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{{漫画}}
『'''ゴルゴ13'''』(ゴルゴサーティーン)は、[[さいとう・たかを]]による[[日本]]の[[漫画]]作品。超一流の[[スナイパー]](狙撃手)[[ゴルゴ13 (架空の人物)|「ゴルゴ13」ことデューク東郷]]の活躍を描く[[劇画]]作品である。1968年11月、[[小学館]]『[[ビッグコミック]]』誌で連載を開始し、現在も同誌に連載中。[[リイド社]]の[[単行本]]は2015年4月現在177巻を数える。
 
== 作品内容 ==
{{main2|具体的なエピソードや単行本の収録作|ゴルゴ13のエピソード一覧}}
{{see also|ゴルゴ13 (架空の人物)|ゴルゴ13の登場人物}}
社会の裏側、あるいは裏と表の境界線上がゴルゴ13の活躍の舞台である。ストーリーの題材は多数の脚本協力者が脚本を執筆していることもあって非常に多岐にわたる。[[諜報活動|諜報戦]]に代表される国家間の[[暗闘]]、世界各地の[[戦争]][[紛争]][[ゲリラ|ゲリラ活動]][[テロリズム]]を題材としたもの、または[[麻薬]]組織など犯罪を扱ったもの、[[ハイテク|最新テクノロジー]][[企業活動]]に関連したもの、[[歴史]]問題・[[地理]]問題をテーマにしたもの、[[芸術]][[スポーツ]]、文化学術活動なども題材となっている。[[ミステリー]]調や[[コメディ]]調のエピソードもある。
 
作中には、現実に起きた事件に交えて実在の国名・組織・企業・団体そして個人の名前がしばしば登場する。ニュース性に富んだ情報を盛り込むジャーナリスティックな作風から、巷間ではこの作品で世界情勢を勉強できると言われたりしているが、物語自体はあくまで架空である。
 
== 掲載誌・単行本 ==
=== 一次掲載 ===
劇画『ゴルゴ13』は、[[小学館]]『[[ビッグコミック]]』誌に連載されている。1968年(昭和43年)11月発売の1969年1月号<ref group = *>当時は月刊だった。</ref>に「第1話 ビッグ・セイフ作戦」が掲載され、2015年(平成27年)現在も連載中で、現在まで休載は一度もない<ref name = agawa />。最新作は「第555話 ロンメル将軍の財宝」
ビッグコミックの発売日は毎月10日・25日、税込み定価は340円である。B5サイズの[[ホッチキス]][[中綴じ]]で、表紙はその時々の有名人のイラストである。
 
ビッグコミックでは毎回、36ページが掲載される。この項では便宜的に、この一度に掲載されるボリュームを1U(1ユニット、1度分の掲載量の意)と表現している。
ゴルゴ13は1968年(昭和43年)11月発売の、1969年1月号<ref group = *>当時は月刊だった。</ref>に「第1話 ビッグ・セイフ作戦」が掲載され、2015年(平成27年)現在も連載中。以来、現在まで休載は一度もない<ref name = agawa />。最新作は『第555話 ロンメル将軍の財宝』。
 
ビッグコミックでの連載において、ひとつのエピソードは、複数回の掲載にまたがることが多い。2Uのものは、それぞれ「第○○○話 前編/後編」と、3Uのものは、それぞれ「第○○○話 前編/中編/後編」と表記される。また、1Uのエピソードを「単発」、2Uのエピソードを「前後編」、3Uのエピソードを「三部作」とも呼ぶ
ビッグコミックでは毎回、36ページが掲載される。この項では便宜的に、この一度に掲載されるボリュームを1U(1ユニット、1度分の掲載量の意)と表現している。
 
ビッグコミックの掲載時の特徴として、次の点が挙げられる。
ビッグコミックでの連載において、ひとつのエピソードは、複数回の掲載にまたがることが多い。2Uのものは、それぞれ「第○○○話 前編/後編」と、3Uのものは、それぞれ「第○○○話 前編/中編/後編」と表記される。
また、1Uのエピソードを「単発」、2Uのエピソードを「前後編」、3Uのエピソードを「三部作」とも呼ぶ。
 
ビッグコミックの掲載時の特徴として、次の点がある。
*脚本協力者、作画スタッフ、担当編集者の名を表記している。
*最終ページに、カット付きで次回エピソードの予告がつく。
 
ビッグコミックでは毎回1Uのボリュームで掲載されるが、周年などのイベント時には、過去に1Uの作品が2作同時に掲載されたこともある。また、2Uの長さの作品が一気掲載されたこともある。
ビッグコミック本誌のほか、かつては2・5・7・9・11月17日発売の[[ビッグコミック増刊号]]にも、1Uの新作が掲載されていた。[[ゴルゴ13のエピソード一覧]]や「ゴルゴ学」などでは「増刊○○話」のように表記されている。しかし、2011年11月増刊号掲載の「増刊106話 もうひとりのプロフェッショナル」を最後に、増刊での新作の掲載はなくなり、以後は1Uの旧作が再録されている。この増刊掲載の分は、本誌のエピソード数にはカウントされていない。増刊掲載の新作はのべ106話制作されたため、ゴルゴ13のリリースされた総エピソード数は、本誌の掲載エピソード数に106を加えた数字になる。
 
=== 刊行中の単行本・単行本相当の刊行物 ===
 
==== 別冊ゴルゴ13シリーズ ====
ビッグコミックに掲載されたエピソードは、4年ほど経ってからた後に小学館から『ビッグコミック SPECIAL ISSUE 別冊 特集ゴルゴ13シリーズ』として発刊される。以下、「別冊ゴルゴ」と表記する。
 
別冊ゴルゴの発売日は、3・6・9・12月の13日、定価は480円である。サイズはB6サイズで、B5のビッグコミック誌の半分のサイズになる。カバーはなく、ザラ紙に印刷されており、いわゆる[[ペーパーバック]]体裁であり、現在のいわゆる[[コンビニコミック]]の元祖である。
 
別冊ゴルゴは、1970年(昭和45年1)1月1日に第1集が刊行され、現在のいわゆる[[コンビニコミック]]の元祖である。最新刊は2015年6月13日発行の「第188集」、収録作は「極北航路」「異次元実験の危機」「善人の死」の3作、JAN 4910296790751<ref group = *>JANコードの13桁の数字で検索すると該当する本を表示する</ref>。この第188集という数字は、マンガ漫画としては2番目の長期シリーズである。
 
別冊ゴルゴの巻数表示は、第1集から第28集までは巻数表示一切ない。第29集から第167集までは裏表紙に〔29〕のように、第64集以降は裏表紙に加えて本の背に No.64 のように、第168集以降は本の背に加えて裏表紙に No.168 のように表示されている。
 
別冊ゴルゴでは、1巻に7U分(たとえば前後編が2話と三部作が1話、のように)収録される。1Uを42ページとすると、約300ページ相当という勘定になる。実際の別冊ゴルゴは、340ページほどのボリュームとなっており、この差はゴルゴ13以外の他の作家のマンガ漫画分や広告、扉絵の再収録の分である。
別冊ゴルゴは、以下のような特徴がある。
*ビッグコミックで複数回にわたっていたエピソードは、分断の部分は修正され、つなぎ目は意識されないように工夫している。
*新エピソードを一番早く読める(ただし「第320話 BEST BANK」だけは、本誌→増刊→SP→別冊の順で収録された)。
*ビッグコミックに掲載された順に収録されるわけではない。そのため、「第○○○話」という表示はなくなる。
*他の作家による短編漫画が1本、4コマ漫画が1本の計2作が収録される。後者は2000年頃まで、さいとうの前妻である[[プロジェクト:漫画家/日本の漫画家 さ行#セツコ・山田|セツコ・山田]]による「Sさん一家」<ref group = *>一時期は「ゴルゴさんち」という名称で掲載されており、単行本も同名で刊行されている。</ref>が掲載されていた。
*最終ページの予告編は削除され、替わってゴルゴ13のシンボルのロゴマーク(茨の冠を被せられた骸骨の後ろ姿)がデザインされている。
*165集以後、脚本協力者の名は表示されているが、作画スタッフと担当編集者の名は表示されない。
*「第237話 幻(ダミー)の栽培」と「第266話 バチカン・セット」の2作は、現在の時点で別冊ゴルゴに収録されていない。
 
==== 増刊ゴルゴ13シリーズ ====
別冊ゴルゴに収録されたエピソードは、約1年ほど経ってから小学館から『ビッグコミック増刊 ゴルゴ13総集編』として発刊される。以下、「増刊ゴルゴ」と表記する。
増刊ゴルゴは、1973年(昭和48年1)1月15日に第1集が発行され、最新刊は2015年5月13日発売の第179集、収録作は「高度1万メートルのエピデミック」「誰がそれを成し得たのか」「疑惑のペースメーカー」「甦る潜像」の4作、JAN 4910296770654。発売日は、2・5・8・11月の13日、税込み定価は390円である。B5サイズの[[ホッチキス]][[中綴じ]]で、ビッグコミックと同じ体裁、同じ画面サイズになる。カバーはなく、[[ザラ紙]]に印刷されており、増刷はされない。
増刊ゴルゴの巻数表示は「vol.179」のように表示されている。
 
増刊ゴルゴでは、1巻に7U分(たとえば前後編が2話と三部作が1話、のように)収録される。1Uを42ページとすると、約300ページ相当という勘定になる。
増刊ゴルゴは、以下のような特徴がある。
*一番大きなサイズで読むことができる。
*ビッグコミック別冊ゴルゴに収録された順に収録されるわけではない。
*vol.155以後、脚本協力者の名は表記されているが、作画スタッフと担当編集者の名は表記されない。
*別冊ゴルゴのNo.108に収録された「増刊32話 告発の鉄十字」は、現在の時点で増刊ゴルゴに収録されていない。
 
==== SPコミックス ====
増刊ゴルゴに収録されたエピソードは、約1年ほど経ってからリイド社から『SPコミックス ゴルゴ13』として発刊される。以下、「SPゴルゴ」と表記する(リイド社は元々さいとう・プロの出版部門が源流で、SPはさいとう・プロの略である)。
 
SPゴルゴの発売日は、4・7・9・12月の5日、価格は税別552円である。サイズはいわゆる「おとなマンガ」のサイズで、小学館の[[ビッグコミックス]]のサイズ(『[[あぶさん]]』や『[[浮浪雲]]』など)と同じサイズである。
SPゴルゴは、昭和48年6月21日に「第1集 ビッグ・セイフ作戦」ISBN 4-8458-0001-2 が刊行され、最新刊は2015年7月5日発売の「第177集 欲望の輪廻転生」ISBN 978-4-8458-3504-1、収録作は、表題作と「ピジョンブラッド失落の鑑別書」「夏の老人」の計3作。
SPゴルゴの巻数表示は、背と表紙に「177」のように表示されている。
 
SPゴルゴでは、1巻に6U分(たとえば単発が1話と前後編が1話と三部作が1話、のように)収録される。1Uを42ページとすると、約250ページ相当という勘定になる。
SPゴルゴは、以下のような特徴がある。
*通常のおとなマンガのコミックスで、いつでも新本で入手できる。紙質もよい。
*カバー裏表紙に収録エピソードのあらすじが掲載される。
*ビッグコミック別冊ゴルゴ増刊ゴルゴに収録された順に収録されるわけではない。
*154巻以後、脚本協力者の名は表記されているが、作画スタッフと担当編集者の名は表記されない。
*「245話 捕虜交換―スワップ」は増刊ゴルゴのvol.171に収録されたが、現在の時点でSPゴルゴに収録されていない。
 
===== SPコミックスの装丁 =====
 
SPコミックスは、装丁のマイナーチェンジが繰り返されている。初版の詳細な装丁は以下の通り。
 
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|-
|}
そのSPSPコミックスのゴルゴ13が初版かどうかは、6-巻から16巻と108巻以降は「初版」の表示があるのでわかる。<br />
*1巻は、2巻以降の既刊紹介がなければ初版である。<br />
*2-巻から5巻7-巻から47巻68巻-から111巻は、カバー袖に列記された既刊の紹介が、その巻手前までであれば初版、その巻以後の分もあれば重版である。<br />
*48-67巻は、カバー袖に列記された既刊の一括表記の既刊紹介の巻数が、その巻の手前までであれば初版、その巻以後の分もあれば重版であると推定できる。
 
==== SPコミックスコンパクト ====
SPゴルゴに収録されたエピソードは、約1年ほど経ってからリイド社から『SPコミックスコンパクト ゴルゴ13』として発刊される。以下、「文庫ゴルゴ」と表記する。
文庫ゴルゴは、2002年9月30日に第1集「ビッグ・セイフ作戦」ISBN 4-8458-2539-2 が発行され、最新刊は2015年6月末発売の第145集「燃える氷塊」、収録作は、表題作と「極東の凶行」「デリートG・Gの消去」の計3作、ISBN 978-4-8458-3098-5。発売日は、2・6・10月の月末最終日。本体価格は476円である。サイズは文庫のサイズだが、リイド社は「文庫」ではなく「コンパクト」と称している。
なお、1976年〜1988年に小学館の文庫からも文庫サイズで刊行されているが、このシリーズは「小学館文庫」の項を参考にされたい。
文庫ゴルゴの巻数表示は、背に「145」のように表示されている。
 
文庫ゴルゴでは、1巻に7U分(たとえば前後編が2話と三部作が1話、のように)収録される。1Uを42ページとすると、約300ページ相当という勘定になる。
 
文庫ゴルゴは、以下のような特徴がある。
*通常の文庫マンガのコミックスで、いつでも新本で入手できる。紙質もよい。
*原則としてビッグコミックに掲載された順に収録される。145集までで第473話および増刊第93話までが収録された(ただし一部の未収録作を除く)。
*巻末に数ページの解説が追加され、この解説で第1話から脚本協力者や作画スタッフ、担当編集者の名前、話数を表記している。したがって、このコンパクトを見れば、あるエピソードが第何話なのか、脚本協力者や作画スタッフは誰なのかを知ることが出来る。
*「増刊20話 疫病神の道標」はSPゴルゴの83集に収録されたが、現在の時点で文庫ゴルゴに収録されていない。
 
==== [[My First BIG]](マイファーストビッグ) ====
文庫ゴルゴに収録されたエピソードの一部は、小学館の[[コンビニコミック]]のMFB([[MFBMy First BIG]](マイファーストビッグ)のラインナップで『MFB ゴルゴ13』として発刊される。「MFBゴルゴ」と表記する。
 
MFBゴルゴは、1999年7月23日に第1集「VS NATO & VS ARMY」ISBN 4-09-109202-0 が発行され、最新刊は2015年8月7日刊行の第141集「THE LAST CODE」、収録作は「最終暗号」「15-34」「感謝の印」の3作、ISBN 978-4-09-119848-8。
発売日は、1・2・3・5・6・8・10・11月の第一金曜日。
発行月がまちまちに見えるが、MFBゴルゴは、SPゴルゴが発刊されていない月に発刊されるパターンとなっている。本体価格370円(+税)である。サイズは正確にB6サイズで、面積比でビッグコミックのちょうど半分の画面サイズになる。カバーはなく、ザラ紙に印刷されており、[[ペーパーバック]]体裁である。基本的には増刷はされないが、一部はすぐに増刷されたり、あるいは時間をおいてから「アンコール発売」などと銘打って増刷されることもある。
 
MFBゴルゴの巻数表示はない。また、その巻のテーマやモチーフが本の背と表紙に表記されている。英語2ワードのことが多い。たとえば、115集は「SILENT MEMORIES」となっている。
 
MFBゴルゴでは、1巻に6U分(たとえば単発が1話と前後編が1話と三部作が1話、のように)収録される。1Uを42ページとすると、約250ページ相当という勘定になる。実際のMFBゴルゴは、260ページほどのボリュームとなっており、この差は、追加されたコラムや広告の分である。
MFBゴルゴは、以下のような特徴がある。
*このMFBゴルゴは、テーマやモチーフにそって収録作が選ばれている。たとえば、115集はサブタイトル「SILENT MEMORIES」に対し「黒い記憶」「禁じられた言葉」「五十年の孤独」の3作が収録されている。
*このテーマに沿ったうんちくのコラム、「GOLGO13 FILE THE SECRET DOCUMENTS」が追加される。115集では「催眠術で殺人は可能か!? 無意識世界に潜む恐怖!!」というタイトルで、「禁じられた言葉」の後催眠、「黒い記憶」の自己催眠に関して論考している。
*脚本協力者、作画スタッフ、担当編集者の名は表記されない。
 
==== SPコミックスポケットエディション ====
文庫ゴルゴに収録されたエピソードの一部は、[[リイド社]]の[[コンビニコミック]]の『ゴルゴ13  POCKET EDITION』として刊行される。以下、「ポケットゴルゴ」と表記する。
 
ポケットゴルゴの発売日は、毎月9日ごろ・24日ごろの月2回、本体価格370円(+税)である。サイズは文庫のサイズだが、リイド社は「文庫」ではなく「ポケット」と称している。カバーはなく[[ザラ紙]]に印刷されており、[[ペーパーバック]]体裁である。
 
ポケットゴルゴは、2011年3月24日に第1集「番号預金口座」ISBN 978-4-8458-4101-1 が刊行され、最新刊は2015年7月24日ごろ刊行の「香りの宝石」ISBN 978-4-8458-4657-3、収録作は、表題作と「サンクチュアリ」「3/7」「エアポート・アイランド」の計4作。
 
なお、2008年刊の「リイド社版アニメ・ベストセレクション」も「ゴルゴ13 POCKET EDITION」と銘打たれているが、このシリーズは「リイド社版アニメ・ベストセレクション」の項を参考にされたい。
 
ポケットゴルゴは巻数表示は表紙にある。
 
ポケットゴルゴでは、1巻に7U分収録される。1Uを42ページとすると、約290ページ相当という勘定になる。
 
ポケットゴルゴは、以下のような特徴がある。
*脚本協力者の名は表記されるが、作画スタッフと担当編集者の名は表記されない。
 
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== 制作背景 ==
大人向けの[[劇画]]作品を発表する場を求めていたさいとう・たかをは、『ビッグコミック』の創刊に『捜し屋はげ鷹登場』で参加した。これに続て、同年『ビッグコミック』誌上に発表した作品が『ゴルゴ13』であった。
 
さいとうは現代劇は苦手であり、ゴルゴ13を執筆したのは計算の上でのことである<ref name = agawa />。どうせ現代劇にするなら極悪人にしよう、しかし主人公が嫌われてはまずいので、社会悪と言うことにしよう。それなら善悪の解釈は時代によって変わってくるのだから<ref name = agawa />、と言った次第である。またさいとうはゴルゴは「ヒーロー」ではないともしている<ref name = agawa />。故に堂々としていないという<ref name = agawa />。
 
『ビッグコミック』での連載開始当初、さいとうは『ゴルゴ13』を10話で終了させる予定だったという。殺し屋を主人公にしても、その殺しの手段を使い切ればネタ切れになってしまうだろうと考えていたらしい。実際に、最終話のコマ割りは最後のシーンまで頭の中で出来上がっているという。なお、最終回の原稿を金庫の中にしまってあるという流言もあるが、「ゴルゴ学」によれば、実際にはまだ執筆はされていないことが、さいとう本人によって明らかにされている。
 
「最終話は20代の頃に考えたため、当時考えたコマ割りまで全て鮮明に覚えている。最終話の内容は自分以外にキャップ(=(=作画チーフ)2人にしか教えていない」「最終回は使えない。この作品は僕の手から離れてみんなのものになっているので、勝手に終わらせられない。僕が死んだ後でも終わらなかったりして」と[[NHKラジオ]]『[[わが人生に乾杯!]]』で語っている{{信頼性要検証|date=2014-3}}。
 
やがて、上に述べられたような、それまでの漫画・劇画の主人公としてはあまりに異質なキャラクターが登場する物語が評判を呼ぶ。特に「依頼者との約束は必ず守る」という信条と、そのための超一流の技量とを身に備えた男の中の男(として確立していった)ゴルゴ13の人気は高い。世界情勢や時事問題を巧みに取り込むことによって、[[冷戦]]終結で彼が活躍の場を失うのではないかといわれた危惧をも乗り越え、同誌上において、2014年までの間の45年間、ただの一度も連載を休まないという快挙を成し遂げている<ref group = *>さいとう曰く、締め切りを守るのはプロとしての最低条件である。…と22,3歳の頃に「吠えて」しまったことを実行している。</ref><ref name = agawa />。またあくまでこれは「仕事」であり、一般の社会人と同様、長期間続けて飽きるとか飽きないとかの話ではないとしている<ref name = agawa />。
 
現在{{いつ|date=2014-3}}でも連載の始まった[[1970年代]]の[[劇画]]のスタイルを踏襲しており、1ページ目に「超A級狙撃手(スナイパー)のスーパー・アクション!」のキャッチフレーズ(連載初期は“一匹狼の殺し屋を非情なタッチで描く快作!!”)、サブタイトルの[[タイポグラフィ]]、あるいはあくまで数話読み切りの漫画で、その集合体として「ゴルゴ13シリーズ」と呼んでいるなど、連載当初からの体裁を固守している。
 
本作では様々な国家や人物が登場し、体制に属する人間はゴルゴ13を使って敵対国に介入し目的を達成しようとすることが多い。傾向としては[[冷戦]]前は米ソが中心となっており、冷戦後特に2000年代に入ってからは中国を題材にした作品が急増している。中国は冷戦中は(作中の立ち位置的には)善玉または単なる依頼人であったことも多かったが、2000年代に中国の台頭や反日デモの頻発化が顕著になると標的側や、依頼人側に回ったとしても契約違反で制裁を受ける、といった作品が多くなっている。
 
さいとう・プロダクションでは劇画の作成に分業制をとっているが<ref name = agawa />、2014年現在、ゴルゴの顔だけは作画スタッフが描きたがらず、さいとう自身が描いている(さいとうによれば描かされている)」)<ref name = agawa>『週刊文春』2014年2月20日号 p.120-「阿川佐和子のこの人に会いたい 第1006回 劇画家 さいとう・たかを」</ref>。さいとう曰く、ゴルゴの顔は誰でも描けるような造形であるはずなのだが、他の人物がくとちょっと違うらしいとのことで<ref name = agawa />、さいとうの知り合いの女性が言うには、さいとうが描く主人公には色気があるそうである<ref name = agawa />。
 
=== ゴルゴ13のモデル ===
作者のさいとう・たかをによれば、連載当初のゴルゴ13の容姿のモデルは、映画版にも主演した[[高倉健]]<ref name="ddnavi">{{Cite web |author= |date=2014-2-18 |url=http://ddnavi.com/news/183889/ |title=『ゴルゴ13』を描くのは苦手だった! さいとう・たかをが語る制作秘話 |work=[[ダ・ヴィンチ|ダ・ヴィンチニュース]] |publisher=[[KADOKAWA]] |accessdate=2014-2-19}}</ref>。また、他人が後ろに立つと殴る習性は、さいとうの兄が映画館から出てきた時に「足を踏まれた」と後ろの人を殴ったエピソードが元となっている<ref>[[NHK]]『[[探検バクモン]]』[http://www.nhk.or.jp/bakumon/prevtime/20130123.html ゴルゴ13の秘密基地に潜入せよ!(完結編)]より。なおNHKにより1年間配信される予定であるがその後は検証不可能となる可能性がるため、注意を要する。</ref>。連載開始当初はゴルゴ自身の台詞を多く記載していたが、「あまり喋らせるとボロが出るので」依頼人などゴルゴ以外の登場人物に喋らせることにした<ref name="ddnavi" />。ゴルゴの台詞は減っていき、寡黙なキャラクターが定着した。
 
「東郷」という姓は、中学時代の恩師である東郷先生同姓の教師から取っている<ref name="ddnavi" />。作中においては、ゴルゴ13が「[[東郷平八郎]]の孫または曾孫」という設定のルーツ物語もあるが、謎のままストーリーが終了している。
 
== 評価・影響 ==
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=== 他作品への影響 ===
ゴルゴ13は日本において広く知られた[[漫画]]([[劇画]])キャラクターの一人であり、狙撃手の代名詞といっても過言ではない。その特徴的な風貌もあって、数多くの漫画の中で彼のパロディキャラクターが登場している。お笑い番組でもしばしばパロディ化される。またCMにも多数出演し、ゴルゴの強さの裏には数々の商品が関係していることが明らかになっている(例:「白い肉体」)。
 
=== 愛読者 ===
テレビ番組『[[トリビアの泉 〜素晴らしきムダ知識〜]]』([[フジテレビジョン|フジテレビ]]系)の中の「トリビアの種」コーナーにて実施された全国統計調査によると、「理容店によく置かれている漫画」の第1位である。これは、ゴルゴ13の一つのエピソードの長さがほどほどであること、どの巻から読み始めても違和感がないこと、理容店を利用するのもゴルゴ13のファンも男性が多いこと、などが理由であろう。ちなみに、さいとう・たかを本人、父親は理髪店で働いた経験がある。詳細は[[さいとう・たかを]]を参照のこと。
 
テレビ番組『[[雨上がり決死隊のトーク番組アメトーーク!]]』では、「ゴルゴ13芸人」という企画が放送され、企画をプレゼンした[[ヒデ (お笑い芸人)|ヒデ]]、その実現をプロデューサーに勧めた[[東野幸治]]のほか、[[ケンドーコバヤシ]]、[[山根良顕]]、[[チャド・マレーン]]が、ゴルゴ13に関するエピソードやシーンについて司会の[[雨上がり決死隊]]と共にトークを行った<ref>2008年05月15日放送</ref>。
 
[[オートレース]]では、選手が自分の車両を保有し愛称をつける。[[土屋栄三]]選手は、歴代の保有車に、順に「スーパーゴルゴ」「S・ゴルゴ」「ゴルゴ13」「Gサーティーン」と命名している。
 
競走馬にもゴルゴ13に由来する馬がいる。
*[[アドマイヤゴルゴ]] - 馬主:[[近藤利一]]、鹿毛・牡、冠名+ゴルゴ13より、生年月日:2004年2月16日<ref>[http://www.jra.go.jp/datafile/resist/pdf/5yo_name.pdf][http://db.netkeiba.com/horse/2004110047/]</ref>
*[[メイショウゴルゴ]] - 馬主:[[松本好雄]]、栗毛・牡、冠名+ゴルゴ13より、生年月日:2004年4月14日<ref>[http://www.jra.go.jp/datafile/resist/pdf/5yo_name.pdf][http://db.netkeiba.com/horse/2004102289/]</ref>
 
=== 批評など ===
[[呉智英]]は『[[週刊宝石]]』に連載していた漫画の評論にて、「『穀物戦争 蟷螂の斧 汚れた金』はデュークが登場せずとも[[トリック]]が成立し得るストーリーだが、ゴルゴ13であるためにデュークを登場させた」と指摘した。するとゴルゴファンから抗議が殺到し、呉は再反論するはめになった。一連のやりとりは、呉智英著『バカにつける薬』(ISBN 4-575-71075-X)のP104からP124『鹿を撃つ』に収録されている。また『THE ゴルゴ学』内でも[[竹熊健太郎]]が論争を要約して触れている。
 
作中でゴルゴ13が[[リボルバー]]に[[サプレッサー]]を付ける描写が見られるが、実際には[[ナガンM1895]]のような特殊な構造でなければ、シリンダーと銃身の隙間から音が漏れるためさしたる消音効果は望めない。
 
=== その他 ===
*『ゴルゴ13』の35周年、著者・さいとう・たかをの画業50周年となる平成13年(2001年)には、『H.13ゴルゴイヤー』というキャンペーンが行われた。
*2013年もキャンペーンが行われた。
*[[全日本印章業協会]]の[[ポスター]]に採用された。
*[[朝日新聞社]]発行『[[AERA]]』1000号記念号の「現代の肖像」のコーナーで、ゴルゴ13が登場した。
*[[2004年]](平成16年)頃、[[大日本印刷]]の会社紹介パンフレットにゴルゴ13が使用された。表紙のほか、右ページに本編の台詞を改変した漫画、左ページに解説が入る。コミックスなどを印刷しているのは競合の[[凸版印刷]]である。
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;ゴルゴ13のM16
:ゴルゴが愛用する[[M16自動小銃|M16]]で、「傑作・アサルトライフル」では銃職人ベリンガー(アニメではデイブ・マッカートニー)がM16の強化を施す。最長射撃距離600m。
:「傑作・アサルトライフル」と「激突!AK-100VSM-16」ではM16の象徴がゴルゴであるために、ゴルゴが命を狙われることがある。
:後段の[[ゴルゴ13#「M16」|M16]]も参照。
;マッジ・ペンローズの遺稿
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*[[石川フミヤス]] - 彼のグループがメインで担当。
*[[いとう・たかし]]
*[[千葉利助]] - 石川フミヤスが体調を崩したとき、作品の構成をさいとう・たかをと担当している。
*[[上柚宇大]] - 武本サブローが体調を崩したとき、作品の構成をさいとう・たかをと担当している。
*[[クニムラ利雄]]
*[[赤司教]]
337 ⟶ 335行目:
*[[武本サブロー]]
*[[甲良幹二郎]]
*[[神田猛]][[神田たけ志]]
*[[やまさき拓味|山崎拓味]][[やまさき拓味]]
*[[小山ゆう|大竹由次]][[小山ゆう]]
*[[三村ヨウコ]]
*[[叶精作|田村精作]][[叶精作]]
*[[中津真樹子]]
*[[フジ・山城]]
355 ⟶ 353行目:
*[[由棋準]]
*[[西川弘]]
*[[横溝邦彦|よこみぞ・邦彦]]([[横溝邦彦]])
*[[青木和夫]]
*[[TAKU]]
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== 実写映画 ==
* 『ゴルゴ13』 ([[1973年]]、[[東映]])
*:[[主演]] [[高倉健]]、[[映画監督|監督]] [[佐藤純彌|佐藤純弥]]で封切り公開された第一作についての、
{{Main|ゴルゴ13 (1973年の映画)}}
* 『ゴルゴ13 九竜の首』 ([[1977年]]、東映・嘉倫電影有限公司)
*:主演 [[千葉真一]]、監督 [[野田幸男]]で封切り公開された第二作についての、{{Main|ゴルゴ13 九竜の首}}
{{Main|ゴルゴ13 九竜の首}}
 
なお、さいとうは「([[2008年]]現在で)実写版ゴルゴ13を撮るならば、ハンマー投げ選手の[[室伏広治]]しかいない」と語っている。
 
== 劇場アニメ ==
*'''ゴルゴ13'''([[1983年]])
**「帝王の罠」をベースに、「ヒドラ」「チェック・メイト」など数本の作品のシークエンスをアレンジしたパートを加え、さらに独自のストーリーとキャラクターを使って構成されている。世界で初めて劇中に[[3DCG]]を使ったアニメ作品。ゴルゴの声は[[瑳川哲朗]]が担当している。ゴルゴが紙巻タバコを吸っていたり、待ち合わせでクラクションを鳴らされるまで相手に気づかない、おなじみの台詞を言わないなどが原作と違っている。監督の[[出崎統]]は、トークイベントにおいて「ゴルゴみたいな人間は、いるわけがない。結局、感情移入ができなかった。だから長坂さんの脚本にあった『あんたは最高の人間だった』という最後のレオナルド・ドーソンのセリフをコンテ段階で変えた」と語った。
**<!--NOR : 最後の謎解きにおける[[クライアント]]のセリフは、[[円谷幸吉]]の遺書を彷彿させるものである。-->性表現や残酷な描写があり、[[WOWOW]]では年齢視聴制限付(R-15指定相当)で放送されたこともある。ゴルゴ以外のキャストは[[武藤礼子]](ローラ)、[[藤田淑子]](シンディー)、[[富山敬]](ロバート・ドーソン)、[[納谷悟朗]](レオナルド・ドーソン)、[[小林清志]](T・ジェファーソン)、[[千葉耕市]](時計屋)、[[村越伊知郎]](CIA副長官)、[[兼本新吾]](FBI本部長)、[[小宮和枝]](リタ)、[[青野武]](パブロ)、[[富田耕生]](ボブ・ブレイガン)など。
**音響はモノラルで製作・公開されたが、「日本初の[[ドルビー]]・ステレオ映画」と誤解されることがある。これは、同監督の『スペースアドベンチャーコブラ』(1982年)と混同されているようである。後のOVA版制作時のインタビューによると、実写映画版の出来には不満のあったさいとうも、このアニメ版は、上記のように「お約束」を守っていないことを承知しながらも気に入った模様で、OVA版も同じ出崎が監督することを喜んでいた。なお、さいとういわく「アニメにはあまり興味がない」とのことだが、『[[コブラ (アニメ)#スペースコブラ|スペースコブラ]]』は例外的にお気に入りだったようで、これも出崎が監督だったと後で知って驚き、納得したとのこと。またこのアニメ版の初号試写を観た段階で、出崎と長年コンビを組み、この作品でも作画監督を務めた[[杉野昭夫]]について、自分の絵に左右されずに独自のキャラクターを作り上げている点、およびその絵の巧さを、きわめて高く評価していた。
 
=== スタッフ(劇場アニメ) ===
*製作 - [[藤岡豊]]、[[山本又一朗]]
*プロデューサー - 稲田伸生
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== OVA ==
*'''ゴルゴ13〜QUEEN BEE〜'''([[1998年]])
**アニメ化第2。[[玄田哲章]]がゴルゴ13を演じている。劇場版と同様に、ゴルゴ13への依頼方法や、彼が任務遂行時に標的に対し私情を挟む描写が原作と違う異なる。また、一旦標的に接近したゴルゴ13が、相手を仕留め切れずに逆襲されて逃げるなど、らしくない一面を見せるシーンがある。
**<!--NOR: この作品のゴルゴ13は、連載初期の“人間味”がある頃の彼を髣髴とさせる。-->性表現(ソニアが全裸になるなど)や残酷な描写(ベニングが目を潰されるなど)がある。ソニアの描写はブラック・ジャックのカルテ3に登場するマリア・カルネラから引き継がれたものである。ゴルゴ以外のキャストは[[中尾隆聖]](トーマス・ウォルサム)、[[勝生真沙子]](ソニア)、[[有本欽隆]](ロバート・ハーディ)、[[内田直哉]](ベニング)、[[大塚明夫]](情報屋)、[[上田敏也]](ロッチーニ)、富田耕生(ゴードン)、[[荒川太朗]](アントニオ)、[[菊地祥子]](アンリ)、[[中村大樹]](バーナード)、[[麦人]](ゴメス将軍)、[[梅津秀行]](バーテン)など。
=== スタッフ(OVA) ===
* 製作:吉村仁、長澤之
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=== 1971年版 ===
{{節スタブ}}
[[1971年]][[4月]]から[[7月]]まで[[TBSテレビ|TBS]]の[[平日]]23:30 - 23:40で放送。初のテレビアニメ化だが、セルアニメではなく、劇画の静止画に登場人物の声や効果音などを吹き込んだ、いわゆる「スチールアニメ」([[画ニメ]])となっている(初のテレビ化された時の『[[サザエさん]]』がこの例)。また女性役には、当時人気がった女優や歌手を起用した。しかし、後年のアニメ特集やアニメ雑誌などで取り上げられることはほぼい。
==== 声の出演 ====
*[[新田昌玄]]
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== 外部リンク ==
 
*[http://g13-mb.jp/ ゴルゴ13★モバイル]
*[http://www.saito-pro.co.jp/ さいとう・プロダクション]
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*[http://comiclist.jp/index.php?p=td&mode=ss&hcd=160&scd=400&tcd=1002692&tscd=105&tag=%E4%BB%BB%E5%8B%99&andor=and&maxline=30&pgn=1 流通のサイト。SPコミックスポケットエディションの発刊リスト]
<!--WP:EL * [http://golgo.jword.jp/ デキる男の超A級検索ツール!ゴルゴサーチ - 検索ワードはこの男に聞け!]-->
 
{{ゴルゴ13}}
{{ビッグコミック連載中}}
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{{DEFAULTSORT:こるこさあていいん}}
[[Category:ゴルゴ13|*]]
[[Category:さいとう・たかを]]
[[Category:漫画作品 こ|るこさあていいん]]
[[Category:ビッグコミックの漫画作品]]
[[Category:暗殺者を主人公とした漫画作品]]
[[Category:世界各地を舞台とした作品]]
[[Category:ガンアクション|こるこ]]
[[Category:ハードボイルド|こるこ]]
[[Category:日本のアニメ映画]]
[[Category:1983年のアニメ映画]]
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[[Category:R指定のアニメ]]
[[Category:暗殺者を主人公としたアニメ作品]]
[[Category:さいとう・たかを]]
[[Category:継続中の作品]]