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{{otheruses||松山千春のアルバム|起承転結 (松山千春のアルバム)}}
'''起承転結'''(きしょうてんけつ)とは、物事の展開や物語の文章などにおける四段構成を表す概念。元々は4行から成る[[漢詩]]([[近体詩]])の[[絶句]]の構成のことを指す。一行目から順に起句、承句、転句、結句と呼ぶ<ref>ここまで。『[[世界大百科事典]]』 第2版 [[平凡社]] 「[http://kotobank.jp/word/起承転結?dic=sekaidaihyakka&oid=00141503 きしょうてんけつ【起承転結 qǐ chéng zhuǎng jié】]」の頁</ref><ref>ここまで。『[[大辞林]]』 第三版 [[三省堂]]「[http://kotobank.jp/word/起承転結?dic=daijirin&oid=DJR_kisyoutennketu_-010 きしょうてんけつ【起承転結】]」の頁</ref>。もとの[[中国語]]([[漢文]])では'''起承転合''' ({{Lang-zh|起承转合}}, qǐ chéng zhuǎn hé) である<ref>[{{Cite web|title=中国語辞典|publisher=白水社|page=「起承转合」の頁|url=http://baikecjjc.baiduweblio.comjp/viewcontent/169067.htm 起承(百度百科)](中国語)|accessdate=2014-05-29}}</ref>
 
日本においては、本来の意味から転じて、[[小説]]文章[[漫画]]など[[物語]]の[[ストーリー]]や論理的な文章など大きく4つに分けたときの構成、または各部の呼称としても使われる。起承転結の典型的な例として[[4コマ漫画]]の構成などがある。
 
一方で、起承転結による文章は論理的ではないと指摘されている<ref name="takamatsu">ここまで。{{Cite journal|author=高松正毅|title=「起承転結」小考|journal=高崎経済大学論集|volume=46|issue=4|pages=115-122|publisher=高崎経済大学経済学会|date=2004|language=Japanese|url=http://www1.tcue.ac.jp/home1/k-gakkai/ronsyuu/ronsyuukeisai/46_4/takamatsu.pdf |accessdate=2014-05-11|language=Japanese}}</ref><ref name="satoh">ここまで。{{Cite journal |和書|author=佐藤尚子|author2=吉野文|author3=椎名紀久子|date=2008-03|title=『文章表現演習』における学生の問題点とその改善について|journal=言語文化論叢|volume=2|pages =129-131|publisher=千葉大学言語教育センター|url=http://mitizane.ll.chiba-u.jp/metadb/up/AN10532524/2008no2_129_136.pdf|id=52682756|naid=120002827830|accessdate=2014-05-19|language=Japanese}}</ref><ref name="yokoo">ここまで。{{Cite book|和書|author=横尾清志|title=日本語を鍛えるための論理思考トレーニング|publisher=ベレ出版|date=2007-10-19|pages=232-233|isbn=4860641701|language=Japanese}}</ref><ref name="ushiro">{{Cite book|和書|author=後正武|authorlink=後正武|title=経営参謀が明かす論理思考と発想の技術|publisher=PHP研究所|date=2006-03-01|isbn=4569666191language=Japanese}}</ref><ref name="yamasaki">ここまで。{{Cite book|和書|author=山崎康司|title=入門考える技術・書く技術: 日本人のロジカルシンキング実践法|publisher=ダイヤモンド社|date=2011-04-08|isbn=4478014582|language=Japanese}}</ref>([[#批判|「批判」の節を参照]])。
== 例 ==
 
また、文章やストーリーの構成としての起承転結は、ローカルなスタイルであり、国際的には、英語の一般的な文章では[[パラグラフ・ライティング]] (主張→根拠→主張' )<ref>{{Cite book|和書|author=田辺希久子|coauthors=光藤京子|title=英日日英プロが教える基礎からの翻訳スキル|publisher=三修社|date=2008-09-22|pages=64-65|isbn=4384055064|language=Japanese}}</ref><ref>{{Cite journal|author=岩本一|title=パラグラフ・ライティングの応用|journal=dialogos: 東洋大学文学部英語コミュニケーション学科紀要|issue=2|pages=25-41|publisher=東洋大学文学部英語コミュニケーション学科|date=2002-03|language=Japanese|url=https://toyo.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=5164&file_id=22&file_no=1|accessdate=2014-05-11}}</ref><ref>{{Cite web|author=中京大学国際英語学部国際英語学科|url=http://www.chukyoeibei.org/media/awkt-e-j.pdf|title=Basic Terms for Academic Writing in English: アカデミック・ライティングのための基本用語|publisher=中京大学国際英語学部国際英語学科|format=PDF|language=Japanese|accessdate=2014-05-11}}</ref>、学術論文では[[IMRAD]]<ref>ここまで。{{Cite web|author=宮田洋輔 ''et al.''|url=http://user.keio.ac.jp/~ueda/papers/webir121.pdf|title=学術論文の構成要素と構造|date=n.d.|format=PDF|language=Japanese|accessdate=2014-05-10|archivedate=2014-05-10|archiveurl=https://web.archive.org/web/20140510041534/http://user.keio.ac.jp/~ueda/papers/webir121.pdf}}</ref>、および映画などの脚本では[[三幕構成]]<ref>{{Cite web|work=シネマセンス|title=構造|publisher=[[アールト大学]] (旧[[ヘルシンキ芸術デザイン大学]])|language=Japanese|accessdate=2014-04-29|url=http://elokuvantaju.uiah.fi/nihon_go/kyoozai/kyakuhon/kouzou.jsp|archivedate=2014-04-28|archiveurl=https://web.archive.org/web/20140428020425/http://elokuvantaju.uiah.fi/nihon_go/kyoozai/kyakuhon/kouzou.jsp}}</ref><ref>{{Cite web|work=シネマセンス|title=幕|publisher=[[アールト大学]] (旧[[ヘルシンキ芸術デザイン大学]])|language=Japanese|accessdate=2014-04-26|url=http://elokuvantaju.uiah.fi/nihon_go/kyoozai/kyakuhon/maku.jsp|archivedate=2014-04-26|archiveurl=https://web.archive.org/web/20140426012928/http://elokuvantaju.uiah.fi/nihon_go/kyoozai/kyakuhon/maku.jsp}}</ref><ref>{{Cite web |date=平成24年度|url=http://www.unijapan.org/library/unijapantext/documentary_co-production.pdf|title=ドキュメンタリーの国際共同製作ガイダンス|format=PDF|publisher=公益財団法人ユニジャパン|accessdate=2014-3-2|author=浜野高宏|coauthors=今村研一, ハンス・ロバート・アイゼンハウアー|page=12||language=Japanese|archiveurl=https://web.archive.org/web/20140302131845/http://unijapan.org/library/unijapantext/documentary_co-production.pdf|archivedate=2014-3-2|ref=hamano}}</ref>が主に用いられている ([[#比較|「比較」の節を参照]])。
 
== 構成 ==
[[元 (王朝)|元]]の[[楊載 (元)|楊載]] (1271-1323) の著した『詩法家数』は、「起承転結」説を唱えた文献のうち、最古のものであると主張される場合がある。楊載の「起承転結」説は、主に以下のようなものである<ref name="suzuki">ここまで。{{Cite journal|和書|author=鈴木敏雄|date=1997-03-31|title=楊載の『起承転結』説釈訓(上)|journal=東洋史訪|volume=3|pages=8-18|publisher=兵庫教育大学東洋史研究会|language=Japanese|url=http://hdl.handle.net/10132/2104|accessdate=2014-05-16}}</ref>。
 
*'''起''': 歴史や人事を題材とし、比喩や連想から詠み始めることにより、様々な展開が出来るとする。
*'''承''': 「穏健」に作るべきであるとし、突飛、露骨な句であったり、反対に平板であったりすることは避けるように主張している。
*'''転''': 読み手を驚かす変化を入れるよう求めている。ただし、「転」の句は、「承」のそれと表裏一体であり、別物であってはならず、
::互いに応じ、互いに避けるという一貫性がなければならないとする。
*'''結''': 「言に尽くる有りて意に窮まる無し」とし、適宜にフェードアウトすることにより、「含蓄」という詩作の目的の一つを
::達成できるとしている。
 
[[唐]]の詩人、[[杜甫]]の詠んだ次の五言絶句の詩<ref>{{Cite journal|author=松原朗|title=杜甫の望郷意識: 蜀中前期|journal=中國詩文論叢|volume=22|publisher=早稲田大学中國詩文研究會|date=2003-12-31|page=1language=Japanese|url=http://hdl.handle.net/2065/40660|accessdate=2014-05-29}}</ref>が、「起承転結」の例である。
 
{| class="wikitable" style="margin:0 auto"
|-
|style="background-color:#E5E5E5;text-align:center;"|'''原文'''
|style="background-color:#E5E5E5;text-align:center;"|'''書き下し文'''
|style="background-color:#E5E5E5;text-align:center;"|'''現代語訳'''
|-
|'''江碧鳥逾白'''
|江碧(みどり)にして 鳥逾(いよ)いよ白く
|川の水は深緑で鳥はますます白く見え
|-
|'''山青花欲燃'''
|山青くして 花燃えんと欲す
|山は新緑で花は燃えさからんばかりに赤く見える
|-
|'''今春看又過'''
|今春 看(みす)みす又た過ぐ
|今年の春も見ているうちにまたもや過ぎ去ろうとしている
|-
|'''何日是帰年'''
|何れの日か 是れ帰年ならん
|一体いつになれば故郷に帰れる年がくるというのか
|-
|}
</div>
<!--(編者注: 出典が無く、独自研究にあたる疑いが強いです。)
=== 物語 ===
*'''起''': 物語の導入部。その物語にはどんな登場人物がいるか、どんな世界・時代に住んでいるのか、登場人物同士の関係はどんなものか、なぜその物語は始まるのかなど、これから物語を読む上で必要な知識を紹介する部分。
*'''承''': 「承」は「受ける」を意味し<ref>[http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?kind=jn&mode=0&MT=%be%b5&from=stick6&PT=stick6 「承」の意味] [[三省堂]][[大辞林]]</ref>、「起」で提起した事柄を受け、さらに進めて理解を促し、物語の導入である「起」から、物語の核となる「転」へつなぐ役目を果たす部分。ここは単純に「起」で紹介した物語を進めるだけで、次に続く「転回」または「展開」が誤解されることがないように備えておくものであまり大きな展開はないのが普通。
*'''転''': 物語の核となる部分。「ヤマ」ともいわれる、物語の中で最も盛り上がりを見せる部分。物語の中でも最も大きな転機を見せる部分であり、読者が知らなかった事柄や想起を超える展開をすることによって、関心や興味を引く部分となる。
*'''結''': 「[[落ち|オチ]]」とも呼ばれる部分で、物語が進んだ結果、「転」での結末が最終的にどうなったのかを描いて物語を締めくくる部分。-->
 
また、[[頼山陽]] (1780-1832) の作と伝えられる以下の[[俗謡]]も、起承転結の例として認知されている (これには多様なバリエーションがあり、その一つを挙げる)<ref>{{Cite book|和書|author=山中桂一|title=日本語のかたち: 対照言語学からのアプローチ|publisher=東京大学出版会|date=1998-01|page=181|isbn=4130800043|language=Japanese}}</ref>。
=== 俗謡 ===
*'''起''': 大阪本町 糸屋の娘
起承転結の例として、[[頼山陽]]の以下の俗謡がよく挙げられる<ref>[http://kotobakai.seesaa.net/article/8239445.html ことば会議室:起承転結「糸屋の娘は目で殺す」]</ref>(出典により多少の相違がある、相違部分は括弧で表した)。
*'''承''': 姉は十六 妹が十四
*'''起''': 京の三条の(<ref>この部分には、他に「京都三条」「京の五条の」「三条木屋町」「大坂本町の」「大坂天満の」「大坂船場の」「浪速花町」「浪花本町」「向こう横丁の」のいずれかが入る。</ref>)糸屋の娘
*'''転''': 諸国大名は 弓矢で殺す
*'''承''': 姉は十六妹十四(<ref>姉と妹の年齢は他に、二十一と二十、十八と十五、十八と十六、十七と十五、十六と十五というものもある。</ref>)
*'''''': 諸国大名 (諸国諸大名) 糸屋の娘弓矢 (刀) で殺す (斬る)
<!--(編者注: 出典が無く、また、過剰な注釈となるので一時コメントアウトします。)
*'''結''': 糸屋の娘は目 (眼) で殺す
以下、前掲の俗謡のバリエーションの例。
一段目: 「京の三条の」「京都三条」「京の五条の」「三条木屋町」「大坂天満の」「大坂船場の」「浪速花町」「浪花本町」「向こう横丁の」など。
二段目:「 二十一」と「二十」、「十八」と「十五」、「十八」と「十六」、「十七」と「十五」、「十六」と「十五」など。
三段目: それぞれ、「諸国諸大名」、「刀」、「斬る」ともいう。
四段目:「目」を「眼」とする場合もある。
-->
頼は、漢詩の起承転結を弟子に理解させるために、この俗謡を用いていたと伝承されている<ref>{{Cite book|和書|author=原田種成|title=私の漢文講義|publisher=大修館書店|date=1995-10|page=111|isbn=4469231231|language=Japanese}}</ref>。
 
=== 漢詩以外への転用 ===
== 作文技法 ==
[[日本語学者|国語学者]]で、[[武庫川女子大学]]・言語文化研究所長および同大教授 (当時) の[[佐竹秀雄]]は、起承転結による文章の構成について、以下のように定義している (佐竹は必ずしも起承転結の文章構成を支持していない点に注意)<ref>{{Cite book|和書|author=佐竹秀雄|title=文章を書く技術|series=日本語を知る・磨く|publisher=ベレ出版|date=2006-02-25|page=111|isbn=4860641140|language=Japanese}}</ref>。
起承転結は、[[作文]]技法として中等教育以降で取り上げられることもある。単純な創作物語には適用可能だが、構成要素が四つと少ないので、同じ創作物語でもより綿密な構成を要するものや、説明文、実用文書などには向かない。起承転結はもともと「[[句]]」や「[[句切れ]]」の構成を端的に表す[[四字熟語]]であり、説明文、実用文書には[[段落]]([[パラグラフ]])や[[節 (文法)|節]]を意識した構成が必要となる。さらには、複雑な事柄や、全く新しいことを記述する文書などは章<ref>[http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?kind=jn&mode=0&MT=%be%cf&from=stick6&PT=stick6 章] [[三省堂]][[大辞林]]</ref>を設ける構成も要る。
*'''起''': 「事実や出来事を述べる」
*'''承''': 「『起』で述べたことに関することを述べる。解説したり、それによって起こる問題点を述べたり、感想、意見を述べたりする。」
*'''転''': 「『起承』とは関係のない別のことがらを持ち出す」
*'''結''': 「全体を関連づけてしめくくる」
 
[[黒澤明]]監督作品の脚本を複数担当した脚本家の[[小国英雄]]は、ストーリーの構成における起承転結を、以下のように解釈している〔編者注: 一部誤字を修正〕<ref name="toriumi">ここまで。{{Cite book|和書|author=[[鳥海尽三]]|title=アニメ・シナリオ入門|publisher=映人社|date=1987-05-20|pages=121, 124|isbn=4871002152|language=Japanese}} [孫引きにつき注意。原典は『シナリオ作法考』(宝文館出版)]</ref>。
*'''起''': 「主人公の置かれている状態、劇の説明」
*'''承''': 「主人公の置かれている状態にある事件が起こり、これから段々劇が展開して行く過程」
*'''転''': 「一つの劇のヤマ場で結果に赴く為の転化」
*'''結''': 「承、即ち事件とそれによって起こった転化によって出された結果」
 
そのようなストーリー構成の典型的な例として、[[4コマ漫画]]が引用される場合がある<ref>{{Cite book|和書|author=竹宮惠子|title=マンガの脚本概論|publisher=角川学芸出版|date=2010-04-08|page=73|isbn=4046538015|language=Japanese}}</ref>。
 
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== 批判 ==
日本においては、高等学校までに学習する文章のスタイルは、「起承転結」が一般的である。このため、生徒は「日本語の文章は必ず起承転結で書く」という認識を持って卒業している場合が多い。一方で、起承転結は、[[漢詩]]の構成にすぎず、論理的な文章を書ける構成ではない<ref name="satoh"/>として、以下のように指摘されている。
 
[[日本語学]]が専門で[[高崎経済大学]]助教授 (当時。後に教授) の高松正毅は、起承転結について、「こと説得を目的とする文章を作成するにあたっては極めて不適切で、ほとんど使いものにならない」と主張しており、「『起承転結』では、文章は書けない」と述べている。「起」「承」「転」「結」のそれぞれの機能の定義が明確でなく、各部分に含まれるべき文が曖昧であることを、高松は問題視する<ref name="takamatsu"/>。
 
高松はまた、起承転結が真に問題であるのは、それが「役に立たない」からではなく、思考に大きな影響を与えるためであるとする。すなわち、文章の論旨とは無関係のように見えることを「転」で突然言い出したり、論旨を「結」に書くために、可能な限り後のほうに記述しようとしたり、文章の構成として絶対に認められない思考様式を定着させると、高松は主張している<ref name="takamatsu"/>。
 
日本語教育が専門で[[千葉大学]]准教授 (当時) の佐藤尚子らは、論理的な文章は論理の一貫性が必要であり、「転」の部分が論理の一貫性に反すると批判している<ref name="satoh"/>。[[言語文化学会]]東北支部長 (当時) で論文指導者の横尾清志もまた、「転」の部分が論理的な展開から逸脱している点が論理的でないとする。横尾は、起承転結は文学的な文章展開であり、論理性や客観的視点が無いため、論証や議論には適さないとしている。「たとえ中学生の作文指導であったとしても、起承転結などで書くことを意識させてはなりません」と横尾は述べている<ref name="yokoo"/>。
 
[[ベイン・アンド・カンパニー]]の日本支社長を務めた[[経営コンサルタント]]の[[後正武]]は、起承転結は[[修辞技法|修辞]]の技法 (レトリック) であり、論理的な正しさとは関係が無く、むしろ修辞に影響されることにより論理的思考の障害になるとしている<ref name="ushiro"/>。
 
[[ブーズ・アレン・ハミルトン]]で主任コンサルタントを務め、バーバラ・ミントの著作を翻訳した山崎(やまさき)康司<ref>{{Cite web|url=http://www.diamond.co.jp/_itemcontents/0201_biz/49027-9.html#shoukai|title=新版 考える技術・書く技術: 問題解決力を伸ばすピラミッド原則; 著者紹介|publisher=ダイヤモンド社language=Japanese|accessdate=2014-05-14|archivedate=2014-05-14|archiveurl=http://web.archive.org/web/20140514073504/http://www.diamond.co.jp/_itemcontents/0201_biz/49027-9.html}}</ref>は、ビジネス文書では、まず結論から書くことが原則であり、その理由の一つは、読む側が多忙であるためとしている。山崎は、結論を最後に書く起承転結について、レポート・ライティングのスタイルではないと主張している<ref name="yamasaki"/>。
 
心理学者で[[お茶の水女子大学]]の学長を務めた[[波多野完治]]、および歴史学者の[[沢田昭夫]]らも、文章技法としての起承転結に対して、このような批判と同様の主張を行っている<ref>{{Cite journal|author=高松正毅|title=「文章表現技術」の理論確立に向けて|journal=高崎経済大学論集|volume=45|issue=4|page=178|publisher=高崎経済大学|date=2003|language=Japanese|url=http://www1.tcue.ac.jp/home1/k-gakkai/ronsyuu/ronsyuukeisai/45_4/takamatsu.PDF|accessdate=2014-05-11}}</ref>。
 
=== 脚本の構成 ===
映画などの脚本においては、次のように指摘される。アメリカの著名な{{仮リンク|スクリプト・ドクター|en|Script doctor}}である{{仮リンク|リンダ・シーガー|en|Linda Seger}}<ref>{{Cite book|和書|author=リンダ・シガー (リンダ・シーガー)|title=ハリウッド・リライティング・バイブル|publisher=愛育社|year=2000|page=奥付|isbn=4750000655|language=Japanese}}</ref>によれば、最初の転換点までの時間配分が長すぎる (全体の1/4より大幅に多い) 場合、[[三幕構成]]で言うところの第一幕 (設定) が間延びして退屈なものとなる。反対に、最初の転換点に続く第二幕 (対立) は、短すぎて呆気<small>(あっけ)</small>なくなるという。このため、そうした構成では、観客の関心を得られないとしている<ref>ここまで。{{Cite book|和書|author=リンダ・シガー (リンダ・シーガー)|title=ハリウッド・リライティング・バイブル|publisher=愛育社|year=2000|page=69|isbn=4750000655|language=Japanese}}</ref>。
 
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== 比較 ==
[[英語圏]]では、「[[パラグラフ・ライティング]]」<ref>{{cite web|author=[[冨永敦子]]|url=http://horilab.jp/031105techWriting/page2.htm|title=パラグラフライティング-第3回プロから学ぶ「わかりやすい文章の書き方」講座|publisher=[[静岡大学|静岡大学情報学部]][[堀田龍也|堀田]]研究室(当時)|date=2003-11-5|accessdate=2014-3-2|archiveurl=https://web.archive.org/web/20031206223321/http://horilab.jp/031105techWriting/|archivedate=2003-12-6}}</ref>が文章一般に用いられている<ref name="tanabe">ここまで。{{Cite book|和書|author=田辺希久子|coauthors=光藤京子|title=英日日英プロが教える基礎からの翻訳スキル|publisher=三修社|date=2008-09-22|pages=64-65|isbn=4384055064|language=Japanese}}</ref>。また、[[論文|学術論文]]では「[[IMRAD]]形式」が主流である<ref name="miyata">ここまで。{{Cite web|author=宮田洋輔 ''et al.''|url=http://user.keio.ac.jp/~ueda/papers/webir121.pdf|title=学術論文の構成要素と構造|date=n.d.|format=PDF|language=Japanese|accessdate=2014-05-10|archivedate=2014-05-10|archiveurl=https://web.archive.org/web/20140510041534/http://user.keio.ac.jp/~ueda/papers/webir121.pdf}}</ref>。起承転結は、[[ストーリー]]の構成としても必ずしも評価されておらず、例えば、映画などの脚本においては、国際的に支持されていない。通常、日本以外の国では、映画などの[[脚本]]は「[[三幕構成]]」に基づいて作成される<ref name="structure">ここまで。{{Cite web|work=シネマセンス|title=構造|publisher=[[アールト大学]] (旧[[ヘルシンキ芸術デザイン大学]])|language=Japanese|accessdate=2014-04-29|url=http://elokuvantaju.uiah.fi/nihon_go/kyoozai/kyakuhon/kouzou.jsp|archivedate=2014-04-28|archiveurl=https://web.archive.org/web/20140428020425/http://elokuvantaju.uiah.fi/nihon_go/kyoozai/kyakuhon/kouzou.jsp}}</ref><ref name="act">ここまで。{{Cite web|work=シネマセンス|title=幕|publisher=[[アールト大学]] (旧[[ヘルシンキ芸術デザイン大学]])|language=Japanese|accessdate=2014-04-26|url=http://elokuvantaju.uiah.fi/nihon_go/kyoozai/kyakuhon/maku.jsp|archivedate=2014-04-26|archiveurl=https://web.archive.org/web/20140426012928/http://elokuvantaju.uiah.fi/nihon_go/kyoozai/kyakuhon/maku.jsp}}</ref><ref name="hamano">ここまで。{{Cite web |date=平成24年度|url=http://www.unijapan.org/library/unijapantext/documentary_co-production.pdf|title=ドキュメンタリーの国際共同製作ガイダンス|format=PDF|publisher=公益財団法人ユニジャパン|accessdate=2014-3-2|author=浜野高宏|coauthors=今村研一, ハンス・ロバート・アイゼンハウアー|page=12||language=Japanese|archiveurl=https://web.archive.org/web/20140302131845/http://unijapan.org/library/unijapantext/documentary_co-production.pdf|archivedate=2014-3-2|ref=hamano}}</ref>。なお、[[日本伝統芸能|日本の伝統芸能]]における脚本構成も、[[序破急]]、すなわち[[三幕構成]]である<ref>『[[大辞林]]』 第三版 [[三省堂]] 「[http://kotobank.jp/word/序破急?dic=daijirin&oid=DJR_johakyuu_-010 じょはきゅう【序破急】]」の頁 </ref><ref>『[[世界大百科事典]]』 第2版 [[平凡社]] 「[http://kotobank.jp/word/序破急?dic=sekaidaihyakka&oid=00202814 じょはきゅう【序破急】]」の頁</ref><ref>{{Cite web|url=http://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/contents/learn/edc11/sakuhin/kousei/|title=歌舞伎舞踊の作品と表現-五段構成と序破急|accessdate=2014-2-28|year=2009|work=文化デジタルライブラリー|publisher=独立行政法人日本芸術文化振興会|language=Japanese|archiveurl=https://web.archive.org/web/20140306085340/http://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/contents/learn/edc11/sakuhin/kousei/|archivedate=2014-3-6}}</ref>。
<!--起承転結はもともと「[[句]]」や「[[句切れ]]」の構成を端的に表す[[四字熟語]]であり、説明文、実用文書には[[段落]]([[パラグラフ]])や[[節 (文法)|節]]を意識した構成が必要となる。さらには、複雑な事柄や、全く新しいことを記述する文書などは章<ref>[http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?kind=jn&mode=0&MT=%be%cf&from=stick6&PT=stick6 章] [[三省堂]][[大辞林]]</ref>を設ける構成も要る{{fact|date=2014年3月}}。(編者注: 出典が示されていないためコメントアウトして保留。)-->
 
=== パラグラフ・ライティング ===
'''[[パラグラフ・ライティング]]'''は、英語の文章の一般的なスタイルである。パラグラフ・ライティングは、序論 (Introduction)、本論 (Body)、結論 (Conclusion) の三部構成から成り立っている<ref name="tanabe"/><ref name="iwamoto">ここまで。{{Cite journal|author=岩本一|title=パラグラフ・ライティングの応用|journal=dialogos: 東洋大学文学部英語コミュニケーション学科紀要|issue=2|pages=25-41|publisher=東洋大学文学部英語コミュニケーション学科|date=2002-03|language=Japanese|url=https://toyo.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=5164&file_id=22&file_no=1|accessdate=2014-05-11}}</ref>。パラグラフ・ライティングでは、結論にあたる主張が、文章全体の最初のパラグラフ (段落) に書かれる。続いて、その根拠が1つ以上のパラグラフによって示される。そして、最後のパラグラフでは、それまでのパラグラフが要約され、また、結論にあたる主張が表現を替えて繰り返される<ref name="chukyo">ここまで。{{Cite web|author=中京大学国際英語学部国際英語学科|url=http://www.chukyoeibei.org/media/awkt-e-j.pdf|title=Basic Terms for Academic Writing in English: アカデミック・ライティングのための基本用語|publisher=中京大学国際英語学部国際英語学科|format=PDF|language=Japanese|accessdate=2014-05-11}}</ref><ref name="iwamoto"/>。
 
'''序論'''では、論旨 (thesis statement)、すなわち文章全体で一番言いたいことが示される (論旨は序論の終わりに述べられる)。'''本論'''は、その論旨の根拠を書くところである。本論は1つ以上のパラグラフ (段落) から成る。本論のパラグラフは、主題文 (topic sentence) とそれに続く支持文 (supporting sentences) から出来ている。主題文は、そのパラグラフで言いたいことを述べた文であり、支持文はその根拠となる文である。 支持文は5つ以上であることが望ましい。そのようにして本論のパラグラフは成り立つ。'''結論'''では、本論での論証に基づきながら、序論で述べた論旨が言い換えられ、改めて主張される<ref name="tanabe"/><ref name="chukyo"/><ref name="iwamoto"/>。
 
パラグラフ・ライティングでは、 "One paragraph, one topic" が原則である。新たなトピック (主題) を述べるときには、段落を分ける。また、トピックや論旨と無関係な文 (irrelevant sentences) は書いてはならない。起承転結の「転」のような論述は、論理の飛躍 (logical leap) であるとして認められない<ref name="tanabe"/>。
 
=== IMRAD形式 ===
{{main|IMRAD}}
'''[[IMRAD|IMRAD形式]]'''は、[[論文|学術論文]]の典型的な構成である。IMRAD形式は、導入 (Introduction)、方法 (Methods)、結果 (Results)、および考察 (Discussion) から成る。派生的な形式も含めれば、学術論文の構成はIMRAD形式が主流となっている。分野別では、[[生命科学|生物科学]]を始め、[[化学]]、および[[医学]]などの[[自然科学]]において比較的多く用いられている<ref name="miyata"/>。
 
=== 三幕構成 ===
{{main|三幕構成}}
'''[[三幕構成]]'''は、映画などの脚本における一般的な構成である<ref name="structure"/><ref name="act"/><ref name="hamano"/>。三幕構成では、ストーリーの序盤、中盤、終盤が、それぞれ設定 (Set-up)、対立 (Confrontation)、解決 (Resolution) の役割を持つ3つの幕となり<ref> {{Cite book|和書|author=[[シド・フィールド]]|title=映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと: シド・フィールドの脚本術|publisher=フィルムアート社|year=2009|isbn=4845909278|pages=17-22|language=Japanese}}</ref><ref>{{Cite web|url=http://sydfield.com/writers-tools/the-paradigm-worksheet/|title=THE PARADIGM WORKSHEET|accessdate=2014-03-27|last=Field|first=Syd|year=2013|publisher=sydfield.com|language=English|archivedate=2013-09-06|archiveurl=http://web.archive.org/web/20140327003711/http://sydfield.com/writers-tools/the-paradigm-worksheet/}}</ref>、3つの幕の比は1:2:1である<ref>{{Cite book|和書|author=リンダ・シガー (リンダ・シーガー)|title=ハリウッド・リライティング・バイブル|publisher=愛育社|year=2000|isbn=4750000655|pages=43-44|language=Japanese}}</ref>。幕と幕は転換点 (プロットポイント) でつながっている。プロットポイントは、主人公に行動を起こさせ、ストーリーを異なる方向へ転換させる出来事である<ref>ここまで。{{Cite book|和書|author=[[シド・フィールド]]|title=映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと: シド・フィールドの脚本術|publisher=フィルムアート社|year=2009|isbn=4845909278|page=23|language=Japanese}}</ref>。
 
[[NHKエンタープライズ]]のエグゼクティブ・プロデューサー (当時) である浜野高宏は、「日本と海外では、ストーリーの組み立て方がかなり異なる。例えば、日本では『起承転結』の概念を知らないプロデューサーはいないだろうが、外国人で知っている人は稀だ。海外では『[[序破急]]』の概念に近い『3幕構成』が主流であり、これは外国人ならほとんどの人が知っている。そのため、ピッチ〔編者注: 企画の売り込み〕を受けた外国人がストーリー構成を聞くときは、この3幕構成に沿った説明を求めていることがほとんどだ。それをすぐに答えられない場合は、基本的なことすら考えていない企画以前の段階なのだ、と思われてしまう。」と述べている<ref name="hamano"/>。
 
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== 日本における受容 ==
起承転合 (起承転結) の語は、[[16世紀|16世紀半ば]]の[[国語辞典]]である『[[運歩色葉集]]』に、日本における早い使用例が見られる<ref name="takamatsu"/>。その後の日本においては、ある時点から、起承転結の構成は、漢詩以外の文章にも転用されるようになった。[[1980年]]に出版された『NHK新アナウンス読本』([[NHK出版|日本放送出版協会]]) では、[[日本放送協会|NHK]] (日本放送協会) のニュースの原稿は、起承転結によって構成されているとしている。「起承転結は、文章でも音楽でも、あらゆる構成の基本型です」と同書は記している<ref>ここまで。{{Cite book|和書|editor=日本放送協会|title=NHK新アナウンス読本|publisher=日本放送出版協会|date=1980-03|page=195|isbn=4140110309|language=Japanese}}</ref>。
 
それより遡って、前出の[[小国英雄]]は、[[1970年]]前後またはそれ以前に、「中国に、"起承転結"という言葉がある。この言葉は作劇上の構成をうまく表現した言葉で、これからシナリオを書く人はこの順序に従って劇を作って行くと便利ではないかと思われる。」と、語の紹介から始めている。また、この文章の掲載された『シナリオ作法考』(1969年または1971年に出版) は、起承転結のみでなく、[[アリストテレス]]の3部分説から[[グスタフ・フライターク|フライターク]]の5段階説に至る「近代作劇術の基礎」を解説している<ref name="toriumi"/>。
 
[[1961年]]に出版された『作文の授業入門』([[今井誉次郎]]著) は、「起承転結」について、「これはいうまでもなく、漢詩の句の排列の名称です」としながら、[[作文]]の表現として取り上げている。「これを子どもたちにもよくわかるようにいいあらわすと、『はじめ』『つづき』『かわり』『むすび』ということになるでしょうか」と、今井は述べている<ref>ここまで。{{Cite book|和書|author=[[今井誉次郎]]|title=作文の授業入門|publisher=明治図書出版|date=1961|page=187|asin=B000JANEZY|language=Japanese}}</ref>。今井は「[[日本作文の会]]」の委員長を務めた<ref>『日本人名大辞典+Plus』デジタル版 「[http://kotobank.jp/word/今井誉次郎 今井誉次郎 【いまいたかじろう】]」の頁</ref>。日本作文の会によれば、日本の国語教育で「書くこと」が重視されるようになったのは、戦後のことであるという<ref>{{Cite web||url=http://homepage3.nifty.com/nissaku/sakubunnnokaitowa.html|title=日本作文の会とは|publisher=日本作文の会|language=Japanese|accessdate=2014-05-30|archivedate=2013-11-13|archiveurl=https://web.archive.org/web/20131113014522/http://homepage3.nifty.com/nissaku/sakubunnnokaitowa.html}}</ref>。
 
以下の例にあるように、少なくとも[[1940年代]]には、「文章や物事の構成」という意味での「起承転結」の転用が始まっている<ref>{{Cite book|和書|author=筈見恒夫|title=映画五十年史|edition=2||url=http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1125750|publisher=鱒書房|date=1947-10-05|page=254|language=Japanese}}</ref><ref>参照。[http://books.google.co.jp/books Google ブックス]</ref>。
 
{{Quotation|『[[ハワイ・マレー沖海戦]]』は、[[真珠湾攻撃]]に参加した[[特別攻撃隊|特攻隊員]]とその家庭、隊員の猛訓練を描いたもので、劇的な'''起承転結'''は見出せない。こゝにあるものは通常の日本人の家庭と、当り前の少年隊員である。この映画は、さうした淡々たる日常茶飯的なものと、……|筈見恒夫|『映画五十年史』 鱒書房、1947年、254頁。}}
 
戦前には、[[夏目漱石]]および[[寺田寅彦]]が、「漢詩の構成」という本来の意味で「起承転結」の語を用いている (ただし寺田は比喩としても使用している)<ref>{{Cite book|和書|author=[[夏目漱石]]|title=夏目漱石全集|volume=7|url=http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/792_14937.html|publisher=筑摩書房|series=ちくま文庫|date=1988-04-26|language=Japanese|quote=……ふと十七字を並べて見たりまたは'''起承転結'''の四句ぐらい組み合せないとも限らないけれども……}}</ref><ref>{{Cite book|和書|author=[[寺田寅彦]]|title=寺田寅彦随筆集|volume=3||url=http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2461_11119.html|publisher=岩波書店|series=岩波文庫|date=1948-05-15|language=Japanese|quote=元来この四楽章構成は決して偶然なものではなくて、ちょうど漢詩の'''起承転結'''などにも現われまた戯曲にも小説にも用いられる必然的な構成法であって特に連句のみに限られたことではないのであるが、……}}</ref><ref>{{Cite book|和書|author=[[寺田寅彦]]|title=寺田寅彦随筆集|volume=2|url=http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2455_10268.html|publisher=岩波書店|series=岩波文庫|date=1947-09-10|language=Japanese|quote=実際この線香花火の一本の燃え方には、「序破急」があり「'''起承転結'''」があり、詩があり音楽がある。 ところが近代になってはやり出した電気花火とかなんとか花火とか称するものはどうであろう。}}</ref><ref>{{Cite book|和書|author=[[寺田寅彦]]|title=寺田寅彦随筆集|volume=3|url=http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2469_9349.html|publisher=岩波書店|series=岩波文庫|date=1948-05-15|language=Japanese|quote=そうして序破急と言いあるいは'''起承転結'''と称する東洋的モンタージュ手法がことごとく映画編集の律動的原理の中にその同型を見いだすのである。}}</ref>。
 
さらに遡って、[[1802年]]には、[[十返舎一九]]による『起承転合』と題した[[洒落本]]が刊行されている。このときの題名は『起承転合』であり、「起承転結」ではなかった<ref>ここまで。{{Cite web|work=古典籍総合データベース|url=http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/he13/he13_03633_0057/index.html|title=起承転合 / 十偏舎一九 [撰・画]|publisher=早稲田大学図書館|language=Japanese|accessdate=2014-05-23}}</ref>。
 
一方で、中国においては、文学者の[[魯迅]]が、[[1928年]]に出版された『而已集』の「通信」の中で、既に起承転結 (起承転合) の転用を行っている<ref>{{Cite book|和書|author=魯迅|title=魯迅選集||volume=7|publisher=岩波書店|date=1956-09-22|page=126|asin=B000JB1DEC|language=Japanese|quote=だがやむを得ない、なんとか'''起承転結''' (起承転合) を塩梅して、壇上にあがりああだこうだといいます。ただし私は規定を自分でつくっていて、せいぜい十分間を限っています。しかし気持ちは楽しくないので、演説の前とか後で、私はいつも、……}}</ref>。
 
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=== 国会での用例 ===
日本の[[国会]]においては、第1回 ([[1947年]]) 以降、「起承転結」の語を最初に用いたのは、第16回 ([[1953年]]) 6月30日の衆議院文部委員会における[[世耕弘一]]の質問である<ref>参照。[http://kokkai.ndl.go.jp 国会会議録検索システム]</ref>。世耕の発言は、起承転結の本来の意味、すなわち漢詩の構成という意味に基づいて、かつての[[教育勅語]]の[[詩吟]]としての芸術性を主張するものであった。世耕はまず、起承転結の語を紹介することから始めている<ref>ここまで。{{cite conference|date=1953-06-30|title=衆議院文部委員会|volume= 5 |conference=第16回国会}}</ref>。
 
{{Quotation|詩に'''起承転結'''という法則がございます。詩吟するときにその転の部分を一きわ声を張り上げるようになつております。教育勅語にも芸術性がございまして、君に忠に親に孝にと、まことに朗吟に適し、……|世耕弘一|第16回国会・衆議院文部委員会5号、1953年6月30日。}}
 
これ以降、「起承転結」の語が国会において用いられることは17年間にわたって無く、[[1970年代]]に入り、突然、「文章や物事の構成」という意味での転用が3例<ref name="aichi">{{cite conference|date=1970-04-14|title=参議院外務委員会|volume=7|conference=第63回国会}}</ref> <ref name="ueda">{{cite conference|date=1973-08-30|title=参議院内閣委員会|volume=24|conference=第71回国会|quote=……ひとつそういう方針の転換があるときには、国会、委員会の権威にかけて御報告なさい、これから。……この方向でやりたいと思うのだと、大臣が答えたとする。その点、何も変更なしにすいすいとやられてしまうということなら、やらずぶったくりですよ。……こういうことはきちっと'''起承転結'''を明らかにするということを約束をしてくださるか。}}</ref><ref name="marutani">{{cite conference|date=1979-03-22|title=参議院農林水産委員会|volume=6|conference=第87回国会|quote=どうもちょっと、そうすると大臣の発言としてはいま言われたようなふうに伝わっていないと思うんですよ、われわれが聞いている限りでは。もう少しちゃんと'''起承転結'''のある形での発言をしていただかないと困るのじゃないかと思うんですが、どうですか。}}</ref>、[[1980年代]]には8例<ref>{{cite conference|date=1980-02-22|title=参議院エネルギー対策特別委員会|volume=2|conference=第91回国会|quote=午前中の説明を聞いていますときわめてきちっとしているのです、'''起承転結'''が。}}</ref><ref>{{cite conference|date=1980-03-28|title=参議院大蔵委員会|volume=9|conference=第91回国会|quote=実は、総理の話しているときには大変わかりにくいことがあるんですけれど、後で記録を読むと、実にきちっと'''起承転結'''のりっぱな文章になっているのに私はかねがね感心していたんです。}}</ref><ref>{{cite conference|date=1980-05-08|title=参議院法務委員会|volume=8|conference=第91回国会|quote=つまり逆な、そういう発想を少し――'''起承転結'''、序論があって総論があって各論があって結論というんじゃなくて、結論から少し持ってくるようなPRが必要じゃないかと思う、特にこの法案の場合はですね。}}</ref><ref>{{cite conference|date=1984-03-10|title=衆議院予算委員会第三分科会|volume=1|conference=第101回国会|quote=暴力につきましても、例えばテレビ一つ取り上げてもそうでありますが、おもしろおかしく、結果的に暴力を犯し殺人を犯すことは処罰されるということの'''起承転結'''はテレビの中にある程度出ておりますけれども、そういうことのわからない子供たちの目の前で、……}}</ref><ref>{{cite conference|date=1984-03-12|title=衆議院予算委員会第七分科会|volume=2|conference=第101回国会|quote=それから中学校になりますと、いろいろ先生から今御指摘がありましたように、書き出しからあいさつ、その順序、こういった'''起承転結'''とか、こういったところまできちっと実は教科書などにも出ておりますし、……}}</ref><ref>{{cite conference|date=1984-07-25|title=衆議院社会労働委員会|volume=28|conference=第101回国会|quote=「……むしろこれだけ力を入れてきたのだから結核ぐらいちゃんと始末したらどうだといいたいのです。ひとつぐらいの病気についてまともに'''起承転結'''をつけてみたらどうか。……」と、こういうふうに言われておるわけです。}}</ref><ref>{{cite conference|date=1984-07-31|title=参議院内閣委員会|volume=19|conference=第101回国会|quote=これから審議会の御論議が進んでいくわけでございますけれども、審議会全体を、三年間を、春夏秋冬といいますか、'''起承転結'''といいますか、まず開会の辞から始まって、行儀よく、ずっと総論から順番に、はしがきから最後の終わりに臨んでまでを行儀正しく秩序整然といくのも一つの考え方でございますけれども、大体の流れとしてはそうなるでしょうけれども、……}}</ref><ref>{{cite conference|date=1989-06-13|title=参議院予算委員会|volume=12|conference=第114回国会|quote=まあ'''起承転結'''ですから、大臣就任で資産公開して、終わったときに資産公開。それはその間に悪いことをする大臣なんてまずいませんよ。}}</ref>現れる。国会において最初にそのような転用を行ったのは、外務大臣 (当時) の[[愛知揆一]]である<ref>ここまで参照。[http://kokkai.ndl.go.jp 国会会議録検索システム]</ref>。[[1970年]]3月31日に発生した[[共産主義者同盟赤軍派|赤軍派]]の[[よど号ハイジャック事件]]の時期と重なったため、[[ソビエト連邦]]との外交交渉の顛末(てんまつ)が不明瞭となったことを、愛知は同年4月14日に述べている<ref name="aichi"/>。
 
{{Quotation|ただいまもお話がございましたように、これはハイジャック事件の突発によりましてこの問題の'''起承転結'''が少しぼやけている傾きがございます。政府とこの問題についてのソ連側との交渉、それからその終末でございますけれども、……これが終結するに至りますまでの正式の交渉のてんまつでございます。|愛知揆一・外務大臣 (当時)|第63回国会・参議院外務委員会7号、1970年4月14日。}}
 
1970年代の国会における他の用例としては、[[上田哲]]による[[1973年]]の第71回国会・参議院内閣委員会での発言<ref name="ueda"/>、および[[丸谷金保]]による[[1979年]]の第87回国会・参議院農林水産委員会での発言がある<ref name="marutani"/>。
 
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== 関連項目 ==
25 ⟶ 161行目:
* [[中国文学]]
* [[プロット (物語)]]
* [[三幕構成]] - [[脚本]]構成の[[デファクトスタンダード|事実上の標準]]
* [[序破急]] - 三段構成
* [[起承鋪叙結]] - 五段構成
* [[5W1H]]
* [[IMRAD]]
* [[:en:Dramatic structure|Dramatic structure]]
 
[[#top|【トップに戻る】]]
 
== 脚注 ==
=== 注釈 ===
<references />
{{Reflist|group="注釈"}}
=== 出典 ===
{{Reflist|4}}
 
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{{DEFAULTSORT:きしようてんけつ}}