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{{Redirect|ハチミツ}}
[[ファイル:Runny_hunny.jpg|
'''蜂蜜'''(はちみつ)とは[[ミツバチ]]が花の蜜を採集し、巣の中で加工、貯蔵したものをいう<ref name="角田1997-154">[[#角田1997|角田1997]]、154頁。</ref>。自然界で最も甘い蜜といわれ<ref name="清水2003-2">[[#清水2003|清水2003]]、2頁。</ref>、本来はミツバチの食料であるが、しばしば他の生物が採集して食料としている<ref>[[#清水2003|清水2003]]、4頁。</ref>。約8割の糖分と約2割の水分によって構成され、ビタミン、ミネラルなど微量の[[有効成分]]を含む<ref name="清水2003-28-31">[[#清水2003|清水2003]]、28-31頁。</ref>。
==
=== ミツバチによる花の蜜の採集 ===
{{See also|ミツバチ}}
[[ファイル:Honeybee landing on milkthistle02.jpg|thumb|220px|花の蜜を採集する[[セイヨウミツバチ]]]]
蜂蜜のもととなる花の蜜は、メスのミツバチによって採集される。採集された花の蜜はショ糖液、つまり水分を含んだ[[スクロース]](ショ糖)の状態で胃の前部にある蜜嚢(蜜胃<ref>[[#原1988|原1988]]、39頁。</ref>)と呼ばれる器官に貯えられる。蜜嚢が蜂蜜で満たされるとミツバチは巣へ戻る<ref>[[#清水2003|清水2003]]、19頁。</ref>。
一般にミツバチが採集した花の蜜が蜂蜜であると考えられがちである<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、32頁。</ref>が、花の蜜が巣の中で加工、貯蔵されたものが蜂蜜であり<ref name="角田1997-154"/>、両者の性質には物理的、化学的な違いがある<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、34-35頁。</ref>。まず、花の蜜は蜂蜜よりも糖濃度が低い。一般に花の蜜の糖度は蜜蜂が採集した段階で40%未満であるが、巣に持ち帰られた後で水分の発散が行われる結果、蜂蜜の糖度は80%前後に上昇する<ref>[[#清水2003|清水2003]]、19-20頁。</ref>。また、水分発散のための作業の一つとして、蜜蜂は巣の中で口器を使って蜜を膜状に引き延ばすのであるが、この時蜜蜂の唾液に含まれる酵素([[インベルターゼ]]、転化酵素)が蜜に混入し、その作用によって蜜の中の[[スクロース]](ショ糖)が[[グルコース]](ブドウ糖)と[[フルクトース]](果糖)に分解される<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、34-35頁。</ref>。
ミツバチの口器を通してはこの他に、本来花の蜜には含まれない物質が混入する。一例として[[コリン (栄養素)|コリン]]が挙げられる。コリンはミツバチの[[咽頭腺]]から分泌される[[ローヤルゼリー]]に含まれる物質で、これはミツバチが花の蜜の水分の発散と並行して、同じく口器を用いて咽頭腺から分泌されたローヤルゼリーを[[女王蜂]]の幼虫に与える作業を行うため、ローヤルゼリー中のコリンが蜂蜜に混入するためと考えられる<ref name="渡辺2003-35-37">[[#渡辺2003|渡辺2003]]、35-37頁。</ref>。
ちなみに、中国の明代の薬学書『[[本草綱目]]』は皇腐珍奇という霊的な作用によって大便から蜂蜜が生成されると説いており、この説は同じく明代の産業技術書『[[天工開物]]』や日本の江戸時代の類書『[[和漢三才図会]]』に受け継がれた。日本ではこの説に対し、江戸時代の本草学者[[貝原益軒]]が蜂蜜は花の蜜から作られると反論した。日本初の養蜂書『[[家蜂畜養記]]』の著者[[久世敦行]]も同様に反論を行った<ref>[[#原1988|原1988]]、116-118頁。</ref>。
=== 人による蜂蜜の
{{See also|養蜂}}
{{multiple image
| image1 = Cueva arana.jpg
| width1 = 107
| caption1 = 蜂蜜採集の様子を描いた{{仮リンク|アラニア洞窟|en|Cuevas de la Araña en Bicorp}}の岩壁彫刻の模写
| image2 = Beekeper collecting swarm.jpg
| width2 = 180
| caption2 = ミツバチを採集する養蜂家
}}
{{仮リンク|エバ・クレーン|en|Eva Crane}}の研究によれば、1万年前にはすでに人類による採蜜が始まっていた<ref>"The Archaeology of Beekeeping", Eva Crane(1983)</ref>。人類は当初、野生のミツバチの巣から蜂蜜を採集していた<ref name="清水2003-12">[[#清水2003|清水2003]]、12頁。</ref>。[[1919年]]にスペインの{{仮リンク|アラニア洞窟|en|Cuevas de la Araña en Bicorp}}で発見された[[新石器時代]]の岩壁彫刻は人類とハチミツの関係を示す最古の資料とされ、片手に籠状の容器を持って[[梯子#縄梯子|縄梯子]]を登って天然の洞穴に近づき、蜂蜜の採集を試みる人物が描かれている<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、20-21頁。</ref>。この壁画では洞穴とミツバチが非常に大きく描かれており、古代人の蜂蜜への関心の高さとミツバチに対する恐怖の大きさを表していると解釈することができる<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、21頁。</ref>。
やがて人類は[[養蜂]]、すなわちミツバチを飼育して蜂蜜を得る方法を身につけた。エジプトではおよそ5000年前に粘土製の管状の巣箱を用いた養蜂が始められ、巣箱を移動させながら蜜を採集させること(転地養蜂)も行われた<ref name="清水2003-12"/>。[[ギリシア神話]]には養蜂の神[[アリスタイオス]]が登場する<ref>[[#原1988|原1988]]、84頁。</ref>。
養蜂は、閉鎖空間の中に巣を作るというミツバチの習性を利用し、内側をくり抜いた丸太や土管、わら縄製の[[スケップ]]、木製の桶などを用いて行われる<ref>[[#清水2003|清水2003]]、16頁。</ref>。かつては巣を切り取り、押しつぶして蜜を搾り取る方法が採用されていたが、これはミツバチに大きなダメージを与えるものであった<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、38頁。</ref>。現代的な養蜂では木製の枠の中に巣を作らせ、蜜が貯まると[[遠心分離器]]にかける方法が採用されている<ref name="渡辺2003-39">[[#渡辺2003|渡辺2003]]、39頁。</ref>。遠心分離器の活用によってミツバチ一群あたりの蜂蜜の採集量はおよそ5倍ないし10倍に増加した<ref name="渡辺2003-39"/>。
採集した蜂蜜には微量の花粉や巣の破片が含まれている。市場に流通している蜂蜜の多くは、それらをろ過した後で容器に詰められている<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、41-42頁。</ref>。ただしろ過には限界があり、若干残留する<ref>[[#原1988|原1988]]、167-168頁。</ref>。
== 成分と性質 ==
=== 成分 ===
蜂蜜は約8割の糖分と約2割の水分によって構成され、微量の[[有効成分]]([[ビタミン]]{{#tag:ref|[[ビタミンB1]]、[[ビタミンB2]]、[[ビタミンB6]]、[[ビタミンC]]、[[ビタミンK]]、[[ニコチン酸]]、[[パントテン酸]]、[[葉酸]]、[[ピオチン]]、[[コリン (栄養素)|コリン]]<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、102-107頁。</ref>。|group="†"}}、[[ミネラル]]{{#tag:ref|[[カルシウム]]、[[マンガン]]、[[カリウム]]、[[ナトリウム]]、[[マグネシウム]]、[[鉄]]、[[銅]]、[[硫黄]]、[[塩素]]、[[リン]]、[[ケイ素]]、[[ケイ酸]]<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、108頁。</ref><ref name="清水2003-29"/>。|group="†"}}、[[アミノ酸]]{{#tag:ref|[[プロリン]]、[[グルタミン酸]]、[[アラニン]]、[[ロイシン]]、[[イソロイシン]]など<ref name="清水2003-29"/>。|group="†"}}、[[有機酸]]{{#tag:ref|[[グルコン酸]]、[[コハク酸]]、[[酒石酸]]、[[酢酸]]、[[酪酸]]、[[シュウ酸]]、[[乳酸]]など10種類<ref>[[#清水2003|清水2003]]、29-30頁。</ref>。|group="†"}}、[[酵素]]{{#tag:ref|[[グルコースオキシターゼ]]、[[アミラーゼ]]、[[カタラーゼ]]<ref name="清水2003-30">[[#清水2003|清水2003]]、30頁。</ref>、[[インベルターゼ]]<ref name="清水2003-30"/><ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、93頁。</ref>、[[ジアスターゼ]]<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、94頁。</ref>など。|group="†"}}、[[色素]]{{#tag:ref|[[クロロフィル]]、[[カロテノイド]]、[[メラノイジン]]<ref name="清水2003-30"/>。|group="†"}}、香気物質{{#tag:ref|[[酢酸エチル]]、[[酢酸]]、1-フェニールアルコールなど約50種類。一般に、色が濃いものほど香気が強い<ref name="清水2003-30"/>。|group="†"}})も含まれる<ref name="清水2003-28-31"/>。有効成分が蜂蜜の中で果たす働きについては未解明な点も多い<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、84頁。</ref>。ビタミン、ミネラル、アミノ酸の多くは花粉に由来する<ref name="清水2003-29"/>。
糖分のほとんどは[[グルコース]](ブドウ糖)と[[フルクトース]](果糖)<ref name="清水2003-28">[[#清水2003|清水2003]]、28頁。</ref>で、少量の[[オリゴ糖]]<ref name="清水2003-28"/>と[[スクロース]](ショ糖)<ref name="清水2003-28"/><ref name="渡辺2003-90-91">[[#渡辺2003|渡辺2003]]、90-91頁。</ref>、さらに[[デキストリン]]も含まれる<ref name="渡辺2003-91-92">[[#渡辺2003|渡辺2003]]、91-92頁。</ref>。
グルコースとフルクトースが主成分であることから、蜂蜜は消化の必要なしに、手早くエネルギーを得ることができる<ref>[[#清水2003|清水2003]]、31頁。</ref>。グルコースとフルクトースの比率を比較すると、フルクトースの方が若干多い傾向にある<ref>[[#清水2003|清水2003]]、54頁。</ref><ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、88頁。</ref>。グルコースとフルクトースはともに[[単糖]]であり、摂取後体内でそれ以上消化・分解する必要がなく、短時間で体内に吸収される<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、6-7頁。</ref>。さらにフルクトースの吸収速度がグルコースのおよそ半分であることから、吸収によって血糖濃度が急激に変動することはない<ref>[[#原1988|原1988]]、23頁。</ref>。
スクロースは蜜蜂に採集される花の蜜の主成分であり、巣の中で蜂蜜に転化しなかったものである<ref name="渡辺2003-90-91"/>。標準的な蜂蜜に占めるスクロースやデキストリンの割合はせいぜい1ないし3%まで、5%を超える蜂蜜については分解が十分に進んでいないか、純粋ではない、つまり蜂蜜以外のものが混入していることを疑う必要がある<ref name="渡辺2003-91-92"/>。デキストリンは、人工的に作られたグルコースや水飴に大量に含まれる<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、157頁。</ref>。ただし甘露蜜([[#甘露蜜|後述]])は一般にデキストリンが10%前後前後含まれる<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、92頁。</ref>。
ミネラルの一つである[[鉄]]には[[タンニン]]と化学反応を起こして黒くなるという性質がある。そのため、紅茶の中に蜂蜜を入れて黒く変色するかどうかで蜂蜜の純粋かどうかを判別することができるといわれることがある。しかし蜂蜜には金属を溶解させる性質があり、鉄を含む金属の容器に貯蔵された場合、蜂蜜に溶け込んだ容器の鉄分がタンニンと反応を起こすため、確実な方法とはいえない<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、153頁。</ref>。
ビタミンのうち約9割は活性型で少量の摂取で効果が見込める上、きわめて安定しており果物と比べ貯蔵中の減少率が非常に少ない<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、101頁。</ref>。ビタミンの含有量は蜜源植物の種類によって大きく異なり、また脱臭脱色をすると大幅に、場合によってはほとんど全て失われてしまう<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、99-100頁。</ref>。
酵素のうち[[インベルターゼ]](転化酵素)は、前述のようにスクロースをグルコースとフルクトースに分解する働きを持ち、ミツバチが採集した花の蜜を蜂蜜に変化させる役割を担う<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、34-35・93頁。</ref>スクロースの分解が十分に進んでいない蜂蜜を採集した場合、インベルターゼの腹滝によって貯蔵中に分解が進む<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、93頁。</ref>。インベルターゼは熱によって機能を失う。そのため、分解が十分に進んでいない蜂蜜を加熱して水分を除去した場合、濃度を見ると標準的な蜂蜜だがショ糖の含有量が不自然に多い製品が出来上がってしまう<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、93-94頁。</ref>。[[グルコースオキシターゼ]]は、グルコースから有機酸([[グルコン酸]])を作り出す<ref name="清水2003-30">[[#清水2003|清水2003]]、30頁。</ref>。[[ジアスターゼ]]は[[デンプン]]をデキストリンや[[マルトース]](麦芽糖)に分解する働きをもつ。ドイツやオランダ、スイスの一部ではジアスターゼの含有量が少ない蜂蜜を、人為的な加工がされている可能性があるとして低く評価する傾向がある。しかしジアスターゼの含有量は蜜源植物の種類によって異なる面もあり、さらに長期間貯蔵中すると減少する<ref name="渡辺2003-94-95">[[#渡辺2003|渡辺2003]]、94-95頁。</ref>。アメリカの専門家の多くはジアスターゼの含有量に基づく商品価値の査定に否定的である<ref name="渡辺2003-94-95"/>。
=== 性質 ===
==== 結晶化 ====
[[ファイル:Cristallizzazione del miele IMG 0371.JPG|thumb|150px|結晶が沈殿した蜂蜜]]
蜂蜜には低温中で粒状の結晶ができ白く固まる性質があるが、これはグルコースの性質によるものである<ref>[[#清水2003|清水2003]]、28-29・58-59頁。</ref><ref>[[#清水2003|清水2003]]、78頁。</ref>。ただし低温であればあるほど結晶化しやすいというわけではなく、結晶化しやすいのは[[摂氏]]5度ないし14度弱であり、摂氏マイナス18度弱以下になるとほとんど結晶化しなくなるといわれている<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、80頁。</ref>。グルコースを多く含む蜂蜜ほど早く結晶化し<ref name="清水2003-29">[[#清水2003|清水2003]]、29頁。</ref>、グルコースの含有量が少なくフルクトースを多く含む蜂蜜は結晶化しにくい<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、78頁。</ref>。また、結晶化が早いと結晶のきめが細かくなる傾向がある<ref>[[#清水2003|清水2003]]、59頁。</ref><ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、81頁。</ref>。どのように結晶化していくかは、蜂蜜の比重によって異なる。比重の軽い蜂蜜の場合、液体状の蜂蜜より比重の大きい結晶が底に沈殿するため、底の方から結晶化するかのような印象を与える。比重の重い蜂蜜の場合、液体状の蜂蜜と結晶の比重の差がほとんど同じであるため、蜂蜜全体が結晶化していく<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、80-81頁。</ref>。加熱することで結晶は溶けるが、加熱し過ぎると色が濃くなったり風味が若干変化するなどの影響が生じる<ref>[[#清水2003|清水2003]]、59-60頁。</ref>。結晶をした蜂蜜は再び結晶しにくいが、溶け残った結晶があるとそれを核として再び結晶化が進行する<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、82頁。</ref>。結晶ができない蜂蜜は純粋ではないといわれることがある。これは多くの蜂蜜について妥当な判別法であるが、アカシアを蜜源とするものなど一部には純粋であってもなかなか結晶できない蜂蜜もある<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、154頁。</ref>。結晶を見て蜂蜜に砂糖が混入していると勘違いされることがある<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、78頁。</ref>。
==== 水素イオン指数 ====
蜂蜜の[[水素イオン指数]]は3.2ないし4.9と弱酸性であるが、これは有機酸を含むためである<ref>[[#清水2003|清水2003]]、29-30頁。</ref>。しかしながら、食品が身体に与える影響の観点からは、蜂蜜は[[酸性食品とアルカリ性食品|アルカリ性食品]]である。これは蜂蜜に含まれるカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムがアルカリ性を示すミネラルであり、さらに有機酸が体液をアルカリ性に変える働きをもつからである<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、16-17頁。</ref>。水素イオン指数は弱酸性であるが、蜂蜜を摂取する際には酸味が感じられない傾向にある。これはグルコースおよびフルクトースの甘みが強く、かつ有機酸の7割を占めるグルコン酸の酸味がまろやかであるためである<ref>[[#清水2003|清水2003]]、29-30頁。</ref>。
==== カロリー ====
蜂蜜の標準カロリーは、100[[グラム]]あたり約294キロカロリー<ref>[[#清水2003|清水2003]]、31頁(『四訂日本食品成分表』を根拠として挙げている。)。</ref>、または356キロカロリー<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、98頁。Huber Mackeyによる調査結果。</ref>で、卵の約2.5倍、牛乳の約6倍に相当する<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、98頁。</ref>。
==== 甘味度 ====
蜂蜜の甘味度は、採集された花の種類によって若干差があるものの、同重量のスクロースとほぼ同じとされる<ref name="清水2003-54">[[#清水2003|清水2003]]、54頁。</ref>。蜂蜜はフルクトースを多く含むが、フルクトースには甘味度が低温で高く、高温で低くなるという特徴がある<ref name="清水2003-54"/>。
==== 風味 ====
蜂蜜は甘さとともに、独特の風味を持つ。これは蜂蜜に含まれるビタミン、ミネラル、アミノ酸、有機酸、酵素などの微量成分に由来する。風味はミツバチが蜜を採集した花の種類によっても異なる<ref name="清水2003-55">[[#清水2003|清水2003]]、55頁。</ref>。
==== 浸透圧 ====
蜂蜜は浸透性が高いことで知られるが、これはグルコースとフルクトースの浸透性がともに高いからである<ref name="清水2003-55"/>。
== 利用法 ==
=== 食用 ===
[[ファイル:Med u sacu karlovic1.jpg|thumb|巣ごと容器に入れられた蜂蜜(単蜜)]]
[[ファイル:Pa amb sobrassada i mel.jpg|thumb|{{仮リンク|ソブラサーダ|en|Sobrassada}}と蜂蜜を乗せたパン料理]]
蜂蜜と[[人類]]の関わりは古く、英語には「蜂蜜の歴史は人類の歴史」ということわざがある<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、20頁。</ref>。蜂蜜は人類が初めて使用した甘味料といわれている<ref>[[#清水2003|清水2003]]、53頁。</ref>。[[イングランド]]南部では、紀元前2500年頃に壺型の土器に蜂蜜が入れられていた痕跡が発見されている<ref>[[#マン・ジョーンズ(編)2002|マン・ジョーンズ(編)2002]]、1頁。</ref>。
人類は当初、巣房(ミツバチの巣を構成する六角形の小部屋)ごと食べる形{{#tag:ref|巣ごと食べる蜂蜜を単蜜という<ref>[[#原1988|原1988]]、165頁。</ref>。|group="†"}}で蜂蜜を摂取した<ref>[[#清水2003|清水2003]]、7-8頁。</ref>。古代エジプトで蜂蜜は、[[イナゴマメ]]と並び主要な甘味料であった<ref>[[#原1988|原1988]]、97頁。</ref>。蜂蜜が人々の食生活に広く浸透し始めたのは古代ギリシャ時代のこと<ref name="渡辺2003-24">[[#渡辺2003|渡辺2003]]、24頁。</ref>で、ギリシア神話には巣に入った蜂蜜が供される場面が登場する<ref>[[#清水2003|清水2003]]、8頁。</ref>。古代ギリシャでは多くの文芸作品、さらには[[プラトン]]、[[アリストテレス]]といった哲学者の著作にも蜂蜜が登場する。アリストテレスの記述をもとにした試算では、当時の[[アッティカ]]の自由市民1人あたりの消費量は20世紀後半の日本の国民1人あたりの消費量をはるかに上回っている<ref name="渡辺2003-24"/>。それに応じて養蜂も盛んに行われ、[[プルタルコス]]の『[[対比列伝]]』には、政治家[[ソロン]]が活躍した時代に養蜂場間の距離規制(300プース以上離さなくてはならない)に関する法律が制定されたという話題が登場する<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、24-25頁。</ref>。
==== 調味料 ====
紀元前15世紀、[[トトメス3世]]時代のエジプトの遺跡の壁画には、養蜂とともに蜂蜜入りのパン菓子を作る様子が描かれている<ref>[[#清水2003|清水2003]]、45-46頁。</ref>。約300年後の[[ラムセス3世]]の墓の壁画にも同様の絵が描かれており、菓子の種類が増えていることが読み取れる<ref>[[#清水2003|清水2003]]、46頁。</ref>。
エジプトのパン菓子はギリシャに伝わった<ref name="清水2003-48">[[#清水2003|清水2003]]、48頁。</ref>。古代[[アテナイ]]の喜劇作家[[アリストパネス]]の作品『[[アカルナイの人々]]』([[紀元前425年]]発表)の中にも蜂蜜入りのパンが登場する<ref>[[#清水2003|清水2003]]、46-47頁。</ref>。当時、ギリシャ産の蜂蜜を使って72種類のパン菓子が作られていたといわれる<ref name="清水2003-47">[[#清水2003|清水2003]]、47頁。</ref>。同時に、パンと菓子の分化も進んでいった<ref name="清水2003-47"/>。当時蜂蜜は大変高価で、[[キュレネ]]の遺跡からは土地の権利と引き換えに蜂蜜を手に入れた入植者について記述された碑文が出土している<ref name="清水2003-48"/>。製菓、製パンにおいて蜂蜜は、甘みを加えるだけでなく天然酵母の発酵を促進する機能も有している<ref name="清水2003-47"/>。その後、蜂蜜を使ったパンや菓子はローマ、さらにヨーロッパ全土へと広まった<ref name="清水2003-48"/>。古代ローマにおいて蜂蜜はパン以外の料理にも用いられた。ローマの美食家[[マルクス・ガウィウス・アピキウス]]の著書『アピキウスの料理書』に収録されているレシピは西洋料理の起源とされるが、500点中170点ほどが蜂蜜を使用した料理に関するものである<ref>[[#清水2003|清水2003]]、50-52頁。</ref>。
東洋においては中国の[[戦国時代 (中国)|戦国時代]]、[[屈原]]による[[楚辞]]『招魂』の中に「粔籹蜜餌」という名の蜂蜜を用いた菓子が登場する<ref>[[#清水2003|清水2003]]、48-49頁。</ref>。「粔籹」は餅米粉と小麦粉、蜂蜜を混ぜて揚げた菓子を指し、「餌」[[キビ]]を臼でついて作った餅を指すことから、これはきび団子風の餅に蜂蜜をかけたもの、または餅に蜂蜜を混ぜて作ったものと推測される<ref name="清水2003-49">[[#清水2003|清水2003]]、49頁。</ref>。「粔籹」という語は紀元前2世紀の墳墓、[[馬王堆漢墓]]の副葬品の竹簡にも登場する<ref name="清水2003-49"/>。「粔籹」は日本にも伝わり、平安時代中期発行の『[[和名類聚抄]]』に登場する。ただしここでは製法について「蜜と米を和し煮詰めて作る」と紹介されており、内容が変化している。ちなみに『和名類聚抄』において本来の「粔籹」は、「環餅」(まがり)として紹介されている<ref name="清水2003-49"/>。
魚料理に用いると、魚の臭みを減らす働きをする。これは蜂蜜に含まれる酸が魚の臭みの原因である[[アミン]]の揮発性をなくすためである<ref name="清水2003-56">[[#清水2003|清水2003]]、56頁。</ref>。煮魚や照り焼きを作る際に味噌や醤油に蜂蜜を混ぜると、香りの良さが向上する。これは蜂蜜の香り自体が魚の臭いを覆うだけでなく、蜂蜜に含まれるグルコースとフルクトースが魚のタンパク質や味噌・醤油のアミノ酸とアミノカルボニル反応と呼ばれる反応を起こし、それによって生じた香り成分がアミンと結合し、魚臭さを打ち消すことによる<ref name="清水2003-56"/>。
肉料理に用いると、浸透性の高さによって肉の組織に浸透し、過熱による肉の収縮・硬化を防ぐ。また、蜂蜜に含まれる有機酸は肉の保水性を高め、肉を軟化させる。さらに蜂蜜に含まれるグルコースとフルクトースは熱によって短時間でカラメル化するため、肉の表面が固められ、内部に水分やうまみを閉じ込めることができる<ref>[[#清水2003|清水2003]]、57頁。</ref>。
炊飯の際に蜂蜜を加えると、グルコースとフルクトースが米の内部に浸透し保水性を高め、さらに加熱されたアミラーゼが米に含まれるデンプンをブドウ糖に転化することで味を高める効果をもたらす<ref>[[#清水2003|清水2003]]、57-58頁。</ref>。
その他、調味料としての蜂蜜はリンゴ、レンコウ、ゴボウなどの褐色変化を防ぐ、イースト菌の発酵を促進するといった効果をもたらす<ref>[[#清水2003|清水2003]]、58頁。</ref>。
==== 蜂蜜酒 ====
{{main|蜂蜜酒}}
[[ファイル:Met Flasche und Glas.jpg|thumb|170px|蜂蜜酒]]
蜂蜜に蜂蜜と水が混ざった液体(蜂蜜水)の糖分が発酵すると、アルコールへと変化する。その結果出来上がるのが[[蜂蜜酒]]で、人類最古の酒とされる<ref>[[#清水2003|清水2003]]、9頁。</ref>。蜂蜜は発酵しやすく、水で割って温かいところに置くだけで蜂蜜酒を作ることができる<ref>[[#原1988|原1988]]、91頁。</ref>。蜂蜜酒は古代のヨーロッパ、とりわけ北欧で愛飲され、人々の暮しと密接に関わっていた<ref name="清水2003-10">[[#清水2003|清水2003]]、10頁。</ref>。北欧神話には蜂蜜酒が度々登場する<ref>[[#原1988|原1988]]、92頁。</ref>。古代ギリシャ人は[[ワイン]]を飲むようになる前は蜂蜜酒を愛飲しており、ギリシア神話に登場する豊穣とブドウ酒と酩酊の神[[ディオニューソス]]はもとは蜜酒の神であったといわれている<ref name="渡辺2003-2">[[#渡辺2003|渡辺2003]]、2頁。</ref>。ローマ時代には各家庭が常備薬として蜜酒を置いた<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、25頁。</ref>。「[[ハネムーン]]」という言葉は、夫婦が新婚の1か月間を蜂蜜酒を飲みながら過ごすという古代ゲルマン民族の風習が起源であるともいわれている<ref name="清水2003-10"/><ref name="渡辺2003-2"/><ref name="原1988-93">[[#原1988|原1988]]、93頁。</ref>{{#tag:ref|これとは別に、ムーンは月を指し、「蜂蜜のように甘い夫婦の愛情も月のように欠けていく」という意味だとする説もある<ref name="原1988-93"/>。|group="†"}}。ビールやワインの登場後も蜂蜜酒はヨーロッパにおいて[[地酒]]として愛飲された<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、3頁。</ref>。
古代ローマの文献には次のような蜂蜜酒の製造法が記録されている。
{{Quotation|酒は水とハチ蜜だけでもつくれる。そのためには[[天水]]を5年間貯えておくのがよいとされている。もっと練達の人々は、降って間もない雨水を用いる。すなわち、それを3分の1量に煮詰め、古いハチ蜜1に水3の割合で加え、その混合物を[[シリウス|シリウス星]]が昇った後、40日間[[太陽光|天日]]に曝しておく。|[[#清水2003|清水2003]]、9-10頁。}}
蜂蜜酒の発酵について人類は当初、蜂蜜に含まれる野生酵母に頼っていたが、発酵の早さや発酵の結果得られる風味を調整する技法を身につけていった<ref name="清水2003-10"/>。
[[オラウス・マグヌス]]の著書『[[北方民族文化誌]]』には、中世の北欧における、「生ビール風蜂蜜酒」というべき蜂蜜酒の製法として次のようなものが記されている。
{{Quotation|上等のハチミツ1に対し水4を用意する。鍋に半量の水を取ってハチミツを混ぜ入れ、[[リンネル]]をかぶせた杓子で泡を少しずつ除きながら煮立てる。次に別の鍋に残りの水を入れ、リンネル袋に入れた[[ホップ]]の花を煮立て、半分量まで煮詰めて、苦みを出す。木製の容器に両方を移して混合して厚い布で覆いをし、ぬるくなってからビールの沈殿物あるいはパン種を加える。翌日この混合液をリンネルの布で漉して別の容器に移し、蓋をして保存する。8日目、あるいは緊急の場合にはそれよりも以前に飲んでも大丈夫である。しかしその飲み物は古くなればなるほど純粋でうまく体にも良いものになる。|[[#清水2003|清水2003]]、9-10頁。}}
=== 薬用 ===
{{Medical}}
蜂蜜については人類の長年にわたる経験をもとに、古来様々な薬効が謳われてきた<ref name="渡辺2003-114">[[#渡辺2003|渡辺2003]]、114頁。</ref>。[[旧約聖書]]には、「心地良い言葉は、蜂蜜のように魂に甘く、身体を健やかにする」ということわざが登場する。この言葉から、人類が早くから蜂蜜の健康上の効能について認識していたことがうかがえる<ref name="清水2003-2"/>。
古代エジプトの医学書[[エーベルス・パピルス]]および[[エドウィン・スミス・パピルス]]には内用薬{{#tag:ref|エーベルス・パピルスからは、蜂蜜が[[瀉下薬]]、[[駆虫薬]]として活用されていたことが読み取れる。渡辺孝は、現代においてもあまり知られていない蜂蜜の駆虫作用が紀元前1600年代に知られていたことは注目も値すると述べている<ref name="渡辺2003-23">[[#渡辺2003|渡辺2003]]、23頁。</ref>。|group="†"}}および外用薬([[軟膏剤]]、[[湿布薬]]<ref>[[#清水2003|清水2003]]、24頁。</ref>、[[坐薬]]<ref>[[#原1988|原1988]]、114頁。</ref>)への蜂蜜の活用が描かれている<ref>[[#清水2003|清水2003]]、24-25頁。</ref>。『[[旧約聖書]]』の「サムエル記・上」には疲労と空腹により目のかすみを覚えた[[ヨナタン]]が蜂蜜を食べて回復する逸話が登場する<ref>[[#清水2003|清水2003]]、25頁。</ref>。
古代ギリシャでは医学者の[[ヒポクラテス]]が[[炎症]]や[[潰瘍]]、[[ニキビ|吹き出物]]などに対する蜂蜜の治癒効果を称賛している<ref>[[#マン・ジョーンズ(編)2002|マン・ジョーンズ(編)2002]]、4頁。</ref>。古代ローマの皇帝[[ネロ]]の侍医[[アンドロマコス]]は、蜂蜜を使った膏薬テリアカを考案した。テリアカは[[狂犬病]]に罹った犬や毒蛇に噛まれた際の、さらには[[ペスト]]の治療薬として用いられた<ref>[[#原1988|原1988]]、122-123頁。</ref>。テリアカの存在は[[奈良時代]]に日本へ伝えられ、江戸時代になってオランダ人によって現物が持ち込まれた<ref>[[#原1988|原1988]]、123-124頁。</ref>。
中国の本草書『[[神農本草経]]』(成立は[[後漢]]から[[三国時代 (中国)|三国時代]]の頃)には「石蜜」と呼ばれる野生の蜂蜜の効用について、「心腹の邪気による病を治し、驚きやすい神経不安の病やてんかんの発作をしずめる。五臓の心臓・肝臓・肺臓・腎臓・脾臓を安らかにし、諸不足に気を益し、中を補い、痛みを止め、解毒し多くの病を除き、あらゆる薬とよく調和する。これを長く服用すれば、志を強くし、身体の動きが軽くなり、飢えることもなく、老いることもない」と記されており<ref>[[#清水2003|清水2003]]、25-26頁。</ref>、中国最古の処方集である『[[五十二病方]]』([[戦国時代_(中国)|戦国時代]])には蜂蜜を用いた利尿剤の処方が記されている<ref>[[#清水2003|清水2003]]、26頁。</ref>。明代の薬学書『本草綱目』には「十二臓腑ノ病ニ宜シカラズトイフモノナシ」と、あらゆる疾病に対し有効な万能薬と記述されている<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、30頁。</ref>。同書には[[張仲景]]による医学書『[[傷寒論]]』を引用する形で、蜂蜜を使った外用薬(坐薬)の作り方も登場する<ref>[[#原1988|原1988]]、113-114頁。</ref>。
日本では平安時代の医学書『[[大同類聚方]]』に「須波知乃阿免」、すなわち「巣蜂の甘い味」として蜂蜜が登場している<ref>[[#清水2003|清水2003]]、27頁。</ref>。
[[漢方薬]]では[[生薬]]の粉末を蜂蜜で練って[[丸剤]](丸薬)をつくる。例として[[八味地黄丸]]がある<ref>[[#原1988|原1988]]、118-119頁。</ref><ref>[[#大塚1956|大塚1956]]</ref>。江戸時代の医師[[栗本昌蔵]]は、著書の中で丸薬を作る際の蜂蜜の使い方について解説している<ref>[[#原1988|原1988]]、120頁。</ref>。
==== 薬効とその科学的根拠 ====
古来謳われてきた薬効について科学的な検証を行ったところ、ある程度の信憑性が確認されている<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、114頁。</ref>。
蜂蜜は古来、外科的な治療に用いられてきた<ref>[[#清水2003|清水2003]]、31頁。</ref>。古代ローマの軍隊では蜂蜜に浸した包帯を使って傷の治療を行っていた<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、132頁。</ref>。蜂蜜には強い殺菌力ことが確認されており、[[サルモネラ|チフス菌]]は48時間以内に、[[サルモネラ|パラチフス菌]]は24時間、[[赤痢菌]]は10時間で死滅する<ref name="渡辺2003-135">[[#渡辺2003|渡辺2003]]、135頁。</ref>。また、皮膚の移植片を清浄で希釈や加工のされていない蜂蜜の中に入れたところ、12週間保存することに成功したという報告がある<ref>[[#マン・ジョーンズ(編)2002|マン・ジョーンズ(編)2002]]、10頁。</ref>。蜂蜜の殺菌力の根拠についてカナダのロックヘッドは、浸透圧が高いことと、水素イオン指数が3.2ないし4.9で弱酸性であることを挙げている<ref name="渡辺2003-135"/>。蜂蜜の持つ高い糖分は細菌から水分を奪って増殖を抑える効果をもたらし{{#tag:ref|蜂蜜の吸水性は膿を吸い出す効果や、火傷が水ぶくれになるのを防ぐ効果ももたらす<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、133頁。</ref>。|group="†"}}<ref>[[#清水2003|清水2003]]、31・55頁。</ref>、3.2ないし4.9という水素イオン指数は細菌の繁殖に向いていない<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、136頁。</ref>。しかしながらポーランドのイズデブスカによって、蜂蜜に水を混ぜて濃度を10分の1に薄めても殺菌力を発揮することが確認され、ロックヘッドの主張と両立しないことが明らかとなった<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、135-136頁。</ref>。アメリカのベックは、皮膚のただれた箇所に蜂蜜を塗って包帯を巻くと[[リンパ]]が分泌され、それにより殺菌消毒の効果が得られると主張している<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、132-133頁。</ref>。前述のように蜂蜜に含まれる酵素グルコースオキシターゼは、グルコースから有機酸(グルコン酸)を作り出す<ref name="清水2003-30"/>が、その過程で生じる[[過酸化水素]]には殺菌作用がある<ref>[[#清水2003|清水2003]]、31-32・55-56頁。</ref>。人類は古くから蜂蜜がもつ殺菌力に気付いていたと考えられ<ref name="清水2003-56">[[#清水2003|清水2003]]、56頁。</ref>、防腐剤として活用した{{#tag:ref|ローマの美食家[[マルクス・ガウィウス・アピキウス]]の著書『アピキウスの料理書』には肉や野菜を蜂蜜につけて保存する方法について記されている<ref name="清水2003-56"/>。|group="†"}}{{#tag:ref|古代エジプトでは[[ミイラ]]を作る際の材料の一つとして用いられたとされる<ref>[[#原1988|原1988]]、124-125頁。</ref>。[[アレクサンドロス3世]]が[[バビロン]]で死亡すると、死体を蜂蜜に漬けてアレクサンドリアまで運ばれたと伝えられている<ref>[[#原1988|原1988]]、126-127頁。</ref>。|group="†"}}。
蜂蜜は古来[[瀉下薬]]として用いられ<ref name="清水2003-32">[[#清水2003|清水2003]]、32頁。</ref><ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、22・116頁。</ref>、同時に[[下痢]]にも効くとされてきた<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、116頁。</ref>。蜂蜜に含まれるグルコン酸には腸内の[[ビフィズス菌]]を増やす効能があり、これが便秘に効く理由と考えられる<ref name="清水2003-32"/>。フランスの医学者ドマードは、悪性の下痢を発症し極度の[[栄養失調]]状態にある生後8か月の乳児に水と蜂蜜だけを8日間、続けてヤギの乳と水を1:2の割合で混ぜたものを与えたところ、健康状態を完全に回復させることに成功したと報告している。これは、蜂蜜のもつ殺菌作用によって腸内環境が改善されたためと考えられている<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、117頁。</ref>。
古代エジプトの医学書中には盲目の馬の目を塩を混ぜた蜂蜜で3日間洗ったところ目が見えるようになったという記述が登場する<ref name="渡辺2003-23"/>。また、[[マヤ文明]]では[[ハリナシバチ]]が作った蜂蜜を眼病の治療に用いていた<ref>[[#マン・ジョーンズ(編)2002|マン・ジョーンズ(編)2002]]、10-11頁。</ref>。その後、蜂蜜が[[白内障]]の治療に有効であることが科学的に明らかとなった<ref>[[#マン・ジョーンズ(編)2002|マン・ジョーンズ(編)2002]]、11頁。</ref>。
欧米には「ハチミツが[[悪性腫瘍|ガン]]にきくという漠然とした"信仰"に近いもの」が根強く存在する<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、128頁。</ref>。1952年に西ドイツのアントンらが19000人あまりを対象に職業別の悪性腫瘍発症率を調べたところ、ほとんどの職業において1000人中2人の割合であったところ、養蜂業の従事者については1000人中0.36人の割合であった。この結果からは養蜂業従事者の生活習慣の中に悪性腫瘍を抑制する要因があることが読み取れるが、それを蜂蜜の摂取に求める見解がある<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、128-129頁。</ref>{{#tag:ref|ミツバチにさされることに求める見解もある<ref name="渡辺2003-129">[[#渡辺2003|渡辺2003]]、129頁。</ref>。|group="†"}}。フランスのアヴァスらは、動物実験によってハチミツに悪性腫瘍を抑制する作用があることを確認している<ref name="渡辺2003-129"/>。また、前述のように蜂蜜には生成の過程でローヤルゼリーに含まれる物質が混入すると考えられている<ref name="渡辺2003-35-37">[[#渡辺2003|渡辺2003]]、35-37頁。</ref>が、カナダのタウンゼンドらはローヤルゼリーの中に悪性腫瘍を抑制する物質(10ヒドロゲン酸)を発見している<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、129-130頁。</ref>。
二日酔いには蜂蜜入りの冷たい水が有効であるとされる<ref name="清水2003-32"/>。蜂蜜に含まれるフルクトースは肝臓がもつアルコール分解機能を強化する効果をもち<ref name="清水2003-32"/>、さらにコリンやパントテン酸にも肝臓の機能を高める作用がある<ref name="渡辺2002-121">[[#渡辺2003|渡辺2003]]、121頁。</ref>。デンマークの医師ラーセンは、泥酔者に蜂蜜を飲ませたところ、短時間で酔いから覚めたと報告している。また、ルーマニアのスタンリューは124人の肝臓病患者が蜂蜜を摂取することにより全快したと報告している<ref name="渡辺2002-121"/>。
古代ローマの詩人[[オウィディウス]]は『恋愛術(恋の技法)』の中で、精力剤としてヒュメトス産の蜂蜜を挙げている。蜂蜜の精力増強作用について、19世紀の科学者は懐疑的であったが、20世紀に入りイタリアのセロナは0.9グラムの蜂蜜中に20国際単位の発情物質が含まれることと発表した<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、118-119頁。</ref>。
蜂蜜には血圧を下げる効能があるといわれてきた<ref name="渡辺2002-121"/>。蜂蜜にはカリウムが多く含まれるが、食塩を過剰に摂取した際にカリウムを摂取すると血圧を下げることができる<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、122頁。</ref>。また、蜂蜜に含まれるコリンには高血圧の原因となる[[コレステロール]]を除去する効果がある<ref name="渡辺2002-121"/>。
古代エジプトや中国の文献には、蜂蜜の駆虫作用に関する記述がみられ、[[甘草]]と小麦粉、蜂蜜から作った[[漢方薬]]「甘草粉蜜糖」は駆虫薬として知られる<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、122頁。</ref>。{{和暦|1952}}に日本の[[岐阜県]][[岐阜市]]にある小学校で実験が行われ、蜂蜜を飲んだ小学生の便からは回虫の卵がなくなるという結果が得られた<ref name="渡辺2003-123">[[#渡辺2003|渡辺2003]]、123頁。</ref>。蜂蜜に含まれるどの成分が駆虫作用をもたらすかについては明らかになっていない<ref name="渡辺2003-123"/>。
その他に、鎮静作用<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、119-120頁。</ref>が認められ、咳止め<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、125-127頁。</ref>、[[神経痛]]および[[リウマチ]]<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、127-128頁。</ref>、[[消化性潰瘍]]<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、114-116頁。</ref>、[[糖尿病]]<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、130-132頁。</ref>に対する効能が謳われている。
===
蜂蜜は古来、芳香剤として利用されてきた<ref name="原1988-171">[[#原1988|原1988]]、171頁。</ref>。古代エジプトには蜂蜜と[[没薬]]、[[松脂]]、[[ワイン]]に浸した[[ショウブ|菖蒲]]や[[シナモン]]を混ぜて作られた{{仮リンク|キフィー|en|Kyphi}}と呼ばれる[[煉香]]があった<ref name="原1988-171"/>。古代の中国にも蜂蜜を用いた煉香があった<ref name="原1988-171"/>。[[平安時代]]の日本にも蜂蜜を使った香があり、『[[源氏物語]]』「[[鈴虫]]」の冒頭には「荷葉の方をあはせたる名香、蜜をかくしほろろげて、たき匂はしたる」{{#tag:ref|国文学者の[[山岸徳平]]はこれを、「荷葉の香の仕方(方法)を、調合に用いた名香は、蜂蜜を目立たぬように少し加えて、ぼろぼろと脆くして焚いた匂いが」と訳している<ref name="渡辺2003-28">[[#渡辺2003|渡辺2003]]、28頁。</ref>。|group="†"}}という記述が登場する<ref name="渡辺2003-28"/>。[[敦明親王|小一条院]]皇后の[[女房]]であった人物は、蜂蜜を用いた香には虫が湧くという記録を残している<ref name="原1988-172">[[#原1988|原1988]]、172頁。</ref>。香の中には飴のようになめて使うものもあり、服用を続けると顔を洗った水や抱いた子供にまで匂いが移ったとされる<ref name="原1988-172"/>。タバコの中には香りの調整に蜂蜜を使用しているものもある<ref>[[#原1988|原1988]]、172-173頁。</ref>。
=== 化粧品 ===
蜂蜜は、古代エジプト・ギリシャの時代から化粧品に用いられ、[[クレオパトラ7世]]は蜂蜜を用いて化粧をし<ref name="渡辺2003-134">[[#渡辺2003|渡辺2003]]、134頁。</ref>、古代ローマの皇帝ネロの妻は蜂蜜とロバの乳を混ぜたローションを使っていたと伝えられている<ref name="原1988-169">[[#原1988|原1988]]、169頁。</ref>。蜂蜜を用いたもっとも有名な化粧品の一つとして、パックが挙げられる<ref name="渡辺2003-134"/>。蜂蜜の糖分には肌を整える働きがあり<ref name="渡辺2003-134"/>、ビタミンB1には血行をよくし、新陳代謝を高める作用がある<ref>[[#原1988|原1988]]、170-171頁。</ref>。
== 蜂蜜の種類 ==
{{See also|はちみつ類の表示に関する公正競争規約}}
=== 蜜源植物による分類 ===
[[ファイル:ゲンゲ.jpg|thumb|200px|日本における代表的な蜜源植物である<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、55頁。</ref><ref>[[#清水2003|清水2003]]、37頁。</ref><ref>[[#角田1997|角田1997]]、127頁。</ref>レンゲ]]
蜜源となりうる花が複数ある場合、複数の花の蜜が混じった蜂蜜ができるのではないかと考えられがちである。しかしミツバチには一つの花から蜜を採集すると、可能な限り他の花の蜜を採集しないという性質がある(訪花の一定性)<ref name="渡辺2003-43">[[#渡辺2003|渡辺2003]]、43頁。</ref>。さらに蜜蜂には[[ミツバチのダンス]]と呼ばれる8の字に飛び回る行動によって仲間に蜜源を知らせる習性があるが、豊富な蜜源については激しく飛び回って知らせる一方、貧弱な蜜源についてはほとんど、時にはまったく教えようとしない<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、43-46頁。</ref>。このような理由から、現実には(厳密にはわずかな混入は避けられないが)ほぼ純粋に一つの花から蜜を採集して作られた蜂蜜を採集することが可能である<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、43・46頁。</ref>。蜂蜜は主要な蜜源によってレンゲ蜜、アカシア蜜などと分類され<ref>[[#清水2003|清水2003]]、35頁。</ref>、蜜源が複数ある場合には「百花蜜」と呼ばれる<ref>[[#清水2003|清水2003]]、42-43頁。</ref>。人間の手で蜜がブレンドされた場合も百花蜜という<ref>[[#清水2003|清水2003]]、43頁。</ref>。
蜂蜜の風味や色は、蜜源となった花の種類によって異なる。同じ種類の花から作られた蜂蜜でも地域によって(主に採蜜法の違いから{{#tag:ref|採蜜をこまめに行う地域では蜜源植物が一つであるといって差し支えない蜂蜜がとれるが、1年に1、2回しか採蜜しない地域では様々な蜜源の蜂蜜が混合し純粋性が損なわれる<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、54頁。</ref>。|group="†"}})品質が異なる<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、53-54頁。</ref>。国や地域によって好みが分かれる蜂蜜もあり、たとえばソバ蜜は日本で敬遠される一方、フランスでは[[ジンジャーブレッド]]の原料として重宝されている<ref>[[#清水2003|清水2003]]、36-42頁。</ref>。同様に[[シナノキ]]の蜂蜜はドイツやロシアでは最高級品とされるが、日本では[[ゲンゲ|レンゲ]]や[[アカシア]]、[[トチノキ]]、さらにはドイツではあまりに評価が低くミツバチの餌にされている[[ナタネ]]の蜂蜜よりも格が落ちる<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、50-51頁。</ref>。養蜂家の渡辺孝は、香りの強い蜂蜜が日本では敬遠され、ヨーロッパでは好まれる傾向があると指摘する<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、51頁。</ref>。
なお、一部ではミツバチが採蜜のために訪れるとは考えにくい花([[クローバー]]など)や、開花時期の関係から採蜜が不可能な花([[ウメ]]など)の名前を冠する蜂蜜が販売されていることもあり、注意を要する<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、74-75頁。</ref>。
=== 蜂蜜の色による分類 ===
[[ファイル:A bewildering choice of honey^ - geograph.org.uk - 226304.jpg|thumb|さまざまな色の蜂蜜]]
アメリカ合衆国では、蜂蜜の色を基準にした分類法も存在する。ただし色が同じ蜂蜜の味が同じとは限らず、蜜源植物が同じであっても貯蔵される巣の状態によって色が異なる<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、54-55頁。</ref>。
=== 物質の状態による分類 ===
採集された蜂蜜は液体であるが、これを固体の状態にした蜂蜜も存在する。具体的には粉末にしたもの<ref>[[#原1988|原1988]]、149頁。</ref>、飴玉状のものがある<ref>[[#原1988|原1988]]、167頁。</ref>。
=== 甘露蜜
[[アブラムシ]]が分泌する甘い体液をミツバチが採集したものを甘露蜜という。これは厳密には蜂蜜の定義に当てはまらないものであるが、ドイツでモミなどの針葉樹に寄生するアブラムシに由来する甘露蜜がモミのハチミツ(''Tannenhonig'')として最高級品の扱いを受けるなど、ゲルマン諸国で人気が高い<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、75頁。</ref>。
{{Clear}}
[[ファイル:Clostridium_botulinum.jpg|thumb|180px|[[ボツリヌス菌]]。乳児が蜂蜜を摂取すると、乳児ボツリヌス症を発症することがある]]
小児科学者の[[詫摩武人]]は、臨床実験の結果、蜂蜜を与えられた乳幼児には砂糖を与えられた乳幼児と比べて発育がよく、下痢などの疾病の発症率が低下する、赤血球数および血色素量が増加するなど複数の好ましい現象が確認されたと報告している<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、137-138頁。</ref>。その他にも蜂蜜が乳幼児の発育の好ましい結果をもたらすという報告が多くされている<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、137頁。</ref>。ギリシア神話には、[[ゼウス]]<ref>[[#渡辺2003|渡辺2003]]、116-117頁。</ref><ref>[[#原1988|原1988]]、84頁。</ref>やその子[[ディオニューソス]]<ref>[[#清水2003|清水2003]]、33頁。</ref>が蜂蜜と羊の乳を与えられて育つ逸話が登場する。
しかしながら蜂蜜の中には[[芽胞]]を形成し活動を休止した[[ボツリヌス菌]]が含まれている場合がある。通常は摂取してもそのまま体外に排出されるが、乳児が摂取すると(芽胞の発芽を妨げる[[腸内細菌#腸内細菌叢とその構成|腸内細菌叢]]が備わっていないため)体内で発芽して毒素を出し、中毒症状([[乳児ボツリヌス症]])を引き起こすことがあるため、注意を要する<ref>[[#清水2003|清水2003]]、33-34頁。</ref>。芽胞は高温高圧による[[滅菌]]処理(120℃で4分以上)の加熱で不活性化されるが、蜂蜜においては酵素が変質するのでこの処理は不向きである<ref>{{Cite web|url = http://www.honey-comb.jp/honeyknowledge.html|title = 蜂蜜の知識|publisher = 有限会社福島商事|language = 日本語|accessdate = 2011年9月28日}}</ref>。日本では1987年に[[厚生省]]が「1歳未満の乳児には与えてはならない」旨の通達を出している<ref>{{Cite web|url = http://homepage3.nifty.com/kodomoER/ikuji/q19y03b.htm|title = 離乳食などにハチミツを用いない方が良いのはなぜ?|work=広島舟入こども相談室|publisher = |language = 日本語|accessdate = 2011年9月28日}}</ref>。同省の調査によると、およそ5%の蜂蜜からボツリヌス菌の芽胞が発見された<ref>[[#原1988|原1988]]、141頁。</ref>。
[[トリカブト]]、[[レンゲツツジ]]の[[花粉]]や蜜は有毒である<ref>Sutlupinar, N. et al. 1993. Poisoning by toxic honey in Turkey. Arch. Toxicol . 67:148-50.</ref><ref>{{Cite web|url = http://niah.naro.affrc.go.jp/disease/poisoning/plants/pieris.html|title = アセビ|work=写真で見る家畜の有毒植物と中毒|publisher = 独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所|language = 日本語|accessdate = 2011年9月28日}}</ref>。ツツジ科植物の有毒性は古くから知られ、紀元前4世紀のギリシャの軍人・著述家の[[クセノフォン]]は兵士たちがツツジ属植物や[[ハナヒリノキ]]の蜜に由来する蜂蜜を食べ中毒症状を起こした様子を記録している<ref>{{Cite web|url = http://www.drugsinfo.jp/2007/10/05-163400|title = 蓮華躑躅(レンゲツツジ)の毒性|publisher = 医薬品情報 21|language = 日本語|accessdate = 2011年9月29日}}</ref>。古代ローマ時代にも[[グナエウス・ポンペイウス]]率いる軍勢が敵の策略にはまり、ツツジに由来する蜂蜜を食べて中毒症状を起こしたところを襲われ兵士が殺害されたという話がある<ref>[[#原1988|原1988]]、128頁。</ref>。
{{Clear}}
==
世界全体での蜂蜜の生産量は推定約120万トンである<ref name="世界のはちみつ生産量">{{Cite web|url = http://www.rengejirusi.co.jp/n2-2.html|title = 世界のはちみつ生産量|work=はちみつの話 - 生産量と市場|publisher = 日本蜂蜜株式会社|language = 日本語|accessdate = 2011年9月28日}}</ref><ref name="世界の養蜂状況">{{Cite web|url = http://bee.lin.gr.jp/bee/tokei/04.html|title =世界の養蜂状況|publisher = 社団法人 日本養蜂はちみつ協会|language = 日本語|accessdate = 2011年9月28日}}</ref>。主要な国および地域別の生産量を見ると中国が20万トン強、旧ソ連地域が20万トン弱、アメリカが10万トン前後で<ref name="世界のはちみつ生産量"/><ref name="世界の養蜂状況"/>、これら3地域の生産量が全体の半分近くを占める<ref name="世界の養蜂状況"/>。
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Reflist|3|group=†}}
=== 出典 ===
{{Reflist|4}}
== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書
|author = [[大塚敬節]]
|year = 1956
|title = 漢方医学
|series = 創元医学新書
|publisher = [[創元社]]
|isbn = 4422411101
|ref = 大塚1956
}}
* {{Cite book|和書
|author = 清水美智子
|year = 2003
|title = はちみつ物語 食文化と料理法
|publisher = 真珠書院
|isbn = 4880092169
|ref = 清水2003
}}
* {{Cite book|和書
|author = 角田公次
|year = 1997
|title = ミツバチ 飼育・生産の実際と蜜源植物
|series = 新特産シリーズ
|publisher = 農山漁村文化協会
|isbn = 4540961160
|ref = 角田1997
}}
* {{Cite book|和書
|author = 原淳
|year = 1988
|title = ハチミツの話
|publisher = [[六興出版]]
|isbn = 4845360381
|ref = 原1988
}}
* {{Cite book|和書
|author = 渡辺孝
|year = 2003
|title = ハチミツの百科 新装版
|publisher = 真珠書院
|isbn = 4880092150
|ref = 渡辺2003
}}
* {{Cite book|和書
|author = メラ・マン、リチャード・ジョーンズ(編)
|others = 松香光夫(監訳)
|year = 2002
|title = ハチミツと代替医療 医療現場での可能性を探る
|publisher = フレグランスジャーナル社
|isbn = 4894790599
|ref = マン・ジョーンズ(編)2002
}}
== 外部リンク ==
{{Notice|ウィキペディアは宣伝目的のリンクを受け入れていません。ご協力をお願いします。[[Wikipedia:外部リンクの選び方]]を参照してください。|お知らせ}}
{{Commons&cat|Honey|Honey}}
{{Wikinews|子供のせき、風邪薬よりはちみつが効果ある可能性}}
* [http://bee.lin.gr.jp/ 日本養蜂はちみつ協会]
* [http://www.nhb.jp/index.html 米国蜂蜜協会]
* [http://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/0509/01.html 農林水産省「消費者の部屋」] - はちみつの成分や保存方法、また白く固まったときの対処方法
* [http://www.jetro.go.jp/world/japan/qa/importproduct_01/04M-010972 天然はちみつの輸入手続について]JETRO 日本貿易振興機構(ジェトロ)
{{Featured_article}}
{{DEFAULTSORT:はちみつ}}
[[Category:畜産物]]
[[Category:甘味料]]
[[Category:スプレッド]]
[[Category:蜜蜂]]
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{{Link_FA|he}}
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[[am:ማር]]
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