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==法人税率に関する見解==
{{複数の問題
|section = 1
| 未検証 = 2014年5月
| 独自研究 = 2014年5月
| 正確性 = 2014年5月
}}
 
===法人税と経済成長===
「ハンスベックラー財団マクロ経済・景気動向研究所(IMK)」の報告に拠れば、個人所得に限ってみた場合、法人税の大幅減税を行ったドイツの個人所得の伸び率は、他国より明らか低くなっている<ref>[http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2013_2/german_01.htm 海外労働情報・国別労働トピック] - [[独立行政法人]][[労働政策研究・研修機構]]</ref>{{誰|date=2014年5月}}。参議院財政金融委員会調査室の海外調査報告では、ドイツの賃金は2007年1月に[[付加価値税]]率を引き上げてからも<ref>[http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2009pdf/20090601012.pdf#search='%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84+%E7%A8%8E%E5%88%B6%E6%94%B9%E9%9D%A9+%E6%B3%95%E4%BA%BA%E7%A8%8E' ドイツ税制改革〜海外調査報告〜] 立法と調査2009.6 No.293 - [[参議院]]財政金融委員会調査室 </ref>、[[リーマンショック]]の影響を受けるなどしたため、実質ベースで上昇に転じたのは2010年からだった<ref>[http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTJE91600O20130207 2012年のドイツ賃金、3年連続の上昇] - ロイター 2013年2月7日22:17</ref>。
 
[[経済学者]]の[[ポール・クルーグマン]]は「アメリカなど他の先進国の例を見ると、法人税引き下げとGDP成長率にはあまり関係がないように思える」と指摘している<ref>[http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37296 経済の死角 【独占インタビュー】ノーベル経済学賞受賞ポール・クルーグマン 日本経済は、そのときどうなるのか]現代ビジネス 2013年10月21日</ref>。
 
[[ドイツ]]と[[フランス]]を比較してみると、[[通貨統合]]と[[ユーロ圏]]の拡大を見越して、2001年と2008年にショック療法的な法人減税を行ったドイツ(2001年に40%→25%、2008年に25%→15%)と、法人減税を全く行わなかったフランスの「1人当たり名目GDP」の増減率はほぼ同じである<ref>参考: [http://www.globalnote.jp/post-1339.html 1人当たり名目GDP 国別ランキング統計・推移] (赤枠の「詳細データ表示」をクリックの上、次の画面の左側にある【対象年選択】と【対象国選択】をチェックして「グラフ表示」する要あり) - Global Note</ref>。
 
経済学者の[[伊藤元重]]は「経済は複雑な体系であり、法人税率によって企業行動がどう変化し、そのことによって雇用・経済活力にどのように及ぶのか、[[マクロ経済]]全体としての思考が必要である」と指摘している<ref>[http://diamond.jp/articles/-/40667 伊藤元重の新・日本経済「創造的破壊」論 「消費税を上げて法人税率を下げるのは大企業優遇」という幼稚すぎる議論]ダイヤモンド・オンライン 2013年8月26日</ref>。伊藤元重は「法人税に限らず他の税でも、税の全体の体系がどれだけの税収をもたらすのか、そして経済全体にどのような影響を及ぼすのかという広い視点で見る必要がある」と指摘している<ref name="nira201312b">[http://www.nira.or.jp/president/review/entry/n131220_721.html#02 法人税減税は次の一手となるのか?]NIRA 総合研究開発機構 2013年12月</ref>。
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投資活動の抑制について、経済学者の[[野口悠紀雄]]は「投資によって利益が増加すれば法人税は増加する一方で、借り入れの利子が損金算入されるため法人税は減る。結局、借り入れで投資する場合、2つの効果が相殺して法人税負担は変わらなくなる」と指摘している<ref name="shitteiru2367">野口悠紀雄 『知っているようで知らない消費税-「超」税金学講座』 新潮社〈新潮文庫〉、2006年、236-237頁。</ref>。
 
国際的な企業誘致競争の1つとして、欧州域などでは法人税率の引き下げ(同時に消費税の引き上げ)競争が進んでいるが、[[WTO]]では「有害な税の競争」だと問題を指摘しており、国際社会における枠組みについて議論されている<ref>三木(2012)、58-60頁</ref>。国際的な法人税率の引き下げ競争で最も積極的だった[[アイルランド]]は、一気に12.5%まで引き下げて企業誘致に成功したかに見えたが、リーマンショック後、国家財政が破綻してヨーロッパの問題児となっている
実際の海外移転における最大の動因は、市場浸透を図る場合は移転先の市場性、輸出拠点とする場合には移転先の人的要素([[人件費]]や労働者意識など)・物的要素([[原材料]]調達の容易さや社会インフラ)・[[立地論]]的要素であり、これに政治的[[リスク]]、文化宗教を含む社会的リスク、[[通貨]]を含む経済的リスク、適正な[[法制度]]・[[法規制]]の可否などが加味される。このため法人税率はそれほど大きなインパクトは持たないとする調査結果もある<ref name=keisan>[http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kaigaizi/result/result_40/pdf/h2c420mj.pdf 経済産業省「第40回海外事業活動基本調査結果概要」]</ref>。
 
国際的な企業誘致競争の1つとして、欧州域などでは法人税率の引き下げ(同時に消費税の引き上げ)競争が進んでいるが、[[WTO]]では「有害な税の競争」だと問題を指摘しており、国際社会における枠組みについて議論されている<ref>三木(2012)、58-60頁</ref>。国際的な法人税率の引き下げ競争で最も積極的だった[[アイルランド]]は、一気に12.5%まで引き下げて企業誘致に成功したかに見えたが、リーマンショック後、国家財政が破綻してヨーロッパの問題児となっている。
 
====直接金融と間接金融====
[[投資]]の少なからずを海外の[[資金]]に頼らざるを得ない[[東南アジア]]諸国などは、投資の呼び水とするため法人税率を低めに設定する傾向がある。対して、日本の[[高度経済成長]]を支えたのは国民の高い[[貯蓄率]]に裏打ちされた[[銀行]][[融資]]である。それが[[節税]]効果([[財務レバレッジ]])を働かせながら効率的な[[設備投資]]と[[拡大再生産]]との好循環を生み出したという違いがあり、実際は[[株式]]や[[社債]]発行より、融資による[[資金調達]]の方が[[コスト]]面では遥かに有利である{{誰|date=2014年5月}}。
 
{{see also|バブル景気#展開}}
 
[[投資]]の少なからずを海外の[[資金]]に頼らざるを得ない[[東南アジア]]諸国などは、投資の呼び水とするため法人税率を低めに設定する傾向がある。対して、日本の[[高度経済成長]]を支えたのは国民の高い[[貯蓄率]]に裏打ちされた[[銀行]][[融資]]である。それが[[節税]]効果([[財務レバレッジ]])を働かせながら効率的な[[設備投資]]と[[拡大再生産]]との好循環を生み出したという違いがあり、実際は[[株式]]や[[社債]]発行より、融資による[[資金調達]]の方が[[コスト]]面では遥かに有利である{{誰|date=2014年5月}}
[[研究開発]]費等の法人税減免措置や損金[[控除]]の拡充策は、余力を持たない[[中小企業]]に不利に働くことが多く、投資減税も投資先が常に健全な方向に向かうとは限らない{{誰|date=2014年5月}}。いわゆる[[レーガノミクス]]では投資のかなりの部分が[[不動産投資]]に向かい、[[インテリジェントビル]]という[[新語]]ができるほど活況を呈する面があった一方で、政権末期には[[貯蓄貸付組合]]の[[破綻]]処理問題に追われるなど負の側面も生じさせた。これらのことから、[[基礎的財政収支]]のバランスを加味した成熟した議論が必要とされている{{誰|date=2014年5月}}。
 
経済学者の[[飯田泰之]]は「現在(2010年)の先進国では、国民の貯蓄率を高めることで資本を増やすモデルは通用しない。現在では、貸出先・投資先の国際化が進んでおり、仮に国内で貯蓄が増えても、その貯蓄が国内投資に向かうとは限らない」と指摘している<ref>飯田泰之 『世界一シンプルな経済入門 経済は損得で理解しろ! 日頃の疑問からデフレまで』 エンターブレイン、2010年、108-109頁。</ref>。
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と指摘している<ref>大田弘子 『良い増税悪い増税-納得できる税制を目指して』 東洋経済新報社、2002年、136-137頁。</ref>。大田は「法人税の負担は、税率だけではなく『税率』と『課税ベース』で決まる」と指摘している<ref>大田弘子 『良い増税悪い増税-納得できる税制を目指して』 東洋経済新報社、2002年、137頁。</ref>。
*野口悠紀雄は、法人[[税制]]等は国によって異なるため、[[課税]][[所得]]を分母にとる法定実効税率の[[指標]]比較はあまり意味がないとしている<ref>[http://diamond.jp/articles/-/37990 日本の法人税の負担は重くない] 野口悠紀雄 - DAIAMOND online(2013年6月27日)ダイヤモンド社。</ref>。
*野口の主張は、国によって[[繰越欠損金]]([[税効果会計]])の浸透度合が異なるだけではなく、課税所得を算出するまでの[[減価償却]]・[[引当金]]・積立金・[[交際費]]などの[[損金]]認否の会計制度や[[社会保険制度]]も異なっているという意味に展開できる{{誰|date=2014年8月}}。[[発展途上国]]の中には[[費用]]計上名目で[[横領]]される資金が、[[アンダーグラウンド]]な経済を拡大させる例も散見されるが、[[租税]]の捕捉は[[先進国]]にも付き纏う問題でもあり、表面税率を近視眼的に比較することはあまり意味を成さない{{誰|date=2014年5月}}。
 
=== 日本 ===
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GDPと法人税の比較で日本の法人は税負担が大きいという見解について、[[法学者]]の[[三木義一]]は、法人税の税収総額を他国と比較する場合は国ごとに異なる法人の実態も考慮する必要があり、米国の約225万社に対して日本が約260万社と経済規模に比べて日本の方が法人数が多く(独・伊は62-63万社、フランス94万社)、日本では米国に比べて中小零細企業までが法人化しているとしている<ref>三木(2012)、62-63頁</ref>。
 
財務省の資料では日本の法人数が257万社であるの対し、米国172万社、英国183万社、独国88万社となっている<ref>[http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2013/__icsFiles/afieldfile/2013/12/02/25zen4kai5_1.pdf#search='%E6%B3%95%E4%BA%BA%E7%A8%8E%E5%8F%8E%E5%89%B2%E5%90%88+%E5%9B%BD%E5%88%A5%E6%AF%94%E8%BC%83' 財務省説明資料〔法人課税の在り方〕] - 平成25年12月2日(月) 財務省16頁</ref>。財務省の資料から、英国の法人数には日本の[[個人事業主]]に相当する事業者が混在すると推定される{{誰|date=2014年6月}}。安易な比較は危険だが、[[中小企業庁]]の統計から得られる日本の法人化率が6割強であるのに対して、財務省の資料から得られる米国の法人化率は約30%、独国は約25%となる{{誰|date=2014年5月}}。また、同資料によると法人所得税に個人所得税を加えた負担率では、日本は[[OECD]]加盟国の中で最も低い水準であることが覗え、日本の法人税の税収額が法人化率の高さによってもたらされていることが裏づけられている<ref>財務省説明資料6頁。</ref>{{誰|date=2014年5月}}。日本では小規模事業者ほど法人税と個人[[所得税]]の二重課税の問題が顕在化するが、[[金融機関]]が優良と認める経営を維持しても、法人税制と個人税制双方の控除制度や優遇税制などを巧みに利用することで、法人化しない場合より節税できると主張する[[税理士]]は珍しくない{{誰|date=2014年5月}}。実際には随時[[赤字]]決算を併用するケースが多いとみられる{{要出典|date=2014年5月}}
 
====日本の法人税と投資====
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竹中平蔵は「企業が中国などの海外での工場の立地を進める中、税制の措置だけで国内投資が増えるかというと、そう単純な話ではない。財政を考慮し、ある程度の投資減税を行うことは政策として有効である」と指摘している<ref>竹中平蔵 『あしたの経済学』 幻冬舎、2003年、108頁。</ref>。
 
[[経済産業省]]の「海外事業活動基本調査」によると、海外投資決定のポイントとして68.1%の日本の企業が「現地での需要」をあげ、「税制」と回答したのは10.6%であるなど、日本の法人税率の高さが海外移転の主な理由ではない事が明らかであるとしている<ref name=keisan/>。
 
植草一秀は「事業活動の本拠地が海外に移転すれば、税源となる企業の生産活動の利益も海外に移転する」と指摘している<ref name="gendainihon231" />。