「百鬼夜行シリーズ」の版間の差分

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声はテレビアニメ版『[[魍魎の匣]]』での[[声優]]、演は映画『[[姑獲鳥の夏]]』『魍魎の匣』での役者。
=== 主要人物 ===
; {{Anchor|中禅寺 秋彦}}(ちゅうぜんじ あきひこ)
: 声 - [[平田広明]] / 演 - [[堤真一]]
: 中野で[[古本屋]]「京極堂」を営む男。家業は住居部の裏手にある「武蔵晴明神社」の[[宮司]]、副業は祈祷師の一種である「憑物落とし(つきものおとし)」の「拝み屋」。店の[[屋号]]に因んで「'''京極堂'''」と呼ばれる。「'''この世には不思議なことなど何もない'''」と言うのが口癖であり、座右の銘。
: 憑物落としの際には、両胸に[[五芒星]]を染め抜いた黒の着流し、黒の足袋に鼻緒だけが赤い黒の下駄と、黒ずくめの格好をする。
: 榎木津・関口とは旧制高校時代からの腐れ縁。[[宗教]]、[[口承|口碑伝承]]、[[民俗学]]、[[妖怪]]等に造詣が深く、知識と理を尊び、根拠のない事は語らない。重度の書痴でもあり、家屋敷から店舗に至るまで本で溢れている。常に和装で、終始不機嫌な仏頂面をしており顔つきは平素から「凶悪」と称される。しかし付き合いの長い者には感情の変化がわかるらしい。また、興味のある本が見つかったと聞くと、大層喜んで足を運ぶのだという。
: スピンオフ作品『百器徒然袋』シリーズでは榎木津の来訪を察知して思わずどもったり、安易に唆される、人を馬鹿にして遊ぶなど本編に比べて腰が軽い。『今昔続百鬼-雲』では大笑いしていたこともある。痩身だが甘いもの好きで、干菓子などを好んで食べている。『塗仏の宴』での潤の発言から察するに、下戸である。関口曰く「一滴も飲めない」。
: 個性の強いキャラクターたちのまとめ役的存在であるが、彼本人も相当の変わり者である。古書肆を開業する前は高校教師であった。「好きなだけ本が読める」という理由から、転職を決意。
: 事件解決に暗躍する役どころながら積極的に干渉する事を好まない。[[肉体労働]]を嫌い、本人曰く「十四の時に力仕事をしないと誓った」とのことで、非力であるようだ。
: 戦時中は内地に配属され、とある研究所の「厭なやつ」と評する男の元で他国の民族に対する宗教的[[洗脳]]の研究をしていた。自分の事を語りたがらない彼において、最も語りたくない、厭わしい過去のようである。
: [[下北半島]]出身。幼少時は[[恐山]]の祖父母の下で育った。家族は、後述する妻の千鶴子と、実妹の敦子。飼っている猫の名前は石榴。
; {{Anchor|榎木津 礼二郎}}(えのきづ れいじろう)
: 声 - [[森川智之]] / 演 - [[阿部寛]]
: 「薔薇十字探偵社」の[[私立探偵]]。中禅寺と関口の[[旧制高等学校]]の一期先輩であり、木場の幼馴染。関口と対照的に[[躁病]]の気がある。眉目秀麗、頭脳明晰、運動神経もよく喧嘩も強いうえ旧[[華族]]の生まれという一見非の打ち所のない人物。だが、本人はあらゆる社会的地位に無頓着で、自分は神であり探偵は神の就くべき天職であると豪語し、中禅寺兄妹以外の全ての人間を「自らの下僕」と標榜し、時として面白いものを子供のように追究する天衣無縫な変人。しかし人の道に外れた者には声を荒げて激怒するなど真っ当な面も持っている。また、『[[姑獲鳥の夏]]』・『[[絡新婦の理]]』の時には普通の受け答えをこなし、いつもの奇矯な姿を見知っている者からは非常に驚かれた。
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: 戦中は海軍将校であり、剃刀と渾名されるほどの名将であったという。だが軍事の合間に新しいゲームを考案しては部下達に散々付き合わせるなど現在と変わらずの天衣無縫振りだったらしい。
: 好きなものは猫と赤ん坊。苦手なものは水気のない菓子(クッキーなど)と竃馬([[カマドウマ]])。見た目が西洋風なのでよくクッキーなどを出されるそうで、それをよく愚痴る。
; {{Anchor|関口 巽}}(せきぐち たつみ)
: 声 - [[木内秀信]] / 演 - [[永瀬正敏]](姑獲鳥の夏)・[[椎名桔平]](魍魎の匣)
: 小説家。中禅寺の学生時代からの友人(但し中禅寺からは「ただの知人」であるといつも強調される)。学生時代は[[うつ病|鬱病]]に悩まされ、現在も完治には至っていない(というよりも数々の事件に巻き込まれ、悪化の一途を辿っている)。臆病で気が小さく、時に[[場面緘黙症]]になるほどの[[対人恐怖症]]で常に精神不安定。[[コンプレックス]]の塊だが、やや自己愛の強い人格で惨劇等のつらい記憶を早く忘れようとするため、好意を抱いた相手のことも忘却の彼方に振り捨てようとするまた噂などを鵜呑みにし易い面もある。
: 所属していた大学からの資金援助で[[変形菌|粘菌]]の研究を行っていたが、生計が立たなくなったので文筆業に移行。中禅寺敦子の口利きで稀譚舎の文芸誌に稿を寄せる一方、別名義の「楚木 逸已(そきいつみ)」で[[カストリ雑誌]]にも投稿している。小説の単行本は1冊のみ刊行されたが、好事家にしか話題になっておらず、経済的には常に困窮している。ジャンルは私小説で、自らが経験した事柄をベースに書いている。
: 作中では概ねにおいて「猿」などと罵倒される散々な役回り。榎木津曰く「アイアイに似ている」らしい。
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: 喫煙者だが、どうやらふかしているだけらしい。大変な汗っかきで、文字通り滝のような汗をかく。
: 作中の地の文においては、常に「私」で表現されている。
; {{Anchor|木場 修太郎}}(きば しゅうたろう)
: 声 - [[関貴昭]] / 演 - [[宮迫博之]]
: 刑事。榎木津の幼馴染で、関口とは戦時中同じ部隊だった。初登場時は東京[[警視庁]]捜査一課所属。その後何度か後述の暴走癖により処罰され転属している。
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: 実家は小石川で石材店を営み、両親や妹夫妻がある。就職時は実家住まいだったが、警視庁への異動時から小金井の親戚宅で下宿生活。根っからの[[江戸っ子]]。
: 戦中は南方に派兵され、経験薄く及び腰の上官関口を放っておけずに面倒を見て、結果的に2人だけ生還した。
; {{Anchor|青木 文蔵}}(あおき ぶんぞう)
: 声 - [[諏訪部順一]] / 演 - [[堀部圭亮]]
: 東京警視庁捜査一課の刑事。木場の元相方であり、先輩にあたる木場と彼の刑事としての理念を敬愛している。単独行動を取りがちな木場と対照的に控え目で優等生然としているが、必要と判断すれば遺憾ない行動力を発揮する。
: 性格は実直で真面目。我を張ることが少なく上司に好かれる性質。木場には経験の浅いひよっこ扱いされているが、いざというときは体を張って戦う事も辞さない勇敢さも持ち合わせ、内心には高く評価されている。やや童顔で見ようによっては学生のようだが、恐らく実際は20代後半。こけしのようだとも言われる。
: 戦中は[[特別攻撃隊|特攻隊]]に配属されていた。突撃前に終戦を迎えたため生還している。
; {{Anchor|鳥口 守彦}}(とりぐち もりひこ)
: 声 - [[浪川大輔]] / 演 - [[マギー (俳優)|マギー]]
: 不定期発刊の[[カストリ雑誌]]「實録犯罪」の[[編集記者]]兼カメラマン。「實録犯罪」は関口が別名義で執筆する主な掲載誌でもある。中禅寺敦子とは同業で、関口を通じて知り合ったのち、カメラマンとして取材に同行するなどしている。[[福井県]]出身。元は写真家志望だった。
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=== 家族 ===
; {{Anchor|中禅寺 千鶴子}}(ちゅうぜんじ ちづこ)
: 声 - [[皆口裕子]] / 演 - [[清水美沙|清水美砂]]
: 中禅寺秋彦の妻。西洋風の美人で淑やかな性格だが舌鋒は鋭く、中禅寺を言い負かす事が出来る唯一といえる人物である。実家は[[京都府|京都]]で[[和菓子]]屋「京極堂」を営んでいる(中禅寺の古本屋の屋号はここから勝手に頂いた)。結婚後も実家の手伝いのため度々京都に帰省している。
; {{Anchor|中禅寺 敦子}}(ちゅうぜんじ あつこ)
: 声 - [[桑島法子]] / 演 - [[田中麗奈]]
: 中禅寺秋彦の妹。中堅出版社「稀譚舎(きたんしゃ)」の科学雑誌記者。
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; {{Anchor|石榴}}(ざくろ)
: 中禅寺秋彦の飼い猫。あくびをすると[[ザクロ|柘榴]]のように見えることから名をつけられた。中国の金華の猫らしい。中禅寺曰く「化けると云われたから買ったのに全然化けやしない」とのこと。愛想は悪い。また、邪険に扱われている割には主人(中禅寺)以外にはなつかない。
; {{Anchor|榎木津 幹麿}}(えのきづ みきまろ)
: 榎木津礼二郎の父。元[[子爵]]。貿易会社を経営している。政財界など、日本のあらゆる権力に対して力を持つ人物だが、礼二郎に負けず劣らずの奇人。大の虫好きで、虫を取りたいがために会社を海外進出させた程(しかし結果的にはそれが功を奏して、他の華族と違い戦後に凋落することが無かった)。社長室では[[カメ|亀]]を放し飼いしている。子供達に帝王学を学ばせた割に、彼等が成人すると「大人を養う義務はない」と言ってある程度の予算を生前分与して半ば放逐状態にしてしまう(世襲制が当たり前だった当時では奇異な話)。
; {{Anchor|榎木津 総一郎}}(えのきづ そういちろう)
: 榎木津礼二郎の兄。こちらは父や弟と比べて真っ当な性格をしており、父から生前分与された予算を元手にして幾つかの会社を経営し成功を収めている。
; {{Anchor|関口 雪絵}}(せきぐち ゆきえ)
: 声 - [[本田貴子]] / 演 - [[篠原涼子]]
: 関口巽の妻。鬱病の夫を温かく見守る包容力ある女性。ただどこか寂しげである。
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=== 交友関係 ===
; {{Anchor|伊佐間 一成}}(いさま かずなり)
: 声 - [[浜田賢二]]
: [[釣り堀]]「いさま屋」の主人。自身も釣りが好きで、日本各地へ釣り旅行に行くほど。
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: 外見はひょろ長く、口髭を生やしたその顔は平安貴族風の美形らしい。飄々とした性格で、あまり物事に動じたり、頓着したりはしない。また非常に口数は少ない。衣服の取り合わせは無国籍。笛が趣味であり、外国の民族風の笛を吹いたりしている。また、暇にあかせて抽象的なオブジェを作成する。
: 戦時中は海軍で榎木津の部下だった。五体満足で終戦を迎えたものの、復員船の中で、突如[[マラリア]]にかかり、[[臨死体験]]らしき奇妙な夢を見た。そのとき以来、飄々とした性格に拍車がかかったと当人は分析している。
; {{Anchor|今川 雅澄}}(いまがわ まさすみ)
: 骨董店「待古庵(まちこあん)」の店主で、中禅寺らの知り合い。
: 代々続く[[蒔絵]]師の一家の次男坊で、店は戦時中の大怪我で復員後に死んだ従兄弟が、生前経営していた「骨董今川」(今の店名に改名させた)を引き継いだ形。「待古庵」の名は、子供の時のあだ名「マチコサン」に由来し、特に意味は無いが、客はその字面を見て勝手に納得すると言う。外見は太い眉にしまりのない唇と禽獣のようとも言われる珍妙な顔。おっとりのんびりした性格も併せ一見愚鈍な印象だが、かなり頭は切れる。骨董品などについて中禅寺に見解を求めるなど、知的好奇心を優先させる事も。骨董商としての鑑定眼は優れているが、やや自信に欠けると評される。
: 戦時中は榎木津の部下で、性格的に近い物があるためか、同僚伊佐間とは復員後も懇意にしている。
: 口をもぐもぐとしか動かさないため、多少興奮して話すだけで口角に自然と泡が発生しているなどやや見苦しい一面も。そのため榎木津からは乳製品を食さないよう厳命されているらしい。
; {{Anchor|安和 寅吉}}(やすかず とらきち)
: 声 - [[坂本千夏]] / 演 - [[荒川良々]]
: 薔薇十字探偵社の探偵[[秘書]](当人はそのつもり)。通称・和寅。榎木津家に仕えていた使用人の息子。野次馬根性が非常に強い。榎木津からいくらギターを教わっても上達しないらしく、そのせいで薔薇十字探偵社を解雇されそうになったことがある。益田のことは君付けで呼び、格下に見ている節がある。中禅寺、榎木津、関口のことを全員「先生」と呼ぶ。真面目に仕事をしない榎木津に代わって依頼人の話を聞いたり、榎木津の生活ぶりをたしなめるような保護者的な一面も見せる。
: アニメ版では10歳程度の少年になっている。
; {{Anchor|里村 紘市}}(さとむら こういち)
: 声 - [[青山穣]] / 演 - [[阿部能丸]]
: [[九段下駅|九段下]]で「里村医院」を開業する傍ら、警察の[[監察医]]も務めている外科医。普段は温厚で人当たりのよい好人物だが、3度の飯より解剖が好きで死体と聞けば患者をほったらかして飛んで行くという性格の持ち主。いつも木場に病気・変態などと罵られているが本人は全く気にしていない様子。人懐っこい言動でショッキングな内容も平気で語る。また、「日本で一番腕の良い監察医」を自称しており、周囲の人間も解剖・縫合の腕前はかなり高く評価している他、監察医としての使命感や遺族感情に対する配慮も持ち合わせている。木場とさほど年は変わらないが、最近髪が薄くなってきている。
; {{Anchor|竹宮 潤子}}(たけみや じゅんこ)
: 演 - [[鈴木砂羽]]
: [[池袋]]にある[[バー (酒場)|バー]]「猫目洞」の女主人。木場は警察官になった当初は池袋署に配属されており、その頃からの常連でかなり親しい。木場には少なからず好意を持っており、口には出さないがことある毎に木場の身を案じている。また女性の気持ちを察するのが苦手な木場に助言して、捜査の示唆を与えることもある。チンピラまがいの連中の襲撃を受けた際に自分の身よりも高級酒を守ろうとするなどなかなか肝の据わった人物。「酒場の女に姓はない」らしく基本的にはフルネームで名乗ることはない。頭の回転の素早さや情報通なところから過去に何かあったことを想像させるが、過去を語ろうとはしない。
; {{Anchor|小泉 珠代}}(こいずみ たまよ)
: 声 - [[長沢美樹]]
: 稀譚舎の社員。関口の担当編集者でもある。敦子の上司で、彼女からは「先輩」と呼ばれている。『魍魎の匣』や『狂骨の夢』でその事件の重要人物を関口に引き合わせており、本人の意図したことではないが結果的に関口が事件に深くのめり込んでしまう原因を度々作ってしまっている。
; {{Anchor|山嵜 孝鷹}}(やまさき たかお)
: 演 - [[小松和重]]
: 稀譚舎の社員。敦子や小泉の上司で、稀譚舎が発行している雑誌「近代文藝」の[[編集者|編集長]]もしている。関口に掲載作品の単行本化を持ちかけて「目眩」を発行する。関口の作品は全て近代文藝に掲載されているため稀譚舎での単行本化が容易であり、またある程度は売れると目測していたが一部の好事家にしか受けなかった。
; {{Anchor|増岡 則之}}(ますおか のりゆき)
: 声 - [[三木眞一郎]] / 演 - [[大沢樹生]]
: 柴田財閥顧問[[弁護士]]の1人。いつも高級そうな[[スーツ]]を着こなし、銀縁の眼鏡をかけている。そのまま馬のような男と評されるほどの馬面。凄まじい早口のマシンガントークで喋る(本人曰く、常に多忙のため少しでも時間を短縮するため。しかしいついかなる場合でも口調は変わらない)が発音・発声ともはっきりとしているので聞き漏らすことはない。その口調から傲慢かつ嫌味な性格と思われがちだが、感情表現が不器用なだけで、他人のことを真剣に考えてやれる信念の持ち主。柴田財閥絡みの事件が起こる度に登場しており、初登場の『魍魎の匣』では柴田財閥を通じて紹介された薔薇十字探偵を訪れたが、榎木津にまともな依頼は不可能と判断したのか以降の事件では京極堂へ相談を持ち掛けるようになる。また、作中の事件で逮捕された複数の人物の弁護も担当している。意外に[[野次馬]]根性が強く、京極堂のウンチクも真剣に聞いている。
: 映画版では眼鏡はかけておらず、いつも[[懐中時計]]で時間を気にしているという設定が追加された。
; {{Anchor|川島 新造}}(かわしま しんぞう)
: 声 - [[相沢まさき|相沢正輝]]
: 木場や榎木津の戦前からの友人で飲み仲間。飲み屋で酔っぱらって暴れていたところを二人に取り押さえられ、それ以降親しくなる。六尺を超える大男で、常に黒眼鏡をかけ、未だに復員服を着てさらに坊主頭のためかなりいかつく見える。戦時中、[[甘粕正彦]]の腹心として[[満州]]で働いていた。その時は特殊な任務に就いていたらしく、図体に似合わずかなり身軽。また見た目通り喧嘩もめっぽう強く、木場と互角を張れるほどである。復員後は「騎兵隊映画社」という会社を興して[[映画]]制作を行っている。
; {{Anchor|妹尾 友典}}(せのお とものり)
: 演 - [[田村泰二郎]]
: 赤井書房の社員。鳥口の2人しかいない上司の1人。不定期発刊のカストリ雑誌「實録犯罪」の編集長だが編集者は彼と鳥口の2人しかいない。どんな話題にも食い付き、また非常によく喋る、子供のような性格。
; {{Anchor|赤井 禄郎}}(あかい ろくろう)
: 赤井書房[[オーナー]]。赤井書房は学習用教材の[[販売|販売業]]が本業で、[[出版社|出版業]]は道楽でやっているらしい。そのため實録犯罪の仕事にはほとんど干渉してこないがその反面廃刊になったとしても何ら不利益を被るとこは無い。
; {{Anchor|久遠寺 嘉親}}(くおんじ よしちか)
: 演 - [[すまけい]]
: 「久遠寺医院」の院長。第一作『[[姑獲鳥の夏]]』の事件を通して、京極堂らと知り合う。
: とある『姑獲鳥の夏』での事件をきっかけに医院を閉鎖し、現在は箱根にある「仙石桜」という宿で居候をしている。
: 容姿は禿げた赤ら顔に目が窪んでしまっている締りの悪い顔。60を超えた老人だが威勢の良い性格で、世の道徳に反することに対してはしっかり反論し、また医院をたたんでからも医者としてのプライドを高く持ち合わせている。
: 専門分野は[[外科]]であるが、久遠寺医院で人手が足りない時はそれ以外の診療も行っていたらしい。また『[[鉄鼠の檻]]』では持ち前の監察眼で遠くからでも生者と死者の区別をつけたり、検死を行ったりもした。
; {{Anchor|一柳 朱美}}(いちやなぎ あけみ)
: [[静岡県]][[伊豆市]]で暮らす女性。元[[憲兵 (日本軍)|憲兵]]で現在は置き薬商人の夫史郎(しろう)と二人暮らし。その容姿は大抵の者は美人と答えるが、さらに加えて若く見られがちで実際は20代後半だが夫がいるようには見えないとよく言われる。初登場『狂骨の夢』では、過去にまつわる事情で[[神奈川県]][[逗子市]]に住んでいたが、事件後[[東京]]に引っ越した。しかし都会の喧噪と馴染めず静岡に転居した。[[長野県]]の出身で、子供の頃代々家で祀ってきた「武御名方富命(たけみなかたとみのみこと)」髑髏狙われて奪うために家族全員を焼き殺され、徴兵忌避で失踪した先の夫・佐田申義が殺害され一時夫殺しの容疑がかかるなど数奇な過去を持つ。旧姓は南方(みなかた)。非常に淡泊な性格・口調をしているが、一方で困っている人を見ると放っておけないという江戸っ子気質の女性で、そのために中禅寺周辺や事件に関わることになった。一人称は「妾(あたし)」。
; {{Anchor|降旗 弘}}(ふるはた ひろむ)
: 元[[精神医学|精神科医]]。実家は[[小石川]]にある[[歯科医師|歯科医]]で木場とは幼馴染みというものの、実際は家が近所だったというだけで、それほど親しかったというわけではないが、榎木津とも面識があった。初登場『狂骨の夢』では神奈川県逗子市にある飯島基督教会というところに居候していたが、事件解決の後東京の徳田里美(とくださとみ)という[[水商売]]の女性のところに転がり込んで暮らしている、いわゆる[[ヒモ]]。しかし本人は現在の生活に満足して楽しんでいるようだ。
: 子供の頃に奇妙な夢を見、それをきっかけにその夢の意味をどうしても知りたくなり、大学で精神神経医学を学ぶ傍ら[[ジークムント・フロイト|フロイト]]の孫弟子に師事して[[精神分析学]]を学ぶ。しかし学べば学ぶほど自己嫌悪に陥っていき、次第に心を閉ざすようになってしまう。その後情緒不安定ながらもどうにか精神科の開業医として生計を立てていたが、とある精神病患者を診た後ついに精神病を発症してしまった。自己嫌悪の塊となっていたが、京極堂の憑き物落としによって取り敢えず鬱病紛いの症状は治ったようだ。関口曰く、自分と同じタイプの人間。その夢は、夢ではなくて立川流の男女が性交する光景という現実だったことが『狂骨の夢』で明らかになる
; {{Anchor|柴田 勇治}}(しばた ゆうじ)
: 柴田[[財閥]]会長の柴田耀弘(しばたようこう)の養子。『魍魎の匣』で柴田耀弘の唯一の直系であったはずの少女と、柴田耀弘自身が亡くなってしまったことで柴田財閥のトップに立つ。温厚かつ真面目な性格で、決して悪い人物ではないが場の空気を汲み取ることが出来ず場違いな発言をしたりもする。『絡新婦の理』で家族全員を亡くした織作茜を妻にすることで柴田家に迎え入れようとするが断られてしまう。人格的には申し分無いが商才はあまり無いらしい。
 
=== 警察 ===
; {{Anchor|木下 圀治}}(きのした くにはる)
: 声 - [[石川和之]]
: 東京警視庁[[刑事部]]捜査一課に所属する刑事。青木の同僚で木場の元部下。階級は恐らく巡査。青木とは少し違ったタイプで、彼同様上司にたて突くようなことはないが、積極的に機嫌を取ったりもする。やや小太りの体系。娼婦が嫌いらしい。青木とは非常に仲が良く、「圀」、「文さん」と呼び合う。
; {{Anchor|大島 剛昌}}(おおしま たけまさ)
: 東京警視庁刑事部所属の刑事。階級は[[警部]]で捜査一課[[課長]]。木場の元上司。木場に負けず劣らず口調が荒っぽい。暴走気味の木場をよく叱っているが、実力は買っているところがあり、本来なら懲戒免職ものの木場の失態も彼の働きによって減俸や降格程度で済んでいる。刑事を警察機構の歯車だと喩えており、矮小ではあるが一つでも欠けると上手く機能しなくなるため、一人ひとりが警察にとっては重要な存在であると考えている。『陰摩羅鬼の瑕』からは、その手腕をかわれて[[公安部]]捜査三課に異動となった。
; {{Anchor|長門 五十次}}(ながと いそじ)
: 東京警視庁刑事部捜査一課の刑事。木場の新しい相棒(実際は暴走気味の木場の監視役も兼ねている)で課一番の年長者。木場に引けを取らない観察眼を持っており、細かいところにもよく気が付く。殺人現場に到着するとまず一番に被害者に[[黙祷]]するという変わり者。木場には随分遺体ばかり調べる刑事だと思われていた。地道で地味な捜査を得意とする粘りタイプの刑事で、木場とは正反対である。如何なる時でも自分のペースを保っており、木場は彼を苦手としているが、捜査能力に関しては一目置いている。いつも自作の弁当を職場に持ってくる。妻は既に他界しているらしい。
; {{Anchor|石井 寛爾}}(いしい かんじ)
: 声 - [[宇垣秀成]]
: 国家警察神奈川県本部捜査二課の刑事。初登場の『魍魎の匣』では警部だったが、元々の捜査能力の低さに加え、木場の暴走も重なって失態を犯し降格させられた。木場曰く、出世しか考えていない青瓢箪。しかし『狂骨の夢』では再び警部に返り咲いて、木場とも和解し以降は協力関係となる。典型的なキャリア組みタイプで所轄警官と捜査方針を巡っての軋轢が絶えないが木場には賛同されており、捜査能力も初登場時と比べて上がってきているようだ。また、『[[邪魅の雫]]』では犯罪と法律、社会秩序に対する達観した見地を述べている。
: 臆病な性格で、力任せに事件を解決しようとする方法を嫌っており、作中でも「腰抜け」と評されることが多い。そのため自身の意見を否定されると言い訳じみた弁解をするが、逆に肯定されると饒舌になる。榎木津からは[[蒙古]]系の[[脂]]性の[[雲脂]]性などと罵倒され、非常に苦手としている。
; {{Anchor|山下 徳一郎}}(やました とくいちろう)
: 国家警察神奈川県本部所属の刑事。エリート出身で階級は警部補。かつて石井の腹心の部下で益田の直属の上司だった。初登場は『鉄鼠の檻』。その時は高圧的な態度で捜査に当たり関係者から厭まれ、捜査に全く役に立たなかったばかりか、目と鼻の先で次々と殺人が行われ、挙げ句犯人を取り逃がすという大失態を犯してしまう。初めは直感に任せて少しでも怪しいと感じたものは即刻拘束するという捜査手法をとっていたが、そうした経験を通して捜査手法や性格に大きな変化が見られた。事件後、責任を取らされて降格させられたが『邪魅の雫』で再登場したときには再び警部補になっていて、かつての部下の益田もかなり変わったという印象を持った。