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|色=pink
|名称=ウソ
|画像=[[ファイル:DompapPyrrhula pyrrhula griseiventris.jpgJPG|300px250px|亜種ウソ♂ Pyrrhula pyrrhula griseiventris]]
|画像キャプション=亜種ベニバラウソ♂ ''Pyrrhula pyrrhula griseiventris''
|status = LC
|status_ref =<ref name="IUCN">{{Cite web |url=http://www.iucnredlist.org/details/106008885/0 |title=IUCN Red List of Threatened Species. 2013.1 (''Pyrrhula pyrrhula'') |publisher=[[IUCN]] |accessdate=2013-08-12 |language=英語 }}</ref>
|省略=鳥綱
|目= [[スズメ目]] [[:w:Passeriformes{{sname||Passeriformes]]}}
|科= [[アトリ科]] [[:w:Fringillidae{{sname||Fringillidae]]}}
|属= [[:w:Pyrrhula{{sname||Pyrrhula]]}}
|種= '''ウソ''' ''P. pyrrhula''
|学名=''Pyrrhula pyrrhula'' {{AUY|Linnaeus|1758}}
|英名=[[:en:Eurasian Bullfinch|Eurasian Bullfinch]]<ref name="ITIS">{{Cite web |url=http://www.itis.gov/servlet/SingleRpt/SingleRpt?search_topic=TSN&search_value=179180 |title=''Pyrrhula pyrrhula'' (Linnaeus, 1758) |publisher=[[ITIS]] |language=英語 |accessdate=2013-08-15}}</ref>
|英名=[[:en:Eurasian Bullfinch|Eurasian Bullfinch]]
|下位分類名= [[亜種]]
}}
|下位分類 =* ''P. p. cassinii'' ベニバラウソ<br />
[[File:Pyrrhula pyrrhula europoea Gouvieux 222.jpg|thumb|''Pyrrhula pyrrhula europoea'']]
* ''P. p. griseiventris'' ウソ<br />
* ''P. p. rosacea'' アカウソ など<br />
* [[#亜種|詳細は本文の亜種の節を参照]]
}}
 
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'''ウソ'''('''鷽'''、[[学名]]:''Pyrrhula pyrrhula'' {{AUY|Linnaeus|1758}})は、[[スズメ目]][[アトリ科]]に分類される[[鳥類|鳥]]の一[[ (分類学)|種]]である。[[和]]の由来は[[口笛]]を意味する古語「うそ」から来ており、ヒーホーと[[口笛]]のような鳴き声を発することから名付けられた<ref name="中川雄三 (2010)、220頁">[[#ひと目でわかる野鳥|中川雄三 (2010)、220頁]]</ref>。その細く、悲しげな調子を帯びた鳴き声は古くから愛されている。現在鷽は130円[[切手江戸時代]]デザインのモデルなっていは「弾琴鳥」や「うそひめ」と呼ばれこともあった<ref name="細川博昭 (2012)、97頁">[[#江戸時代に描かれた鳥たち|細川博昭 (2012)、97頁]]</ref>
 
== 分布 ==
[[ヨーロッパ]]から[[アジア]]の北部にかけて広く分布する<ref name="worldbirdnames" /><ref name="叶内拓哉 (2006)、570-571頁">[[#山溪ハンディ図鑑7日本の野鳥|叶内拓哉 (2006)、570-571頁]]</ref>。冬季に北方に生息していた個体は南方へ移動する
 
[[日本]]では、亜種ウソ(''P. p. griseiventris'')が本州中部以北の[[亜高山帯]]などで繁殖し、冬は九州以北の地に移動して越冬する<ref name="中川雄三 (2010)、220頁" />。また、亜種アカウソ(''P. p. rosacea'')は[[冬鳥]]とも渡し秋から春にかけて滞在する<ref name="中川雄三 (2010)、220頁" />
 
== 形態 ==
全長15-16cm16 [[センチメートル|cm]]<ref name="叶内拓哉 (2006)570-571頁" /><ref name="大橋弘一(2007)、64-65頁">[[#庭で楽しむ野鳥の本|大橋弘一 (2007)、64-65頁]]</ref>、[[翼幅|翼開長]]は約26 cm<ref name="中川雄三 (2010)、220頁" /><ref name="叶内拓哉 (2006/3)、168頁" />。体重21-34g、翼長8.5cm。体は[[スズメ]]よりやや大きく、頭の上と尾、翼の大部分は[[黒色]]、背中は灰青色。[[くちばし]]は太く短く黒い。雄の頬、喉は淡桃色をしているが、雌にはこの淡桃色の部分はない。雄は照鷽(てりうそ)、雌は雨鷽(あめうそ)と呼ばれる。
 
== 生態 ==
繁殖期は山地の[[針葉樹]]林に生息し、非繁殖期には低地の林にも生息する。非繁殖期は10羽ほどの小規模の群れを形成する<ref name="高木清和 (2000)、142-143頁">[[#野山の鳥|高木清和 (2000)、142-143頁]]</ref>
 
春に木の[[実]]や[[芽]](時には[[サクラ]]、[[ウメ]]、[[モモ]]などの花や[[蕾]]<ref group="注釈">サクラの中で、特にソメイヨシノの蕾を好んで食べる。</ref><ref name="叶内拓哉 (2006)、570-571頁" />)などを食べ、繁殖期に[[昆虫]]の[[ガ]]の幼虫や[[クモ]]などを食べ<ref name="叶内拓哉 (2006/3)、168頁" />、秋には[[ズミ]]や[[ナナカマド]]の[[果実]]などを食べる<ref name="中川雄三 (2010)、220頁" />。
木の実や芽、[[昆虫]]などを食べ、時には[[サクラ]]、[[ウメ]]などの花やつぼみもエサとなる。
 
繁殖期は5-7月で、[[縄張り]]をもち[[一夫一婦制|つがい]]で生活する<ref name="中川雄三 (2010)、220頁" />。針葉樹の枝の上に枯れ枝などを使って椀形の[[]]を作る。1腹4-6個の[[]]を産む。抱卵期間は12-14日で、雌が抱卵する。雛は12-18日で巣立ちする。
 
囀声は「フィー、フィー」と口笛のような澄んだ声で<ref name="中川雄三 (2010)、220頁" />、単調な節を交え、雄だけでなく雌も囀る。飛翔は浅い波形<ref name="高木清和 (2000)、142-143頁" />
 
また、囀る時に、左右の脚を交互に持ち上げることから別名「弾琴鳥」とも呼ばれる。
<gallery widths="125">
ファイル:Bullfinch Nest 16-05-10 (20 mm x 14.5 mm Egg Size) (4612522613).jpg|[[巣]]と[[卵]]
ファイル:JungerDompfaff.jpg|幼鳥
ファイル:Pyrrhula pyrrhula griseiventris eating.JPG|木の実を食べるウソ(オス)
</gallery>
 
== 亜種分類 ==
=== 亜種 ===
広義のウソ(''Pyrrhula pyrrhula'')は、以下の[[亜種]]に分類されている<ref name="ITIS" /><ref name="worldbirdnames">{{Cite web |url=http://worldbirdnames.org/n-finches.html |title=IOC World Bird List Version 3.4 (Finches, NW warblers & orioles) |publisher=[[国際鳥類学会議|国際鳥類学会議(IOC)]] |language=英語 |accessdate=2013-08-12}}</ref><ref name="avibase">{{Cite web |url=http://avibase.bsc-eoc.org/species.jsp?lang=EN&avibaseid=24764DC7AD26E5F7 |title=Eurasian Bullfinch (Pyrrhula pyrrhula) (Linnaeus, 1758) |publisher=[[バードライフ・インターナショナル]] |language=英語 |accessdate=2013-08-12}}</ref>。
* ''P. p. pileata'' {{AU|MacGillivray, W}}, [[1837年|1837]] - [[ブリテン諸島]]に分布する。
* ''P. p. pyrrhula'' ({{AU|Linnaeus}}, [[1758年|1758]]) - ヨーロッパ(北部、中央南部、東部)と[[シベリア]]中央部に分布する。
* ''P. p. europoea'' {{AU|Vieillot}}, [[1816年|1816]] - ヨーロッパ西部に分布する。
* ''P. p. iberiae'' {{AU|Voous}}, [[1951年|1951]] - [[フランス]]南西部と[[イベリア半島]]北部に分布する。
* ''P. p. paphlagoniae'' {{AU|Roselaar}}, [[1995年|1995]] - [[トルコ]]北西部に分布する。
* ''P. p. rossikowi'' {{AU|Derjugin}} & {{AU|Bianchi}}, [[1901年|1901]] - トルコ北東部と[[コーカサス]]に分布する。
* ''P. p. cineracea'' {{AU| Cabanis}}, [[1872年|1872]] - 西[[シベリア]]と[[カザフスタン]]北東部から東シベリアと[[中国]]北東部にかけて分布する。
* ''P. p. caspica'' {{AU|Witherby}}, [[1908年|1908]] - [[アゼルバイジャン]]と[[イラン]]北部に分布する。
* ''P. p. cassinii'' {{AU|Baird, SF}}, [[1869年|1869]] - '''ベニバラウソ'''、シベリア東部に分布する。オスは胸から腹にかけて紅色<ref name="中川雄三 (2010)、220頁" />。冬鳥として、まれに日本の[[中部地方]]以北に飛来する<ref name="叶内拓哉 (2006)、570-571頁" /><ref name="叶内拓哉 (2006/3)、168頁">[[#絵解きで野鳥が識別できる本|叶内拓哉 (2006/3)、168頁]]</ref>。
* ''P. p. griseiventris'' {{AU|Lafresnaye}}, [[1841年|1841]] - '''ウソ'''、[[千島列島]]と日本に分布する。
* ''P. p. rosacea'' {{AU|Seebohm}}, [[1882年|1882]] - '''アカウソ'''、[[樺太]]に分布する。冬鳥として日本に飛来する。オスは胸から腹にかけて淡い紅色<ref name="中川雄三 (2010)、220頁" />。[[北海道]]では小数が繁殖しているとみられている<ref name="叶内拓哉 (2006)、570-571頁" />。
<gallery>
ファイル:Pyrrhula pyrrhula -Lochwinnoch, Renfrewshire, Scotland-8.jpg|''P. p. pileata''<br />オス
ファイル:Dompap.jpg|ベニバラウソ<br />''P. p. cassinii''<br />オス
ファイル:Pyrrhula pyrrhula griseiventris a2.JPG|ウソ<br />''P. p. griseiventris''<br />オス
ファイル:Pyrrhula pyrrhula rosacea male and female.JPG|アカウソ<br />''P. p. rosaceas''<br />左:オス、右:メス
</gallery>
=== 日本で見られる亜種 ===
日本で観察できるのは、次の3亜種である。
*ウソ(''P. p. griseiventris'')
*アカウソ(''P. p. rosacea'')
冬鳥として[[九州]]以北に渡来する。[[利尻島]]では繁殖している可能性がある。
*ベニバラウソ(''P. p. cassinii'')
冬に北海道や[[本州]]で、まれに観察される<ref name="中川雄三 (2010)、220頁" />
 
== 種の保全状況評価 ==
個体数は減少傾向にあり、[[国際自然保護連合]](IUCN)により[[2004年]]から[[レッドリスト]]の[[軽度懸念]](LC)の指定を受けている<ref name="IUCN" />。
 
日本では亜種ウソ(''P. p. griseiventris'')が、以下の[[都道府県]]でレッドリストの指定を受けている<ref name="jpnrdb">{{Cite web |url=http://jpnrdb.com/search.php?mode=map&q=02180240423 |title=日本のレッドデータ検索システム「ウソ」 |publisher=(エンビジョン環境保全事務局)|accessdate=2013-08-15}} - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典元の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。</ref>。
* 準絶滅危惧(NT) - [[東京都]](本土部)
* 希少種 - [[滋賀県]]<ref group="注釈">滋賀県の希少種は、[[環境省]]のレッドリストのカテゴリーの準絶滅危惧相当。</ref>
 
== 人間との関わり ==
材木に付く虫を食べるためと、『鷽』という字が学の旧字『學』に似ていることから、[[太宰府天満宮]]や[[亀戸天神社]]では「天神様の使い」とされ、鷽を模した[[木彫|木彫り]][[人形]][[木うそ|木鷽]]」が[[土産]]の定番となっている。この木鷽を使った[[鷽替え]]神事も[[菅原道真]]を祀った大きな[[神社]]の定番である<ref name="真木広造 (2012)、233頁">[[#名前がわかる野鳥大図鑑|真木広造 (2012)、233頁]]</ref><ref>{{Cite web |url=http://www.kameidotenjin.or.jp/events/monthly01.html |title=祭り・年中行事「うそ替え神事」 |publisher=[[亀戸天神社]] |accessdate=2013-08-15}}</ref>
{{main|鷽替え}}
[[1839年]]([[天保]]10年)に毛利梅園による『梅園禽譜』で描写されている<ref name="細川博昭 (2012)、97頁" />。[[高村光太郎]]が[[1927年]]([[昭和]]2年)11月に第1回大調和美術展に「木彫ウソ鳥」を出展した時の思い出を随筆『木彫ウソを作った時』に綴っている<ref>{{Cite web |url=http://members3.jcom.home.ne.jp/daichowa/mokuji-all.html |title=大調和会 小史 |publisher=大調和会 |accessdate=2013-08-15}}</ref><ref>{{Cite web |author=高村光太郎 |url=http://www.aozora.gr.jp/cards/001168/files/46501_25619.html |title=木彫ウソを作った時 |publisher=[[青空文庫]] |accessdate=2013-08-15}}</ref>。
 
春先に[[公園]]の[[ソメイヨシノ]]や[[果樹園]]のウメやモモの蕾を摘み取ってしまうため、公園管理者や果樹農家から害鳥扱いされることもある<ref name="中川雄三 (2010)、220頁" />。日本ではオスのウソが130円[[日本の普通切手|切手]]デザインのモデルになっている<ref>{{Cite web |url=http://www.post.japanpost.jp/kitte_hagaki/stamp/standard/index.html |title=普通切手一覧 |publisher=[[日本郵政]] |accessdate=2013-08-15}}</ref>。
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
<div class="references-small">{{Reflist|group=注釈}}</div>
=== 出典 ===
<div class="references-small">{{Reflist|2}}</div>
 
== 参考文献 ==
* [[黒田長久]]監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科9 鳥III』、[[平凡社]]、[[1986年]]、160頁。
* 五百沢日丸 『日本の鳥550 山野の鳥 増補改訂版』、[[文一総合出版]]、[[2004年]]、318-319頁。
* {{Cite book|和書 |author=高木清和 |date=2000-08 |title=フィールドのための野鳥図鑑-野山の鳥 |publisher=[[山と渓谷|山と溪谷社]] |isbn=4635063313 |ref=野山の鳥}}
* {{Cite book|和書 |author=叶内拓哉 |date=2006-03 |title=絵解きで野鳥が識別できる本 |publisher=文一総合出版 |isbn=978-4829901717 |ref=絵解きで野鳥が識別できる本}}
* {{Cite book|和書 |author=叶内拓哉、安部直哉 |date=2006-10-01 |title=山溪ハンディ図鑑7 日本の野鳥 |publisher=山と溪谷社 |isbn=4635070077 |edition=第2版 |ref=山溪ハンディ図鑑7日本の野鳥}}
* {{Cite book|和書 |author=[[大橋弘一]] |date=2007-11-01 |title=庭で楽しむ野鳥の本 |publisher=山と溪谷社 |pages= |isbn=978-4635596190 |ref=庭で楽しむ野鳥の本}}
* {{Cite book|和書 |editor=中川雄三(監修) |date=2010-01 |title=ひと目でわかる野鳥 |publisher=成美堂出版 |isbn=978-4415305325 |ref=ひと目でわかる野鳥}}
* {{Cite book|和書 |author=真木広造 |date=2012-04-10 |title=名前がわかる野鳥大図鑑 |publisher=[[永岡書店]] |isbn=978-4522430866 |ref=名前がわかる野鳥大図鑑}}
* {{Cite book|和書 |author=細川博昭 |date=2012-02-16 |title=江戸時代に描かれた鳥たち 輸入された鳥、身近な鳥 |publisher=[[ソフトバンククリエイティブ]] |isbn=978-4797352566 |ref=江戸時代に描かれた鳥たち}}
 
== 関連項目 ==
* [[スズメアトリ科]]
* [[アトリ]]
* [[日本の野鳥一覧]]
* [[鷽替え]]
* [[木うそ]]
 
== 外部リンク ==
{{commons|Pyrrhula pyrrhula}}
{{commons&cat|Pyrrhula pyrrhula|Pyrrhula pyrrhula}}
{{commonswikispecies|Pyrrhula pyrrhula}}
{{wiktionary|鷽}}
* [http://www.birdfan.net/pg/kind/ord17/fam1724/spe172415/ ウソ] ([[日本野鳥の会]])
* [http://www.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/9.html 日本の鳥百科「ウソ」] ([[サントリー]])
 
{{DEFAULTSORT:うそ}}