「世界遺産」の版間の差分

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第37回[[世界遺産委員会]](2013年)終了時点で、世界遺産は981件登録されているが、その内訳は文化遺産759件、自然遺産193件、複合遺産29件である<ref name = WHC_List />。一見して明らかな通り、文化遺産の登録数の方が圧倒的に多く、地域的には文化遺産の約半数を占めるヨーロッパの物件に偏っている。
 
また、イタリア(49件)、中国(45件)、スペイン(44件)、フランス・ドイツ(各38件)<ref group = "注釈">スペインとフランスで共有している「[[モン・ペルデュ|ピレネー山脈のモン・ペルデュ]]」などは、スペイン、フランス双方に各1件として加算している。</ref>など非常に多くの物件が登録されている国がある一方で、世界遺産条約締約の190か国中、[[世界遺産を保有していない国の一覧|1件も登録物件を持たない国]]が30か国ある(数字はいずれも第37回委員会終了時点)<ref name = WHC_List>[http://whc.unesco.org/en/list UNESCO World Heritage Centre : World Heritage List (英語)]</ref>。
なお、世界遺産リストの上位登録国が世界遺産委員会の委員国に選出される傾向にあり、自国の申請物件に関して審議するという制度的矛盾も指摘される<ref>加治宏基「中国のユネスコ世界遺産政策--文化外交にみる「和諧」のインパクト」『中国21』Vol.29。</ref>。
[[ファイル:Sydney Opera House Australia.jpg|thumb|[[シドニー・オペラハウス]]。完成から登録までに30年ほどしか経過していないこのような新しい建築物の登録には、グローバル・ストラテジーが大きく関わっている]]
こうした内容的・地域的な偏りを是正するために、世界遺産委員会では様々な試みが行われている。内容的な不均衡是正の一例としては、「世界遺産リストの代表性、均衡性、信用性のためのグローバル・ストラテジー」([[1994年]])が打ち出され、[[文化的景観]]、[[産業遺産]]、[[20世紀]]以降の現代建築などを登録していくための比較研究の必要性が示された<ref>http://whc.unesco.org/archive/global94.htm#debut</ref>。2004年から具体的な作業が行われている「顕著な普遍的価値」の再定義や、暫定リスト作成時点で、偏りをなくすような適切な選択がなされるように働きかけていくことなどもその例である<ref>『世界遺産年報』各年版(特に2005年版から2007年版)に基づく。</ref>。
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無形文化遺産の中には、無形文化遺産「[[イフガオ族]]の[[フドゥフドゥ詠歌]]」と世界遺産「[[フィリピン・コルディリェーラの棚田群]]」、無形文化遺産「[[エルチェの神秘劇]]」と世界遺産「[[エルチェの椰子園]]」、無形文化遺産「[[ジャマーア・エル・フナ広場の文化的空間]]」と世界遺産「[[マラケシュ|マラケシュの旧市街]]」、無形文化遺産「[[宗廟祭礼祭]]」と世界遺産「[[宗廟 (ソウル特別市)|宗廟]]」のように、無形文化遺産の中には世界遺産リスト登録物件との間に密接な結びつきがあり、有形と無形の「複合遺産」と捉えられるものもあることが指摘されている<ref>世界遺産アカデミー『世界遺産検定2007』p.164, 佐滝 (2006) pp.192-193</ref>。
 
なお、世界遺産と同様に登録国に偏りがみられるほか、歴史的・民俗的共通性をもつ遺産であるにもかかわらず、複数国家が別々に登録申請を行い、さらにその過程で自国の固有性を主張しあう国際紛争に至るケースもある。例えば、2005年に登録された韓国の「江陵端午祭」について中国政府は抗議し、韓国の一地域での慣習との定義を求めた。のちに同国は、「端午節」の登録(2009年)を果たした。<ref>加治宏基「中国のユネスコ世界遺産政策--文化外交にみる「和諧」のインパクト」『中国21』Vol.29。</ref>。
 
== 世界遺産学 ==