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{{Wikinews|FIFA会長選 2人が相次いで立候補取り下げ|date=2015年5月24日}}
{{wikinews|副会長を含むFIFA幹部らを汚職の疑いで逮捕|date=2015年5月27日}}
'''2015年FIFA汚職事件'''(2015ねんFIFAおしょくじけん)は、[[2015年]][[5月27日]]に汚職の容疑で[[スイス]]の[[司法当局]]がFIFA([[国際サッカー連盟]])の幹部を逮捕した事件<ref>{{Cite news |title= スイス当局、汚職疑いでFIFA幹部ら逮捕 米紙報道|newspaper= 日本経済新聞|date= 2015-05-27|author= |url= http://www.nikkei.com/article/DGXLAS0040015_X20C15A5000000/|accessdate=2015-05-28}}</ref>。
 
== 概要 ==
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今回逮捕された容疑者はアルゼンチンやコスタリカ、それにベネズエラなどといった中南米の出身者が多いのが特徴<ref name="nikkei_20150528">{{Cite news |title= FIFA副会長ら引き渡し要請 米司法省 スイス当局に|newspaper= 日本経済新聞|date= 2015-05-28|author= ニューヨーク=高橋里奈、ウィーン=原克彦|url= http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM28H16_Y5A520C1MM0000/|accessdate=2015-05-28}}</ref><ref name="mainichi_20150603"/>で、南米サッカー連盟か北中米カリブ海サッカー連盟の幹部ということになる<ref name="mainichi_20150603"/>。FIFAの倫理委員会では、アメリカの司法当局に起訴されたFIFA関係者9人を含む、合わせて11人に対して、暫定的な活動停止処分を下した<ref name="sponichi_20150527">{{Cite news |title= FIFA ブラッター会長が声明「捜査は不正撲滅を加速させる」|newspaper= スポーツニッポン|date= 2015-05-28|author= |url= http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2015/05/28/kiji/K20150528010432990.html|accessdate=2015-05-28}}</ref>。さらに、FIFAの倫理委員会は6月1日付をもって、北中米カリブ海連盟のサンス事務局長を汚職事件に関してのことで暫定的に活動停止とした<ref>{{Cite news |title= 【FIFA汚職】北中米カリブ海連盟の事務局長が暫定活動停止に|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-06-02|author= |url= http://www.sankei.com/sports/news/150602/spo1506020007-n1.html|accessdate=2015-06-02}}</ref>。
 
さらにアメリカの司法当局は、起訴状の中で、14人のFIFA副会長らのいわば「共犯者」として、25人が不正に関わった容疑があることを指摘していて、この具体的な不正の内容としては、副会長らと一緒にスポーツの関連企業に対し、多額の賄賂を要求したり、あるいは、資金の提供に同意したりといった疑いがあるとしている<ref name="NHK_20150530_3">{{Cite news |title= FIFA巡る事件 さらに25人が不正に関与か|newspaper= NHK|date= 2015-05-30|author= |url= https://web.archive.org/save/http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150530/k10010097141000.html|accessdate=2015-05-30}}</ref>。この25人については、南米サッカー連盟や北中米カリブ海サッカー連盟、それに、アジアサッカー連盟の幹部だと記載されている<ref name="NHK_20150530_3"/>。アメリカの内国歳入庁の犯罪捜査担当者も2015年5月30日に、今回の事件での容疑者の人数が増える可能性を示唆している<ref>{{Cite news |title= 起訴拡大を示唆=FIFA汚職事件で捜査官-米紙報道|newspaper= 時事通信|date= 2015-05-30|author= |url= http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2015053000336|accessdate=2015-05-30}}</ref>。
 
2015年5月29日に、ニューヨークのブルックリン連邦地裁で、アメリカ連邦地検が起訴した14人の中の1人で、アメリカ南部のマイアミに拠点を置いている「トラフィック・スポーツUSA」の44歳の幹部が出廷し、この幹部は無罪を主張した<ref name="sponichi_20150530">{{Cite news |title= FIFA汚職、無罪主張 贈賄の米代理店幹部|newspaper= スポーツニッポン|date= 2015-05-30|author= |url= http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2015/05/30/kiji/K20150530010444600.html|accessdate=2015-05-30}}</ref><ref name="sankei_20150530">{{Cite news |title= 【FIFA汚職】米スポーツ関連代理店幹部は無罪主張 ウェブ副会長への贈賄共謀罪 訴追14人最初の出廷者|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-05-30|author= ニューヨーク=黒沢潤|url= http://www.sankei.com/world/news/150530/wor1505300015-n1.html|accessdate=2015-05-30}}</ref>。
 
2015年6月1日、南米サッカー連盟のメイズネル事務局長はアルゼンチンのラジオ番組のインタビューの中で、2016年にアメリカで開催されることになっているサッカーの「コパ・アメリカ」特別大会が、今回の事件の余波によって中止に追い込まれる可能性について語り、「現段階では開催に大きな疑問符がつく。当初の計画通りに事が進むとは誰も言えない」とした<ref name="mainichi_20150603">{{Cite news |title= FIFA:被告大半は中南米出身 南米選手権に黄信号も|newspaper= 毎日新聞|date= 2015-06-03|author= サンパウロ朴鐘珠|url= http://mainichi.jp/sports/news/20150604k0000m050022000c.html|accessdate=2015-06-03}}</ref>。
 
2015年6月2日、FIFAの監査・コンプライアンス委員会のドメニコ・スカラ委員長が、FIFA内部を対象にした大きなガバナンス改革を行う考えを発表した<ref name="wsj_20150603">{{Cite news |title= FIFA、大規模なガバナンス改革を実施へ|newspaper= ウォール・ストリート・ジャーナル日本版|date= 2015-06-03|author= |url= http://jp.wsj.com/articles/SB12759595096617873597504581024681897291962|accessdate=2015-06-03}}</ref>。改革の対象は実行委員会の仕組みと構成に加え、実行委員の選挙プロセスなど、あらゆるもの対象になるが、検討されている改革案によれば、実行委員の任期を制限したりFIFAの上層部がもらっている報酬の金額を公開したり、FIFAによる全ての実行委員に対しての資質検査が含まれている<ref name="wsj_20150603"/>。これについては、2015年6月4日に、FIFAのブラッター会長が監査・法令順守委員会のスカラ委員長と会談を行って、FIFAの構造改革に着手したと発表、その上で、ブラッター会長は「活動の枠組みに関して建設的な議論ができ、助言や指導も得られてうれしく思う。FIFA理事会で、包括的な改革計画が承認されるよう注視したい」という趣旨のコメントをした<ref>{{Cite news |title= FIFAの構造改革に着手=ブラッター会長が声明|newspaper= 時事通信|date= 2015-06-05|author= |url= http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2015060500283|accessdate=2015-06-05}}</ref>。
 
国際刑事警察機構(ICPO)は、2015年6月3日付で、FIFAの[[ジャック・ワーナー (政治家)|ジャック・ワーナー]]元副会長とニコラス・レオス元理事、それに、アルゼンチンにあるスポーツ代理店の幹部3人と、ブラジルにある放送関連の業者1人の4人の重役に対し、いわゆる赤手配書と呼ばれる国際逮捕手配書を発行<ref>{{Cite news |title= インターポール、FIFA元副会長らを国際手配|newspaper= AFPBB News|date= 2015-06-03|author= |url= http://www.afpbb.com/articles/-/3050712|accessdate=2015-06-03}}</ref><ref>{{Cite news |title= FIFA元幹部ら国際手配 ICPO、米国の要請で |newspaper= スポーツニッポン|date= 2015-06-03|author= |url= http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2015/06/03/kiji/K20150603010471710.html|accessdate=2015-06-03}}</ref>。
 
2015年6月3日に公表された連邦裁判所の文書ではFIFAについて「恐喝が横行する腐敗した組織」と称されている<ref name="afp_20150604"/>。一方、現在、FIFAを監査する役割を担っている会計事務所は1999年に業務を引き受けたが、この会計事務所の監査についてはこのFIFAの体質を、厳格に監視していなく、アメリカのニューヨーク・タイムズが「戸惑うばかりの非整合性」と批判している<ref name="sankei_20150606_2"/>。
 
2015年6月5日までにFIFAでは弁護人として、アメリカ・ニューヨークの元検察官で、ブッシュ政権のころには、ホワイトハウスの法律顧問も務めたこともあるウィリアム・バークを新たに雇用した<ref name="sankei_20150606_2">{{Cite news |title= 【FIFA汚職】FIFAが辣腕弁護人雇用、元検察官のウィリアム・バーク氏 監査の会計事務所に疑問の声も|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-06-06|author= ニューヨーク=黒沢潤|url= http://www.sankei.com/world/news/150606/wor1506060048-n1.html|accessdate=2015-06-07}}</ref>。
 
2015年6月9日、イタリア警察当局は、今回の事件で国際刑事警察機構(ICPO)から国際手配をしていたアルゼンチン人でスポーツマーケティング会社の幹部のアレハンドロ・ブルサコ容疑者がイタリア北部のボルツァーノにて警察に出頭してきたと明らかにした<ref>{{Cite news |title= FIFA汚職で容疑者出頭=ICPOが国際手配-伊|newspaper= 時事通信|date= 2015-06-9|author= |url= http://www.jiji.com/jc/zc?k=201506/2015060900941&g=spo|accessdate=2015-06-10}}</ref><ref>{{Cite news |title= FIFA汚職容疑者が出頭 スポーツ関連代理店幹部|newspaper= 朝日新聞|date= 2015-06-09|author= |url= http://www.asahi.com/articles/GCO2015060901002361.html|accessdate=2015-06-10}}</ref>。アメリカ司法当局の起訴資料によると、ブルサコは、地域大会に絡んで、契約の見返りとして、南米サッカー連盟幹部に対して、賄賂を渡すことで合意した容疑に問われている<ref>{{Cite news |title= FIFA汚職 国際手配のアルゼンチン企業トップが出頭|newspaper= テレビ朝日|date= 2015-06-10|author= |url= http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000052280.html|accessdate=2015-06-10}}</ref>。
 
2015年6月11日付で、FIFAのワルター・デグレゴリオ広報部長が辞任することが明らかにされた<ref name="sankei_20150611">{{Cite news |title= 【FIFA汚職】FIFA広報部長が辞任 冗談が原因で解任と英報道|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-06-11|author= |url= http://www.sankei.com/sports/news/150611/spo1506110065-n1.html|accessdate=2015-06-15}}</ref>。英デーリー・テレグラフ紙の電子版などの複数のメディアの報道では、デグレゴリオ部長がスイスのテレビ番組の中で「FIFAの会長、事務局長、広報部長が乗っている車を運転しているのは」との質問に対して、「警察だ」と冗談で質問に返したことによって解任されたというが<ref name="sankei_20150611"/>、FIFAのブラッター会長に最も近い関係者は、FIFAの内部で全面的な改革を主張し、その上で、ブラッター会長の即時辞任を求めたためとされている<ref name="sankei_20150614"/>。
 
アメリカの連邦地裁は、捜査当局の協力者であるFIFAのブレーザー元理事と、司法取引を行った検察当局に対し、取引内容の開示を命令し、2015年6月15日まで、開示に応じるのか、あるいは命令に異議をして上訴するかどうかを決定するという猶予を与える措置をとった<ref name="sankei_20150612_2">{{Cite news |title= 【FIFA汚職】会長選は7・20 利権構造にメス入るか? EUは暫定会長選出を要求 南米は「治外法権」を剥奪|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-06-12|author= ベルリン=宮下日出男|url= http://www.sankei.com/sports/news/150612/spo1506120054-n1.html|accessdate=2015-06-13}}</ref>が、2015年6月15日、アメリカの捜査当局の協力者のFIFAのブレーザー元理事と検察当局との司法取引の内容が明らかにされ、それによれば、ブレーザー元理事が少なくとも2011年から覆面捜査というのに協力していたという<ref name="sanapo_20150616">{{Cite news |title= FIFAブレーザー元理事、11年から覆面捜査協力 見返りに減刑が保証|newspaper= サンケイスポーツ|date= 2015-06-16|author= |url= http://www.sanspo.com/soccer/news/20150616/sci15061611110001-n1.html|accessdate=2015-06-16}}</ref>。なお、今回は報道機関の要請に対して、アメリカの連邦地裁が応じたもので、ブレーザー元理事は、今後、見返りとして刑期が計算上で最大100年から大幅に減らされることになった<ref name="sanapo_20150616"/>。
 
2015年6月17日に会見を行ったスイスのラウバー検事総長は、今回の事件の捜査は「極めて複雑で実に膨大」と話していて<ref name="nikkei_20150618"/>、今回の事件の捜査が長期化する可能性を示唆している<ref name="sanspo_20150618">{{Cite news |title= W杯招致で資金洗浄53件か…FIFA汚職捜査が長期化する可能性|newspaper= サンケイスポーツ|date= 2015-06-18|author= |url= http://www.sanspo.com/soccer/news/20150618/sci15061805010001-n1.html|accessdate=2015-06-18}}</ref><ref name="mainichi_20150617">{{Cite news |title= FIFA汚職:W杯招致活動で資金洗浄53件か|newspaper= 毎日新聞|date= 2015-06-17|author= |url= http://mainichi.jp/sports/news/20150618k0000m050070000c.html|accessdate=2015-06-18}}</ref>。
 
2015年7月2日、スイス司法当局は、アメリカの要請に基づいて逮捕した当時のFIFA副会長を含む7人を、正式にスイス側に対して、アメリカが「身柄の引き渡しを要請した」と発表し、今後は、7人の事情聴取などを経て、アメリカに対して身柄を引き渡すかの是非を数週間以内に判断することにしている<ref>{{Cite news |title= 【FIFA汚職】米、スイスに7人の身柄引き渡し要請|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-07-02|author= |url= http://www.sankei.com/world/news/150702/wor1507020038-n1.html|accessdate=2015-07-03}}</ref>。
 
2015年7月9日、FIFAの倫理委員会は、北中米カリブ海サッカー連盟で事務局長だったブレーザーFIFA元理事に対して、「ブレーザー元理事がサッカー界での地位を利用して贈収賄や不正に深く関わった」と認めて、永久活動停止処分にすると発表した<ref>{{Cite news |title= FIFA倫理委、元理事を永久活動停止に 不正を認定|newspaper= 日本経済新聞|date= 2015-07-09|author= |url= http://www.nikkei.com/article/DGXLSSXK40810_Z00C15A7000000/|accessdate=2015-07-10}}</ref>。
 
2015年7月10日、スイス司法当局は、アメリカの要請に基づいて逮捕した7人のうち、1人が名前を公表しない形で、「アメリカへの身柄引き渡しに応じた」と明らかにした<ref name="sankei_20150711"/>。ロイター通信の報道によれば、その1人は、ジェフリー・ウェブ副会長だという<ref>{{Cite news |title= ウェブ副会長が身柄移送に同意=FIFA汚職、米で追及へ|newspaper= 時事通信|date= 2015-07-11|author= |url= http://www.jiji.com/jc/zc?k=201507/2015071100102&g=spo|accessdate=2015-07-11}}</ref>。7月15日に7人のうちの1人をアメリカに移送したとスイスの司法当局が発表した<ref>{{Cite news |title= |newspaper= スポーツニッポン|date= 2015-07-16|author= |url= http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2015/07/16/kiji/K20150716010750190.html|accessdate=2015-07-17}}</ref>。そして、2015年7月17日に、アメリカのニューヨーク・ブルックリン連邦地検が、汚職の罪で起訴したFIFAのジェフリー・ウェブ元副会長がアメリカに到着した事を明らかにした<ref>{{Cite news |title= 【FIFA汚職】ウェブ元副会長、米到着 汚職罪でスイス司法当局が引き渡し|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-07-18|author= |url= http://www.sankei.com/world/news/150718/wor1507180034-n1.html|accessdate=2015-07-18}}</ref>。この時点で、残る6人は、依然としてアメリカへの身柄引き渡しを拒否している<ref name="sankei_20150711">{{Cite news |title= 【FIFA汚職】スイス当局、逮捕の1人、米移送へ|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-07-11|author= |url= http://www.sankei.com/world/news/150711/wor1507110004-n1.html|accessdate=2015-07-11}}</ref>。
 
2015年7月15日に、アメリカ議会上院の商業科学運輸委員会の小委員会が、「世界のサッカー界の組織の在り方」を検証し、それと共に、アメリカの役割を議論することを目的に、初めての公聴会を行い、議会側がアメリカサッカー連盟が中心となり、FIFAの不正を追及するよう求めた<ref>{{Cite news |title= 米議会上院 FIFAの不正追及求める|newspaper= NHK|date= 2015-07-16|author= |url= http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150716/k10010152591000.html|accessdate=2015-07-16}}</ref>。
 
2015年7月18日にFIFAのジェフリー・ウェブ元副会長がアメリカ・ニューヨークのブルックリン連邦地裁に出廷して、その場で無罪を主張<ref name="sponichi_20150719">{{Cite news |title= 元副会長が無罪主張 FIFA汚職、米地裁に出廷|newspaper= スポーツニッポン|date= 2015-07-19|author= |url= http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2015/07/19/kiji/K20150719010765170.html|accessdate=2015-07-19}}</ref>。また、ジェフリー・ウェブ元副会長は1000万ドルの保釈金を納めて、釈放されると同時に、ブルックリン連邦地裁から32キロ以内に行動を制限されると共に、居場所を確認する為の器具の装着も義務付けられ、また、持っていたイギリスやケイマン諸島のパスポートも没収されている<ref name="sponichi_20150719"/>。
 
{{wikinews|FIFA汚職事件 スイスとアメリカの検察トップが捜査過程を明らかに}}
2015年9月14日に、スイスのラウバー検事総長とアメリカのリンチ司法長官が、チューリヒで記者会見を開き、この場で、事件の全容を明らかにするために捜査の対象を広げていることを明らかにした<ref name="nikkei_20150915">{{Cite news |title=FIFA事件で米が捜査拡大|newspaper=日本経済新聞|date=2015-09-15|author=ウィーン=原克彦|url=http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM14HCP_U5A910C1FF8000/|accessdate=2015-10-04}}</ref>。また、ラウバー氏は捜査の過程において、事件に関連しているアルプス山脈にある不動産を差し押さえたとしたうえで、金融機関から報告を受けた資金洗浄の疑いがある口座が120件以上になったとこの会見で報告した<ref name="nikkei_20150915"/>。
 
{{wikinews|FIFA会長の側近 チケット不正取引の疑いで無期限の活動停止処分}}
{{wikinews|FIFA汚職事件 ついにFIFAがバルク氏の電子メールを検察当局に開示}}
2015年9月17日、FIFAは、ブラッター会長の側近であるバルク事務局長を、2014 FIFAワールドカップのチケットの一部を水増しした価格で横流しをしていた疑いが浮上したので、9月17日付で無期限の停職処分にした<ref>{{Cite news |title=FIFA、事務局長を停職処分 チケット不正取引の疑い|newspaper=日本経済新聞|date=2015-09-18|author=ジュネーブ=原克彦|url=http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK18H16_Y5A910C1000000/|accessdate=2015-10-04}}</ref>。その後、FIFAはバルク事務局長による2015年5月以降のメールをスイスの司法当局に対し、開示した<ref>{{Cite news |title=FIFAがスイス当局にバルク氏の電子メール開示|newspaper=サンケイスポーツ|date=2015-09-25|author=共同通信|url=http://www.sanspo.com/soccer/news/20150925/sci15092509590002-n1.html|accessdate=2015-10-04}}</ref>。
 
{{wikinews|FIFA汚職事件 2人がアメリカへの身柄引き渡しを認める}}
2015年9月17日に、スイス司法当局は、エウヘニオ・フィゲレドFIFA前副会長がアメリカへの移送を認めたと発表<ref>{{Cite news |title=【FIFA汚職】フィゲレド前副会長を米移送へ スイス当局、ウルグアイの会社から賄賂数百万ドル|newspaper=産経新聞社|date=2015-09-18|author=|url=http://www.sankei.com/sports/news/150918/spo1509180002-n1.html|accessdate=2015-10-06}}</ref>、さらに、スイス司法当局は2015年9月23日には、当時のベネズエラサッカー協会会長だったラファエル・エスキベルがアメリカへの移送を認めたと発表した<ref>{{Cite news |title=【FIFA汚職】エスキベル氏を米移送へ スイス当局|newspaper=産経新聞社|date=2015-09-23|author=|url=http://www.sankei.com/sports/news/150923/spo1509230042-n1.html|accessdate=2015-10-06}}</ref>。
 
{{wikinews|FIFAのスポンサーがブラッター会長に辞任要求}}
2015年10月2日、FIFAの最上位スポンサーにあたる「FIFAパートナー」である[[コカ・コーラ]]、[[ビザ]]、[[マクドナルド]]、[[アンハイザー・ブッシュ・インベブ]]が一斉に、FIFAのゼップ・ブラッター会長の即時の辞任を求めたが、ブラッター会長の弁護士は声明で「辞任はFIFAの利益にも、改革を進めることにもつながらない。彼は辞任しない」と辞任を拒否している<ref>{{Cite news |title=FIFA汚職:会長に辞任要求 複数の主要スポンサー|newspaper=毎日新聞社|date=2015-10-03|author=共同通信|url=http://mainichi.jp/sports/news/20151003k0000e050149000c.html|accessdate=2015-10-04}}</ref>。
 
2015年10月9日、スイス司法当局は2018年・2022年のFIFAワールドカップのマーケティングの権利の販売に絡んで、数百万ドルの賄賂をもらった疑いが持たれている、北中米カリブ海連盟会長担当官だったコスタス・タカスのアメリカの移送を認めたと発表<ref>{{Cite news |title=【FIFA汚職】タカス氏をスイス当局が米移送へ W杯販売権で収賄容疑|newspaper=産経新聞社|date=2015-10-09|author=|url=http://www.sankei.com/sports/news/151009/spo1510090059-n1.html|accessdate=2015-10-10}}</ref>。
 
2015年10月15日、スイス司法当局は、[[2018 FIFAワールドカップ]]の予選におけるマーケティングの権利の販売に関して、15万ドル(日本円でおよそ1780万円)相当の賄賂を受取したとされている、ニカラグアサッカー協会会長を務めていたフリオ・ロチャのアメリカへの移送を認めたと発表<ref>{{Cite news |title=FIFA汚職でスイス ロチャ氏を米移送へ|newspaper=スポーツニッポン|date=2015-10-16|author=|url=http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2015/10/15/kiji/K20151015011329050.html|accessdate=2015-10-16}}</ref>。
 
2015年10月21日、FIFAの倫理委員会は、かつてのFIFAの理事で、当時のサッカー西ドイツ代表の選手のベッケンバウアーと、スペインサッカー協会のビリャルリョナ副会長の2人が調査の対象になっていると発表した<ref name="sankei_20151022">{{Cite news |title=【FIFA汚職】ベッケンバウアー氏も対象 FIFA倫理委の調査|newspaper=産経新聞社|date=2015-10-22|author=|url=http://www.sankei.com/sports/news/151022/spo1510220001-n1.html|accessdate=2015-10-22}}</ref>。
 
2015年10月28日、スイスの司法当局は、当初、アメリカへの身柄引き渡しに反対していた[[ブラジルサッカー連盟]]のジョゼ・マリア・マリン前会長が、アメリカへの身柄引き渡しに同意したと発表した<ref name="TBS_20151029">{{Cite news |title=ブラジルサッカー連盟前会長、米への身柄引き渡しに同意|newspaper=TBS|date=2015-10-29|author=|url=http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2623431.html|accessdate=2015-10-29}}</ref>。スイスからアメリカに対して、身柄の引き渡しは逮捕された7人のうち、これが2人目である<ref name="TBS_20151029"/>。その後、2015年11月3日にジョゼ・マリン氏をアメリカに移送したとスイス司法警察省が発表<ref>{{Cite news |title= 逮捕のマリン氏、米国に移送…FIFA不正資金|newspaper= 読売新聞社|date= 2015-11-04|author= ジュネーブ=石黒穣|url= http://www.yomiuri.co.jp/sports/soccer/foreign/20151104-OYT1T50050.html|accessdate=2015-11-04}}</ref>。すぐさまニューヨーク連邦地方裁判所に現れ、行われた裁判の中でマリン氏は無罪を主張<ref>{{Cite news |title= ブラジル連盟元会長が無罪主張=FIFA汚職|newspaper= 時事通信社|date= 2015-11-04|author= |url=http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2015110400438|accessdate=2015-11-04}}</ref>。
 
2015年12月3日、スイス当局は、アメリカ司法省の要請で、南米選手権やFIFAワールドカップ予選の利権に絡んで数百万ドル(日本円で数億円)の賄賂を受け取った疑いで、いずれもFIFA副会長の[[南米サッカー連盟]]会長のフアンアンヘル・ナポウト、[[北中米カリブ海サッカー連盟]]会長のアルフレド・アウィトの2人を逮捕<ref>{{Cite news |title= FIFA副会長2人逮捕 利権がらみで数億円の賄賂受け取りか|newspaper= スポーツニッポン|date= 2015-12-04|author= |url= http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2015/12/04/kiji/K20151204011621040.html|accessdate=2015-12-04}}</ref>。2015年12月4日付けをもって、FIFAの倫理委員会は、この2人の副会長を、90日間の暫定的な活動停止処分にすると発表<ref>{{Cite news |title= FIFA、副会長2人に活動停止処分 収賄容疑で逮捕|newspaper= 朝日新聞|date= 2015-12-05|author= |url= http://www.asahi.com/articles/ASHD50BG1HD4KTQ201T.html|accessdate=2015-12-05}}</ref>。また、アメリカ司法省は、スイス当局が逮捕したFIFAの副会長2人を含む、FIFA関係者ら16人を収賄などの罪で新たに起訴したと発表<ref>{{Cite news |title= FIFA副会長ら新たに16人起訴|newspaper= 日刊スポーツ|date= 2015-12-04|author= |url= http://www.nikkansports.com/soccer/world/news/1574815.html|accessdate=2015-12-04}}</ref>。2015年12月4日、ペルー警察は、リマにおいて、アメリカ司法省が組織的な不正の罪で訴追した16人に含まれている、ペルーサッカー連盟のマヌエル・ブルガ元会長を逮捕した<ref>{{Cite news |title= ペルー元会長を逮捕=FIFA汚職事件|newspaper= 時事通信|date= 2015-12-06|author= |url= http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2015120600013|accessdate=2015-12-06}}</ref>。今回逮捕、起訴された16人はいずれも中南米のFIFAの幹部だった<ref name="mainichi_20151205">{{Cite news |title= クローズアップ2015:FIFA汚職16人起訴 疑惑、底なしの様相 信頼回復議論のさなか|newspaper= 毎日新聞|date= 2015-12-05|author= 田中義郎、鈴木英世|url= http://mainichi.jp/shimen/news/20151205ddm003050091000c.html|accessdate=2015-12-06}}</ref>。
 
これによって、2015年5月に、贈収賄の疑いで逮捕されたFIFA関係者や業者、14人と合わせると、30人が起訴されたこととなる<ref name="mainichi_20151205"/>。また、起訴事実は2015年5月の47件と合わせると92件に上り、マーケティング会社からFIFA関係者に渡された賄賂やキックバックは1991年からこれまで2億ドル(日本円でおよそ245億円)を超えるとされる<ref name="mainichi_20151205"/>。
 
2015年12月3日、アメリカ司法省は、この5月に起訴されたジェフリー・ウェブFIFA元副会長やスポーツに関連した企業の幹部など合わせて8人が、起訴事実を認め、その上で、合わせておよそ50億円分にも上る資産の没収に同意したことを明らかにした<ref>{{Cite news |title= FIFA元副会長ら8人 起訴事実認める|newspaper= NHK|date= 2015-12-04|author= |url= http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151204/k10010329681000.html|accessdate=2015-12-04}}</ref>。
 
2015年12月8日、スイス司法当局に逮捕され、アメリカ司法省が収賄の罪で起訴した南米サッカー連盟会長でFIFA副会長のフアンアンヘル・ナポウトがアメリカへの移送に同意したことをスイスの司法当局が発表<ref>{{Cite news |title= FIFA汚職 ナポウト副会長 収賄起訴の米国移送に同意|newspaper= 毎日新聞|date= 2015-12-09|author= ニューヨーク田中義郎|url= http://mainichi.jp/articles/20151209/k00/00e/050/165000c|accessdate=2015-12-09}}</ref>。2015年12月12日、イギリスBBCの電子版は、アメリカ司法省に起訴されたFIFA副会長のフアンアンヘル・ナポウトが南米サッカー連盟の会長の職を辞任したと伝えた<ref>{{Cite news |title= 南米連盟会長が辞任 FIFA汚職事件で起訴|newspaper= サンケイスポーツ|date= 2015-12-12|author= |url= http://www.sanspo.com/soccer/news/20151212/sci15121219130006-n1.html|accessdate=2015-12-12}}</ref>。
 
2015年12月17日、スイスの地元紙「ターゲス・アンツァイガー」はスイス司法当局が事件に関連した疑いの、スイス国内のおよそ50の銀行口座を凍結していたことを報じた<ref name="asahi_20151217">{{Cite news |title= FIFA汚職で50口座凍結、60~120億円 スイス|newspaper= 朝日新聞|date= 2015-12-17|author= ジュネーブ=松尾一郎|url= http://www.asahi.com/articles/ASHDK6GK4HDKUHBI02T.html|accessdate=2015-12-18}}</ref>。凍結されている口座の金額など詳細が明らかになるのはこれが初めて<ref name="asahi_20151217"/>。あるスイス司法当局の報道官は、朝日新聞に対して、「FIFAに関連し、5千万スイスフラン(約60億円)から1億スイスフラン(約120億円)が凍結されたと、同紙(ターゲス・アンツァイガー)の取材に対して答えた」と述べた<ref name="asahi_20151217"/>。また、この報道官は、ロイター通信の報道によれば、「米当局が、腐敗に絡んだ資金の送金に使われたとみられる、複数の銀行の50の口座の資料を求めてきた」ことについても明らかにしている<ref name="asahi_20151217"/>。
 
2015年12月29日、この5月にスイスで逮捕されたFIFAのエウヘニオ・フィゲレド前副会長が、複数のスポーツマーケティング会社から毎月5万ドル(日本円でおよそ600万円)の賄賂を受け取った上で、ウルグアイにおいて、不動産に投資していたことが、起訴状の中で分かった<ref name="asahi_20151231">{{Cite news |title= FIFA前副会長、賄賂毎月5万ドル受領 不動産に投資|newspaper= 朝日新聞|date= 2015-12-31|author= |url= http://www.asahi.com/articles/ASHDZ3V5QHDZKTQ200B.html|accessdate=2015-12-31}}</ref>。検察によれば、エウヘニオ・フィゲレド前副会長は、南米サッカー連盟会長時代に月給4万ドル(日本円でおよそ480万円)を得ていて、一方で、南米のさまざまなサッカー大会の放映権を保証する見返りとして、賄賂を受け取ったという<ref name="asahi_20151231"/>。さらに、エウヘニオ・フィゲレド前副会長は、サッカーのテレビ放映権の見返りに、アルゼンチンの会社から40万ドル(日本円でおよそ4800万円)以上の賄賂を受け取ったことを認めたほか、南米の10のサッカー協会の会長も同様の金銭を得ているという主旨の供述をしている<ref name="asahi_20151231"/>。
 
2015年12月30日、スイス司法当局はFIFAの幹部の汚職疑惑を解明するために集めた証拠資料として、アメリカや南米のサッカー大会のマーケティング権をめぐる賄賂の受け渡しに使われた疑いのスイスにある銀行口座についての情報(10の銀行のおよそ50口座に関する書類)をアメリカ司法省に提供したと発表<ref name="mainiti_20151231">{{Cite news |title= FIFA汚職 スイス当局、口座情報を米に提供|newspaper= 毎日新聞|date= 2015-12-31|author= |url= http://mainichi.jp/articles/20151231/ddm/041/050/057000c|accessdate=2015-12-31}}</ref>。また、同時にアメリカ当局の要請で、13の口座の資産(およそ8000万ドル(およそ96億8000万円))を凍結したことも明らかにしている<ref name="mainiti_20151231"/>。
 
2016年1月6日をもって、FIFA倫理委員会の裁定部門は、2015年10月にFIFAバルク事務局長に対し、90日間の暫定活動停止処分の期間を、さらに、45日間延長すると発表<ref>{{Cite news |title= FIFA倫理委 バルク事務局長の活動停止を延長|newspaper= スポーツニッポン|date= 2016-01-07|author= |url= http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2016/01/07/kiji/K20160107011814370.html|accessdate=2016-02-14}}</ref>。そして、2016年1月13日、FIFAは、ジェローム・バルク事務局長を解任したことを発表<ref>{{Cite news |title= サッカー=FIFA、不正疑惑のバルク事務局長を解任|newspaper= ロイター|date= 2016-01-14|author= |url= http://jp.reuters.com/article/socc-fifa-valcke-idJPKCN0US06A20160114|accessdate=2016-02-14}}</ref>。
 
2016年2月1日、FIFAは汚職に関与した[[北中米カリブ海サッカー連盟]]と[[南米サッカー連盟]]に対してのFIFAによる財政での支援を停止する措置を取った<ref>{{Cite news |title= 【FIFA汚職】FIFA、疑惑2連盟への財政支援停止|newspaper= 産経新聞社|date= 2016-02-02|author= |url= http://www.sankei.com/sports/news/160202/spo1602020018-n1.html|accessdate=2016-02-02}}</ref>。
 
{{wikinews|FIFA倫理委員会 FIFA元事務局長に12年の活動停止処分}}
2016年2月12日に、FIFA倫理委員会は、ジェローム・バルク前事務局長に12年間の活動禁止の処分を下した<ref>{{Cite news |title= FIFA、バルク前事務局長に12年の活動停止処分|newspaper= AFPBB News|date= 2016-02-13|author= |url= http://www.afpbb.com/articles/-/3076782|accessdate=2016-02-14}}</ref>。
 
2016年2月25日、FIFAの2015年の収支について、今回の汚職事件で信用が低下し、それに、新たなスポンサーの契約もできず、さらに、訴訟の費用の増大が原因で、1億800万ドル(日本円でおよそ122億円)の赤字になる見通しをFIFAの監査・法令順守委員会のパテル委員がロイター通信に明かした<ref>{{Cite news |title= 【FIFA汚職】2015年は約122億円の赤字か 国際サッカー連盟|newspaper= 産経新聞社|date= 2016-02-26|author= |url= http://www.sankei.com/sports/news/160226/spo1602260017-n1.html|accessdate=2016-02-26}}</ref>。
 
2016年3月16日、FIFAは、ワールドカップの開催国を決める投票で、複数の理事が、票を買収して金銭を受け取った汚職行為があったことを初めて明らかにした<ref name="asahi_20160317">{{Cite news |title= 南アW杯招致で買収、FIFA認める 複数理事が票売る|newspaper= 朝日新聞|date= 2016-03-17|author= ミュンヘン〈独〉=河野正樹|url= http://www.asahi.com/articles/ASJ3J7JR2J3JUTQP01M.html|accessdate=2016-03-17}}</ref>。FIFAの試算によれば、当時のFIFAの理事らに渡った金銭の総額は、最低でも数千万米ドル(日本円で数十億円)になるという<ref name="asahi_20160317"/>。なお、買収行為は1998年に行われたフランス大会の招致でも行われていた<ref>{{Cite news |title= W杯南ア大会招致で票の買収、FIFAが明らかに|newspaper= TBS|date= 2016-03-17|author= |url= http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2727320.html|accessdate=2016-03-17}}</ref>。ワールドカップの招致を巡る投票で、FIFAの幹部が票を買収していたことをFIFAが認めたのは初めて<ref name="asahi_20160317"/>。2016年3月16日、FIFAはアメリカで訴追されている39人と2つの企業に対して、巨額の損害賠償を求める訴訟をアメリカの司法当局に起こした<ref name="afp_20160316">{{Cite news |title= FIFA、汚職事件幹部らに賠償請求 南アが「11億円贈賄」と非難|newspaper= AFP|date= 2016-03-16|author= |url= http://www.afpbb.com/articles/-/3080647|accessdate=2016-03-17}}</ref>。また、同時に南アフリカに対して、2010 FIFAワールドカップの誘致に、票を確保するため、1000万ドルの賄賂を支払ったことを非難した<ref name="afp_20160316"/>。その後、2016年3月16日には損害賠償を求める文書を公表し、その中で、過去のFIFAワールドカップの招致で複数の理事による票の買収が行われていたことを初めて記述し、また、2011年に行われたFIFA会長選に立候補したアジア・サッカー連盟会長(当時)のハマムがカリブ海サッカー連合の会合において、それぞれのサッカー協会に4万ドル(およそ450万円)の入った封筒を配ったこともこの文書の中で明らかにしている<ref>{{Cite news |title= FIFA、票の買収あったと文書に初めて盛り込む|newspaper= 日刊スポーツ|date= 2016-03-17|author= |url= http://www.nikkansports.com/soccer/world/news/1617982.html|accessdate=2016-03-18}}</ref>。
 
2016年3月17日、スイスの検察当局は、バルク前事務局長を背任などの疑いで捜査を始めたことを明らかにした<ref name="sponichi_20160318">{{Cite news |title= スイス当局 FIFA汚職で前事務局長の捜査開始|newspaper= スポーツニッポン|date= 2016-03-18|author= |url= http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2016/03/18/kiji/K20160318012235220.html|accessdate=2016-03-18}}</ref>。スイスの検察当局は発表した声明の中で「(3月)17日に事情聴取と家宅捜索を行った」とした上で「(FIFAの)倫理委の調査に関連した2件の告発に基づき捜査を開始した」としている<ref name="sponichi_20160318"/>。
 
== 事件の構造 ==
スイス司法省の発表によれば、多くのスポーツメディアやスポーツPR会社の関係者から、FIFAやその傘下の組織の幹部に対して、贈賄が行われ、その見返りとして、中南米で行われたサッカーの大会に関する放送権や販売権に加え、スポンサー権を獲得したという<ref>{{Cite news |title= FIFA汚職疑惑で幹部ら逮捕、本部に家宅捜索 スイス|newspaper= AFPBB News|date= 2015-05-27|author= |url= http://www.afpbb.com/articles/-/3049990|accessdate=2015-05-28}}</ref>。アメリカの司法当局の説明によれば、この24年間にわたって1億5000万ドル(およそ185億円)を超える贈収賄に関与していたという<ref name="reuters_20150527">{{Cite news |title= FIFA副会長ら14人を汚職で起訴、賄賂総額は185億円超|newspaper= ロイター|date= 2015-05-28|author= |url= http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0YI5RZ20150527|accessdate=2015-05-28}}</ref>。この汚職の疑惑は最低でも24年前から持たれていた<ref>{{Cite news |title= サッカー=FIFA汚職事件、「サッカー界に津波」の予言的中|newspaper= ロイター|date= 2015-05-28|author= |url= http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0OD04520150528|accessdate=2015-05-28}}</ref>。また、アメリカの司法当局の起訴資料によれば、ともに起訴されているFIFAのジャック・ワーナー元副会長とニコラス・レオス元理事が1990年代初めに、業者に賄賂を要求し始めたことを機に、いわゆる「汚職の構造」が確立したという<ref>{{Cite news |title= FIFA捜査、世界規模に 動きだす各国当局|newspaper= 神戸新聞|date= 2015-05-29|author= |url= https://web.archive.org/save/http://www.kobe-np.co.jp/news/zenkoku/compact/201505/0008074102.shtml|accessdate=2015-05-29}}</ref>。
 
=== マネーロンダリング ===
また、今回明らかになった事件は、アメリカのある大手銀行のニューヨーク支店の口座を用いて金銭の授受が行われていた<ref name="mainichi_20150528"/>。さらに、アメリカの司法当局の起訴状によれば、12以上の金融機関が掲載されていて、このうち、デルタ・ナショナル・バンク&トラストは、スポーツマーケティング会社の経営者がFIFAの関係者に数百万ドルを送金する際に利用したと、司法当局では見ている<ref name="reuters_20150528"/>。この時この経営者は、財務アドバイザーや為替ディーラーなどを経由することで資金の流れを分かりにくくしたと見られている<ref name="reuters_20150528"/>。アメリカの司法当局と別に調査を進めているスイス当局は告発状の中で「被告人らは、その活動において米国の金融システムに大きく依存していた」としている<ref name="reuters_20150528">{{Cite news |title= FIFA汚職、金融機関も調査 資金洗浄に関与の疑い=米当局|newspaper= ロイター|date= 2015-05-28|author= |url= http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0YJ1CH20150528|accessdate=2015-05-28}}</ref>。アメリカ・ニューヨーク州東地区の検事代理は記者会見で「金融機関がこれらの贈収賄にからむ資金洗浄(マネーロンダリング)に手を貸していたという事実を、認識していたかどうかも調査している」とした上で「問題行動があったかどうかを判断するのは時期尚早だが、調査の対象になるだろう」と述べている<ref name="reuters_20150528"/>。また、ロイター通信の報道によれば、シティバンクやJPモルガン・チェースなどの金融機関が、一連のFIFAによる汚職事件で2年前に有罪判決を受けているジャック・ワーナー元副会長の2人の息子が積極的に利用していて、ある時期におよそ12万8300ドル(日本円でおよそ1540万円)をバンク・オブ・アメリカ、JPモルガン・チェース、シティバンク、ウェルズ・ファーゴ-の口座に23回に分け入金して、目立たないようにしていた<ref>{{Cite news |title= 【FIFA汚職】米金融機関にも捜査拡大か 資金洗浄への協力、認識の有無が焦点|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-05-29|author= ニューヨーク=黒沢潤|url= http://www.sankei.com/world/news/150529/wor1505290043-n1.html|accessdate=2015-05-30}}</ref>。
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また、2001年にブラジル議会で行われたこの契約に関する審議の議事録では、この契約の場合、ナイキはトラフィック社に対して、報酬を支払うことについては求められないと記してあった<ref name="wsj_20150605"/>。この契約では、スポーツウエア・カンパニーAが10年で1億6000万ドルを支払うことになっていたが、起訴状では、「スポーツウエア・カンパニーA」は、スイスに銀行口座を持つトラフィックの関連会社に対して、4000万ドルの追加報酬を支払うことに合意した」という契約の内容が記してあった<ref name="wsj_20150605"/>。この契約が締結された3日後、「カンパニーA」の代表はトラフィックに対して、「ブラジルサッカー連盟はカンパニーAに直接送り状を送付する権限をトラフィックに与えた」という別の契約を結んだ<ref name="wsj_20150605"/>。
 
ナイキでは、2015年5月28日の時点で、「当局に協力する」を言う声明を出したが<ref>{{Cite news |title= FIFA汚職、米企業にも捜査 ナイキ「当局に協力」|newspaper= 日本経済新聞|date= 2015-05-29|author= ニューヨーク=蔭山道子、平野麻理子|url= http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM29H28_Z20C15A5MM0000/|accessdate=2015-05-30}}</ref>、2015年5月29日に出された声明では「起訴状には当社が犯罪行為に関与したとの主張はない」としている<ref>{{Cite news |title= 米ナイキ「起訴状に当社犯罪関与の主張ない」 FIFA汚職|newspaper= 日本経済新聞|date= 2015-05-30|author= ニューヨーク=蔭山道子|url= http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM30H31_Q5A530C1NNE000/|accessdate=2015-05-30}}</ref>。
 
2015年6月12日付のアメリカのウォール・ストリート・ジャーナルが伝えているところによれば、ブラジルサッカー連盟とナイキとのスポンサー契約の下での支払いで、「不正行為の可能性を示す証拠」が発見されたという事で、アメリカ当局が捜査していることが分かった<ref>{{Cite news |title= ナイキを米当局が捜査、ブラジルサッカー連との契約めぐり=報道|newspaper= ロイター|date= 2015-06-15|author= |url= http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0OV04920150615|accessdate=2015-06-15}}</ref><ref>{{Cite news |title= 米当局、ナイキの支払いを調査 ブラジルとのスポンサー契約めぐり|newspaper= ウォール・ストリート・ジャーナル日本版|date= 2015-06-13|author= |url= http://jp.wsj.com/articles/SB11793851007525823752504581044724275029398|accessdate=2015-06-15}}</ref>。
 
2015年7月17日、ロイター通信は、アメリカの証券取引委員会が、FIFAとスポンサー契約を結んでいるナイキなどについて、賄賂の授受がなかったか調査しているという風に伝えた<ref>{{Cite news |title= 【FIFA汚職】ナイキなど契約企業を調査、米証券取引委|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-07-18|author= |url= http://www.sankei.com/world/news/150718/wor1507180037-n1.html|accessdate=2015-07-18}}</ref><ref name="jiji_20150718">{{Cite news |title= 米当局、スポンサーの不正調査か=FIFA汚職事件-ロイター報道|newspaper= 時事通信|date= 2015-07-18|author= |url= http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2015071800122|accessdate=2015-07-18}}</ref>。これは、「外国政府関係者への賄賂を禁じる」というのを設けた「海外腐敗行為防止法」の違反について調査していると思われる<ref>{{Cite news |title= 米SEC、ナイキなどFIFA汚職で調査 通信社報道|newspaper= 日本経済新聞|date= 2015-07-18|author= ニューヨーク=高橋里奈|url= http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM18H69_Y5A710C1NNE000/|accessdate=2015-07-18}}</ref><ref name="jiji_20150718"/>。
 
=== 2010 FIFAワールドカップ招致活動 ===
105 ⟶ 137行目:
また、2008年にFIFAの銀行口座の中から1000万ドル(日本円でおよそ12億円)が、カリブ海のある国のサッカー協会に3回に分けて送られ、それを、2010年のFIFAワールドカップの開催地誘致を行っていた南アフリカに対しての票を確保するために、賄賂として支払われていた疑いが、アメリカ司法省の起訴状の中で明らかになった<ref name="wsj_20150530">{{Cite news |title= FIFA汚職、最高幹部に波及の可能性 1000万ドルを送金|newspaper= ウォール・ストリート・ジャーナル日本版|date= 2015-05-30|author= |url= http://jp.wsj.com/articles/SB11729237550577364065404581018560240458114|accessdate=2015-05-31}}</ref>。
 
また、FIFAのバルク事務局長がFIFAワールドカップの南アフリカ招致に関連して1000万ドル(およそ12億円)の賄賂をワーナー元副会長側に対して送金をしていたという<ref name="sponichi_20150602">{{Cite news |title= FIFA事務局長が賄賂送金か 会長責任問題に W杯南ア招致絡み|newspaper= スポーツニッポン|date= 2015-06-02|author= |url= http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2015/06/02/kiji/K20150602010463980.html|accessdate=2015-06-02}}</ref><ref name="reuters_20150602">{{Cite news |title= FIFA汚職、ブラッター氏側近が賄賂送金か W杯南ア招致で|newspaper= ロイター|date= 2015-06-02|author= |url= http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0YN5S720150601|accessdate=2015-06-02}}</ref><ref name="jiji_20150602">{{Cite news |title= FIFA事務総長が多額送金=ブラッター会長側近、賄賂認識なし-米紙報道|newspaper= 時事通信|date= 2015-06-02|author= |url= http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2015060200203|accessdate=2015-06-02}}</ref><ref name="sankei_20150602">{{Cite news |title= 【FIFA汚職】事務局長がワーナー元副会長に賄賂送金か 米紙報道|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-06-02|author= ニューヨーク=黒沢潤|url= http://www.sankei.com/world/news/150602/wor1506020008-n1.html|accessdate=2015-06-02}}</ref><ref name="yomiuri_20150602">{{Cite news |title= FIFA会長の側近が送金手続きか…米紙報道|newspaper= 読売新聞|date= 2015-06-02|author= ニューヨーク=水野哲也|url= http://www.yomiuri.co.jp/sports/soccer/foreign/20150602-OYT1T50135.html|accessdate=2015-06-02}}</ref><ref name="asahi_20150602">{{Cite news |title= FIFA汚職、ブラッター会長側近が関与か 米紙報じる|newspaper= 朝日新聞|date= 2015-06-02|author= ワシントン=中井大助|url= http://www.asahi.com/articles/ASH624TWBH62UHBI00X.html|accessdate=2015-06-02}}</ref>。アメリカの検察当局の起訴状によれば、FIFAのバルク事務局長は「高い地位にあるFIFA当局者」とされていて、その人は、2008年に、スイスのFIFAの銀行口座からワーナー元副会長が管理している北中米カリブ海サッカー連盟の名義の口座に対して送金の手続きをしていたという<ref name="sponichi_20150602"/><ref name="reuters_20150602"/><ref name="jiji_20150602"/><ref name="sankei_20150602"/><ref name="yomiuri_20150602"/><ref name="asahi_20150602"/>。ただし、起訴状によれば、バルク事務総長がこの金について、賄賂だとは知っていたということについては指摘されてなく、バルク事務総長を「共犯者」と位置付けを行っていない<ref name="jiji_20150602"/><ref name="sankei_20150602"/><ref name="asahi_20150602"/>。しかし、これによって、巨額の資金がワーナー側に対して、送金されていたことについて、FIFA本部も把握していたということになる<ref name="yomiuri_20150602"/>。また、イギリスのBBCは2015年6月2日に、このバルク事務局長が不正な送金に関わった疑いがあると報じた上で、南アフリカサッカー協会がFIFAに対し、送金を依頼したとされる文書を入手したと伝えた<ref name="nhk_20150603">{{Cite news |title= FIFA会長 “本人に捜査”報道相次ぐ|newspaper= NHK|date= 2015-06-03|author= |url= http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150603/k10010102111000.html|accessdate=2015-06-03}}</ref>。この文書は宛名がバルク事務局長となっていて、中に書かれている金額が起訴状に書かれた内容と一致している<ref name="nhk_20150603"/>。
 
しかし、イギリスのBBC(英国放送協会)が2015年6月7日に報じたところによれば、このジャック・ワーナー元副会長が南アフリカから1000万ドル(日本円でおよそ12億円)の賄賂をどのように受け取ったのかについての詳しく書かれた文書を入手<ref name="sankei_20150607">{{Cite news |title= 【FIFA汚職】ワーナー元副会長、南アから「12億円収賄」の使い道 母国送金で資金洗浄 カード支払いや借金返済も 英BBC報道|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-06-07|author= ロンドン=内藤泰朗|url= http://www.sankei.com/sports/news/150607/spo1506070065-n1.html|accessdate=2015-06-08}}</ref><ref name="mainichi_20150607">{{Cite news |title= FIFA:ワーナー元副会長、12億円使途資料が存在か|newspaper= 毎日新聞|date= 2015-06-07|author= ローマ福島良典|url= http://mainichi.jp/select/news/20150608k0000m040062000c.html|accessdate=2015-06-08}}</ref>。それによれば、2008年1月から3月にかけて、ワーナー氏が管理していた北中米カリブ海サッカー連盟の口座に対して、合わせて1000万ドルが3回に分け、振り込まれ、その名目は、カリブ海の島々に対してのサッカーを振興するのための資金で、南アフリカからFIFAを通じて送金されたとされているが、その1000万ドルの半分近い486万ドルは2008年1月から2009年3月にかけて、ワーナー氏の母国であるトリニダード・トバゴで大手とされるスーパーマーケットのJTAに対して、分割という形で送金され、そのほとんどはワーナー氏に現地の通貨という形で引き出された<ref name="sankei_20150607"/><ref name="mainichi_20150607"/>。アメリカの司法当局によると、スーパーはマネーロンダリングのいわば「隠れみの」として使われていた<ref name="mainichi_20150607"/>。さらに、合わせておよそ160万ドルはワーナー氏個人名義のクレジットカードの支払いに加え、ワーナー氏個人によって借金返済に充てられていた<ref name="sankei_20150607"/>。さらには、36万ドルが関係者にこの口座から引き出されていて<ref>{{Cite news |title= FIFA元副会長、賄賂でローン返済か|newspaper= 日本経済新聞|date= 2015-06-08|author= |url= http://www.nikkei.com/article/DGXLZO87804410Y5A600C1FF8000/|accessdate=2015-06-08}}</ref>、BBCでは、この文書が明らかになったことによって「送金された資金のほとんどがマネーロンダリング(資金洗浄)を経て個人的な目的のために使われた恐れがある」と伝えている<ref name="sankei_20150607"/>。トリニダード・トバゴでサッカー選手の経験がある、サンチョ・スポーツ相はこの文書を見て「資金はサッカー少年育成のために使われるはずだった。彼(ワーナー被告)は自らの行動を説明し、裁きを受けなければならない」と語った<ref name="mainichi_20150607"/>。
 
2015年6月7日付のイギリスの新聞である、デイリー・テレグラフの電子版によれば、FIFAのブラッター会長と南アフリカのムベキ大統領が協議をしていたことについて書かれたメールを入手し、メールにはFIFAのジェローム・バルク事務総長が2007年12月7日付で書いたとされ、南アフリカのある閣僚の一人宛てに送られたと思われ、メールの中身については「振り込みはいつか」と送金を急がせるような内容で、その送金については「(ブラッター)会長とムベキ大統領の協議に基づくものだ」と記してあったという<ref>{{Cite news |title= FIFA会長、南アからの送金承知か…英紙報道|newspaper= 読売新聞|date= 2015-06-08|author= ロンドン=柳沢亨之|url= http://www.yomiuri.co.jp/sports/soccer/representative/20150608-OYT1T50052.html|accessdate=2015-06-08}}</ref>。
 
==== 背景 ====
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また、南アフリカではFIFAワールドカップの招致に向けて、かつて、[[アパルトヘイト|アパルトヘイト闘争]]をリードしてきた[[ネルソン・マンデラ|マンデラ]]元大統領を投入してロビー活動を行い、2004年のFIFA理事会にてワーナー氏らが南アフリカに票を投じ、その結果、モロッコなどを退け、開催地に南アフリカが選ばれ、さらに、南アフリカ側からワーナー氏らに対しての「謝礼」について、南アフリカ政府の公的資金から出すのは難しいと判断し、代替手段として、FIFAから南アフリカに供与されることになっていたFIFAワールドカップの開催国への援助金を転用する方法で、ワーナー氏側に対して謝礼が渡されていた<ref>{{Cite news |title= FIFA幹部、賄賂把握か W杯南ア大会招致 組織ぐるみの関与示唆|newspaper= スポーツニッポン|date= 2015-05-31|author= |url= http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2015/05/31/kiji/K20150531010453640.html|accessdate=2015-05-31}}</ref>。
==== 他の問題 ====
また、2010 FIFAワールドカップを招致していた、エジプトの当時の招致の関係者が、エジプトサッカー協会の会長がアラブ首長国連邦において、FIFAのワーナー元副会長と会談した際に、700万ドル(日本円でおよそ9億円)の賄賂を要求されていた事をエジプト・カイロにあるテレビ局に対して語り、その内容が2015年6月5日付のイギリスの新聞・[[ガーディアン]]に掲載された<ref>{{Cite news |title= 【FIFA汚職】ワーナー元副会長が9億円賄賂要求 2010年W杯招致でエジプトに 英紙報道|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-06-06|author= |url= http://www.sankei.com/sports/news/150606/spo1506060012-n1.html|accessdate=2015-06-06}}</ref>。さらに、エジプトのアレイ・エッディネ・ヘラル元青年スポーツ相は、2010 FIFAワールドカップ開催地の決定投票にて、7票を確保する見返りにFIFAのジャック・ワーナー元副会長から700万ドル(日本円でおよそ8億8000万円)を要求された事を明らかにしたうえで、ワーナーは、われわれの元へアプローチしてきたFIFAの人間の1人。7票を保証すると言い…1票につき100万ドルを要求してきた」とも語った<ref name="afp_20150608">{{Cite news |title= エジプト元閣僚、ワーナー氏から「賄賂700万ドルを要求された」|newspaper= AFPBB News|date= 2015-06-08|author= |url= http://www.afpbb.com/articles/-/3051062|accessdate=2015-06-08}}</ref>。また、当時のエジプトサッカー協会の会長は、「われわれは賄賂を払わなかった。それも、1票も得られなかった理由だろう」とも語っている<ref name="afp_20150608"/>。さらに、エジプトサッカー連盟のハーブ元会長がロイター通信に対して話したところによれば、2004年当時、FIFA副会長と北中米カリブ海サッカー連盟会長兼務のワーナーからエジプトサッカー連盟のハーブ元会長に対して「私には中南米の多くの票がある」と持ちかけられたという<ref name="mainichi_20150609">{{Cite news |title= FIFA:「元副会長8億円要求」10年W杯でエジプトに|newspaper= 毎日新聞|date= 2015-06-09|author= サンパウロ朴鐘珠|url= http://www.mainichi.jp/sports/news/20150609k0000e030191000c.html|accessdate=2015-06-09}}</ref>。また、ハーブ元会長の説明によれば、ワーナー被告は、700万ドル(約8億5000万円)の使途について自分のお金にはせずに、中南米にある格下のクラブチームやサッカー連盟に分配すると説明していた<ref name="mainichi_20150609"/>。
 
2015年6月7日付のイギリスの新聞、サンデー・タイムズは、2010 FIFAワールドカップの開催地を決めるFIFA理事会の投票に参加したボツワナの元理事が、「開票・集計作業で不正が行われ、南アフリカに決まった疑いが強い」と証言していたことを報じていて、このボツワナの元理事は2004年5月に行われた24人の理事による無記名による方法によって投票した後、他の理事全員に投票先を聞いたところ、正直に回答しなかった理事がいる可能性も認めつつも「モロッコが2票差で勝っていた」と話している<ref>{{Cite news |title= 【FIFA汚職】南アW杯、実はモロッコだった? 投票操作か英紙報道|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-06-07|author= |url= http://www.sankei.com/sports/news/150607/spo1506070081-n1.html|accessdate=2015-06-08}}</ref><ref name="yomiuri_20150608">{{Cite news |title= 落選したモロッコ、南ア上回る票…元理事証言か|newspaper= 読売新聞|date= 2015-06-08|author= ベルリン=大野展誠|url= http://www.yomiuri.co.jp/sports/soccer/foreign/20150607-OYT1T50085.html?from=ycont_latest|accessdate=2015-06-08}}</ref>。なお、実際に発表された結果は南アフリカが14票、モロッコが10票となった<ref name="yomiuri_20150608"/>。
 
==== 反応 ====
当時の南アフリカ大会組織委員会の最高責任者であったダニー・ジョーダン南アフリカサッカー協会会長が、FIFAの副会長だったジャック・ワーナー側に対して1000万ドル(およそ12億円)を支払ったことを語ったが、ジョーダン自身は賄賂だったことについては否定している<ref name="mainichi_20150601">{{Cite news |title= FIFA:南ア側から12億円…認める発言 賄賂性は否定|newspaper= 毎日新聞|date= 2015-06-01|author= ヨハネスブルク服部正法|url= http://www.mainichi.jp/sports/news/20150601k0000e050153000c.html|accessdate=2015-06-01}}</ref><ref name="afp_20150601">{{Cite news |title= FIFA汚職、南ア協会長が支払い認める「賄賂ではなく分担金」|newspaper= AFPBB News|date= 2015-06-01|author= |url= http://www.afpbb.com/articles/-/3050390|accessdate=2015-06-01}}</ref>。さらに、ジョーダン会長は2008年に当時の北中米カリブ海サッカー連盟の会長だったジャック・ワーナーに対して、「サッカー振興への貢献」という名目でと説明している。また、金の流れについては、FIFAから南アフリカサッカー協会に経由せず、直接北中米カリブ海サッカー連盟に渡ったという<ref name="mainichi_20150601"/><ref name="afp_20150601"/>。また、通常ならFIFAがワールドカップの開催国に対して支払う援助金は1億ドルだったのが、実際に南アフリカサッカー協会がもらったのは8000万ドルで、残りの2000万ドルのうち、1000万ドルが北中米カリブ海サッカー連盟に対して支払われたのではないかという可能性があるという<ref name="mainichi_20150601"/>。南アフリカサッカー協会の関係者は、支払い先が北中米カリブサッカー連盟になったことについて、「離散・移住したアフリカ人の一部と見なされるからだ」と、北アメリカや中南アメリカの、いわば黒人支援の一環だったことを明らかにした<ref name="mainichi_20150601"/>。
 
これについて、南アフリカのムバルラ・スポーツ相は2015年6月3日に記者会見を行い、「1000万ドルはカリブ海に離散したアフリカ人の間にサッカーを広げることを支援する目的だった」とした上で「送金が承認されたプログラムのために公然と行われた事実は、賄賂と同一視されない」と話している<ref>{{Cite news |title= 巨額送金「賄賂でない」=FIFA汚職で南ア政府|newspaper= 時事通信|date= 2015-06-03|author= |url= http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2015060300915|accessdate=2015-06-04}}</ref>。
 
FIFAは2015年6月2日付声明を発表して、送金手続きをしたという事実を認めたが<ref name="afp_20150602">{{Cite news |title= FIFA、巨額送金の事実認める 事務局長の関与は否定|newspaper= AFPBB News|date= 2015-06-02|author= |url= http://www.afpbb.com/articles/-/3050602?utm_source=google&utm_medium=news&utm_campaign=recommend-rss|accessdate=2015-06-02}}</ref><ref name="jiji_20150602_3"/>、ジェローム・バルク事務局長が送金に関与したとされる報道については否定<ref>{{Cite news |title= FIFA、事務局長の関与否定 汚職で声明|newspaper= 共同通信|date= 2015-06-02|author= |url= http://www.47news.jp/CN/201506/CN2015060201002049.html|accessdate=2015-06-02}}</ref><ref name="jiji_20150602_3">{{Cite news |title= 巨額送金の事実認める=事務総長関与は否定-FIFA|newspaper= 時事通信|date= 2015-06-02|author= |url= http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2015060200866|accessdate=2015-06-02}}</ref>。また、送金の理由についてFIFAでは、「南アフリカ政府から、2010年W杯の運営費に充てるはずだった資金を「留保」し、ワーナー元副会長が運営するカリブ海地域の開発プロジェクトに回すよう頼まれた」と説明している<ref name="afp_20150602"/>。なお、支払いについては当時のFIFAの財務委員長が承認を行い、FIFAの規則に基づいて行われたという<ref name="jiji_20150602_3"/>。 
==== 批判 ====
一方、アメリカのリンチ司法長官は会見で、「2004年ごろに2010年W杯開催地の選定が始まり、最終的に南アフリカがアフリカ大陸初のW杯開催地となった。だが、この歴史的イベントの陰で、FIFA幹部や関係者は賄賂を使って開催地決定に影響を与え、プロセスを腐敗させた」と語った<ref name="afpbb_20150528"/>。南アフリカサッカー協会は賄賂授受について「根拠がない」と否定している<ref name="nikkan_20150528"/>。
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また、スイスの検察当局はFIFAのブラッター会長に対しての事情聴取を必要であれば行うことにしている<ref name="nikkei_20150531">{{Cite news |title= スイス当局がFIFA会長聴取方針と報道 英紙|newspaper= 日本経済新聞|date= 2015-05-31|author= |url= http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM31H1B_R30C15A5FF8000/|accessdate=2015-06-01}}</ref>。主な目的として、2018年と2022年大会の開催が同時に決まった2010年当時の状況の情報収集だという<ref name="tv-asahi_20150601"/>。ブラッター会長の場合、スイスの法律では「容疑者と証人の中間的存在」として扱われることになっている<ref name="nikkei_20150531"/>。また、欧州サッカー連盟のプラティニ会長に対しても「情報提供者」として事情を聴く事にしている<ref name="nikkei_20150531"/>。さらに、ロシアのムトコスポーツ相も聴取することになっている<ref name="tv-asahi_20150601">{{Cite news |title= ブラッター会長聴取の方針 W杯招致に関する捜査で|newspaper= テレビ朝日|date= 2015-06-01|author= |url= http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000051577.html|accessdate=2015-06-01}}</ref>。聴取されるその人数は9人だという<ref>{{Cite news |title= FIFA会長は「証人と容疑者の中間」英紙報道|newspaper= 読売新聞|date= 2015-06-01|author= ロンドン=柳沢亨之|url= http://www.yomiuri.co.jp/sports/soccer/foreign/20150601-OYT1T50037.html|accessdate=2015-06-01}}</ref>。その内訳はスイス国外に居住するFIFA執行委員が7人で、残りの2人はスイス国内に居住していて、その2人はFIFAのブラッター会長と欧州サッカー連盟のミシェル・プラティニ会長である<ref>{{Cite news |title= スイス司法当局、FIFA会長の聴取は「必要あれば行う」|newspaper= AFPBB News|date= 2015-06-01|author= |url= http://www.afpbb.com/articles/-/3050391|accessdate=2015-06-01}}</ref>。
 
2015年6月3日、FBI・アメリカ連邦捜査局が2018年と2022年のFIFAワールドカップの招致について捜査の対象にしている事が明らかにされた<ref name="sankei_20150604">{{Cite news |title= 【FIFA汚職】ロシア、カタールW杯も捜査へ 米FBI 開催見直されれば補償金|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-06-04|author= ニューヨーク=黒沢潤|url= http://www.sankei.com/world/news/150604/wor1506040023-n1.html|accessdate=2015-06-04}}</ref><ref>{{Cite news |title= ロシア・カタールW杯の招致でも捜査 FIFA汚職事件|newspaper= テレビ朝日|date= 2015-06-04|author= |url= http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000051851.html|accessdate=2015-06-04}}</ref>。スイスの捜査当局がこの件についての捜査をしているが、FBIではこの件の捜査を始めから改めて行うことにしている<ref name="sankei_20150604"/>。2018年の招致ではマネーロンダリングを中心に、2022年の招致ではFIFAの理事会のメンバー3人に対して、カタールから全体の金額で150万ドル(日本円でおよそ1億8000万円)が渡された疑いについても、その関係した者に対して事情聴取を行ったという<ref name="sankei_20150604"/>。これについてはカタールの招致委員会の職員からFBIに対して「FIFAのアフリカ出身理事3人に招致委が150万ドル(約1億8000万円)を支払った現場にいた」という証言も得ていたが、後に、この職員は供述を撤回している<ref name="sanspo_20150605">{{Cite news |title= 揺れる汚職問題…FBI、ロシア&カタールW杯の決定過程を捜査へ|newspaper= サンケイスポーツ|date= 2015-06-05|author= |url= http://www.sanspo.com/soccer/news/20150605/sci15060505020002-n1.html|accessdate=2015-06-05}}</ref>。ただ、この職員はFBIに対しては「招致委が圧力をかけたため」と証言している<ref name="sanspo_20150605"/>。
 
FIFAの監査・コンプライアンス委員会のスカラ委員長は、2015年6月7日付のスイスの新聞にて、「(開催決定の)票が金銭で買われたことが明らかになれば、開催権を取り消す可能性がある」との見解を示したものの「まだ証拠は提供されていない」という<ref>{{Cite news |title= 【FIFA汚職】18、22年W杯、証拠あれば開催取り消しも 改革監督役が見解|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-06-07|author= |url= http://www.sankei.com/sports/news/150607/spo1506070083-n1.html|accessdate=2015-06-08}}</ref>。
 
2015年6月10日、スイス当局はこの招致の捜査に関連して、新たにFIFAの本部から電子データを押収し、同時に、ブラッター会長や、バルク事務局長のオフィスからもデータを押収した<ref name="sponichi_20150611">{{Cite news |title= スイス当局、FIFAから電子データ新たに押収|newspaper= スポーツニッポン|date= 2015-06-11|author= |url= http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2015/06/11/kiji/K20150611010521390.html|accessdate=2015-06-11}}</ref>。BBCでは、「ブラッター会長とジェローム・バルク事務局長、マルクス・カットナー財務部長のオフィスから書類が押収された」と伝えた<ref name="afp_20150611">{{Cite news |title= FIFA、汚職を捜査するスイス当局にコンピューター情報を提出|newspaper= AFPBB News|date= 2015-06-11|author= |url= http://www.afpbb.com/articles/-/3051305|accessdate=2015-06-11}}</ref>。FIFAの広報担当者は、「スイス検察の検事総長からの要請に応じ、コンピューターのデータを提出しました」とコメントを発表した一方で、スイスの検察当局の広報担当者は、AFPに「FIFAは書類とコンピューターのデータを当局に提出した」と話している<ref name="afp_20150611"/>。
 
2015年6月17日、スイス当局はFIFAワールドカップの2018年ロシア大会と2022年カタール大会の招致活動に関して、マネーロンダリングの疑いがある事例、53件を調査していることを明らかにした<ref name="jiji_20150618">{{Cite news |title= 53件に資金洗浄の疑い=ブラッターFIFA会長聴取も-スイス当局|newspaper= 時事通信|date= 2015-06-18|author= |url= http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2015061700930|accessdate=2015-06-18}}</ref><ref name="nikkei_20150618">{{Cite news |title= FIFA資金洗浄疑い、50件超把握 スイス検事総長|newspaper= 日本経済新聞|date= 2015-06-18|author= ジュネーブ=原克彦|url= http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM17H58_X10C15A6FF1000/|accessdate=2015-06-18}}</ref><ref name="sanspo_20150618"/><ref name="mainichi_20150617"/><ref name="afp_20150618">{{Cite news |title= FIFA汚職疑惑、53件の資金洗浄の疑い スイス当局|newspaper= AFPBB News|date= 2015-06-18|author= |url= http://www.afpbb.com/articles/-/3051991|accessdate=2015-06-17}}</ref><ref name="nhk_20150618">{{Cite news |title= FIFA マネーロンダリング疑いの取り引き捜査|newspaper= NHK|date= 2015-06-18|author= |url= http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150618/k10010118411000.html|accessdate=2015-06-18}}</ref>。ただ、この53件は個人と企業の数という事で、個々に見ると、さらに多くの取引が含まれる<ref name="afp_20150618"/>。また、スイス当局はFIFAのブラッター会長を含め、すべての関係者から聴取を行う可能性もあるという<ref name="jiji_20150618"/><ref name="nikkei_20150618"/><ref name="sanspo_20150618"/><ref name="mainichi_20150617"/><ref name="nhk_20150618"/>。さらに、押収したデータの量が9テラバイトにのぼっていて<ref name="nikkei_20150618"/><ref name="nhk_20150618"/>、スイス当局は、捜査の難しさを強調していた<ref name="nikkei_20150618"/>。そのため、スイス当局では2018年・2022年の開催地が決まった際の過程について、特別対策本部を設置して捜査を行っている<ref name="afp_20150618"/>。
 
2015年7月6日、FIFAの倫理委員会は、2018年・2022年のFIFAワールドカップの開催立候補地の視察団の団長を務めていた、チリのマイネニコルス氏に対して、7年間の活動停止処分をしたと発表したが、機密保持の規定があるという理由で、処分の理由はわかっていない<ref>{{Cite news |title= 【FIFA汚職事件】マイネニコルス氏活動停止 FIFA、18、22年W杯視察団長を処分|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-07-07|author= |url= http://www.sankei.com/sports/news/150707/spo1507070003-n1.html|accessdate=2015-07-07}}</ref>。
 
2015年10月6日、[[韓国サッカー協会]]の[[鄭夢準]]名誉会長が記者会見を行い、[[2022 FIFAワールドカップ]]の招致において韓国が立候補した際、鄭夢準がサッカー発展の為の基金の設立を提案し、2010年に、その基金について、サッカー界を発展させるために活用するという主旨の内容の書簡をFIFAの執行委員に送付したことに関する経緯について、FIFA倫理委員会の調査を受けていることを自ら明かした<ref>{{Cite news |title=【FIFA汚職】次期会長候補の鄭夢準氏、倫理委の調査受ける 2022年W杯招致で疑惑|newspaper=産経新聞社|date=2015-10-06|author=ソウル=名村隆寛|url=http://www.sankei.com/world/news/151006/wor1510060018-n1.html|accessdate=2015-10-06}}</ref>。そして、2015年10月8日、FIFA元副会長である鄭夢準氏が2018年と2022年のFIFAワールドカップの開催地決定の手続きの中で、FIFAが定めている規則に違反があった為、6年間の活動禁止に加え、10万スイスフランの罰金の処分を下された<ref name="nikkei_20151009"/>。この処分について、鄭夢準は「(今回の)処分が(FIFA)会長選立候補を妨害する謀略」としてスポーツ仲裁裁判所への提訴を含めて、様々な法的手段をとることを明らかにするとともに、FIFAのブラッター会長に対して、背任や横領の疑いでの訴訟を起こすとした<ref name="sankei_20151009"/>。
 
2015年10月12日にFIFAの倫理委員会は、2018 FIFAワールドカップの招致活動において、[[イングランドサッカー協会]]に、投票する見返りに親善試合としてのタイ対イングランドのテレビの放映権料を管理できるよう求めたという疑惑が持たれている、かつてのFIFA理事で[[タイサッカー協会]]会長のウォラウィ・マクディに対して、90日間の活動停止の処分を下した<ref>{{Cite news |title=元FIFA理事を活動停止…テレビ放映権で疑惑|newspaper=読売新聞|date=2015-10-13|author=ロンドン 風間徹也|url=http://www.yomiuri.co.jp/sports/soccer/foreign/20151013-OYT1T50010.html|accessdate=2015-10-13}}</ref>。
 
2015年10月15日付の多くのスペインの新聞が伝えたところによれば、[[スペインサッカー連盟]]のアンヘル・マリア・ビジャール会長が2018年・2022年のFIFA ワールドカップの開催地決定について、不正に関わったのではないかとして、FIFAの倫理委員会の調査の対象になっているのではないかという<ref>{{Cite news |title=UEFA“代理会長”にも捜査の手?|newspaper=デイリースポーツ|date=2015-10-15|author=|url=http://www.daily.co.jp/soccer/2015/10/15/0008485425.shtml|accessdate=2015-10-15}}</ref>。
 
2015年10月21日、FIFAの倫理委員会は、かつてのFIFAの理事で、当時のサッカー西ドイツ代表の選手のベッケンバウアーが、2018年・2022年のFIFAワールドカップの招致の買収疑惑に関係しているとして(ドイツのビルド紙報道)、調査の対象になっていると発表した<ref name="sankei_20151022"/>。その後、2016年2月17日、FIFAは、かつてのFIFA理事で西ドイツ代表のベッケンバウアーが2018年・2022年のFIFAワールドカップの開催地決定に関する投票に絡んだ調査において、FIFA倫理委員会の調査部門の再三の要請に対して、非協力的だったいう理由で、警告に加え、罰金7千スイスフラン(およそ81万円)の処分を科したことを明らかにした<ref>{{Cite news |title= ベッケンバウアー氏を処分、FIFA調査に非協力的|newspaper= 日刊スポーツ|date= 2016-02-18|author= |url= http://www.nikkansports.com/soccer/world/news/1605814.html|accessdate=2016-02-18}}</ref>。
 
=== 2002 FIFAワールドカップ招致 ===
スペインのスポーツ新聞であるアスの電子版が2015年6月19日付で、南米サッカー連盟で15年間働いたかつて職員が匿名で証言したものを伝えたところによれば、[[2002 FIFAワールドカップ]]招致が決まった後の2000年、当時の日本サッカー協会名誉会長だった長沼健が、招致を支持していた南米10カ国で分けるためと言う目的で、謝礼として南米サッカー連盟に150万ドル(日本円でおよそ1億8500万円)を送っていたことが明らかになった<ref name="asahi_20150620">{{Cite news |title= W杯招致「日本が南米連盟に謝礼金」 スペイン紙報道|newspaper= 朝日新聞|date= 2015-06-20|author= サンパウロ=田村剛|url= http://www.asahi.com/articles/ASH6M7SQRH6MUHBI02F.html|accessdate=2015-06-20}}</ref><ref name="nikkei_20150620">{{Cite news |title= 日本、サッカーW杯招致で謝礼金か 欧州紙報道 南米連盟に|newspaper= 日本経済新聞|date= 2015-06-20|author= ジュネーブ=原克彦|url= http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG19HAH_Z10C15A6CC1000/|accessdate=2015-06-20}}</ref><ref name="jiji_20150620">{{Cite news |title= 元日本協会会長が謝礼送金か=02年サッカーW杯日韓大会招致で-スペイン紙|newspaper= 時事通信|date= 2015-06-19|author= |url= http://www.jiji.com/jc/c?g=spo&k=2015061901015|accessdate=2015-06-20}}</ref><ref name="sponichi_20150620">{{Cite news |title= 日韓W杯招致で謝礼金!?日本協会が南米協会に150万ドル|newspaper= スポーツニッポン|date= 2015-06-20|author= |url= http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2015/06/20/kiji/K20150620010575170.html|accessdate=2015-06-20}}</ref>。
 
しかし、150万ドルのうちの120万ドルは、当時のニコラス・レオス南米サッカー連盟会長の個人口座に移され、残りの20万ドルが南米サッカー連盟の事務局長、10万ドルがFIFAとの仲介者に渡っていた<ref name="asahi_20150620"/><ref name="jiji_20150620"/><ref name="sponichi_20150620"/>。また、資金のやり取りを示す書類も存在していて、この書類にはレオス氏とレオス氏の妻の署名が記されてあった<ref name="asahi_20150620"/>。
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このかつての職員は、レオスが東京やニューヨークで、世界中から資金を集めていたと証言していて、その資金はレオスが自らの裁量で振り分け、非常に多い資金が南米サッカー連盟の口座から個人口座に流れたといい<ref name="asahi_20150620"/>、このかつての職員は「南米サッカー連盟の口座とレオス元会長の口座の区別がつかないほどだった」とした上で<ref name="nikkei_20150620"/>、「これはほんの一部に過ぎない。私が関与しなかったものもある」と証言した<ref name="asahi_20150620"/>。このかつてのレオス会長はFIFAの理事を経験していたこともあり、このかつての職員は、礼金の着服について、もはや日常茶飯事だと証言した<ref name="nikkei_20150620"/>。
 
2015年6月20日に、[[日本サッカー協会]]の[[大仁邦弥]]会長は「南米連盟から情報を収集する。帳簿もあるはずだから再度チェックする必要がある」と、日本サッカー協会による独自の調査行うことを示唆<ref>{{Cite news |title= 小倉名誉会長、謝礼金報道に怒り!長沼会長は裏金「やらない考えだった」|newspaper= スポーツ報知|date= 2015-06-21|author= |url= http://www.hochi.co.jp/soccer/national/20150620-OHT1T50290.html|accessdate=2015-06-21}}</ref>し、6月22日に、日本サッカー協会が明らかにされた内部で行った調査によれば、1999年と2000年には南米サッカー連盟への出金が無く、しかも、100万ドル超えでの海外送金を行った例は南米以外にも無かったというが、1999年は[[サッカー日本代表]]が[[コパ・アメリカ|南米選手権]]に出場したので、数万ドルの放送権料が入金されていたという<ref>{{Cite news |title= 【FIFA汚職】南米への出金実績なし、W杯招致謝礼金疑惑で日本協会内部調査|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-06-22|author= |url= http://www.sankei.com/sports/news/150622/spo1506220038-n1.html|accessdate=2015-06-23}}</ref>。
 
2015年7月12日に、日本サッカー協会の田嶋幸三副会長は、調査を依頼していた南米サッカー連盟から「資料がなく確認できない」という回答があったと明らかにしている<ref>{{Cite news |title= 2002年W杯日韓大会の謝礼金報道「資料がない」|newspaper= 日刊スポーツ|date= 2015-07-12|author= |url= http://www.nikkansports.com/soccer/japan/news/1506147.html|accessdate=2015-07-13}}</ref>。
=== ブラッター会長に関する疑惑 ===
{{wikinews|FIFA汚職事件 スイスの司法当局が現職のブラッター会長への捜査を始める}}
2015年9月24日、スイスの司法当局はブラッター会長に対する捜査を始め、2015年9月25日にはFIFA本部を家宅捜索し、その中で、会長室も捜索され、書類などが押収された<ref name="asahi_20150926">{{Cite news |title=FIFA会長から事情聴取 汚職問題、スイス当局が捜査|newspaper=朝日新聞社|date=2015-09-26|author=チューリヒ=河野正樹、ジュネーブ=松尾一郎|url=http://www.asahi.com/articles/ASH9V026PH9TUHBI02N.html|accessdate=2015-10-04}}</ref>。また、ブラッター会長に対しても事情聴取を受けた<ref name="nikkei_20150926">{{Cite news |title=スイス当局がFIFA会長を捜査 背任と横領の疑い|newspaper=日本経済新聞|date=2015-09-26|author=ジュネーブ=原克彦|url=http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM25H87_V20C15A9FF1000/|accessdate=2015-10-04}}</ref>。
 
スイスの検察当局の発表では、2005年9月12日に、ブラッター会長が当時のカリブ海サッカー連合の会長だったジャック・ワーナーと結んだ契約が、FIFAの利益に反する行為だったとしている<ref name="asahi_20150926"/><ref name="nikkei_20150926"/>。また、ブラッター会長が2011年2月、FIFAの資金から欧州サッカー連盟会長のミシェル・プラティニ氏に対して200万スイスフラン(日本円でおよそ2億4千万円)を不正に支払ったとの疑いもあるという<ref name="asahi_20150926"/><ref name="nikkei_20150926"/>が、2011年2月はFIFA会長選に関連して、各国のサッカー協会に対する支持を集めるのを各候補者が繰り広げられていたためだったという<ref>{{Cite news |title=FIFA会長選直前、プラティニ氏へ巨額支払い|newspaper=読売新聞社|date=2015-09-27|author=チューリヒ(スイス)=風間徹也|url=http://www.yomiuri.co.jp/sports/soccer/foreign/20150927-OYT1T50015.html|accessdate=2015-10-04}}</ref>。なお、これについてはプラティニ氏も関係者として事情聴取された<ref name="asahi_20150926"/>。
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{{wikinews|FIFAのブラッター会長 辞任を否定}}
しかし、ブラッター会長は2015年9月28日にFIFAのスタッフに対して、今回明らかになった疑惑について改めて否定したうえで、2016年2月のFIFA会長選まで続投すると明らかにした<ref>{{Cite news |title=ブラッター氏即時辞任せず FIFA汚職、疑惑否定|newspaper=朝日新聞社|date=2015-09-29|author=共同通信|url=http://www.asahi.com/articles/GCO2015092801002403.html|accessdate=2015-10-04}}</ref>。また、カリブ海サッカー連合によるFIFAワールドカップのテレビ放映の権利の販売でFIFAに損失を加えた疑惑については「捜査中なので、ブラッター氏はこれ以上の質問には答えない」という<ref>{{Cite news |title=FIFA汚職:ブラッター会長、会長選まで続投意向|newspaper=毎日新聞社|date=2015-09-29|author=チューリヒ福島良典|url=http://mainichi.jp/sports/news/20150929k0000e050150000c.html|accessdate=2015-10-04}}</ref>。
 
{{wikinews|UEFAのプラティニ会長が疑惑について釈明}}
{{wikinews|プラティニ氏 スイスの司法当局は容疑者の可能性も含めた「参考人」と位置付け}}
一方のプラティニ氏は2015年9月28日に、UEFA(欧州サッカー連盟)に所属している協会に対し、書簡で「情報提供のための聴取であり、間違ったことはしていない」と釈明したうえで「一連のできごとで自分やUEFAUEFAの名声が傷ついた。誤解を晴らせるように全力を尽くしたい」としている<ref>{{Cite news |title=FIFA汚職、プラティニ氏が釈明 報酬問題は説明なし|newspaper=朝日新聞社|date=2015-09-29|author=ロンドン=河野正樹|url=http://www.asahi.com/articles/ASH9Y0GPSH9XUHBI02R.html|accessdate=2015-10-04}}</ref>。しかし、9月29日にスイスのミハエル・ラウバー検事総長はプラティニ氏について、「参考人と容疑者の中間」と位置付けていることを明らかにし、その上で、スイスの西部にあるニヨンに拠点を置くUEFA(欧州サッカー連盟)の本部について、家宅捜索を行う可能性を示した<ref>{{Cite news |title=スイス検事総長:参考人と容疑者の中間…プラティニ氏聴取|newspaper=毎日新聞社|date=2015-09-30|author=ローマ福島良典|url=http://mainichi.jp/sports/news/20150930k0000e050208000c.html|accessdate=2015-10-04}}</ref>。
 
2015年10月7日、FIFA倫理委員会内部の調査部門はブラッター会長に対して90日間の停職処分を勧告した<ref>{{Cite news |title=FIFA倫理委、会長の90日停職処分を検討 週内に決定へ|newspaper=日本経済新聞|date=2015-10-08|author=ジュネーブ=原克彦|url=http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK08H0G_Y5A001C1000000/|accessdate=2015-10-08}}</ref>。そして、2015年10月8日に、FIFAの倫理委員会はブラッター会長と欧州サッカー連盟のプラティニ会長に90日間の暫定的な活動禁止処分を下した<ref name="nikkei_20151009">{{Cite news |title=ブラッター会長を90日間活動禁止に FIFA倫理委|newspaper=日本経済新聞|date=2015-10-08|author=ジュネーブ=原克彦|url=http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM08H5S_Y5A001C1FF2000/|accessdate=2015-10-09}}</ref>。FIFA倫理委員会ではFIFAのブラッター会長からUEFAのプラティニ会長への金銭授受について、「賄賂」ではなかったかについて調査をしていた<ref>{{Cite news |title=サッカー:FIFA汚職 ブラッター氏ら処分 活動停止90日|newspaper=毎日新聞|date=2015-10-09|author=ローマ福島良典|url=http://mainichi.jp/shimen/news/20151009ddm001050179000c.html|accessdate=2015-10-09}}</ref>。しかし、ブラッター会長が、FIFAの上訴委員会に対して、2日以内に不服の申し立てを行った<ref name="sankei_20151009">{{Cite news |title=【FIFA汚職】ブラッター氏、上訴委に不服申し立て 英で報道|newspaper=産経新聞社|date=2015-10-09|author=|url=http://www.sankei.com/sports/news/151009/spo1510090060-n1.html|accessdate=2015-10-10}}</ref>。
 
2015年10月21日にFIFAの倫理委員会は、FIFAのブラッター会長とプラティニ副会長の調査内容について、2011年2月にプラティニ副会長に対して支払われた200万スイスフラン(約2億5千万円)の経緯について詳細に調べていると発表した<ref name="sankei_20151022"/>。
 
2015年12月6日、イギリスのBBCは、ブラッター会長に関して、かつてのFIFAの幹部らに対して、およそ1億ドル(日本円で120億円)の賄賂が支払われていた事を認識していたという証拠について、アメリカの捜査当局が調査していると伝えた<ref name="afp_20151207">{{Cite news |title= ブラッター会長、1億ドルの収賄を認識か FBIが証拠入手の報道|newspaper= AFP|date= 2015-12-07|author= |url= http://www.afpbb.com/articles/-/3069313|accessdate=2015-12-07}}</ref>。スポーツに関するマーケティング会社であるISLは、FIFAの[[ジョアン・アベランジェ]]元会長や[[リカルド・テイシェイラ (サッカー組織の幹部)|リカルド・テイシェイラ]]元FIFA理事らに合計1億ドル(日本円で120億円)を支払い、その見返りに1990年代にテレビ放映権やマーケティング権を得た<ref name="afp_20151207"/>。今回明らかにされた書簡はISLの贈賄に言及したもので、アベランジェによって書かれたとみられていて、その中でアベランジェは、ブラッター氏が「すべての活動を完全に承知」した上で「常に報告を受けている」と話していると語った<ref name="afp_20151207"/>。12月7日、スイス司法警察省は2001年に経営破たんしたFIFAのマーケティング代理店であったISL社関連の不法行為疑惑について、アメリカ司法省がこの疑惑の捜査情報提供を求めてきたことを明らかにしている<ref name="sankei_20151208">{{Cite news |title= 【FIFA汚職】米司法省が捜査情報求める 倒産した代理店の金銭疑惑で|newspaper= 産経新聞社|date= 2015-12-08|author= |url= http://www.sankei.com/sports/news/151208/spo1512080004-n1.html|accessdate=2015-12-08}}</ref>。ブラッターは、贈賄について、知らなかったと一貫して主張している<ref name="afp_20151207"/>。また、ブラッターはドイツの公共放送でのニュース番組の取材に対しても、「正しくない」として今回の件について否定した<ref name="sankei_20151208"/>。
 
2015年12月11日、[[スポーツ仲裁裁判所]]は、FIFAの倫理委員会から90日間の暫定活動停止処分を受けていた、ミシェル・プラティニ副会長が、この処分を不服として行った提訴について、却下する裁定を下したが、その一方で、プラティニ副会長の申し立ての一部を認めた上で、FIFAに対し、90日間の処分期間について、さらに延長してはならないという命令をした<ref>{{Cite news |title= サッカー=FIFAプラティニ副会長の提訴、裁判所が却下|newspaper= ロイター|date= 2015-12-12|author= |url= http://jp.reuters.com/article/soccerplatini-idJPKBN0TV01Y20151212|accessdate=2015-12-12}}</ref>。
 
2015年12月21日、FIFA倫理委員会は、FIFAのゼップ・ブラッター会長とFIFAのミシェル・プラティニ副会長に対し、8年間の活動停止処分を科す事を発表<ref>{{Cite news |title= FIFA プラティニ副会長も処分 8年間活動停止に|newspaper= 毎日新聞|date= 2015-12-21|author= |url= http://mainichi.jp/articles/20151222/k00/00m/050/017000c|accessdate=2015-12-21}}</ref>。これについては、2016年1月12日、FIFA倫理委員会の調査部門が、FIFAのブラッター会長とプラティニ副会長に対する処分を不服として、より重い処分を求め、FIFA上訴委員会に提訴することを明らかにした<ref>{{Cite news |title= FIFA倫理委、ブラッター氏らにより重い処分求め提訴へ|newspaper= 日本経済新聞|date= 2016-01-13|author= |url= http://www.nikkei.com/article/DGXLSSXK20786_S6A110C1000000/|accessdate=2016-01-13}}</ref>。また、プラティニ氏は2016年1月12日、この8年間の活動停止処分を不服としてFIFA上訴委員会に提訴したと関係者が明らかにした<ref>{{Cite news |title= 「8年以上」求め提訴へ=ブラッター氏らの処分-FIFA倫理委|newspaper= 時事通信|date= 2016-01-12|author= |url= http://www.jiji.com/jc/zc?k=201601/2016011200894&g=spo|accessdate=2016-01-13}}</ref>。
 
2016年1月28日、イギリスのBBCの電子版は、スイス司法当局がFIFAのブラッター会長の起訴につながる有力な証拠の提供を受けたと伝えた<ref name="sankei_20160129">{{Cite news |title= 【FIFA汚職】スイス司法当局、ブラッター氏起訴へ証拠提供受ける 英国メディアが報道|newspaper= 産経新聞社|date= 2016-01-29|author= |url= http://www.sankei.com/sports/news/160129/spo1601290022-n1.html|accessdate=2016-01-29}}</ref>。スイスの司法当局の広報担当によると「非常に助けとなる価値ある情報を受け取った」と話している<ref name="sankei_20160129"/>。
 
2016年2月24日、FIFAの上訴委員会はゼップ・ブラッター氏とミシェル・プラティニ氏の処分について、2人の長年のサッカー界への貢献についてを考慮するべきという理由で、FIFA倫理委員会の裁定部門が下した、活動停止処分について、8年から6年に短縮させることを明らかにした<ref>{{Cite news |title= 【FIFA汚職】ブラッター氏とプラティニ氏の活動停止 8年から6年へ 上訴委、貢献考慮し決定|newspaper= 産経新聞社|date= 2016-02-25|author= |url= http://www.sankei.com/sports/news/160225/spo1602250004-n1.html|accessdate=2016-02-25}}</ref>。その後、プラティニ氏は、処分取り消しを求め、スポーツ仲裁裁判所に提訴したことを、2016年3月2日にスポーツ仲裁裁判所が発表<ref>{{Cite news |title= 【FIFA汚職】プラティニ氏がCASに提訴、6年間の活動停止処分の取り消し求める|newspaper= 産経新聞社|date= 2016-03-02|author= |url= http://www.sankei.com/sports/news/160302/spo1603020029-n1.html|accessdate=2016-03-03}}</ref>。
 
2016年2月27日にスイス連邦検察庁の報道官は[[日本放送協会|NHK]]の単独インタビューに対して、日本円でおよそ1億7000万円の不正な支出をしたとして、背任の疑いがあるFIFAのブラッター前会長に関して「捜査を優先的に進めている」と述べたうえで、関連して支払いが実施された可能性のある取引記録、合わせて152件をスイスの金融機関から手に入れて、現在も分析を進めていると前置きしたうえで、「ことし(2016年)の終わりか来年(2017年)の始めには、全容を解明できると確信している」と話し、この2017年1月ごろまでに、この事件の全容解明がされるとの見通しを示した<ref>{{Cite news |title= ブラッター前会長の捜査 来年1月ごろまでに解明か|newspaper= NHK|date= 2016-02-27|author= |url= http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160227/k10010423641000.html|accessdate=2016-02-27}}</ref>。また、ドイツのメディアによれば、スイスの検察当局者も、ブラッター前会長に関し、「捜査が着々と進展している」と話した上で、「2016年末から2017年半ばには起訴できるか否かの判断ができる」という見通しを明らかにしている<ref name="sanspo_20150227">{{Cite news |title= ブラッター氏立件に向け加速 米・スイス当局、捜査拡大へ|newspaper= サンケイスポーツ|date= 2016-02-27|author= |url= http://www.sanspo.com/soccer/news/20160227/sci16022717340013-n1.html|accessdate=2016-02-28}}</ref>。さらに、アメリカ連邦捜査局(FBI)もブラッター前会長が、別の収賄に関与していたのではないかという事で捜査を始めたという<ref name="sanspo_20150227"/>。
 
2016年3月9日、スイスの検察当局は声明の中で、2016年3月8日に、フランス検察当局の協力によって、FIFAのブラッター前会長の捜査に関連して、フランス・パリにあるフランスサッカー連盟の事務所に対して家宅捜索を行い、文書を押収した事を発表し、この中で、今回行った捜索について、スイスの検察当局は、2011年にブラッター氏が欧州サッカー連盟のプラティニ会長に支払った200万スイスフラン(およそ2億2500万円)が横領ではないかという容疑との関連があるということを認めた<ref>{{Cite news |title= 仏サッカー連盟事務所を家宅捜索、文書押収 前FIFA会長捜査|newspaper= スポーツニッポン|date=2016-03-09 |author= |url= http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2016/03/09/kiji/K20160309012185220.html|accessdate=2016-03-09}}</ref>。
 
2016年3月13日付のドイツの新聞、フランクフルター・アルゲマイネはFIFAのブラッター前会長とUEFAのプラティニ会長の両氏について、ブラッター氏が会長時代の1998年から2002年にかけて、パリのプラティニ氏のオフィスの費用として、数百万スイスフラン(日本円で数億円)がFIFAの予算から支払われたことについて、新たな不正支払いの疑いで調べを進めていることを報じた<ref name="sankei_20160313">{{Cite news |title= 【FIFA汚職事件】ブラッター、プラティニ両氏に新たな容疑 不法支払い容疑でスイス検察が捜査 独紙報道|newspaper= 産経新聞|date= 2016-03-13|author= |url= http://www.sankei.com/sports/news/160313/spo1603130043-n1.html|accessdate=2016-03-17}}</ref>。また、フランクフルター・アルゲマイネでは、3月上旬のフランス・サッカー連盟事務所の捜索について、この容疑に関連する可能性が高いとしている<ref name="sankei_20160313"/>。
 
10月7日、FIFA倫理委員会内部の調査部門はブラッター会長に対して90日間の停職処分を勧告した<ref>{{Cite news |title=FIFA倫理委、会長の90日停職処分を検討 週内に決定へ|newspaper=日本経済新聞|date=2015-10-08|author=ジュネーブ=原克彦|url=http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK08H0G_Y5A001C1000000/|accessdate=2015-10-08}}</ref>。そして、10月8日に、FIFAの倫理委員会はブラッター会長と欧州サッカー連盟のプラティニ会長に90日間の暫定的な活動禁止処分を下した<ref name="nikkei_20151009">{{Cite news |title=ブラッター会長を90日間活動禁止に FIFA倫理委|newspaper=日本経済新聞|date=2015-10-08|author=ジュネーブ=原克彦|url=http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM08H5S_Y5A001C1FF2000/|accessdate=2015-10-09}}</ref>。FIFA倫理委員会ではFIFAのブラッター会長からUEFAのプラティニ会長への金銭授受について、「賄賂」ではなかったかについて調査をしていた<ref>{{Cite news |title=サッカー:FIFA汚職 ブラッター氏ら処分 活動停止90日|newspaper=毎日新聞|date=2015-10-09|author=ローマ福島良典|url=http://mainichi.jp/shimen/news/20151009ddm001050179000c.html|accessdate=2015-10-09}}</ref>。しかし、ブラッター会長が、FIFAの上訴委員会に対して、2日以内に不服の申し立てを行った<ref name="sankei_20151009">{{Cite news |title=【FIFA汚職】ブラッター氏、上訴委に不服申し立て 英で報道|newspaper=産経新聞社|date=2015-10-09|author=|url=http://www.sankei.com/sports/news/151009/spo1510090060-n1.html|accessdate=2015-10-10}}</ref>。
=== 2006 FIFAワールドカップ招致活動 ===
2015年10月16日付で、ドイツの雑誌、シュピーゲルの電子版は、2006年に開催されたFIFAワールドカップの招致で買収があったのではないかと伝えた<ref name="nikkan_20151017">{{Cite news |title=06年ドイツW杯招致で買収か、連盟が送金認める|newspaper=日刊スポーツ|date=2015-10-17|author=|url=http://www.nikkansports.com/soccer/world/news/1553699.html|accessdate=2015-10-17}}</ref>。報道によれば、ドイツのワールドカップ招致委員会が1030万スイスフラン(日本円でおよそ13億円)に上る裏の口座を設けて、開催地が決定した2000年7月のFIFA理事会において、アジアの4人の理事の票を獲得するために使用していた<ref name="nikkan_20151017"/>。この理事会では、決選投票が行われ、12対11で南アフリカを下し、ドイツが開催地に選ばれた<ref name="TBS_20151017">{{Cite news |title=サッカーW杯ドイツ招致で“買収”か、有力誌が報道|newspaper=TBS|date=2015-10-17|author=|url=http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2614232.html|accessdate=2015-10-17}}</ref>。
また、裏の口座の資金はアディダスの社長だったルイドレフュス(故人)が私的に貸したというが、大会のおよそ1年半前にルイドレフュスが返却を求めたので、ドイツのワールドカップ組織委員会では、FIFAを経由して、当時1030万スイスフランに相当していた、670万ユーロを返却した<ref name="nikkan_20151017"/>。なお、この貸付金についてはFIFAワールドカップの組織委員長を務めていた、フランツ・ベッケンバウアーと、現在、ドイツ・サッカー協会の会長を務める、ボルフガング・ニールスバッハが、ドレイファスからの貸付金について承知していたとされる<ref>{{Cite news |title=サッカー=06年W杯招致で不正か、独誌が報道|newspaper=ロイター|date=2015-10-17|author=|url=http://jp.reuters.com/article/2015/10/17/soccer-worldcup-germany-idJPKCN0SB03B20151017|accessdate=2015-10-17}}</ref>。
 
これを受け、ドイツサッカー連盟は2015年10月16日に、[[2006 FIFAワールドカップ]]組織委員会が2005年にFIFAに対して、670万ユーロを文化プログラムに使用する目的で送金したことを認め<ref name="nikkan_20151017"/>、その上で、ドイツサッカー連盟の内部調査で、この670万ユーロが、本来使用されるべきであったFIFA文化プログラムには使用されなかった可能性があることも明らかにされた<ref>{{Cite news |title=ドイツがFIFAに送金の9億円使途に疑い…DFB内部調査で明らかに|newspaper=サンケイスポーツ|date=2015-10-16|author=|url=http://www.sanspo.com/soccer/news/20151016/sci15101621580009-n1.html|accessdate=2015-10-17}}</ref>。
 
この報道を受け、FIFAでは「現在、外部機関の協力を得て行っている内部調査の一環として調べる」という声明を発表したうえで<ref name="TBS_20151017"/>、FIFAによる独自の調査に乗り出すことになった<ref>{{Cite news |title=独06年W杯招致に買収疑惑、アジア4理事に裏金 独誌報道|newspaper=日本経済新聞|date=2015-10-17|author=フランクフルト=加藤貴行|url=http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM17H15_X11C15A0NNE000/|accessdate=2015-10-17}}</ref>。
 
また、2015年10月19日に、ドイツの検察当局は今回の問題について、正式な捜査には至っていないが、調査を行っていることをドイツのスポーツ通信社であるSIDに対して明らかにした<ref name="afpbb_20151020">{{Cite news |title=独検察当局、2006年W杯ドイツ大会の買収疑惑で調査を開始|newspaper=AFPBB News|date=2015-10-20|author=|url=http://www.afpbb.com/articles/-/3063602|accessdate=2015-10-20}}</ref>。
 
フランクフルトのある主任検察官は、「これは汚職、詐欺もしくは背任の疑いがある」とした上で、「これから入手可能な書類を調べることになるが、まだほんの初動段階であり捜査の開始には至っていない。疑惑につながる最初の手がかりが確認されれば、捜査になる可能性がある」と話している<ref name="afpbb_20151020"/>。
 
ドイツの首相報道官を務めるシュテファン・ザイバートは10月19日に行われた記者会見の中で、「この疑惑ははっきりとさせなければならない」話したものの「しかし、これは政府が介入するものではなく、DFB(ドイツサッカー連盟)とFIFAの仕事である。彼らが、この任務を成し遂げてくれることを信じている」とも話している<ref name="afpbb_20151020"/>。
 
2015年10月26日、2006 FIFAワールドカップの組織委員会会長を務めたベッケンバウアーは、2005年にFIFAに対して送った670万ユーロ(日本円でおよそ9億円)について、「より多額の助成金を得るための手付金だった」と前置きをしたうえで、「FIFAA財務委員会の提案を受け入れたが、拒絶すべきだった。この過ちは私の責任だ」との声明を発表<ref>{{Cite news |title=【FIFA汚職】9億円送金は「私の責任」 ベッケンバウアー氏が声明 2006年W杯ドイツ大会で|newspaper=産経新聞社|date=2015-10-27|author=|url=http://www.sankei.com/sports/news/151027/spo1510270014-n1.html|accessdate=2015-10-27}}</ref>。
 
2015年11月3日、ドイツの検察当局は、ドイツサッカー連盟の本部を脱税の疑いで家宅捜索し、同時に、ニースバッハ会長、ツバンツィガー前会長の自宅も家宅捜索を行った<ref name="sankei_20151103">{{Cite news |title= 【FIFA汚職】ドイツ連盟に家宅捜索 約9億円の脱税疑惑|newspaper= 産経新聞社|date= 2015-11-03|author= |url= http://www.sankei.com/sports/news/151103/spo1511030014-n1.html|accessdate=2015-11-04}}</ref>。また同時に、ドイツの検察当局は、今回明らかにされた、ドイツサッカー連盟からFIFAに送金した670万ユーロ(日本円でおよそ9億円)について、「重大な脱税の疑いがある」という声明を発表している<ref name="sankei_20151103"/>。
 
2016年1月27日、ドイツサッカー連盟が招致不正の事実を長年、隠蔽していたとドイツメディアが報じた<ref name="sankei_20160128">{{Cite news |title= 【FIFA汚職】買収知りながら隠蔽か W杯招致でドイツ連盟 投票前日に何者かに3千万円|newspaper= 産経新聞社|date= 2016-01-28|author= |url= http://www.sankei.com/sports/news/160128/spo1601280015-n1.html|accessdate=2016-01-28}}</ref>。これは、ドイツサッカー連盟が外部法律事務所に委託した内部調査の資料の一部(内部調査で買収を裏付けるような多くのメールや書類)を、南ドイツ新聞とドイツの公共放送の合同取材グループが入手したことで、明らかになった<ref name="sankei_20160128"/>。
 
さらに、FIFAの理事会の投票でFIFAワールドカップのドイツ開催が決まった2000年7月6日の前日に、何者かに25万ドル(日本円でおよそ3千万円)が支払われた例もある<ref name="sankei_20160128"/>。これについては、米連邦捜査局(FBI)なども調査を始めたことが報じられている<ref name="sankei_20160128"/>。
 
2016年3月4日、ドイツサッカー連盟は、2000年7月のFIFA理事会によって行われた2006 FIFAワールドカップの開催地を決定する投票に際し、買収を行ったことについて「買収を裏付ける証拠は見つからなかったが、否定はできない」とする、内部調査の結果を発表した<ref name="sankei_20160305">{{Cite news |title= 【FIFA汚職】投票買収の証拠見つからず ドイツ連盟、06年W杯招致で調査発表|newspaper= 産経新聞社|date= 2016-03-05|author= |url= http://www.sankei.com/sports/news/160305/spo1603050005-n1.html|accessdate=2016-03-05}}</ref>。
 
また、今回の内部調査では、2005年にFIFAへ送金したと、ドイツサッカー連盟が2015年に認めた670万ユーロ(およそ8億4千万円)の使用の仕方について、その一部はワールドカップの組織委員会の会長を務めていたベッケンバウアーに、残りはかつてのFIFA理事を務めていたハマムがオーナーを務めているカタールのある企業に、それぞれ2002年に送金していたことが今回行った調査で明らかになり、その上で、ドイツサッカー連盟がワールドカップの事前イベント費用とうそをついたうえでFIFAに送金した事を指摘<ref name="sankei_20160305"/>。
 
2016年3月22日、FIFA倫理委員会の調査部門は、2006 FIFAワールドカップの招致過程に加えて、開催地決定の投票に関しての買収疑惑について、この大会組織委員会の会長だったベッケンバウアー氏を含む関係者6人に対する調査を開始すると発表<ref name="sankei_20160323">{{Cite news |title= 【FIFA汚職】ベッケンバウアー氏らを06年ドイツW杯招致で調査|newspaper= 産経新聞|date= 2016-03-23|author= |url= http://www.sankei.com/sports/news/160323/spo1603230001-n1.html|accessdate=2016-03-24}}</ref>。加えて、ニースバッハとザンドロックの2人は、利益相反、ベッケンバウアー氏らは贈収賄の禁止に関しての倫理規定に違反しているのではないかという疑いがそれぞれあるとFIFAではしている<ref name="sankei_20160323"/>。
 
== 事件の背景 ==
2015年6月8日、イギリスのBBC([[英国放送協会]])に対して、1990年代半ばと2001年から2003年にわたって、ブラッター会長の側近だった、グイド・トノーニ氏・65歳が「長い間、FIFAでは目的を達成する唯一の手段はドル札を握り締めることだった」と語って、かねてからFIFAの内部では贈収賄がいわば常習化していたと明らかにし、さらに、不正以外の方法で2018年・2022年のFIFA ワールドカップの開催国がロシアとカタールになる方法はあったかについて、「あったかもしれないね。推測だけど」と皮肉を交えて、不正があったことを認めたが、「たとえFIFAの人々が賄賂を受け取っていたとして何が問題なのだ?FIFAやその人たちは、それ以外の方法でW杯開催を勝ち取る方法はなかった」とも話している<ref>{{Cite news |title= ブラッター会長の元側近が爆弾発言|newspaper= デイリースポーツ|date= 2015-06-10|author= |url= http://www.daily.co.jp/soccer/2015/06/10/0008108590.shtml|accessdate=2015-06-10}}</ref>。
 
また、スポーツ総合研究所所長の[[広瀬一郎]]はこの事件の背景について1995年のUEFA([[欧州サッカー連盟]])による「ビジョン1&2」と題された公開質問状と、1995年の公益法人登録にあったとしたうえで「原因は「カネ余り」であり、それは「不相応な収入金額」にある。」とした上で、お金の使い道が無い、いわゆる「あぶく銭」となるお金が流れ込むことになったと指摘<ref name="nikkei_20160229">{{Cite news |title= 小悪党と巨額にアンバランス感 FIFA汚職の背景 スポーツ総合研究所所長 広瀬一郎|newspaper= 日本経済新聞|date= 2016-02-29|author= |url= http://www.nikkei.com/article/DGXMZO97810730Y6A220C1000000/|accessdate=2016-02-29}}</ref>。
 
そのきっかけになったのが、1996年の7月に、FIFAワールドカップで史上初のテレビ放送権の入札が行われ、これまでの放送権料がおよそ200億円だったのが、この入札によって1150億円に一気に跳ね上がった為、利益額が1つの大会あたり、950億円増加。特に、2002年と2006年のFIFAワールドカップの放送権料の合計がおよそ2300億円となったと指摘<ref name="nikkei_20160229"/>。
 
また、その背景として、1995年の夏にUEFAから「ビジョン1&2」と題された公開質問状という形で提出され、内容は、「会長職の単期制」と「マーケティング改革」で、特に、「マーケティング改革」の場合、「FIFA最大の資産であるW杯の諸権利を(当時の)アベランジェ政権は、十分にマーケティングしていない」という指摘だったため、1996年にFIFAワールドカップ史上初めて「テレビ放送権の入札制導入」が実現されたと指摘した上で、指摘するUEFAも、指摘されるFIFAにもビジョンがなく、しかも公共性という視点が欠けていた為、いわゆる「あぶく銭」がFIFAにたまり始めたという<ref name="nikkei_20160229"/>。
 
さらに、[[1994 FIFAワールドカップ|1994年のアメリカでのFIFAワールドカップ]]で、アメリカの内国歳入庁から「事業税」の支払いを求められたことがきっかけで、スイスでの「公益法人」の登録がしていなかったことが明らかになり、[[1998 FIFAワールドカップ|1998年のフランスでのFIFAワールドカップ]]に備え、急きょ、1995年に公益法人登録を行った為、後日、FIFAの理事は、いわゆる「みなし公人」として、司法の糾弾を受けることになるとは思ってもいなかったのではないかと指摘している<ref name="nikkei_20160229"/>。
== 関連した問題 ==
[[2010 FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選|2010年のFIFAワールドカップのヨーロッパ予選]]において、アイルランド対フランスの試合で、[[ティエリ・アンリ]]のハンドの反則を審判が取らずに、試合に敗れたアイルランドのサッカー協会に対して、FIFAから法的手段に打って出ないように、500万ユーロ(日本円でおよそ6億円)の資金提供が行われていたことを、アイルランドサッカー協会のディレイニー会長がアイルランドの公共放送であるRTEラジオの番組に出演して明らかにした<ref>{{Cite news |title= 反則抗議後にFIFAから多額の資金|newspaper= NHK|date= 2015-06-05|author= |url= http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150605/k10010103921000.html|accessdate=2015-06-05}}</ref>。
 
FIFAが2015年6月4日に明らかにした声明によれば、提供した資金は当初500万ドル(日本円でおよそ6億2200万円)としていたが<ref>{{Cite news |title= W杯誤審、FIFAが金で黙らせた 敗退のアイルランド|newspaper= 朝日新聞|date= 2015-06-05|author= ロンドン=渡辺志帆|url= http://www.asahi.com/articles/ASH653DK4H65UHBI00H.html|accessdate=2015-06-05}}</ref>、アイルランドサッカー協会からの指摘を受け、通貨単位をドルからユーロに訂正した<ref>{{Cite news |title= FIFA また汚職発覚…“誤審”口封じに7億円支払う |newspaper= スポーツニッポン|date= 2015-06-06|author= |url= http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2015/06/06/kiji/K20150606010486080.html|accessdate=2015-06-06}}</ref>。
 
また、FIFAは2015年6月4日付の声明で、「(支払った金銭は)アイルランドのスタジアム建設のために貸し付けたものだ」とした上で、「アイルランドがその次のワールドカップ大会の予選を勝ち抜けば返金されることで合意していた」としている<ref>{{Cite news |title= FIFA、誤審で本大会出場逃したアイルランドに資金提供 |newspaper= TBS|date= 2015-06-05|author= |url= http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2510481.html|accessdate=2015-06-05}}</ref>。また、アイルランドサッカー協会は6月5日付をもって、FIFAから貸付金として受け取った500万ユーロの返済義務が無くなったことについての経緯を明らかにし、それと共に、銀行口座の記録に加え、返済不要が認められた文書の資料について公表した<ref name="sankei_20150605">{{Cite news |title= 【FIFA汚職】500万ユーロ支払い経緯公表 W杯南ア大会欧州予選フランス戦での「誤審」 アイルランド協会|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-06-06|author= |url= http://www.sankei.com/sports/news/150606/spo1506060016-n1.html|accessdate=2015-06-06}}</ref>。アイルランドサッカー協会はアイルランドのケニー首相に対して、この件について詳しい説明を求められた<ref name="sankei_20150605"/>。
 
== 他の疑惑 ==
2015年6月3日にFIFA元理事のチャック・ブレイザーがFIFAワールドカップの2010年の南アフリカ大会の開催地の決定を巡って賄賂を受け取った事に加え、1998年のフランス大会の開催地の決定を巡り、賄賂を受け取ったことを認める証言をしたことがわかった<ref>{{Cite news |title= FIFA元幹部、収賄認める W杯開催地決定巡り|newspaper= 日本経済新聞|date= 2015-06-04|author= ニューヨーク=高橋里奈|url= http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK04H02_U5A600C1000000/|accessdate=2015-06-04}}</ref>。これは2013年にブレーザー氏がアメリカで訴追され、同じ年に法廷で行った「有罪答弁」というもので、賄賂を受け取ることを、それぞれの理事が合意をしていたという風に証言をしていたという<ref>{{Cite news |title= FIFA元理事、賄賂認める=W杯仏・南アフリカ大会招致で|newspaper= |date= 2015-06-04|author= |url= http://www.jiji.com/jc/c?g=spo&k=2015060400107|accessdate=2015-06-04}}</ref>。容疑が詳しく書かれている裁判所の文書では、ある共犯者がフランスと共に招致活動をしていたモロッコから賄賂を受け取り、その際に、ブレイザー元理事も同席しており、「1998年W杯の開催国決定をめぐり、1992年前後にほかの人物と共謀して賄賂の授受を促すことに合意した」と証言<ref name="afp_20150604">{{Cite news |title= FIFA元理事、1998年と2010年のW杯招致での賄賂受諾を認める|newspaper= AFPBB News|date= 2015-06-04|author= |url= http://www.afpbb.com/articles/-/3050724|accessdate=2015-06-04}}</ref>。しかし、FIFAワールドカップのフランス大会の組織委員長だったジャック・ランベールは4日に、「フランスの招致チームは何の不正も犯していないと確信している」として、指摘された疑いについて否定をしている<ref>{{Cite news |title= フランスW杯組織委員長、あらゆる不正の存在を否定|newspaper= AFPBB News|date= 2015-06-05|author= |url= http://www.afpbb.com/articles/-/3050872|accessdate=2015-06-05}}</ref>。
 
2015年6月3日に連邦裁判所が公表した文書によれば、ブレイザー元理事は、北中米カリブ海の王者を決する[[CONCACAFゴールドカップ]]という大会で1996年・1998年・2000年・2002年・2003年のそれぞれの大会の放送権利の見返りに、共犯者らと「賄賂やキックバックの授受に合意した」という趣旨の容疑を認めているという<ref name="afp_20150604"/>。
 
また、2011年に行われたFIFA会長選に際し、アジアサッカー連盟の幹部でもあった立候補者から、ワーナーに対し、およそ4500万円が送金され、マネーロンダリングが行われ、その上で、他の協力者に対してもリベートをしていた<ref name="jiji_20150529"/>。起訴状によれば、具体的にはジャック・ワーナー元副会長が、2011年6月のFIFA会長選に向け立候補を表明していたその時の幹部の依頼を受けて、投票権を持つメンバーを集めた臨時の会議を開き、投票の呼びかけを支援した際、かつての幹部は1人当たりで500万円の現金が入った封筒を用意して、ワーナーが「別の部屋にお土産がある」とメンバーに告げ、現金を持ち帰らせたという<ref>{{Cite news |title= FIFA元副会長 会長選で票取りまとめ支援か|newspaper= NHK|date= 2015-05-28|author= |url= https://web.archive.org/web/20150528095637/http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150528/k10010094661000.html|accessdate=2015-05-28}}</ref>。
 
また、アメリカの司法当局が2014 FIFAワールドカップブラジル大会についてのスポンサー活動に関する捜査を進めると2015年6月4日付のエスタド・ジ・サンパウロという地元の新聞に報じられた<ref name="nikkei_20150606"/>。
 
ブラジルサッカー連盟のリカルド・テイシェイラ元会長が、ブラジルのマーケティング会社の幹部が名義になっているマンションを市場価格に対して、値段を大幅に下げて購入したという疑惑が持たれている<ref name="jiji_20150602_2"/>。
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== FIFA関係者の動き ==
=== ブラッター会長の動き ===
2015年6月2日、アメリカの司法当局がFIFAのブラッター会長を捜査の対象に加えている事がわかり<ref>{{Cite news |title= サッカー=FBIがブラッターFIFA会長を捜査、米ABC報道|newspaper= ロイター|date= 2015-06-03|author= |url= http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0OI2TV20150603|accessdate=2015-06-03}}</ref><ref name="mainichi_20150603_2">{{Cite news |title= FIFA:ブラッター会長、引責辞任へ 米紙「捜査対象」|newspaper= 毎日新聞|date= 2015-06-03|author= ローマ福島良典|url= http://mainichi.jp/sports/news/20150603k0000e030156000c.html|accessdate=2015-06-03}}</ref><ref name="afpbb_20150603">{{Cite news |title= FIFA汚職事件、FBIがブラッター会長を捜査 米報道|newspaper= AFPBB News|date= 2015-06-03|author= |url= http://www.afpbb.com/articles/-/3050637|accessdate=2015-06-03}}</ref><ref name="asahi_20150603">{{Cite news |title= ブラッター氏も捜査対象か 汚職事件で米メディア報道|newspaper= 朝日新聞|date= 2015-06-03|author= ワシントン=中井大助|url= http://www.asahi.com/articles/ASH6325JRH63UHBI00F.html|accessdate=2015-06-03}}</ref>、その同じ日である、2015年6月2日に、5月28日にFIFA会長選で5回目の当選を果たしたばかりだった、FIFAのブラッター会長が辞意を表明した<ref name="nikkei_20150603">{{Cite news |title= FIFA会長が辞任へ 後任選びの臨時総会12月にも|newspaper= 日本経済新聞|date= 2015-06-03|author= ジュネーブ=原克彦|url= http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK02H6N_S5A600C1000000/|accessdate=2015-06-03}}</ref>。ブラッター会長は[http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2015060300093 声明]の中で「FIFAとサッカーに最善のことだけをしたい」と述べ、「FIFAのメンバーに(会長の)任務を与えられたが、ファンや選手らを含むすべてのサッカー界から与えられた任務ではないと感じた」として、今回の汚職事件の責任をとるべきという外部の意見に配慮した形となった<ref name="nikkei_20150603"/>。
 
しかし、12月のFIFA会長選までブラッター氏が会長職を務めることについては2015年6月5日にFIFAのヨハンソン元副会長が「彼はすぐに去るべきだ。われわれはクリーンであることを求められている」と述べたり、汚職を監視しているNGO法人の[[トランスペアレンシー・インターナショナル]]も「ブラッター会長は新しいFIFAを監督することはできない。今退陣すべきだ」との声明を発表したりと、早期退陣を求める意見がある<ref>{{Cite news |title= 「すぐに去るべきだ」FIFA会長辞意のブラッター氏に早期退陣要求高まる|newspaper= サンケイスポーツ|date= 2015-06-06|author= |url= http://www.sanspo.com/soccer/news/20150606/sci15060618210018-n1.html|accessdate=2015-06-06}}</ref>。しかも、ブラッター会長が受け取る退職金が1020万ポンド(日本円でおよそ19億4820万円)、年金の方も40万ポンド(日本円でおよそ7640万円)となっていて、これを報じた2015年6月5日付のイギリスの新聞であるザ・サンは「汚職疑惑の責任を取らされる形で辞任するにもかかわらず、超破格の退職金などを受け取れば、サッカー・ファンのさらなる怒りを買うだろう」と指摘している<ref>{{Cite news |title= ブラッター会長、FIFA退職金19億円!超破格待遇に反発必至|newspaper= スポーツ報知|date= 2015-06-07|author= チェスター(英国)6日=森昌利|url= http://www.hochi.co.jp/soccer/world/20150606-OHT1T50231.html|accessdate=2015-06-07}}</ref>。
 
これについては、2015年5月29日に行われたFIFA総会にてFIFA副会長の就任を承認されたものの、「ブラッター会長の指導力を信頼できない」という理由で2015年5月30日に辞意を示していた、イングランドサッカー協会のギル氏がFIFA副会長の復帰を考えることをイングランドサッカー協会の公式サイトにて明らかにし、「私の辞任は公式に承認されておらず、FIFAに明るい未来をもたらす手助けを喜んでしたい」としていた<ref>{{Cite news |title= ギル氏がFIFA副会長復帰を再考 ブラッター会長辞任を受け |newspaper= 日本経済新聞|date= 2015-06-03|author= |url= http://www.nikkei.com/article/DGXLSSXK30065_T00C15A6000000/|accessdate=2015-06-03}}</ref>。
 
2015年6月7日付のドイツの新聞・ビルトが伝えているところによれば、FIFAが加盟している209のサッカー協会に対し、今回のブラッター会長の再選について、「感謝の意」を述べると同時に「総会後も依然としてFIFAは強い圧力の下にあり、私はFIFAへの圧力を取り除くために会長職からの退任を決めた。FIFAという機関とサッカーそのものを保護するのが、私には大事だ」という趣旨の手紙をブラッター会長自身が送ったことを明らかにした<ref>{{Cite news |title= 辞任表明のFIFA会長が手紙 209加盟協会に|newspaper= 朝日新聞|date= 2015-06-07|author= |url= http://www.asahi.com/articles/GCO2015060701001811.html|accessdate=2015-06-08}}</ref>。
 
2015年6月13日付のスイスの日曜紙であるシュバイツ・アム・ゾンタークの電子版が、FIFAのブラッター会長に最も近い関係者の話として、ブラッター会長が辞意を撤回するのではないかと伝えている<ref name="sankei_20150614">{{Cite news |title= 【FIFA汚職】スイス紙、ブラッター会長に辞意撤回の可能性と報道|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-06-14|author= |url= http://www.sankei.com/sports/news/150614/spo1506140031-n1.html|accessdate=2015-06-15}}</ref>。また、この関係者は、FIFAに加盟しているアジアとアフリカの中にあるサッカー協会の中に、ブラッター会長を支援して、早く辞任することを阻もうとする動きがあって、ブラッター会長も続投を否定していないという<ref name="sankei_20150614"/>。しかも、2015年6月15日付のイギリスのスカイスポーツが、ブラッター会長に、最も近いアドバイザーで、この度の会長選挙で活躍をしていた側近の話として伝えたところによれば、FIFAのブラッター会長が、一転して、辞意を撤回した上で、会長にとどまる可能性があると語っていて、その根拠として、ブラッター氏自身が納得できる後任候補がいない場合、続投を検討するという<ref name="sankei_20150616">{{Cite news |title= 【FIFA汚職】ブラッター会長、辞意撤回も 英報道|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-06-16|author= |url= http://www.sankei.com/sports/news/150616/spo1506160001-n1.html|accessdate=2015-06-16}}</ref>。その理由として、このアドバイザーは「アジアとアフリカから支援のメッセージを受けた。現時点で語学力やサッカー界の知識においてブラッター会長と同レベルの候補者は出ていない」としている<ref name="sankei_20150616"/>。
 
これについて、2015年6月14日、FIFAの監査委員会のスカラ委員長は「ブラッター会長は辞任の約束を破るべきではない」と話している<ref>{{Cite news |title= FIFA会長 辞意撤回か|newspaper= テレビ東京|date= 2015-06-15|author= |url= http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/nms/news/post_91803|accessdate=2015-06-15}}</ref>。
 
2015年6月17日に、ゼップ・ブラッターがアメリカの弁護士で、かつての連邦検事だったリチャード・カレンと契約を締結した<ref>{{Cite news |title= サッカー=FIFAのブラッター会長、米有力弁護士を雇用|newspaper= ロイター|date= 2015-06-18|author= |url= http://jp.reuters.com/article/sportsNews/idJPKBN0OY01W20150618|accessdate=2015-06-18}}</ref>。
 
2015年6月26日に、ブラッター会長はスイスの新聞・ブリックでのインタビューで会長職について「辞任したわけではない」とした上で、「私自身のことも、事務所の処遇も、FIFA総会の判断にゆだねる」としていたが、6月27日のスイスの新聞である「Walliser Bote」のインタビューでは「私は候補者ではないが、選出された会長だ」とした上で、「会長職から身を引いた際にはどうするのか」については「現在のところはそれについて考えていない」とし「私の退任の決断は、FIFA、そして私自身を解放するものだ」とした<ref>{{Cite news |title= FIFAブラッター会長が再立候補を否定|newspaper= AFPBB News|date= 2015-06-28|author= |url= http://www.afpbb.com/articles/-/3052978|accessdate=2015-06-28}}</ref>。
=== ジャック・ワーナー元副会長の動き ===
FIFA元副会長のジャック・ワーナーが、2015年6月3日にトリニダード・トバゴでの国民に向けたスピーチを、テレビを通じて行い、この中で、FIFAとFIFAのゼップ・ブラッター会長に対して、2010年のトリニダード・トバゴの国政選挙に干渉していたことを主張して、それと共に、FIFAの汚職に関連した多くの証拠を明らかにする用意があると話している<ref name="WSJ_20150605">{{Cite news |title= ブラッター会長、トリニダード国政選挙にも干渉-FIFA元幹部が主張|newspaper= ウォール・ストリート・ジャーナル日本版|date= 2015-06-05|author= |url= http://jp.wsj.com/articles/SB11098407163782254164904581028643450375856|accessdate=2015-06-05}}</ref>。これは「戦う覚悟はできている」とのタイトルというビデオで述べたもので、「それ(証拠文書)はまた、FIFAを舞台にした国際取引についてのわたしの知識を扱っている。それはブラッター会長を含んでいるし、同会長だけにとどまらない。さらに、トリニダード・トバゴの現職首相に絡んだ他の事項も含んでいる」と話した<ref name="WSJ_20150605"/>。また、FIFAの資金とトリニダード・トバゴの統一国民議会に加え、2010年に行われたトリニダード・トバゴの総選挙において、「人民のパートナーシップ」という政府とのつながりを示す書類について、ファイルという形にまとめている事を明らかにした<ref name="AFP_20150605">{{Cite news |title= ワーナー元副会長「身の危険を感じている」―秘密の証拠の存在も示唆|newspaper= AFPBB News|date= 2015-06-05|author= |url= http://www.afpbb.com/articles/-/3050856|accessdate=2015-06-05}}</ref>。さらに、ジャック・ワーナー元副会長自身が、身の危険を感じていることについてもこのビデオでは明らかにしている<ref name="AFP_20150605"/>。この映像がテレビで放送された直後に、ワーナー氏は、自身が率いる政党の集会に参加して、この場でもFIFAの疑惑に対する捜査に協力するというのを改めて明らかにした<ref>{{Cite news |title= FIFA汚職 起訴の元副会長「ブラッター関与の取引も明かす」|newspaper= CNN Japan|date= 2015-06-05|author= |url= http://www.cnn.co.jp/showbiz/35065516.html|accessdate=2015-06-05}}</ref>。
 
2015年6月5日、FIFAのジャック・ワーナー元副会長は今回の汚職事件について、「とどのつまり、首相の全ての関心事は、手下が約束通り昇進するよう私を調教することだった。私は沈黙を破らなかったことで、トランペットを吹かなかったことで、政府の悪魔の策略を世に知らしめることをしなかったことで責められている。長い間沈黙し続けたが、これが最大の失敗だ。私の根本的な弱さであり、最も悲しむべき欠点だ」として、かつての盟友だった、カムラ・パサード・ビセッサー首相が率いている、[[トリニダード・トバゴ]]政府によっての陰謀だと非難した<ref>{{Cite news |title= 起訴のFIFA元会長、トリニダード・トバゴ政府の陰謀を主張|newspaper= AFPBB News|date= 2015-06-05|author= |url= http://www.afpbb.com/articles/-/3050934|accessdate=2015-06-05}}</ref>。
 
{{wikinews|ジャック・ワーナーFIFA元副会長に永久活動停止処分}}
2015年9月29日、FIFAの倫理委員会はジャック・ワーナー元副会長に対して、「サッカーに関するあらゆる活動を永久に禁じる処分」を下し、声明では「要職の立場を利用し、繰り返し職権を乱用してきた」としている<ref>{{Cite news |title=ワーナー元副会長を永久追放=FIFA|newspaper=時事通信|date=2015-09-29|author=<!-- 記事の執筆者 --> |url=http://www.jiji.com/jc/zc?k=201509/2015092900941|accessdate=2015-10-03}}</ref>。
== FIFAとの関係見直しの動き ==
2015年6月12日、国際刑事警察機構(ICPO)は、今回の事件を受けて、「スポーツの綱紀粛正に向けたプログラム」について、FIFAから提供を受けた資金の利用を止めると発表<ref name="sankei_20150612">{{Cite news |title= 【FIFA汚職】インターポールがFIFA資金の利用を停止 八百長防止事業などで2千万ユーロ受領の協約|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-06-12|author= |url= http://www.sankei.com/world/news/150612/wor1506120049-n1.html|accessdate=2015-06-13}}</ref>。今回の決定についてはFIFAとの距離を置くというのが目的<ref name="sankei_20150612"/>だが、すぐさま、FIFAが声明の中で、「失望している」とした上で「事業へのわれわれの協力は、国境を越えた八百長問題の取り組みにおいて重要な役割を果たしてきた。事業と汚職事件とは関係がない」とした<ref>{{Cite news |title= FIFAが声明 ICPOに「失望。事業と汚職事件とは関係がない」|newspaper= スポーツニッポン|date= 2015-06-13|author= |url= http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2015/06/13/kiji/K20150613010534240.html|accessdate=2015-06-13}}</ref>。
 
2015年6月15日、ノーベル平和センターは、FIFAとの関係を打ち切ると発表した<ref name="nikkei_20150616">{{Cite news |title= ノーベル平和センター、FIFAとの連携打ち切り 慈善事業巡り|newspaper= 日本経済新聞|date= 2015-06-16|author= ジュネーブ=原克彦|url= http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM16H0D_W5A610C1EAF000/|accessdate=2015-06-16}}</ref>。ノーベル平和センターの発表によると、理事会が「状況が許す限り早くFIFAとの協力関係を終えるよう事務局に求めた」とされていて、詳しい理由については明らかにされていないが、今回明らかになったFIFAの汚職事件に配慮した形になった<ref name="nikkei_20150616"/>。ノーベル平和センターではこの3年にわたり、FIFAのゼップ・ブラッター会長が提唱していた「Handshake for Peace(平和のための握手)」とする世界平和に対する取り組みについて後押しをしていた<ref>{{Cite news |title= サッカー=ノーベル平和センター、FIFAとの提携解消|newspaper= ロイター|date= 2015-06-16|author= |url= http://jp.reuters.com/article/sportsNews/idJPKBN0OW01X20150616|accessdate=2015-06-16}}</ref>。
== 各国の捜査の動き ==
=== アルゼンチン ===
また、アルゼンチンの裁判所は2015年5月28日、アルゼンチン出身であるスポーツ企業の関係者5人のうち、3人の逮捕を命じた為、司法当局が捜査を開始<ref name="nhk_20150529">{{Cite news |title= アルゼンチン、3人の逮捕を命令…FIFA汚職|newspaper= 読売新聞|date= 2015-05-29|author= ニューヨーク=水野哲也|url= http://www.yomiuri.co.jp/sports/soccer/foreign/20150529-OYT1T50064.html|accessdate=2015-05-29}}</ref>。この3人は6月にチリで行われることになっている南米選手権の放映権獲得に向け、スポンサーの権利をめぐって便宜を図ってもらい、その見返りに、FIFAの傘下にある南米サッカー連盟の幹部らに対して、4000万ドル(日本円でおよそ50億円)の賄賂を渡したとされている<ref>{{Cite news |title= 【FIFA汚職】アルゼンチン、代理店幹部3人に逮捕状|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-05-29|author= |url= http://www.sankei.com/world/news/150529/wor1505290023-n1.html|accessdate=2015-05-29}}</ref>。その額は4000万ドル(日本円でおよそ50億円)になる<ref>{{Cite news |title= FIFA事件 アルゼンチンでも捜査開始|newspaper= NHK|date= 2015-05-29|author= |url= https://web.archive.org/web/20150529040652/http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150529/k10010095151000.html|accessdate=2015-05-29}}</ref><ref name="jiji_20150530">{{Cite news |title= アルゼンチン警察が家宅捜索=中南米各国も不正解明へ-FIFA汚職|newspaper= 時事通信|date= 2015-05-30|author= |url= http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2015053000204|accessdate=2015-05-30}}</ref>。また、贈賄の疑いでブエノスアイレスのイベント会社の役員も捜査の対象に含まれている<ref name="nikkei_20150606">{{Cite news |title= FIFA汚職、南米でも捜査広がる ブラジル・ベネズエラなど|newspaper= 日本経済新聞|date= 2015-06-06|author= サンパウロ=宮本英威|url= http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM06H1Q_W5A600C1FF8000/|accessdate=2015-06-06}}</ref>。
 
また、アルゼンチンの政府は、脱税の疑いでも捜査を開始<ref name="nhk_20150529"/>。アルゼンチンの警察当局は2015年5月29日に、アルゼンチンの2つのスポーツ関連代理店を家宅捜索し、国際刑事警察機構(ICPO)の求めに応じて、財務資料を押収した<ref>{{Cite news |title= FIFAの汚職事件 アルゼンチンのスポーツ代理店を捜索 |newspaper= スポーツニッポン|date= 2015-05-30|author= |url= http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2015/05/30/kiji/K20150530010445530.html|accessdate=2015-05-30}}</ref>。
 
2015年6月18日、アメリカで起訴されたアルゼンチンのスポーツ代理店幹部2人が、ブエノスアイレスの裁判所に出頭し、この2人は70歳と40歳の親子で、いずれも、アメリカが求める引き渡しに対して、抵抗することにしていて、自宅での軟禁を要求している<ref>{{Cite news |title= 【FIFA汚職】代理店幹部2人が出頭|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-06-19|author= |url= http://www.sankei.com/world/news/150619/wor1506190015-n1.html|accessdate=2015-06-19}}</ref>。
 
=== ブラジル ===
ブラジルでも、ブラジル連邦議会の上院で、事件が明らかになって1日後の2015年5月28日、ブラジルサッカー連盟の不正を独自に調べる、議会調査委員会の設置を承認<ref>{{Cite news |title= FIFA:入金184億円の出所は? ブラジルが独自捜査|newspaper= 毎日新聞|date= 2015-06-03|author= サンパウロ朴鐘珠|url= http://mainichi.jp/sports/news/20150604k0000m050072000c.html|accessdate=2015-06-04}}</ref>。この調査委員会はブラジルの連邦警察とブラジル司法省の3つの機関と合同で調べを行う<ref name="mainichi_20150603_2"/>。
 
それに、2014年に行われたFIFAワールドカップの組織委員会の会長だったブラジルサッカー連盟の前会長ジョゼ・マリア・マリンに加え、スポーツ会社会長の2人がアメリカの司法当局に対して、組織的不正の疑いで起訴され、これを受けてブラジルの司法当局は5月28日に、ブラジルサッカー連盟の幹部が関わっている汚職事件についても、ブラジル国内での捜査を行うと発表、そのために、かつて放映権を扱った企業と締結した契約書の提出をブラジルサッカー連盟から受けて、捜査を始めた<ref>{{Cite news |title= FIFA巡る事件 捜査は各国に広がる|newspaper= NHK|date= 2015-05-29|author= |url= https://web.archive.org/web/20150530105824/http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150529/k10010095371000.html|accessdate=2015-05-30}}</ref>。
 
また、ブラジルの警察が今回の事件での違反行為について捜査を始めているとブラジルのカルドゾ法相が2015年5月28日に明らかにしていて<ref>{{Cite news |title= ブラジル法相「厳格に対処」=FIFA汚職、警察が捜査|newspaper= 時事通信|date= 2015-05-29|author= |url= http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2015052900460|accessdate=2015-05-29}}</ref>、ブラジルの警察当局が、現地のスポーツマーケティング企業を強制捜査を行い、この事件に関係した資料を押収した<ref>{{Cite news |title= FIFA:5選ブラッター氏「あるべき姿に戻す義務」|newspaper= 毎日新聞|date= 2015-05-30|author= チューリヒ宮川裕章|url= http://mainichi.jp/sports/news/20150530k0000e050176000c.html|accessdate=2015-05-30}}</ref>。
 
また、2015年5月29日には、マリン前[[ブラジルサッカー連盟]]会長の逮捕を受けて、司法相や警察が今後の捜査方針について協議を行い、また、ブラジルの税務当局も脱税が有るかどうかを調べるため、アメリカ司法省に対して情報の提供を要請した<ref name="jiji_20150530"/>。
 
ブラジル警察はマネーロンダリングの容疑で、ブラジルサッカー連盟のリカルド・テイシェイラ元会長の捜査を6月1日に始めた<ref name="jiji_20150602_2">{{Cite news |title= 元サッカー連盟会長を捜査=FIFA汚職とも関連か-ブラジル|newspaper= 時事通信|date= 2015-06-02|author= |url= http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2015060200392|accessdate=2015-06-02}}</ref>。ブラジルの金融活動監視審議会は、テイシェイラ元会長が2009年から2012年の間に、合わせておよそ4億6500万レアル(日本円でおよそ181億円)を海外の銀行口座とブラジルの国内口座間で資金の移動を行っていたことを把握している<ref>{{Cite news |title= ブラジルサッカー連盟元会長を脱税などで捜査|newspaper= 読売新聞|date= 2015-06-03|author= リオデジャネイロ=吉田健一|url= http://www.yomiuri.co.jp/sports/soccer/foreign/20150603-OYT1T50059.html?from=ycont_latest|accessdate=2015-06-03}}</ref><ref name="nikkei_20150606"/>。かつてのサッカーブラジル代表のフォワードで、現在は国会議員としてブラジルサッカー連盟を批判してきたロマリオは、ブラジルの国会上院内にて調査委員会を発足させ「この機会を逃してはならない。ブラックボックスを分解したい」と厳しい追及を行うことになっている<ref name="sponichi_20150602_2">{{Cite news |title= FIFA汚職 王国に波紋 腐敗浮かび上がるブラジル|newspaper= スポーツニッポン|date= 2015-06-02|author= |url= http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2015/06/02/kiji/K20150602010465680.html|accessdate=2015-06-02}}</ref>。
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ブラジル出身のアベランジェFIFA前会長やブラジルサッカー連盟・元会長でFIFA元理事のテイシェイラも、過去に収賄の疑惑が持たれ、調査対象とされた<ref name="sponichi_20150602"/>。その為、ブラジルのルセフ大統領は「必要ならすべての大会を捜査対象にすべきだ」と主張<ref name="sankei_20150530_6">{{Cite news |title= 【FIFA汚職】捜査は世界規模に拡大 中南米、米国以外に英国、オーストラリアで実施|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-05-30|author= ニューヨーク=黒沢潤|url= http://www.sankei.com/world/news/150530/wor1505300043-n1.html|accessdate=2015-05-30}}</ref>。
=== オーストラリア ===
2015年6月4日をもって、2022年のFIFAワールドカップ招致に絡んで、オーストラリアからFIFA側に50万オーストラリアドルを送られたことについて不審な点があるとして、オーストラリアの警察でも捜査を始めていて<ref name="sankei_20150530_6"/>、警察が発表した声明では「現在、オーストラリアサッカー連盟からFIFAへの公金の不正支出の申し立てを調査している」としている<ref name="afp_20150604_2"/>。オーストラリアサッカー連盟のフランク・ローフィー会長が中南米カリブサッカー連盟がワーナー氏の地元・トリニダード・トバゴの中核研究拠点に対して、400万オーストラリアドル(およそ4億8000万円)の寄付を求めたが、オーストラリアサッカー連盟とオーストラリアのFIFAワールドカップ招致委員会は共に50万オーストラリアドルの寄付を申し出たものの、この寄付金は中南米カリブサッカー連盟に渡った<ref name="afp_20150604_2"/>。そのため、最終的にワーナー氏自身が「不正を働き、公金を横領した」と、オーストラリア・サッカー連盟のフランク・ローウィー会長が2015年6月3日に明らかにした公開書簡では記してあった<ref name="afp_20150604_2">{{Cite news |title= 2022年オーストラリアW杯招致でFIFA元副会長が横領か|newspaper= AFPBB News|date= 2015-06-04|author= |url= http://www.afpbb.com/articles/-/3050799|accessdate=2015-06-04}}</ref>。
=== その他 ===
コスタリカでは、コスタリカサッカー協会の会長が起訴されていて、アメリカの司法当局と連携して、コスタリカサッカー協会会長がコスタリカで関わっているおよそ10の企業を中心を対象にして調べが行われることになっている<ref name="sankei_20150530_6"/>。
 
パラグアイの裁判所では2015年6月1日付で、アメリカに起訴されたFIFAのニコラス・レオス元理事を自宅軟禁の下に置くという決定を行った<ref name="sankei_20150602_3">{{Cite news |title= 【FIFA汚職】米で起訴の元理事を自宅軟禁 パラグアイ|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-06-02|author= |url= http://www.sankei.com/world/news/150602/wor1506020010-n1.html|accessdate=2015-06-02}}</ref><ref name="asahi_20150602_2">{{Cite news |title= レオス元南米サッカー連盟会長を逮捕 FIFA汚職事件|newspaper= 朝日新聞|date= 2015-06-02|author= 田村剛|url= http://www.asahi.com/articles/ASH622TN4H62UHBI008.html|accessdate=2015-06-02}}</ref>。アメリカ側はパラグアイ政府に対し、元理事の引き渡しを求めているが<ref name="asahi_20150602"/>、それに対し、ニコラス・レオス元理事はパラグアイの政府が引き渡しに応じるべきではないと語っている<ref name="sankei_20150602_3"/>。2015年6月11日、パラグアイ上院が、南米サッカー連盟本部の治外法権というのを剥奪させる法案を可決し、もし、大統領の署名で成立をすると、南米サッカー連盟本部の捜索が可能になるという<ref name="sankei_20150612_2"/>。
 
ベネズエラでは、2015年6月5日にベネズエラの検察が、カラカスにあるベネズエラサッカー連盟の本部に家宅捜索に入り、検察が発表した声明として、エスキベル・ベネズエラサッカー連盟の会長が持っている銀行口座の凍結を行い、それに加え、保有資産の売却を禁止したことを明らかにした<ref>{{Cite news |title= ベネズエラ連盟を家宅捜索=会長の銀行口座も凍結-FIFA汚職|newspaper= 時事通信|date= 2015-06-05|author= |url= http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2015060600102|accessdate=2015-06-05}}</ref>。
 
== 金融機関の動き ==
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スイスの金融大手であるジュリアス・ベアは今回の汚職事件によって、自社の口座が不正に利用されたかを確認するため、内部調査に着手<ref name="nikkei_20150618"/>。ジュリアス・ベアはアメリカ司法省の起訴状で、この口座が賄賂のやりとりに用いられていたと指摘<ref name="nikkei_20150618"/>。ジュリアス・ベアの広報担当は「内部調査を開始した。当局に全面的に協力している」と話している<ref>{{Cite news |title= スイスのジュリアス・ベア、内部調査を開始-FIFA汚職|newspaper= ブルームバーグ|date= 2015-06-18|author= |url= http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NQ4M1M6K50XV01.html|accessdate=2015-06-18}}</ref>。
 
2016年2月26日、アメリカの金融大手である[[シティグループ]]がこの事件に関して、ブルックリン連邦地検から召喚状を受け取っていたことを明かした<ref name="tokyo_20160227">{{Cite news |title= 米シティグループに召喚状 FIFA汚職で連邦地検|newspaper= 東京新聞|date= 2016-02-27|author= |url= http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016022701001414.html|accessdate=2016-02-27}}</ref>。これは、アメリカの証券取引委員会に提出された年次の届け出によって、明らかにされたもので<ref>{{Cite news |title= 米シティグループにNY連邦地検の召喚状-FIFAの汚職事件に絡み|newspaper= ブルームバーグ|date= 2016-02-27|author= |url= http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O373AA6JTSE801.html|accessdate=2016-02-27}}</ref>、受け取っていた時期はわからないが、シティグループ側がこの事件に関与したと思われる複数の「特定人物」に関連した取引情報の開示をブルックリン連邦地検から求められたため、シティグループはこの事件の捜査に協力した<ref name="tokyo_20160227"/>。
 
== 様々な反応 ==
アメリカ司法省のリンチ司法長官は2015年5月27日の会見で「ワールドカップを開催し、サッカーの清廉さを守る責任ある立場にありながら、サッカービジネスを腐敗させ、私腹を肥やしてきた」と批判<ref name="nhk_20150528">{{Cite news |title= FIFA 2010年W杯招致国が持ちかけか|newspaper= NHK|date= 2015-05-28|author= |url= https://web.archive.org/web/20150528035101/http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150528/k10010094311000.html|accessdate=2015-05-28}}</ref>。FBIのコミー長官は「サッカーは貧富に関係なく、男女を問わず誰でもが楽しめるスポーツだ。しかし、私腹を肥やそうとする者により、このスポーツがハイジャックされ、平らで美しいフィールドがねじ曲げられてきた。腐敗が一掃されるまで捜査は続く」と述べた<ref name="nhk_20150528"/>。また、アメリカの内国歳入庁の責任者は「これは、まさに『不正のワールドカップ』だ。そして、きょう、われわれはFIFAに対して[[レッドカード]]を提示した」と述べた<ref name="nhk_20150528"/>。
 
FIFAの[[ゼップ・ブラッター]]会長は2015年5月27日付けで声明を発表し、捜査に全面的に協力するとした上で「両当局(スイスとアメリカの当局)の調べはFIFAが既に取り組んできた不正撲滅を加速させる」との声明を出し、その上で「大勢の人が変化のスピードに不満を持っている」と認めた上で「私たちが行動を始め、取り組み続けていることを強調したい」と主張した<ref name="sponichi_20150527"/>。一方で、[[欧州サッカー連盟]]は理事会を開き「FIFAの文化が根底まで腐敗している証拠。FIFAは“再起動”する必要がある」と批判する声明を発表している<ref name="sponichi_20150527"/>。その上で、2015年5月29日に行われることになっているFIFA会長選挙の延期を求め、もし、延期しなければボイコットも検討<ref name="nikkei_20150528"/>。また、[[アジアサッカー連盟]]は2015年5月28日付で声明を発表して、「いかなる遅延にも反対する」と、会長選の実施を求めた<ref>{{Cite news |title= FIFA会長選「延期を」=欧州連盟事務総長|newspaper= 時事通信|date= 2015-05-28|author= |url= http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2015052800414|accessdate=2015-05-28}}</ref>。
 
2002年に行われた、[[ソルトレクシティオリンピック|ソルトレクシティ冬季オリンピック]]招致の不正が発覚して以来、IOC([[国際オリンピック委員会]])の浄化のために調査を主導して行ってきた弁護士のパウンド氏は2015年6月5日に、「事態はより根深く重大な状況で汚職、賄賂、資金洗浄とあらゆることが話題になっている」とした上で、ソルトレークシティーオリンピックでの不正を比較すると「審理を進めるには、はるかに複雑だ」と指摘している<ref>{{Cite news |title= 「FIFAの汚職はIOCより深刻」 五輪不正調査の弁護士語る|newspaper= スポーツニッポン|date= 2015-06-07|author= |url= http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2015/06/07/kiji/K20150607010493960.html|accessdate=2015-06-07}}</ref>。これに関連して、IOCのトーマス・バッハ会長は2015年6月6日に、イギリスのテレビ局である、スカイ・ニュースに出演して、国際サッカー連盟(FIFA)に対し、「FIFAにとって極めて大切なのは、信頼の回復だ。私にできる唯一の助言は、全力で改革に取り組み、この深刻な訴えに全力で向き合ってほしいということだけだ」と話し「15年前、同様の苦境を味わったとき、われわれは二つのことをした。メンバーに対する迅速な処分を実行し、10人の委員を追放、または引退させた。そして改革に乗り出した」とした上で、「われわれは、IOCが選び抜かれたアスリートで構成されていること、説明責任のシステムや開催国決定の厳格なルールを持っていること、透明性を高める改革を今も続けていることに大きな誇りを抱いている」と語った<ref>{{Cite news |title= IOC会長、FIFAの信頼回復は「ソルトレークの改革を参考に」|newspaper= AFPBB News|date= 2015-06-07|author= |url= http://www.afpbb.com/articles/-/3051002|accessdate=2015-06-07}}</ref>。2015年6月7日、IOC(国際オリンピック委員会)が理事会を開いて、FIFAのブラッター会長の辞意(後述)について議論を行った結果、「組織改革の行方を注視する方針」で一致を見た<ref name="sankei_20150608_2">{{Cite news |title= 【FIFA汚職】組織改革の行方を注視 バッハIOC会長「透明性が最重要」|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-06-08|author= |url= http://www.sankei.com/sports/news/150608/spo1506080018-n1.html|accessdate=2015-06-08}}</ref>。その上で、バッハ会長は「信頼回復へ透明性が最重要。FIFAが全力で改革に取り組んでほしい」と述べている<ref name="sankei_20150608_2"/>。また、IOCのアダムス広報部長は、今回の汚職事件について、捜査が続いている状況について、「IOCからFIFAに対する決定や提案はないが、密接な関係を続けて推移を見守りたい」とした<ref name="sankei_20150608_2"/>。
FIFAの[[ゼップ・ブラッター]]会長は5月27日付けで声明を発表し、捜査に全面的に協力するとした上で「両当局(スイスとアメリカの当局)の調べはFIFAが既に取り組んできた不正撲滅を加速させる」との声明を出し、その上で「大勢の人が変化のスピードに不満を持っている」と認めた上で「私たちが行動を始め、取り組み続けていることを強調したい」と主張した<ref name="sponichi_20150527"/>。一方で、[[欧州サッカー連盟]]は理事会を開き「FIFAの文化が根底まで腐敗している証拠。FIFAは“再起動”する必要がある」と批判する声明を発表している<ref name="sponichi_20150527"/>。その上で、29日に行われることになっているFIFA会長選挙の延期を求め、もし、延期しなければボイコットも検討<ref name="nikkei_20150528"/>。また、[[アジアサッカー連盟]]は5月28日付で声明を発表して、「いかなる遅延にも反対する」と、会長選の実施を求めた<ref>{{Cite news |title= FIFA会長選「延期を」=欧州連盟事務総長|newspaper= 時事通信|date= 2015-05-28|author= |url= http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2015052800414|accessdate=2015-05-28}}</ref>。
 
2015年6月11日、[[欧州議会]]は、FIFAのブラッター会長が即時に辞任し、直ちに臨時会長を選出するように求めるという趣旨の決議を採択した<ref>{{Cite news |title= ブラッター氏即時辞任要求 FIFA汚職で欧州議会|newspaper= スポーツニッポン|date= 2015-06-12|author= |url= http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2015/06/11/kiji/K20150611010527250.html|accessdate=2015-06-12}}</ref><ref name="nhk_20150612">{{Cite news |title= 欧州議会 FIFA会長即時辞任求める|newspaper= NHK|date= 2015-06-12|author= |url= http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150612/k10010111641000.html|accessdate=2015-06-12}}</ref>。その上で「一連の汚職疑惑は世界的な競技であるサッカーの信用を著しく損ねた」とという事で、FIFAに対して、透明性を高める目的での構造改革に取り組むように求めている<ref name="nhk_20150612"/>。また、FIFAの監査委員長が、もし、不正が立証されれば、2018年のロシア大会と2022年のカタール大会について、開催を中止する可能性についての考えを示したことを、欧州議会としても支持する方針で一致し、その上で、疑惑の全容解明のため、EU各国が当局の捜査に協力するように求めた<ref name="nhk_20150612"/>。
2002年に行われた、[[ソルトレークシティーオリンピック|ソルトレークシティー冬季オリンピック]]招致の不正が発覚して以来、IOC([[国際オリンピック委員会]])の浄化のために調査を主導して行ってきた弁護士のパウンド氏は6月5日に、「事態はより根深く重大な状況で汚職、賄賂、資金洗浄とあらゆることが話題になっている」とした上で、ソルトレークシティーオリンピックでの不正を比較すると「審理を進めるには、はるかに複雑だ」と指摘している<ref>{{Cite news |title= 「FIFAの汚職はIOCより深刻」 五輪不正調査の弁護士語る|newspaper= スポーツニッポン|date= 2015-06-07|author= |url= http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2015/06/07/kiji/K20150607010493960.html|accessdate=2015-06-07}}</ref>。これに関連して、IOCのトーマス・バッハ会長は6月6日に、イギリスのテレビ局である、スカイ・ニュースに出演して、国際サッカー連盟(FIFA)に対し、「FIFAにとって極めて大切なのは、信頼の回復だ。私にできる唯一の助言は、全力で改革に取り組み、この深刻な訴えに全力で向き合ってほしいということだけだ」と話し「15年前、同様の苦境を味わったとき、われわれは二つのことをした。メンバーに対する迅速な処分を実行し、10人の委員を追放、または引退させた。そして改革に乗り出した」とした上で、「われわれは、IOCが選び抜かれたアスリートで構成されていること、説明責任のシステムや開催国決定の厳格なルールを持っていること、透明性を高める改革を今も続けていることに大きな誇りを抱いている」と語った<ref>{{Cite news |title= IOC会長、FIFAの信頼回復は「ソルトレークの改革を参考に」|newspaper= AFPBB News|date= 2015-06-07|author= |url= http://www.afpbb.com/articles/-/3051002|accessdate=2015-06-07}}</ref>。6月7日、IOC(国際オリンピック委員会)が理事会を開いて、FIFAのブラッター会長の辞意(後述)について議論を行った結果、「組織改革の行方を注視する方針」で一致を見た<ref name="sankei_20150608_2">{{Cite news |title= 【FIFA汚職】組織改革の行方を注視 バッハIOC会長「透明性が最重要」|newspaper= 産経ニュース|date= 2015-06-08|author= |url= http://www.sankei.com/sports/news/150608/spo1506080018-n1.html|accessdate=2015-06-08}}</ref>。その上で、バッハ会長は「信頼回復へ透明性が最重要。FIFAが全力で改革に取り組んでほしい」と述べている<ref name="sankei_20150608_2"/>。また、IOCのアダムス広報部長は、今回の汚職事件について、捜査が続いている状況について、「IOCからFIFAに対する決定や提案はないが、密接な関係を続けて推移を見守りたい」とした<ref name="sankei_20150608_2"/>。
 
6月11日、[[欧州議会]]は、FIFAのブラッター会長が即時に辞任し、直ちに臨時会長を選出するように求めるという趣旨の決議を採択した<ref>{{Cite news |title= ブラッター氏即時辞任要求 FIFA汚職で欧州議会|newspaper= スポーツニッポン|date= 2015-06-12|author= |url= http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2015/06/11/kiji/K20150611010527250.html|accessdate=2015-06-12}}</ref><ref name="nhk_20150612">{{Cite news |title= 欧州議会 FIFA会長即時辞任求める|newspaper= NHK|date= 2015-06-12|author= |url= http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150612/k10010111641000.html|accessdate=2015-06-12}}</ref>。その上で「一連の汚職疑惑は世界的な競技であるサッカーの信用を著しく損ねた」とという事で、FIFAに対して、透明性を高める目的での構造改革に取り組むように求めている<ref name="nhk_20150612"/>。また、FIFAの監査委員長が、もし、不正が立証されれば、2018年のロシア大会と2022年のカタール大会について、開催を中止する可能性についての考えを示したことを、欧州議会としても支持する方針で一致し、その上で、疑惑の全容解明のため、EU各国が当局の捜査に協力するように求めた<ref name="nhk_20150612"/>。
== 脚注 ==
{{Reflist|3}}
292 ⟶ 371行目:
* [[ジェローム・バルク]]
* [[2016年FIFA臨時総会]]
* [[企業による犯罪事件の一覧]]
 
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