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'''結婚'''(けっこん)は、性的な親密さに基盤を置いた、(多くの場合)男女によって作られる社会的な結びつき、あるいは法的な契約である。
結婚の際の[[儀式]]については[[結婚式]]を参照。▼
== 概説 ==
=== 結婚の
==== 結婚と婚姻 ====▼
{{人類学}}▼
民法上は「婚姻」と表現され([[b:民法第731条|民法731条]])、講学上においても法概念としては「婚姻」が用いられる<ref>青山道夫・有地亨編著 『新版 注釈民法〈21〉親族 1』 有斐閣〈有斐閣コンメンタール〉、1989年12月、150頁以下</ref>。
かつては正式な表現として'''婚姻'''(こんいん)のほうが用いられることが多かった<ref>百科事典などでも「結婚」ではなく「婚姻」を項目名として立てている例は多い。(『日本大百科事典』など)</ref>が、最近は日常用語としては「結婚」という表現が用いられる頻度がむしろ増えている。[[中国]]では婚姻である。また、俗に(夫婦の)「契り(ちぎり)」ともいう。▼
* 社会的結びつき▼
* したがって、結婚の解消というものがあり、これを[[離婚]]という。▼
▲==== 結婚と婚姻 ====
▲かつては正式な表現として'''婚姻'''(こんいん)のほうが用いられることが多かった<ref>百科事典などでも「結婚」ではなく「婚姻」を項目名として立てている例は多い。(『日本大百科事典』など)</ref>が、最近は「結婚」という表現が用いられる頻度がむしろ増えている。[[中国]]では婚姻である。また、俗に(夫婦の)「契り(ちぎり)」ともいう。
[[広辞苑]]では「婚姻」の定義として、「結婚すること」とした上で、「夫婦間の継続的な性的結合を基礎とした社会的経済的結合で、その間に生まれた子が嫡出子として認められる関係」としている。「結婚」の文字は「婚姻」の文字と共に漢籍を由来とし、日本では[[平安時代]]より用いられてきた。しかし、当時はどちらかといえば「婚姻」の文字の方が使用例が多かった。[[明治時代]]になり、この関係が逆転して「結婚」の二文字が多く使用されるようになった(出典:[[日本国語大辞典]]第二版)
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このほか、結婚の類義語として、婚礼、祝言、嫁入り、輿入れ、婿入りなどがある。
▲{{人類学}}
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[[Image:Marriage certificate.png|thumb|none|160px|近代の結婚証明書(Marriage Certificate)の一例(1869年の本に掲載されたもの)]]▼
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婚姻制度については人類の保族本能に基づき、これが習俗・宗教・法律といった社会規範によって規律されるものと説かれることが多い<ref>二宮周平著 『家族法 第2版』 新世社〈新法学ライブラリ9〉、1999年4月、51-52頁</ref><ref>我妻栄・有泉亨・遠藤浩・川井健著 『民法3 親族法・相続法 第2版』 勁草書房、1999年7月、50頁</ref>。
==== 構成要素 ====
近代法における婚姻の構成要素としては、社会的要素、自然的要素、意思的要素の3つが挙げられる<ref>青山道夫・有地亨編著 『新版 注釈民法〈21〉親族 1』 有斐閣〈有斐閣コンメンタール〉、1989年12月、158頁</ref>。
▲: 婚姻の儀式などの要素ある。結婚の際の[[儀式]]については[[結婚式]]を参照。
* 自然的要素
: 婚姻は伝統的には男女間での成立するものと考えられてきたが<ref>青山道夫・有地亨編著 『新版 注釈民法〈21〉親族 1』 有斐閣〈有斐閣コンメンタール〉、1989年12月、178頁</ref>、一部の国または地域では男性同士や女性同士の[[同性結婚]]も法的に認められている。
* 意思的要素
: 婚姻は当事者間の合意すなわち契約により成立する。
==== 全人格的結合 ====
婚姻は終生にわたる共同での生活を目的とする典型的な身分行為であり、財産法上の契約関係のような特定の目的を達成する限度でのみ認められる結合とは異なる全人格的結合であるとされる<ref>我妻栄・有泉亨・遠藤浩・川井健著 『民法3 親族法・相続法 第2版』 勁草書房、1999年7月、9頁</ref>。そのため婚姻は[[代理]]に親しまない行為であり、また、[[条件]]や[[期限]]の親しまない行為とされる<ref>我妻栄・有泉亨・遠藤浩・川井健著 『民法3 親族法・相続法 第2版』 勁草書房、1999年7月、54-55頁・9頁</ref>。
{{main|離婚}}
=== 結婚の形態 ===
; [[一夫一婦制]]
: 一人の男性に対して、一人の女性という結婚形態。近代国家の多くはこの婚姻制度のみを採用している。近代以前はしばしば妻のみに[[貞操]]義務を要求されたが、これは男性による女性の支配だとして多くの国で撤廃され、一部の国では男女に貞操義務が課された。
: なお、一夫一婦制の社会で、既に配偶者が居るのに他の者とも結婚することを[[重婚]]と呼ぶ。▼
; [[一夫多妻制]]
: 一人の男性が複数の女性と婚姻関係を持つ形態。前近代においてはほぼすべての社会で実践されていた。現在でも中東の[[イスラム]]社会などに認められる。また、[[アメリカ合衆国]]の[[モルモン教]]徒も近年までは、一夫多妻制を採用していた。ただしこの制度を採用している地域の男性住民のすべてが複数の妻を持っているわけではない。イスラム教の一夫多妻制は、イスラーム教の公式見解に従えば[[聖戦]]によって男性が[[戦死]]する可能性が高かったため、未亡人や遺児の生活を保障するために始められたとされる。複数の妻が持てるのは経済的な余裕のある男性に限られる。一夫多妻制は男性による女性支配の原因となっているとされているが、西ヨーロッパ・アメリカの知識人の中には自国の女性差別を隠蔽するためにこのことを取り上げるものもいるという批判もある。
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; [[ソロレート婚]]
: 妻の死後、妻の姉妹と婚姻関係を結ぶ制度。
▲: 婚姻届の提出など、制度上正式な婚姻とするためのことをしないものの、同居する、経済基盤を共にするなど結婚しているのと同様の関係を指す。
▲: 一夫一婦制の社会で、既に配偶者が居るのに他の者とも結婚すること。
; [[通い婚]]
: 男が女の元に、あるいは女が男の元に通う形態。夫が妻の元に通う場合は妻問婚(つまどいこん)とも言う。[[源氏物語]]に見られるように、かつての日本でも見られた形態である<ref>[http://ameblo.jp/boken-kazoku/ ”母権家族の勧め”]</ref>。現在では''別居婚''とも言われる。
===
{{節stub}}▼
▲結婚はあらゆる地域で[[宗教]]と密接に関わっている。<!--儀式、慣例の一つであり-->
==== キリスト教 ====
* [[正教会]]では[[機密 (正教会)|機密]]として扱われる<ref>[http://www.orthodox-jp.com/nagoya/msj3.htm#kekkon 正教会にわくわくの好奇心を抱いておられる方に(結婚式について)] - 名古屋ハリストス正教会</ref>。[[正教会]]では[[婚配機密]]といい、機密である為、信徒同士でのみ行われる。夫婦となる者のうち片方もしくは両方が未信徒である場合、[[洗礼]]を受けてから婚配機密を行う。[[修道士]]は独身を保つ。[[神品 (正教会の聖職)]]の内、[[輔祭]]・[[司祭]]は妻帯が可能であるが、輔祭になる前に結婚しなければならない。また神品の再婚は認められない。[[主教]]は[[修道司祭]]から選ばれるため、主教は独身者である。離婚は[[神品]]職を解かれるほどの重い罪であり、一般信徒も一定期間、[[領聖]]停止などの措置が取られる事になる<ref>これは懲罰的措置ではなく精神的治療に必要な期間とされている</ref>。しかし一般信徒の場合、配偶者の生存の如何には関係なく3回まで再婚が認められる場合もある(但し極めて稀)。
{{右|
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* [[プロテスタント]]の中でも[[バプテスト]]や[[会衆派]]では、会衆(教会員・信者)の同意により、神の導きと見なし結婚が成立する。プロテスタントの代表的な[[信仰告白]]の一つである[[ウェストミンスター信仰告白]]は、配偶者に不倫があった場合にのみ、潔白な方に離婚を認めており、そのとき相手を死んだ者として扱う。<!--そのため結婚式は比較的オープンである。夫婦片方が信者の場合、結婚式は教会関係、披露宴は友達・友人と使い分けをする場合も多い。両方が信者の場合結婚式に引き続き披露宴(祝会といった方が正しい)を行う場合も有るが、近年は減ってきている。このため比較的密会が多い他の宗教・宗派と比べ、結婚式の出席者が多い。時には披露宴の出席者を超える場合もある。-->[[自由主義神学|リベラル]]な教会では比較的離婚には、柔軟である(というより、人によって考え方がバラバラである)。
==== イスラ
イスラームでは婚姻は戒律により人間同士の契約として処理されているためキリスト教の結婚のように神に誓った物ではない。
イスラム教における結婚では夫婦共にイスラム教徒であることを必須条件としている。このため、夫婦のどちらかがイスラム教徒でない場合は結婚前に改宗することが求められる。
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サウジアラビアの初代国王である[[イブン・サウード]]は国を平定するために100以上ある国内の主要部族の全てから妻をもらっているため百数十人の妻が居たといわれている。このため初代国王の王妃が何人いたのか国王本人やサウジ王室自身も含めて把握できていないがイスラム社会における結婚の最多事例と言われている。サウード王家は一夫多妻結婚を繰り返しているため、初代国王の子孫は鼠算式に増えて5世代で2万人以上にまで増えた。
==== ユダヤ教 ====
[[ユダヤ教]]では結婚は神聖な行為と考えられ、未婚の男性は一人前とみなされない。結婚は神が人間を誕生させて最初に行った行為であるから、必ず結婚すべきであるとされている。今でも伝統を守る地域では男子は18歳になると結婚する。恋愛は行うべきだが恋愛はあくまで一時的なもので、結婚とは結び付かないものだと教えられている<ref>ユダヤの力(パワー)―ユダヤ人はなぜ頭がいいのか、なぜ成功するのか! (知的生きかた文庫) 加瀬 英明 著</ref>。
=== 結婚と法制度 ===
==== 婚姻の成立 ====
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▲[[Image:Marriage certificate.png|thumb|none|160px|近代の結婚証明書(Marriage Certificate)の一例(1869年の本に掲載されたもの)]]
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▲=== 婚姻の成立 ===
婚姻の成立に関する法制度としては、形式婚主義と事実婚主義があり、前者はさらに法律婚主義と宗教婚主義に分けられる。
*形式婚主義 - 婚姻の成立には何らかの手続を要するとする制度
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なお、[[国際結婚]]の場合、いかなる国の私法を適用すべきかという国際私法上の問題となる。
==== 法定財産制 ====
法定財産制として、夫婦の財産を共有する共有制、各自が財産を所有する別産制などがあるが、日本では別産制を採用している。米国では州によって異なり、たとえばカリフォルニア州では共有制を採用している。
=== 西欧における結婚史 ===
教会法は[[ローマ法]]を承継して婚姻は契約によって成立するとしていたが(合意主義)、サクラメント(秘蹟)の教義の下、西欧では結婚には男女が教会においてサクラメントを受けることを要するとする宗教婚主義が支配的となったとされる<ref>青山道夫・有地亨編著 『新版 注釈民法〈21〉親族 1』 有斐閣〈有斐閣コンメンタール〉、1989年12月、150-151頁</ref>。
しかし、[[宗教改革]]による婚姻還俗運動の下で法律婚主義が登場すると、絶対王政の台頭とカトリック教会の凋落の中で、秘蹟と契約の分離する民事婚思想が広まることとなり法律婚主義が次第に拡大していったとされる<ref>青山道夫・有地亨編著 『新版 注釈民法〈21〉親族 1』 有斐閣〈有斐閣コンメンタール〉、1989年12月、151頁</ref>。
=== 日本における結婚史 ===
▲{{節stub}}
== 日本法における結婚 ==
{{Law|section=1}}
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==== 婚姻の取消し ====
民法731条から736条までの規定に違反した婚姻([[b:民法第744条|744条]])、また、[[詐欺]]または[[強迫]]による婚姻([[b:民法第747条|747条]])は法定の手続に従って取り消しうる。これらは取消しであるから取り消されるまでは当該婚姻は一応は有効とされる。また、婚姻の取消しの効力には遡及効はなく、将来に向かってのみ効力を生ずる([[b:民法第748条|748条]]1項)。
''詳細は[[婚姻の取消し]]へ''
=== 婚姻の効力 ===
==== 夫婦同氏の原則 ====
夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する([[b:民法第750条|750条]])。なお、夫婦の氏につき「民法の一部を改正する法律案要綱」(平成8年2月26日法制審議会総会決定)では、夫婦は婚姻の際に定めるところに従い夫もしくは妻の氏を称しまたは各自の婚姻前の氏を称するものとし、夫婦が各自婚姻前の氏を称する旨の定めをするときは夫婦は婚姻の際に夫または妻の氏を子が称する氏として定めなければならないものとしており、[[夫婦別姓]]を導入すべきか否かやそれを導入することとした場合に子の氏をどのように決定すべきかについては現在議論がなされている。
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