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'''OPAC'''（オパック{{Sfn|柴田正美|2012|p=64}}、オーパック{{Sfn|柴田正美|2012|p=64}}、''{{en|Online Public Access Catalog}}''）とは利用者に供されるオンライン[[蔵書目録]]のことである{{Sfn|図書館用語辞典編集委員会|2004|p=31}}。インターネットからアクセス・利用できるOPACを特にウェブOPAC{{Sfn|図書館情報学用語辞典|2013|p=23}}、インターネットOPAC{{Sfn|岩淵泰郎|1998|p=117}}などと呼ぶ。なお、利用者への利用に供さないオンラインの目録はただのオンライン目録 ({{en|Online Catalog}}) とし、OPACとは呼ばないこともあるが、現代のオンライン目録のほとんどが利用者の操作を前提としているため、特に区別されることはなく{{Sfn|岩淵泰郎|1998|p=114}}<ref group="註">例えば、{{Harvnb|日本図書館協会用語委員会|2013|p=50}}では、「オーパック、＜オンライン利用者用目録＞または＜オンライン閲覧目録＞の略称。（中略）オンライン目録といわれることもある。」としている。</ref>、本稿においても区別はしない。
== 概要 ==
図書館において蔵書目録の作成は必須の作業であり、かつては「図書目録カード」と呼ばれる書誌情報・所在情報を記載した紙のカードを書名順、著者名順、
その研究や利用は[[1970年代]]のアメリカで{{Sfn|柴田正美|2012|p=65}}{{Sfn|堀込静香|1993|p=133}}、[[アメリカ議会図書館]]や[[OCLC]]、[[RLIN]]等の組織が主導し{{Sfn|根本彰|2013|p=247}}始められ、文字体系が同一なヨーロッパでも[[1980年代]]初期より始まった。日本ではひらがな・カタカナ・漢字といった異なる文字体系であったため、コンピュータがそうした言語を処理できるようになるまで待たされ{{Sfn|柴田正美|2012|p=65}}{{Sfn|堀込静香|1993|p=133}}、[[国立国会図書館]]、学術情報センター（現：[[国立情報学研究所]]）、[[図書館流通センター]]等の出版流通業者らによって、開発{{Sfn|根本彰|2013|p=247}}、1980年代後半から利用され始めた{{Sfn|柴田正美|2012|p=65}}{{Sfn|堀込静香|1993|p=133}}。1990年代になると{{Sfn|根本彰|2013|p=247}}、インターネットの普及によって、WebOPACと呼ばれるインターネットに接続されたOPACが誕生、図書館以外からもアクセスできるようになった。
その研究は[[1970年代]]より始まり[[1980年代]]に本格的に実用化し現在では殆どの公共図書館、大学図書館で導入されている。OPACによりそれまでのカード目録では不可能であった多彩な検索が可能になり、また大学図書館については旧学術情報センター（現：[[国立情報学研究所]]）によるNACSIS [[Webcat]]により大学間の横断検索が可能になるなど利用者の利便性が大きく向上した。▼
日本では1997年時点で公共図書館の58.4%、大学図書館の76.4%で、それぞれOPACの提供がなされており{{Sfn|日本図書館協会目録委員会|2012|p=27}}、2010年の調査では公共図書館・大学図書館の双方において9割以上の採用がされていることが明らかとなる{{Sfn|日本図書館協会目録委員会|2012|p=29}}など、ほとんどの公共図書館、大学図書館で導入されている。
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以上の通り、検索結果の論理演算{{Sfn|北克一、芝勝徳|1992|p=89}}等の高度な検索や貸出状況の確認などの利点・特徴が挙げられる一方で、コストの問題やユーザインターフェースの不統一、などが問題としてあげられている{{Sfn|日本図書館協会用語委員会|2013|p=50}}。また、研究開発の途上において以下に挙げるような問題が先送りされた。
* 外字問題（単純に文字種の不足の問題を含む）
* 新旧JIS問題（開発時期や導入システムによる文字コード系の違いを含む）
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* データ形式の違いにより図書館間横断検索システムの構築が困難
<!-- * データの精度に図書館によってかなりのばらつきがある-->
こうした問題の一部または全部は日本国内のみならず、アメリカでも漢字への対応が問題となっていた{{Sfn|早瀬均|1991|p=76}}。
== 発展 ==
OPACは以下に示すような世代が存在するとされている。こうした世代区分は第一世代から第三世代の3つに区分したチャールズ・ヒルドレスの世代区分<ref>{{Cite journal|title= Pursing the ideal: generations of online catalog|author= Hildreth, Charlrs R|journal= Online catalogs/reference converging trends|date= 1984|pages= 31-56}}</ref>が知られている{{Sfn|早瀬均|1991|p=72}}。
ゼロ世代のOPACは、ただ単にカード目録の作成をコンピュータが補助するだけのものである。結局のところ、出力はカード、あるいは、一覧を印刷しただけのリストに終始しており、コンピュータの利用はデータの処理の簡便化に終始していた{{Sfn|柴田正美|2012|p=65}}。
第一世代のOPACになると、書名や著者名の完全一致による検索が出来るようになった{{Sfn|堀込静香|1993|p=134}}。初心者の操作をアシストするヘルプなどの機能は実装されず{{Sfn|堀込静香|1993|p=134}}、館内業務での利用が試みられた{{Sfn|柴田正美|2012|p=65}}。一方で、利用者に対する一応の図書館奉仕として「利用者開放端末」として利用させていた{{Sfn|柴田正美|2012|p=65}}<ref group="註">この用語について{{Harvnb|北克一、芝勝徳|1992|p=88}}では、元来職員のみが使用したものを利用者に開放するという意味が込められている、不適切に感じるとした。</ref>。ただし、この頃のOPACは必ずしも一般利用者を対象とはしておらず、利用者には不要な情報の表示などの欠点もあった{{Sfn|青木利行1988|p=108}}。後期になると[[書誌ユーティリティ]]の活用が進められる{{Sfn|柴田正美|2012|p=65}}。
第二世代では、通信技術を図書館でも利用しようとする気運が高まり、個々の図書館の枠を超えたネットワークが構築される{{Sfn|柴田正美|2012|p=65}}。部分一致による検索が導入され、検索結果の並び替えや初心者向けのヘルプ機能が搭載されるようになる{{Sfn|堀込静香|1993|p=134}}。
第三世代になると、貸出記録などの情報もOPACで一括管理し始める{{Sfn|堀込静香|1993|p=134}}。インターネットへの接続により、今まで以上に広い利用がなされる{{Sfn|堀込静香|1993|p=134}}。
== ユーザインターフェース ==
検索の方式は、大まかに無指定方式、選択方式、コマンド方式の3つに分けることが出来る。
無指定方式は1つの検索ボックスに検索キーワードを入力し、署名・著者・出版社・出版年などの全てを対象に検索する方式であり、選択方式は検索したい条件を指定した上で検索する方式である{{Sfn|日本図書館協会目録委員会|2012|p=37}}。選択方式は、比較的平易な検索方式であるが、検索の度にメニュー画面を通して検索をしなければならないため、慣れた利用者からするといくらか冗長になってしまう恐れがある{{Sfn|青木利行1988|p=124}}。対して、無指定方式はただ一つの検索ボックスに検索語を入力するのみで検索を行なうことができ、最も利用者に親切な方式となっており{{Sfn|青木利行1988|p=131}}、無指定方式が2010年代以降の主流となっている{{Sfn|日本図書館協会目録委員会|2012|p=37}}。
コマンド方式は選択条件などをコマンドのみで指定する方式であり{{Sfn|堀込静香|1993|p=134}}、ある程度の技量を持つ利用者であれば多彩な検索を行なうことができたが、初心者の利用が比較的難しいものとなっている。図書館によって提供されるコマンドの細部は異なっており{{Sfn|早瀬均|1991|p=67}}、標準規格の策定を求める声も存在した{{Sfn|早瀬均|1991|p=78}}が、日本では採用館の数を減らしている{{Sfn|日本図書館協会目録委員会|2012|p=37}}。
== 註釈 ==
<references group="註"/>
== 出典 ==
{{Reflist|2}}
== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書|title= 情報資源組織論|series= JLA図書館情報学テキストシリーズIII|author= 柴田正美|edition= 初版|date= 2012-06-29|publisher= 日本図書館協会|isbn= 978-4-8204-1202-1|id= {{全国書誌番号|22118083}}|ref= harv}}
* {{Cite book|和書|title= 図書館用語集|edition= 四訂版|editor= 日本図書館協会用語委員会|publisher= 日本図書館協会|date= 2013-10-30|isbn= 978-4-8204-1311-0|id= {{全国書誌番号|22323841}}|ref= harv}}
* {{Cite book|和書|title= 図書館情報学用語辞典|edition= 第4版|editor= 日本図書館情報学会用語辞典編集委員会|publisher= 丸善出版|date= 2013-12-25|isbn= 978-4-621-08774-9|id= {{全国書誌番号|22353268}}|ref= harv}}
* {{Cite book|和書|title= 最新 図書館用語大辞典|editor= 図書館用語辞典編集委員会|publisher= 柏書房|date= 2004-04-30|isbn= 4-7601-2489-6|id= {{全国書誌番号|20590278}}|ref= harv}}
* {{Cite book|和書|title= 資料組織概論|edition= 第1版|author= 岩淵泰郎|editor= 岩淵泰郎|series= 新現代図書館学講座|publisher= 東京書籍|date= 1998-02-19|isbn= 4-487-71480-X|id= {{全国書誌番号|}}|ref= harv}}
* {{Cite book|和書|title= 和書目録の作成と提供に関する調査報告書（2010年調査）|editor= 日本図書館協会目録委員会|publisher= 日本図書館協会|date= 2012-02-01|isbn= 978-4-8204-1112-3|ref= harv}}
* {{Cite book|和書|title= 図書館情報学基礎|series= シリーズ図書館情報学|edition= 初版|author= 根本彰、景浦峡、海野敏、三浦太郎、三輪眞木子、河西由美子、倉田敬子、芳鐘冬樹、鈴木崇史|editor= 根本彰|date= 2013-05-23|publisher= 東京大学出版会|isbn= 978-4-13-003491-3|ref= {{SfnRef|根本彰|2013}}}}
* {{Cite book|和書|title= インテリジェント図書館:消えゆくカード目録|author= Eric J. Hunter|others= 青木利行|edition= 初版|publisher= 雄松堂出版|date= 1988-06-30|isbn= 4-8419-0050-0|ref= {{SfnRef|青木利行1988}}}}
* {{Cite journal|和書|title= 《現代》ミニ講座 第1回 OPAC|author= 堀込静香|journal= 現代の図書館|volume= 第31巻|issue= 第2号|date= 1993-06-25|publisher= 日本図書館協会|editor= 日本図書館協会現代の図書館編集委員会|issn= 0016-6332|ref= harv}}
* {{Cite journal|和書|title= 公共図書館におけるOPAC ―ネットワーク環境における書誌情報の展開―|author= 北克一、芝勝徳|journal= 図書館界|volume= 第44巻|issue= 第2号|date= 1992-07-01|issn= 0040-9669|publisher= 日本図書館研究会|ref= harv}}
* {{Cite journal|和書|title= 発展する目録 ―米国におけるオンライン目録の展開―|author= 早瀬均|journal= 大学図書館研究|issue= 第38号|date= 1991-10-31|publisher= 学術文献普及会|issn= 0386-0507|ref= harv}}
== 外部リンク ==
* 国立国会図書館・公共図書館
** [http://iss.ndl.go.jp/ 国立国会図書館サーチ]（国立国会図書館、都道府県立図書館、政令指定都市の市立中央図書館などの横断検索）
** [https://ndlopac.ndl.go.jp/F/ NDL-OPAC]（国立国会図書館のみのOPAC）
** [http://
* 大学図書館
** [http://ci.nii.ac.jp/books/
** [http://ss.cc.affrc.go.jp/ric/opac/opaclist.html Japan OPAC list]（大学図書館のOPACリンク集）
** [http://ready.to/search/list/cs_opac_univ.htm ブラウザからの大学図書館OPAC検索]（大学図書館OPACの検索バーへのプラグイン）
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[[Category:オンライン情報源]]
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