htm
|title=子ども手当で全国知事会会長の福岡知事「地方負担、話が違う」
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|date=2009-10-22
|accessdate=2009-10-30
}}</ref>。実際に全国市長会では子ども手当を全額国費負担を求める決議を採択したされ<ref>{{cite news
|url=http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009112001000588.html
|title=全国市長会「全額国費負担を」 子ども手当と高校無償化
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|date=2009-11-20
|accessdate=2009-11-23
}}</ref>、[[松沢成文]][[神奈川県知事]]は地方負担なら子ども手当を[[ボイコット]]すると宣言、[[群馬県]]・[[静岡県]]・[[大阪府]]・[[和歌山県]]・[[岡山県]]・[[宮崎県]]の7人の[[知事]]連名の要望書を国に提出した。2010年度の子ども手当の財源確保にあたっては、自民党政権時において作られた2009年度[[補正予算]]の削減を行い、それを子ども手当の財源に回すとされており、[[子育て応援特別手当]]も支給停止となり、地方では混乱が見られた。なお補正予算の削減の中には、緊急の景気・雇用対策、[[新型インフルエンザ]]対策などの削減分もあり<ref>{{Cite web
}}</ref>。
また、[[松沢成文]][[神奈川県知事]]は地方負担なら子ども手当を[[ボイコット]]すると宣言、[[群馬県]]・[[静岡県]]・[[大阪府]]・[[和歌山県]]・[[岡山県]]・[[宮崎県]]の7人の[[知事]]連名の要望書を国に提出した。
 
自民党政権時において作られた2009年度[[補正予算]]の削減を行い、それを子ども手当の財源に回すとしているが、補正予算の中には、緊急の景気・雇用対策、[[新型インフルエンザ]]対策などが削られることになり<ref>{{Cite web
|author=大西孝弘
|authorlink=大西孝弘
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|publisher=[[日経BP社]]
|accessdate=2009-10-22
}}</ref>、[[竹中平蔵]]元[[総務大臣]]は、「小さな無駄を減らし、大きな無駄を作ることになる」と批判している。{{和暦|2010}}度予算の暫定措置として、支給額2兆2554億円から国の予算から差し引いた5089億円分を[[児童手当]]と同じく地方自治体や企業に負担させることで閣内で同意されたが<ref>{{cite news
|url=http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2009122300301
|title=地方と事業主も負担=子ども手当、10年度は1万3000円-政府
|newspaper=[[時事通信]]
|date=2009-12-23
|accessdate=2009-12-23
}}</ref>、2011年度以降も継続することに関しては、更なる地方からの反発がある。
 
==== 所得制限の有無 ====
子ども手当の財源が不足しているという指摘に関し、『[[産経新聞]]』がおこなった[[世論調査]]によれば、回答者の6割以上が「所得制限を行うべき」とし<ref>{{cite news
|url=http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091123/plc0911231726005-n1.htm
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|accessdate=2009-11-23
}}</ref>、所得制限は行わないこととなった。
 
[[国際通貨基金]]や[[経済協力開発機構]]などの国際経済機関からも見直しを求められている。国際通貨基金(IMF)は日本の財政赤字が[[国内総生産]](GDP)に対して10.5%に達する見通しであると発表し、子ども手当など[[国債]]増発により[[イギリス]]や[[アイルランド]]のように大規模な財政調整が必要になると指摘した。経済協力開発機構(OECD)は、子ども手当を実行するよりも、OECD加盟国中最低の母親の就労率を上げるために保育施設の充実などといった[[少子化]]対策を行うべきだと指摘。また、税制改革として「[[負の所得税|給付付き税額控除]]」を導入し、所得格差を是正することを提言した<ref name="OECD">{{cite news
|url=http://megalodon.jp/2009-1120-0824-19/www.47news.jp/CN/200911/CN2009111801000220.html
|title=子ども手当は見直しを OECDの政策提言
|newspaper=[[共同通信]]
|date=2009-11-18
|accessdate=2010-04-17
}}</ref>。
 
{{和暦|2010}}度予算の暫定措置として、[[地方公共団体|地方自治体]]や企業などが反発するなか、支給額2兆2554億円から国の予算から差し引いた5089億円分を[[児童手当]]と同じく地方自治体や企業に負担させることを、菅直人副総理、[[原口一博]][[総務大臣|総務相]]、[[藤井裕久]][[財務大臣|財務相]]、[[長妻昭]][[厚生労働大臣|厚生労働相]]が同意した<ref>{{cite news
|url=http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2009122300301
|title=地方と事業主も負担=子ども手当、10年度は1万3000円-政府
|newspaper=[[時事通信]]
|date=2009-12-23
|accessdate=2009-12-23
}}</ref>。
 
=== 扶養控除等廃止による負担増 ===
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}}</ref>。
 
=== 公平性年齢と学歴の表記 ===
子ども手当に関しては、「[[学齢]]期の者は全員、就学しており、かつ「年齢相当学年(「[[年齢主義と課程主義]]」を参照)」に在籍している」との前提を堅持する側を中心に、下記のように党・報道機関・行政機関などが[[学歴]]と[[年齢]]を一視している例が見られる。
[[大和総研]]の試算によれば、比較的高い所得層の手取り収入が大きく増えることになり、「所得が低いほど恩恵が大きい」仕組みにはならない、とされている<ref>{{cite news
|url=http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/288310/
|title=「子ども手当は高所得者に恩恵 大和総研が試算」:イザ!
|newspaper=[[産経新聞]]
|date=2009-08-10
|accessdate=2010-04-17
}}</ref>。
 
=== 年齢と学歴の混同 ===
子ども手当に関しては、「[[学齢]]期の者は全員、就学しており、かつ「年齢相当学年(「[[年齢主義と課程主義]]」を参照)」に在籍している」との前提を堅持する側を中心に、下記のように党・報道機関・行政機関などが[[学歴]]と[[年齢]]を混同している例が見られる。
 
民主党は2009年版[[マニフェスト]]や演説など、「中学卒業までの子どもに支給する」と謳っていが、実際に導入された制度では受給資格に学歴は関係なく用件を設けておらず、一定年齢の一定期日で打ち切られる制度となった<ref>たとえばドイツでは、「通常は18歳未満、失業者の場合は21歳未満、学生は27歳未満に支給」となっており、学生であるかによって違いがあるが、日本では公式文書の表記に反して中学生であるかどうかは一切関係ない。</ref>。
 
民主党の2007年版マニフェスト([http://www.dpj.or.jp/policy/manifesto/images/Manifesto_2007.pdf])においては、同じページに「義務教育終了まで支給します」と「中学校卒業まで支給します」の、矛盾する二種類の文が存在していた。その後の2009年版マニフェストでは、正しくない方の「中学校卒業まで」だけが残った形である。また2010年版マニフェストでも、年齢については明記されず、中学生という書き方になっている。
 
ほとんどの報道機関が、民主党の発表の表現に追随し倣い、子ども手当関連ことを記事にするときおいては、「中学卒業まで」や「中学3年生まで」などの表現を用いている。一方で、「15歳まで」などと年齢のみで表現している例は少ない<ref>Googleニュースなどによる検索では中学卒業や中学3年生までとの表記を用いている社が大多数であり、15歳との表記を用いているニュースは、あえて年齢を示した方が文の趣旨にそう場合にはある程度見られるものの、特段の意思がない場合はあまり使われていないようである。特に子ども手当制度の解説のための記事ではなく、子ども手当の支給が始まったなどのニュースにおいて、「中学3年生までの子どもがいる家庭に対して月1万3千円……」と一文で子ども手当の簡単な解説を兼ねているような書き方において、「中学」の方が使われる場合がほとんどである。[http://megalodon.jp/2010-0614-0954-33/mytown.asahi.com/tokushima/news.php?k_id=37000001006110003 一例]</ref>。
 
[[厚生労働省]]作成したパンフレットなどの公式発表でにおいても、年齢上限を書かずに「中学卒業修了まで」などの表記を用いている<ref>[http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/osirase/100402-1.html パンフレットなど](5月31日以降、リーフレットの方は新しい物に変更されているが、以前の物({{PDFlink|[http://www.mhlw.go.jp/seisaku/kaigi/2010/04/dl/k0414-1j.pdf]}})は年齢について書いていなかった)</ref>。なお、{{和暦|2010}}1月に開かれた国会議員と厚生労働省の官僚との会議において、議員の側から「子ども手当について、中学校卒業までとあるが、留年していた場合などにおいてはどのように取り扱われるのか。様々なケースが想定されるのでQ&Aを作ってほしい」との疑問と要望が出されているが<ref>[http://www.mhlw.go.jp/seisaku/kaigi/2010/01/k0114-2.html 第7回厚生労働省政策会議 議事要旨]</ref>、{{和暦|2010}}5月になっても、厚労省作成のQ&A「子ども手当について 一問一答」、「リーフレット「子ども手当」({{PDFlink|[http://www.mhlw.go.jp/seisaku/kaigi/2010/04/dl/k0414-1j.pdf]}})」の両方とも、対象年齢の説明が一切なく「中学校修了(卒業)」とのみ書かれていた。5月31日になって新しい「リーフレット「子ども手当」」が掲載されたが、これにも年齢と学歴がイコールの形で書かれており、留年した場合などについての解説はない。
 
また各市町村においても、年齢ではなく「中学生まで」などの表記をしている例が多数である。児童手当からの切り替えなどの実務に関する案内においても、「小学6年生」や「中学2~3年生」などの用語を用いている例が多く見られ、「同学年=同年齢」が前提原則を押し通し表現となっている。これにより、例えば{{和暦|2010}}4月1日時点で13歳以上の中学1年生(年齢制限により前年度は児童手当は不支給)を養育している親が受給を希望する場合、案内に従えば申請の必要はないことになるが、実際には「認定(額改定)請求書」を提出しなければ受け取り漏れが生じる<ref>この対象者には自治体より額改定請求書などが郵送される場合が多いが、サイトや市政だより記載の手続き案内との齟齬は存在するため、注意必要正確あるないなお、申請には期限がある(10月1日まで)。</ref>。
 
{{和暦|2000}}国勢調査によれば、学齢超過(=子ども手当対象外)の小中学生は5万6千人存在することが分かっている。これ以外にも学齢期の[[不就学]]者も外国籍児童を中心として多数おり、彼らも子ども手当の対象である。
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また、所得税の扶養控除等の基準日と一致させていないため、それらの差も含めると、さらに差が出る場合もある<ref>[http://www.sasaki-kensho.jp/gijiroku/download.php?f=upfile/1267512382-1.pdf&n=100301-05.pdf 早生まれの子どもへの子ども手当、扶養控除の廃止等による影響]、[http://www.it-kaikei.net/2010_05_%E6%97%A9%E7%94%9F%E3%81%BE%E3%82%8C%E3%81%AF%E3%83%80%E3%83%96%E3%83%AB%E6%90%8D/ 早生まれはダブル損]。ただしこれらの資料にある学年の箇所は誤りであり、実際は4月1日時点の年齢で決まる。</ref>。これらの、「[[早生まれ]]は損」の現象に対しては、2010年3月1日の衆議院財務金融委員会で共産党の[[佐々木憲昭]]議員が指摘している。
 
=== 未申請・支給漏れ ===
子ども手当の支給に当たって、新規に申請が必要な人は約350万人とされるが、2010年9月10日時点で厚生労働省が抽出して推計した結果、8.7%にあたる約30万人が未申請であることが分かった<ref>[http://sankei.jp.msn.com/life/welfare/100910/wlf1009101644000-n1.htm 子ども手当、未申請30万人か 9月末締め切り] - 産経新聞</ref>。締め切りは9月末であったため、厚生労働省では未申請者に向けて、申請を勧める動きが存在するが<ref>[http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000r7if.html 子ども手当の申請状況及び申請の周知について] - 2010年9月10日</ref>、その広報では「前年度に児童手当を受けていた世帯の、中学1年生以下の子」については、申請の必要がないような表現をしている<ref>[http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000r7if-img/2r9852000000r7m4.pdf ]</ref>。実際には、中学1年生以下であっても4月1日時点で13歳以上であれば、申請をしなければ支給漏れケース生ずる。
 
ただし、上記の30万人の中には、意図的に受け取らない意識の人もいるため、そのすべてが、4月1日時点で13歳以上の中学1年生以下の子に関するものではない。就学猶予・免除者数3千人強、学齢超過者数5万6千人という数字からすれば、4月1日時点で13歳または14歳である、中学1年生以下の学年の子の数(さらに弟・妹などがすでに児童手当支給対象である例)は、必ずしも末節な数字とはならない。日本ではアメリカのように、年齢と学年を対応させた精密な在学年齢調査<ref>[http://www.census.gov/population/socdemo/school/cps2003/tab02-01.xls アメリカの国勢調査]</ref>がなく、かなり大まかな数しかない上、弟・妹の存在によっても手続きが変わるので、この陥穽に落ち込む子どもの実数の推定は難しい。
 
また、公務員の場合とそれ以外の場合で、手続きは申請先変わ異なるため、未申請者の全てが支給さも混乱に拍車をかけている。ないというわけではない<ref>[http://www.topics.or.jp/localNews/news/2010/09/2010_128511905845.html 子ども手当30日締め切り 公務員中心に呼び掛け] - 徳島新聞<br>[http://desktop2ch.net/newsplus/1283701783/?guid=ON 子ども手当の未申請者把握できず 「公務員は勤務地で、一般市民は住所地で申請」と“別扱い”] - 読売新聞(原文消滅のため掲示板)</ref>自治体によっては未申請世帯に催促の文書を送っている。支給対象者公務員世帯のである場合、申請していても自治体側で把握できが困難ため、支給対象者が公務員世帯であるかを確認せずに自治体側が催促文書を送った場合、その分の経費が無駄になる場合があケースも在る。また、申請漏れの可能性がある世帯に個別に通知を送らない自治体もある。
 
==== 申請漏れが起きる例 ====
多くの自治体では、下記のような案内をしている。
*前年度に児童手当を受給していない世帯で、今年中学3年生以下の子どもがいる世帯は申請が必要。
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*前年度に児童手当を受給していた世帯で、今年中学2年生、中学3年生の子どもがいない世帯は申請が不要(中学1年生以下の子どもだけの場合は、申請が不要という意味)。
 
しかし、下記のような場合には、上記の案内では申請漏れが生じるケースがある。下記の図は、2010年4月1日時点で13歳である中学1年の子Aと、9歳である子Bがいて、Bについては児童手当を受給していた世帯の例である。
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!当該年度の4月1日時点の年齢