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==法人税率に関する見解==
===法人税と経済成長===
[[経済学者]]の[[ポール・クルーグマン]]は「アメリカなど他の先進国の例を見ると、法人税引き下げとGDP成長率にはあまり関係がないように思える」と指摘している<ref>[http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37296 経済の死角 【独占インタビュー】ノーベル経済学賞受賞ポール・クルーグマン 日本経済は、そのときどうなるのか]現代ビジネス 2013年10月21日</ref>。
経済学者の[[伊藤元重]]は「経済は複雑な体系であり、法人税率によって企業行動がどう変化し、そのことによって雇用・経済活力にどのように及ぶのか、[[マクロ経済]]全体としての思考が必要である」と指摘している<ref>[http://diamond.jp/articles/-/40667 伊藤元重の新・日本経済「創造的破壊」論 「消費税を上げて法人税率を下げるのは大企業優遇」という幼稚すぎる議論]ダイヤモンド・オンライン 2013年8月26日</ref>。伊藤元重は「法人税に限らず他の税でも、税の全体の体系がどれだけの税収をもたらすのか、そして経済全体にどのような影響を及ぼすのかという広い視点で見る必要がある」と指摘している<ref name="nira201312b">[http://www.nira.or.jp/president/review/entry/n131220_721.html#02 法人税減税は次の一手となるのか?]NIRA 総合研究開発機構 2013年12月</ref>。
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投資活動の抑制について、経済学者の[[野口悠紀雄]]は「投資によって利益が増加すれば法人税は増加する一方で、借り入れの利子が損金算入されるため法人税は減る。結局、借り入れで投資する場合、2つの効果が相殺して法人税負担は変わらなくなる」と指摘している<ref name="shitteiru2367">野口悠紀雄 『知っているようで知らない消費税-「超」税金学講座』 新潮社〈新潮文庫〉、2006年、236-237頁。</ref>。
国際的な企業誘致競争の1つとして、欧州域などでは法人税率の引き下げ(同時に消費税の引き上げ)競争が進んでいるが、[[WTO]]では「有害な税の競争」だと問題を指摘しており、国際社会における枠組みについて議論されている<ref>三木(2012)、58-60頁</ref>
▲国際的な企業誘致競争の1つとして、欧州域などでは法人税率の引き下げ(同時に消費税の引き上げ)競争が進んでいるが、[[WTO]]では「有害な税の競争」だと問題を指摘しており、国際社会における枠組みについて議論されている<ref>三木(2012)、58-60頁</ref>。国際的な法人税率の引き下げ競争で最も積極的だった[[アイルランド]]は、一気に12.5%まで引き下げて企業誘致に成功したかに見えたが、リーマンショック後、国家財政が破綻してヨーロッパの問題児となっている。
====直接金融と間接金融====
[[投資]]の少なからずを海外の[[資金]]に頼らざるを得ない[[東南アジア]]諸国などは、投資の呼び水とするため法人税率を低めに設定する傾向がある。対して、日本の[[高度経済成長]]を支えたのは国民の高い[[貯蓄率]]に裏打ちされた[[銀行]][[融資]]である。それが[[節税]]効果([[財務レバレッジ]])を働かせながら効率的な[[設備投資]]と[[拡大再生産]]との好循環を生み出したという違いがあり、実際は[[株式]]や[[社債]]発行より、融資による[[資金調達]]の方が[[コスト]]面では遥かに有利である{{誰|date=2014年5月}}。▼
{{see also|バブル景気#展開}}
▲[[投資]]の少なからずを海外の[[資金]]に頼らざるを得ない[[東南アジア]]諸国などは、投資の呼び水とするため法人税率を低めに設定する傾向がある。対して、日本の[[高度経済成長]]を支えたのは国民の高い[[貯蓄率]]に裏打ちされた[[銀行]][[融資]]である
経済学者の[[飯田泰之]]は「現在(2010年)の先進国では、国民の貯蓄率を高めることで資本を増やすモデルは通用しない。現在では、貸出先・投資先の国際化が進んでおり、仮に国内で貯蓄が増えても、その貯蓄が国内投資に向かうとは限らない」と指摘している<ref>飯田泰之 『世界一シンプルな経済入門 経済は損得で理解しろ! 日頃の疑問からデフレまで』 エンターブレイン、2010年、108-109頁。</ref>。
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と指摘している<ref>大田弘子 『良い増税悪い増税-納得できる税制を目指して』 東洋経済新報社、2002年、136-137頁。</ref>。大田は「法人税の負担は、税率だけではなく『税率』と『課税ベース』で決まる」と指摘している<ref>大田弘子 『良い増税悪い増税-納得できる税制を目指して』 東洋経済新報社、2002年、137頁。</ref>。
*野口悠紀雄は、法人[[税制]]等は国によって異なるため、[[課税]][[所得]]を分母にとる法定実効税率の[[指標]]比較はあまり意味がないとしている<ref>[http://diamond.jp/articles/-/37990 日本の法人税の負担は重くない] 野口悠紀雄 - DAIAMOND online(2013年6月27日)ダイヤモンド社。</ref>。
=== 日本 ===
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GDPと法人税の比較で日本の法人は税負担が大きいという見解について、[[法学者]]の[[三木義一]]は、法人税の税収総額を他国と比較する場合は国ごとに異なる法人の実態も考慮する必要があり、米国の約225万社に対して日本が約260万社と経済規模に比べて日本の方が法人数が多く(独・伊は62-63万社、フランス94万社)、日本では米国に比べて中小零細企業までが法人化しているとしている<ref>三木(2012)、62-63頁</ref>。
財務省の資料では日本の法人数が257万社であるの対し、米国172万社、英国183万社、独国88万社となっている<ref>[http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2013/__icsFiles/afieldfile/2013/12/02/25zen4kai5_1.pdf#search='%E6%B3%95%E4%BA%BA%E7%A8%8E%E5%8F%8E%E5%89%B2%E5%90%88+%E5%9B%BD%E5%88%A5%E6%AF%94%E8%BC%83' 財務省説明資料〔法人課税の在り方〕] - 平成25年12月2日(月) 財務省16頁</ref>
====日本の法人税と投資====
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竹中平蔵は「企業が中国などの海外での工場の立地を進める中、税制の措置だけで国内投資が増えるかというと、そう単純な話ではない。財政を考慮し、ある程度の投資減税を行うことは政策として有効である」と指摘している<ref>竹中平蔵 『あしたの経済学』 幻冬舎、2003年、108頁。</ref>。
植草一秀は「事業活動の本拠地が海外に移転すれば、税源となる企業の生産活動の利益も海外に移転する」と指摘している<ref name="gendainihon231" />。
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