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[[File:Kamishibai Performer In Japan.jpg|thumb|250px|東京・浅草にて、紙芝居『[[黄金バット]]』を上演する男性。]]
『'''黄金バット'''』(おうごんバット)は、[[昭和]]初期の[[紙芝居]]のタイトルロールの主人公。金色の骸骨の姿をし、漆黒のマントを身にまとう。昭和後期に[[漫画]]・[[映画]]・[[テレビアニメ]]化された。一般的には悪の象徴とされる骸骨であるが、黄金バットでは正義のヒーローとして描かれている。その特有の「高笑い」と、共に現れる金色の[[コウモリ]]が印象的である。
 
[[スーパーヒーロー]]と[[アンチヒーロー]]の両面をもつ主人公で、その孤高の存在が斬新だった。髑髏という、一般的に嫌われるモチーフを持つヒーローという点でも、蜘蛛や蝙蝠を素材にしたアメコミヒーローに先行している。
 
== 概要 ==
黄金バットは{{和暦Jdate|1930}}、鈴木一郎原作で白骨面に黒マントの怪盗が活躍する街頭紙芝居シリーズ黒バットが好評だったことから、主人公を黄金色にした絵19枚を[[永松健夫]]が描いて誕生。黒バットの最終回に、それまで無敵であった悪役の黒バットを倒す正義のヒーローとして突如、初登場した。紙芝居制作は蟻友会の後藤時蔵、高橋清三、田中次郎らによる。しかし、これは、当時の驚異的な当たり演目であり、著作権意識も低かったために、多種多様な黄金バットが勝手に作られた。さらに当時はセリフは書かれておらず口伝であった為、同じ紙芝居でも演者によって内容に差異があるのは普通であった。なお、戦前の黄金バットの紙芝居のほとんどは戦時下の混乱にあって散逸、あるいは戦災により焼失したとされる(当時の紙芝居は貸し出し式だった為倉庫にまとめて保管されており、倉庫が火事に遭うと全て燃えてしまっていた。また、手書きで写し描きされていたので製作数が少なく、人気作は損耗も激しかった)。
 
=== 歴史 ===
* {{和暦|1947}}から、[[永松健夫]]による[[絵物語]]作品の単行本が刊行(明々社のちの[[少年画報社]])。{{和暦|1948}}には雑誌冒険活劇文庫(=』(のちの[[少年画報]])」(明々社)が創刊され、やはり永松による絵物語が掲載された。
* {{和暦|1950}}頃に[[鈴木一郎]]原作で[[加太こうじ]]が脚本と絵を担当した黄金バット ナゾー編([[ナチス・ドイツ]]残党と戦う内容)の紙芝居が行われた。
* {{和暦|1950}}[[12月23日]]、東京映画配給([[東映]]の前身)・新映画社製作による「黄金バット 摩天楼の怪人(監督:[[志村敏夫]] 出演:川路竜子、[[美空ひばり]]、杉寛)公開。
* {{和暦|1966}}[[12月21日]]、[[東映]]製作による実写の白黒特撮映画黄金バット(監督:[[佐藤肇]]、監修:加太こうじ)公開。出演は[[千葉真一]]・[[中田博久]]など。
* {{和暦|1967}}[[4月1日]]から{{和暦|1968}}[[3月23日]]まで、漫画を原作としたアニメが[[讀賣テレビ放送|よみうりテレビ(読売テレビ・ytv)]]の企画・制作により[[日本テレビ放送網|日本テレビ]]系列で毎週土曜日19時 - 19時30分に全52話が放映され、高視聴率を得た。『[[巨人の星 (アニメ)|巨人の星]]』や『[[天才バカボン (アニメ)|天才バカボン]]』など数多くの名作アニメを生み出した、よみうりテレビのテレビアニメ制作の初参入作品であり、なおかつ日本テレビでは初の19時台のアニメである。なお主題歌は実写映画と共通。[[妖怪人間ベム]]とスタッフが同じ為、絵や演出が酷似している。[[大塚製薬]]の[[一社提供]]であった。また、脚本の島内三秀は、のち桂千穂の名でロマンポルノ、大林宣彦作品などで活躍する。
* {{和暦Jdate-y|1967|7|21}}[[7月21日]]、アニメ映画黄金バット公開。TVからのブローアップ版だった。併映は[[ひょっこりひょうたん島]](長編アニメ版)・『[[魔法使いサリー]](第1作)・『[[キャプテンウルトラ]]の3本。
 
=== 黄金バット ===
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宿敵ナゾーは四つ目の[[ミミズク]]の覆面に左手が機械の鉤爪、下半身は円盤の中という奇怪なデザイン。どこにでも現れるナゾータワーを根城とする。絵物語では黄金バットに負け、蛇王(じゃおう)という他のヒーローとの戦いによって両足を失った後の黒バットが正体であり、元ナチスの科学者ドブロクスキー博士や妖婆モモンガのお熊([[モモンガ]]とは同名の動物ではなく、古代の邪神の名前。黒バット一味はこれを信奉する一族らしいが、お熊以外に信仰心がある描写は無い)、女賊ハルピンお光らを従え宇宙的な悪事を働く(目は2つ)。アニメでは彼自身が元ナチスの科学者エーリッヒ・ナゾー、マンガ版では黄金バットと同世代の超古代人(生身の手の指が3本であるなど、明らかに人間ではない)。アニメ版ではことあるごとに「ロ〜ンブロゾ〜」と叫ぶ。またアニメでは4つの目の色が全て異なり、さらに最終回では逃亡してしまい、黄金バットとの最後の対決はなかった(ナゾーの逃走直後に怪獣が現れ、しかもヤマトネタケルが、彼は怪獣だったのだろうか、と言うなど、ナゾーの正体が微妙に暗示されていた)。
 
== 実写映画 (1966(1966) ==
{{Infobox Film
| 作品名 = 黄金バット
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| 出演者 = [[千葉真一]]
| 音楽 = [[菊池俊輔]]
| 主題歌 = [[ボーカル・ショップ|ヴォーカル・ショップ]]黄金バット
| 撮影監督 = 山沢義一
| 撮影 =
| 編集 = 祖田富美夫
| 配給 = [[東映]]
| 公開 = [[1966年]][[12月21日]]
| 上映時間 =
| 製作国 = {{JPN}}
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* 公開日:[[1966年の日本公開映画|1966年]][[12月21日]]
* 製作配給:[[東映]]
 
=== ストーリー ===
天体観測を趣味とするアキラ少年は、惑星イカロスが地球への衝突コースをとっていることに気付く。アキラは黒スーツの男達によって拉致されてしまう。黒スーツの男達は国連秘密機関パール研究所の所員達だった。責任者ヤマトネ博士はアキラをメンバーに誘う。研究所ではイカロス破壊のため超破壊光線砲を建造していた。
 
その完成に必要な特殊レンズの原石探索にヤマトネ博士、パール博士、アキラ、ナオミ隊員、パール博士の孫娘エミリーらは、幻の大陸[[アトランティス|アトランタス]]へと向かう。だがそこは謎の集団によって既に占拠されていた。彼らの首領はナゾー。宇宙征服のためイカロスを呼び寄せた怪人である。
 
追い詰められた彼らはある棺桶の中に原石を発見する。棺桶には1万年の眠りについた守護者、黄金バットが眠っていた。エミリーが水を注いだことで、復活した黄金バットは、彼ら科学者と協力しナゾーの陰謀に立ち向かっていく。
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* 現像:[[東映ラボ・テック|東映化学工業株式会社]]
* 協力:第一動画株式会社
* 主題歌:「黄金バット」[[朝日ソノラマ]]
** 作詞:第一動画、作曲:田中正史、歌:[[ボーカル・ショップ|ヴォーカル・ショップ]]、黄金バットの声:小林修
 
== テレビアニメ ==
=== 概要(テレビアニメ) ===
* 放送局:[[讀賣テレビ放送|よみうりテレビ]]・[[日本テレビ放送網|日本テレビ]]系列
* 放送期間:{{和暦Jdate|1967|4|1}}4月1日 - {{和暦|1968}}[[3月23日]](全52話)
* 放送時間:土曜 19時 - 19時30分
* 提供:[[大塚製薬]]
* 脚本:第一動画
* 絵コンテ:第一動画
* 動画制作:第一動画・東洋動画([[大韓民国]]初の下請け動画〈ただし背景など中心で2割程度〉)
* 背景その他:東洋動画
 
=== キャスト(テレビアニメ) ===
* 黄金バット:[[小林修]]
* ナゾー:[[島宇志夫]]
* ヤマトネ博士:[[村越伊知郎]]
* ヤマトネタケル:[[高橋和枝]]
* ダレオ:[[たてかべ和也|立壁和也]]
* マリー:[[松島みのり]]、[[栗葉子]]
* マゾ:[[内海賢二]]
* ナレーター:[[藤本譲]]
 
=== スタッフ(テレビアニメ) ===
* 原作:[[永松健夫]]
* 監修:[[加太こうじ]]
* 脚本:島内三秀
* 演出:[[石黒昇]]・若林忠雄・庵原和夫
* 動画監督:森川信英
* 美術監督:木村和夫
 
=== 各話リスト ===
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|style="text-align:center"|52||ひび割れるナゾー帝国
|}
 
 
=== 主題歌など ===
; オープニングテーマ「黄金バットの歌」
: 実写映画の主題歌をそのまま流用。
; エンディングテーマ「黄金バット数え歌」
: 作詞:第一動画 / 作曲・編曲:田中正史 / 歌:[[鈴木ヤスシ|鈴木やすし]]、[[音羽ゆりかご会|コロムビアゆりかご会]]
; イメージソング「ナゾーの歌」
: 作詞:第一動画 / 作曲:[[宇野正寛]] / 歌:[[ボーカル・ショップ]] / セリフ:[[島宇志夫]]
 
{{前後番組
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}}
{{Infobox animanga/Manga
| 作者 = [[加太こうじ]]
| 作画= [[一峰大二]]
| 出版社 = [[大都社]]
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== 漫画 ==
{{節stub}}
「懐まんコミック」シリーズの第1弾として大都社より単行本が発売されている。デザインや設定はアニメ版に準拠している。1巻巻末には[[加太こうじ]]による短い解説がある。
 
*「黄金バット」1巻、{{和暦Jdate|1990}}[[|9|20日]]}}発行、[[大都社]]、ISBN 4-88653-383-3
*「黄金バット」2巻、{{和暦Jdate-y|1990}}[[|9|20日]]}}発行、大都社、ISBN 4-88653-384-1
**原作・加太こうじ、作画・一峰大二
=== ストーリー(漫画) ===
 
=== ストーリー(漫画) ===
ある月の無い夜、突如として現れた古代軍船。調査に赴いたヤマトネ博士とその一団は、動き出した軍船に導かれ辿り付いた海底の廃墟アトランティスで黄金バットと邂逅する。
 
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== 書籍 ==
*黄金バット なぞの巻 地底の国[[永松健夫]]、{{和暦|1975}}[[5月10日]]発行、桃源社
**終戦直後の絵物語をまとめたもの。巻末には[[都筑道夫]]による解説があり、作品が辿った歴史、黄金バットの名称はタバコの[[ゴールデンバット]]に由来する、初期のバットのスタイルは映画『[[オペラ座の怪人]]』(1925([[1925]]版)が元ではないだろうかなどが書かれている。
 
{{節stub}}
== その他 ==
{{和暦|2000}}、[[郵政省]]発行の[[20世紀]]デザイン切手シリーズ第9集郵便[[切手]]のデザインの1つとして、黄金バットが採用された。
 
== オマージュ ==
{{独自研究|section=1|date=2012年1月}}
* [[けっこう仮面]] - スーパー黄金バットマンという、バットマンがどくろの仮面とフリルを付けたような人物が登場。作中で「[[スーパーマン]]と[[バットマン]]と黄金バットの三角関係から生まれた」と紹介されている。
* [[39108 (アルバム)|39108]] - 収録曲「黄金バッド」は黄金バットがモチーフの歌。歌詞には高笑いへの言及があり、DVD収録のライブ映像では黄金の頭骸骨やコウモリが飛び回る効果が合成されている。
* [[三遊亭圓楽 (5代目)|5代目三遊亭圓楽]] - [[笑点]]の[[大喜利 (笑点)|大喜利]]で、大喜利メンバー時代〈{{和暦Jdate-y|1966}} - {{和暦|1977}}〉に黄金バットをたびたび披露している。
* [[真・女神転生if...]] - [[スーパーファミコン]]の[[ロールプレイングゲーム]]。登場する悪魔「[[ベロボーグ]]」の外見の原形が黄金バットである。
* [[ドラえもん のび太と夢幻三剣士]] - 偽予告でのび太とドラえもんが黄金ハットとドライオンという役を演じる。
* [[韮沢靖]] - 作品集「DOESN’T」『DOESN'T』掲載の著作GOLDOVAは黄金の鎧を着たミイラ男が四つ目の化粧の悪の魔術師を懲らしめる話。魔術師の愛人の名はゾナ。
* [[わくわく7]] - 登場キャラ・ロンブローゾ博士のモデルはナゾー。「ゲーメストムックvol.63わくわく7」に掲載の設定画には「アトランティスやコウモリがどうの」と言及されており、作中に登場しなかった「ロンブローゾタワー」は漫画版のナゾータワーそのものである。
* [[ワッハマン]] - [[あさりよしとお]]によるオマージュ的漫画作品。
* [[笑う犬の生活]] - [[名倉潤]]扮する「黄金ナット」なるパロディコントがある。ナゾーは[[原田泰造]]。
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* [[日本のアニメ映画作品一覧]]
* [[日本の漫画作品一覧 あ行]]
* [[黄金バットがやってくる]](紙芝居を題材とした映画)
* [[東京キッドブラザース]](黄金バットを題材としたミュージカルを上演)
* [[アトランティス]]
 
== 外部リンク ==
* {{jmdbJmdb title|1966|cp004660}}
 
{{Movie-stub}}