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ニキビに関し、直接言及されていない論文・文献等に基づく記述を除去。尋常性痤瘡治療ガイドラインに基づく記述追加。Wikipedia はアドバイスを行わない。要出典貼付など
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'''ニキビ'''('''面皰'''、{{Lang-en-short|acne, spots, zits}}, [[:en:Acne vulgaris|Acne vulgaris]])とは、[[皮膚]]の[[炎症]]性疾患。顔・胸・背に見られるものは、医学的に'''尋常性痤瘡'''(じんじょうせいざそう)、または単に'''痤瘡'''(ざそう)という。一般にニキビという語は青年の顔面に発生するものをいい、それ以外のものは'''吹き出物'''(ふきでもの)ということも多い。ニキビの語源は諸説ある<ref>[http://gogen-allguide.com/ni/nikibi.html ニキビ・面皰(にきび)] 語源由来辞典</ref>。
 
__TOC__
{{要出典範囲|11歳頃から罹患者が増加し、有病率のピークは15歳であることが多くの研究で一致している。10代後半から20代前半までは高率とみられる。日本皮膚科学会 ニキビ治療推進委員会の2011年の調査では、20代女性の97%が'''隠れニキビ'''であることが明らかとなった。|date=2016-5}}
 
2011年6月の12〜35歳を対象とした調査報告では、過去1年間にニキビ治療のために医療機関を受診した患者数は254万人と推定された。日本国内におけるニキビの罹患患者数は約1,500万人と推定された<ref name=galderma.jp_gkk20110627.pdf>{{cite web |title=「ニキビは皮フ科へ」の意識が進む受診患者数15%増 約7割が効果を実感 |url=http://www.galderma.jp/c_press-release/%E3%83%8B%E3%82%AD%E3%83%93%E6%B2%BB%E7%99%82%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E6%84%8F%E8%AD%98%E8%AA%BF%E6%9F%BBGKK20110627.pdf |work=www.galderma.jp |publisher=ガルデルマ株式会社 |date=2011-06-27 |accessdate=2016-05-14}}</ref>。
日本皮膚科学会 ニキビ治療推進委員会の2011年の調査では、20代女性の97%が'''隠れニキビ'''であることが明らかとなった。
 
2011201567月の12153539歳を対象とした調査報告では、過去1年間にニキビ治療のために医療機関を受診した患者数254万全体の3割(194/600 32.3%)であった。女性の方が約7%高い結果推定されなった。日本国内今回の調査対象の6割おけるニキビの罹患患者数は約1,500万人と推定され痕があった<ref name=galdermashionogi.jp_gkk20110627co.jp_150731.pdf>{{cite web |title=報道関係各位「ニキビは皮フ科へ」の意識が進む受診患経験数15%増を対象としたニキビ とニキビ痕に関する調査」より 約7割ニキビ経験者の多く効果、ニキビ治療実感軽視 |url=httphttps://www.galdermashionogi.co.jp/c_presscompany/news/2015/qdv9fu000000qveq-releaseatt/%E3%83%8B%E3%82%AD%E3%83%93%E6%B2%BB%E7%99%82%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E6%84%8F%E8%AD%98%E8%AA%BF%E6%9F%BBGKK20110627150731.pdf |work=www.galdermashionogi.co.jp |publisher=ガルデルマ株式会社、塩野義製薬株式会社 |date=20112015-0607-2731 |accessdate=2016-05-14}}</ref>。
 
ニキビでの皮膚科受診者数は女性の方が5倍多い。20代女性の皮膚科受診者数が顕著に多い。男性は20代に入ると皮膚科受診者数は減少する<ref>臨床統計 皮膚科専門医療機関における[ザ]瘡患者実態調査  川島 眞・赤松 浩彦・林 伸和 [他]  臨床皮膚科 62(9), 673-682, 2008-08 医学書院, {{DOI|10.11477/mf.1412102073}}</ref>。
2015年7月の15〜39歳を対象とした調査報告では、ニキビ治療のために医療機関を受診した人は全体の3割(194/600人 32.3%)であった。女性の方が約7%高い結果となった。今回の調査対象の6割にニキビ痕があった<ref name=shionogi.co.jp_150731.pdf>{{cite web |title=報道関係各位「ニキビ経験者を対象としたニキビ とニキビ痕に関する調査」より ニキビ経験者の多くが、ニキビ治療を軽視 |url=https://www.shionogi.co.jp/company/news/2015/qdv9fu000000qveq-att/150731.pdf |work=www.shionogi.co.jp |publisher=ガルデルマ株式会社、塩野義製薬株式会社 |date=2015-07-31 |accessdate=2016-05-14}}</ref>。
 
ニキビでの皮膚科受診者数は女性の方が5倍多い。20代女性の皮膚科受診者数が顕著に多い。男性は20代に入ると皮膚科受診者数は減少する<ref>臨床統計 皮膚科専門医療機関における[ザ]瘡患者実態調査 川島 眞・赤松 浩彦・林 伸和 [他] 臨床皮膚科 62(9), 673-682, 2008-08 医学書院</ref>。
 
== 原因と症状 ==
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時に[[ベーチェット病]]、[[Sweet病]](好中球性皮膚症)、[[潰瘍性大腸炎]]に伴う[[壊疽性膿皮症]]などの随伴症状であることがあり、注意を要する。<ref>岡田 定 編, 最速!聖路加診断術, p.17</ref>
 
[[上皮成長因子受容体]]{{enlink|Epidermal_growth_factor_receptor|EGDR}}の阻害剤である[[EGFRI]]は副作用で痤瘡様の皮膚障害が多発する。[[分子標的治療薬]]である[[セツキシマブ]]においては皮疹のグレードと生存期間の間に相関関係が知られている。患者(大腸がん)の全生存率が20パーセント以下になるのは、皮疹がない場合で6ヵ月以上に対して、グレード1の患者は13ヵ月以上、グレード2以上の患者17ヵ月以上であった。なお、皮疹グレード2以上と皮疹なしの患者の死亡のハザード比(HR:Hazard Ratio、危険率)は 0.33(p<0.001)<ref>三重大学医学部医学部付属病院 皮膚科・薬剤部 「分子標的薬 皮膚対策マニュアル2011」 p.29 /HRについてJonker DJ, et al.: N Engl J Med. 357(20): 2040-2048, 2007</ref>。
 
EGFRIによる痤瘡様の皮膚障害に対し、[[テトラサイクリン系抗生物質]]の内服は、禁忌でない限り予防的な使用は[[エビデンスレベル]]B2で推奨される<ref name="pmid22426526">{{cite journal |author=Bachet JB, Peuvrel L, Bachmeyer C, Reguiai Z, Gourraud PA, Bouché O, Ychou M, Bensadoun RJ, Dreno B, André T. |title=Folliculitis induced by EGFR inhibitors, preventive and curative efficacy of tetracyclines in the management and incidence rates according to the type of EGFR inhibitor administered: a systematic literature review. |journal=Oncologist. |volume=17 |issue=4 |page=555-68 |year=2012 |url=http://theoncologist.alphamedpress.org/content/17/4/555.full |pmc=3336835 |pmid=22426526 |doi=10.1634/theoncologist.2011-0365}}</ref>。根治療法としてはエビデンスレベルDで低い有効性<ref name="pmid22426526" />。
 
=== 疫学的調査 ===
サハラ砂漠以南のアフリカ諸国以外、世界的にニキビ有病率は増加傾向にある<ref name="pmc4769025">{{cite journal |author=Darren D Lynn, Tamara Umari,Cory A Dunnick, and Robert P Dellavalle. |title=The epidemiology of acne vulgaris in late adolescence |journal=Adolescent Health, Medicine and Therapeutics. |volume=7 |page=13-25 |date=2016-1-19 |url=https://www.dovepress.com/the-epidemiology-of-acne-vulgaris-in-late-adolescence-peer-reviewed-article-ahmt |pmc=4769025 |doi=10.2147/ahmt.s55832}}</ref>。特に東アジアほど有病率が高く、途上国より先進国で有病率が高い<ref name="pmc4769025" />。男性より女性で有病率が高く、15歳がピークとなっている<ref name="pmc4769025" />。10歳と20歳の有病率がほぼ同じ水準<ref name="pmc4769025" />。内因性アンドロゲンである[[テストステロン|ジヒドロテストステロン]](DHT)(DHT)は男性と女性でニキビの原因となりうる<ref name="pmc4769025" />。
 
2011年に行われたナイジェリアの南西部に位置する[[イバダン]]での調査報告<ref name="pmid26749364">{{cite journal |author=Okoro EO, Ogunbiyi AO, George AO, Subulade MO. |title=Association of diet with acne vulgaris among adolescents in Ibadan, southwest Nigeria. |journal=International Journal of Dermatology. |volume=114 |issue=3 |page=384-392 |date=2016-1-8 |url=https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ijd.13166/abstract |pmid=26749364 |doi=10.1111/ijd.13166}}</ref>。464人の学生のデータを分析した結果、被験者の標準偏差年齢は13.6歳(±3.6歳)、平均BMI指数は17.8kg/m2であり、合計299人(64(64.4%)が尋常性ざ瘡を有することが見出された<ref name="pmid26749364" />。ニキビが頻出していた人で報告が多かったのは、毎日牛乳を飲んでいる(72(72.6% vs. 62.0%; P=0.035)035)、 コーン(76(76.6% vs. 62.3%; P=0.016)016)、フライドビーフ(75(75.0% vs. 62.1%; P=0.042)042)、ケーキ(77(77.8% vs. 62.3%; P=0.012)012)<ref name="pmid26749364" />。ニキビが少ない学生に共通していたのは、毎日バナナを食べていた(55(55.3% vs. 67.6%; P=0.032)032)<ref name="pmid26749364" />。
 
中等度から重度のニキビが[[牛乳#調整した牛乳|無脂肪乳]]、チーズ、ヨーグルト、お菓子、ケーキ、チョコレート、1親等の肥満(BMI≥30)家族歴、牛乳の高摂取、魚の低摂取、果物・野菜の低摂取がニキビと関連している<ref name="pmid25438834">{{cite journal |author=Grossi E, Cazzaniga S, Crotti S, Naldi L, Di Landro A, Ingordo V, Cusano F, Atzori L, Tripodi Cutrì F, Musumeci ML, Pezzarossa E, Bettoli V, Caproni M, Bonci A; GISED Acne Study Group. |title=The constellation of dietary factors in adolescent acne: a semantic connectivity map approach. |journal=J Eur Acad Dermatol Venereol. |volume=30 |issue=1 |page=96-100 |date=2016 |pmid=25438834 |doi=10.1111/jdv.12878}}</ref>。
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牛乳の摂取量はニキビの有病率と重症度を増加させる研究報告がある<ref name="pmid20361171">{{cite journal |author=Ferdowsian HR, Levin S. |title=Does diet really affect acne? |journal=Skin Therapy Lett. |volume=15 |issue=3 |page=1-2 |month=March |year=2010 |pmid=20361171}}</ref>。乳製品やグリセミック指数が高い食品の影響があることを支持する説得力のあるデータが存在する<ref name="pmid20361171" />。
 
[[ハーバード大学]]公衆衛生学部が4,237人の男性を対象とした調査では、総ミルク1.16 ([[信頼区間|95%CL]] 1.01-1.34, p=0.77)、[[牛乳#無調整|全乳(2%)]]1.10(95%Cl 0.94-1.28, p=0.83)、[[牛乳#調整した牛乳|低脂肪乳(1%)]]1.17(9517(95%Cl 0.99-1.39, p=0.08)08)、[[牛乳#調整した牛乳|無脂肪乳]]1.19 (95%Cl 1.01-1.40, p=0.02)<ref name="pmid18194824">{{cite journal |author=Adebamowo CA, Spiegelman D, Berkey CS, Danby FW, Rockett HH, Colditz GA, Willett WC, Holmes MD. |title=Milk consumption and acne in teenaged boys. |journal=J Am Acad Dermatol. |volume=58 |issue=5 |page=787-793 |date=2008-5-5 |nihms=676489 |pmc=4391699 |pmid=18194824|doi=10.1016/j.jaad.2007.08.049}}</ref>。無脂肪乳の摂取量とニキビの間に正の関連を示している<ref name="pmid18194824" />。
 
ハーバード大学公衆衛生学部が47,355人の女性を対象とした調査では、総ミルク1.22(95%Cl 1.03-1.44, p=0.002)、全乳1.12(9512(95%Cl 1.00-1.25, p=0.56)56)、低脂肪乳1.16(9516(95%Cl 1.01-1.34, p=0.25)25)、無脂肪乳1.44(95%Cl 1.21-1.72, p=0.003)<ref name="pmid15692464">{{cite journal |author=Adebamowo CA, Spiegelman D, Danby FW, Frazier AL, Willett WC, Holmes MD. |title=High school dietary dairy intake and teenage acne. |journal=J Am Acad Dermatol. |volume=52 |issue=2 |page=207-214 |month=Febrary |year=2005 |pmid=15692464 |doi=10.1016/j.jaad.2004.08.007}}</ref>。インスタントの朝食と飲み物、[[シャーベット]]、[[カッテージチーズ]]、[[クリームチーズ]]もニキビと積極的に関連していた<ref name="pmid15692464" />。全乳と無脂肪乳の摂取がニキビと正の関連を示している<ref name="pmid15692464" />。
 
== 治療 ==
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一般的なにきび治療は、にきびができた部位を、日に1〜2回低刺激性のせっけんで洗うのが望ましい<ref name="mmh.ban" />。抗菌せっけんやスクラブ入りせっけんの使用は、有用な皮膚常在菌を過剰に洗い流し、且つ皮膚を刺激し悪化させる恐れがある<ref name="mmh.ban" />。
 
; 重症度判定 (尋常性痤瘡治療ガイドライン2016<ref name=GIDE_LINE2016>林伸和、赤松浩彦、岩月啓氏ほか、[https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/126/6/126_1045/_article/-char/ja/ 尋常性痤瘡治療ガイドライン2016] 本皮膚科学会雑誌 Vol.126 (2016) No.6 p.1045-1086, {{DOI|10.14924/dermatol.126.1045}}</ref>より引用)
* 軽 症 :片顔に炎症性皮疹が 5 個以下
* 中等症:片顔に炎症性皮疹が 6 個以上 20 個以下
* 重 症 :片顔に炎症性皮疹が 21 個以上 50 個以下
* 最重症:片顔に炎症性皮疹が 51 個以上
 
=== 医薬品による治療 ===
現在日本では、一般的に皮膚科で処方されるニキビ治療には外用の局所抗菌剤として、ダラシンゲル([[クリンダマイシン]])、[[ナジフロキサシン]]<sub>([[:en:Nadifloxacin|英]])</sub>の2種類のほか、殺菌作用を持つベピオ&reg;ゲル2.5%([[過酸化ベンゾイル]]; {{Lang-en-short|[[:en:Benzoyl peroxide|Benzoyl peroxide]]}} 23.50% w/w.)や[[抗炎症剤]]が使われている。外用の抗菌薬が効かない場合毛穴の詰まりを取る効果のある[[トレチノイン]]などを使うが、{{要出典範囲|トレチノインは日光に対し過敏になる作用があり慎重な処方が行われる必要がある|date=2016-2}}。2008年7月に[[アダパレン]](商品名ディフェリン&reg;ゲル0.1%)が日本で認可された(それまではアダパレンは自由診療もしくは個人輸入でしか用いられなかった。)。処方なしで入手できる物として、[[サリチル酸]]や[[レゾルシノール抗炎症剤]]、[[硫黄]]を含んだクリーム状の薬(軟膏)で、これらは吹き出ものを乾かす効果あるが、若干のか使用つきが生じ場合がある<ref name="mmh.ban">[http://mmh.banyu.co.jp/mmhe2j/sec18/ch204/ch204a.html にきび] メルクマニュアル家庭版</ref>
 
尋常性痤瘡治療ガイドラインでは、軽症ではアダパレン外用と抗菌剤外用を推奨している。<ref>林 伸和,ほか.: 日皮会誌. 2008:118;1893-1923.</ref>
外用の抗菌薬で治療効果が得られない場合、毛穴の詰まりを取る効果のある[[トレチノイン]]などを使用する。
 
処方なしで入手できる薬剤として、[[サリチル酸]]や[[レゾルシノール]]、[[硫黄]]を含んだクリーム状の薬(軟膏)で、これらは吹き出ものを乾かす効果があるが、若干のかさつきが生じる場合がある<ref name="mmh.ban">[http://mmh.banyu.co.jp/mmhe2j/sec18/ch204/ch204a.html にきび] メルクマニュアル家庭版</ref>。また、古くからある民間療法としては硫黄液がある。
古くからある民間療法としては、硫黄液がある。粉末硫黄(薬屋で沈降硫黄を取り寄せる)を薬瓶の中で水溶液にして(傷薬や美容液を加えても良し)、爪楊枝の柄を使用し患部に塗る方法である。硫黄は、吹き出物治療には大変有効である。硫黄が角質を軟化させ剥がれ易くすることで毛穴の目詰まりを防ぎ、皮脂抑制、乾燥効果などが得られのである。また、硫黄の黄色みが炎症の赤みを隠してくれる。硫黄の黄色みが目立たない様に薄く塗ることが肝要。擦るのではなく、被せる様に塗ること。
 
[[漢方薬]]の[[十味敗毒湯]]、[[荊芥連翹湯]]、[[麻杏ヨク甘湯|麻杏薏甘湯]]、[[抑肝散加陳皮半夏]]により治療効果があったとする報告もある<ref>[httphttps://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed/60/2/60_15560_2_155/_article/-char/ja/ 桜井 みち代, 石川 由香子, 大塚 吉則, 八重樫 , 宮坂 史路, 今井 純生, 本間 行彦: 漢方薬が奏効した脂漏性皮膚炎の5症例] 日本東洋医学雑誌, 60, 155-159, 2009, {{DOI|10.3937/kampomed.60.155}}</ref>。
 
==== 抗生物質内服療法 ====
[[ミノサイクリン]][[ドキシサイクリン]][[テトラサイクリン]][[エリスロマイシン]]などは、尋常性痤瘡(いわゆるニキビ)の治療に対して[[適応外処方]]であり、本来[[レセプト]]上は[[表在性皮膚感染症]]でなければ保険適用されない<ref>[http://www.fpmaj.gr.jp/koukinyaku.com/cgi-bin/topic/topic10.html 適応症 新旧一覧表(日本製薬団体連合会 抗菌薬検索システム2005年版)]、[http://www.fpmaj.gr.jp/koukinyaku.com/cgi-bin/pdf2/433.pdf 塩酸ミノサイクリン 現行承認内容(日本製薬団体連合会 抗菌薬検索システム2005年版)]</ref>。痤瘡の適応があるのは[[ロキシスロマイシン]](商品名:ルリッドなど)のみである。
 
[[システマティック・レビュー]]では、有効な治療法であることが示されたが、他の一般的なニキビ治療法よりも優れている証拠は無かった<ref name="pmid12535427">{{cite journal |author=Garner SE, Eady EA, Popescu C, Newton J, Li WA. |title=Minocycline for acne vulgaris: efficacy and safety. |journal=The Cochrane database of systematic reviews. |date=2003-1-20 |url=https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/14651858.CD002086/abstract |pmid=12535427 |doi=10.1002/14651858.CD002086}}</ref>。ミノサイクリンとドキシサイクリンがより重篤な有害作用と関連していることが示唆された<ref name="pmid12535427" />。第一線での治療法として正当化できる、信頼性のあるエビデンスは見つからなかった<ref name="pmid12535427" />。他の[[テトラサイクリン系抗生物質]]と比較して安全性に懸念が残る<ref name="pmid12535427" />。
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|}
 
==== イソトレチノイン内服療法 ====
{{see also|イソトレチノイン}}
海外でニキビ治療の主流となっている[[イソトレチノイン]]{{enlink|Isotretinoin}}は、日本では副作用の懸念から[[未承認医薬品]]となっている<ref name=www.mhlw.go.jp_accutane_>{{cite web |title=アキュテイン(ACCUTANE)(わが国で未承認の難治性ニキビ治療薬)に関する注意喚起について |url=http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/050609-1b.html |work=www.mhlw.go.jp |publisher=厚生労働省 |accessdate=2016-5-12}}</ref>。
 
海外で主流の[[イソトレチノイン]]内服療法によるとされる重篤な[[副作用#定義|有害事象]]は、先行して長期服用する抗生物質の影響が示唆されている<ref name="pmid25689814">{{cite journal |author=Nagler AR, Orlow SJ. |title=Dermatologists' attitudes, prescription, and counseling patterns for isotretinoin: a questionnaire-based study. |journal=J Drugs Dermatol. |volume=14 |issue=2 |page=184-189 |month=February |year=2015 |pmid=25689814}}</ref>。[[:en:MedWatch|FDA Medwatch Reports]]の有害事象レポートによると、1位の[[炎症性腸疾患]]、3位の[[潰瘍性大腸炎]]、5位の[[クローン病]](これらは[[IBD]]に分類される)、6位の[[過敏性腸症候群]]、などはイソトレチノインとの因果関係はメタ分析の結果、リスク増加とは関連付けられていない<ref name="pmid26545085">{{cite journal |author=Lee SY, Jamal MM, Nguyen ET, Bechtold ML, Nguyen DL. |title=Does exposure to isotretinoin increase the risk for the development of inflammatory bowel disease? A meta-analysis. |journal=Eur J Gastroenterol Hepatol. |volume=28|issue=2|page=210-216|month=February |year=2016 |pmid=26545085 |doi=10.1097/meg.0000000000000496}}</ref>。2位のうつ病、7位の自殺念慮、9位の不安、などの精神症状もイソトレチノインの影響ではなく、むしろ有意に[[ハミルトンうつ病評価尺度]]を減少させた<ref name="pmid26538692">{{cite journal |author=Gnanaraj P, Karthikeyan S, Narasimhan M, Rajagopalan V. |title=Decrease in "Hamilton Rating Scale for Depression" Following Isotretinoin Therapy in Acne: An Open-Label Prospective Study. |journal=Indian J Dermatol. |volume=60 |issue=5 |page=461-464 |date=2015-9 |url=http://www.e-ijd.org/article.asp?issn=0019-5154;year=2015;volume=60;issue=5;spage=461;epage=464;aulast=Gnanaraj;type=3 |pmc=4601412 |pmid=26538692 |doi=10.4103/0019-5154.164358}}</ref>。一方、ミノサイクリンは健常者の臨床試験において強い[[不安|状態不安]]が観察されている<ref name="pmid22808165">{{cite journal |author=Kato TA, Watabe M, Tsuboi S, Ishikawa K, Hashiya K, Monji A, Utsumi H, Kanba S. |title=Minocycline modulates human social decision-making: possible impact of microglia on personality-oriented social behaviors. |journal=PLoS One. |volume=7 |issue=7 |page=e40461 |month=July |year=2012 |pmid=22808165 |doi=10.1371/journal.pone.0040461}}</ref>。イソトレチノインの[[催奇性]]は動物実験で確認されているが製薬会社は当初、催奇性カテゴリCと設定していた。先行して長期服用するミノサイクリンやドキシサイクリンは強力な[[PARP-1阻害]]による抗癌作用があり催奇性カテゴリDである。
 
ミノサイクリンは[[Gタンパク質共役受容体]]への作用が確認されている<ref name="pmid26700245">{{cite journal |author=Yu R, Zheng L, Cui Y, Zhang H, Ye H. |title=Doxycycline exerted neuroprotective activity by enhancing the activation of neuropeptide GPCR PAC1. |journal=Neuropharmacology. |volume=103 |pages=1-15 |date=2016-4 |url=https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0028390815301969 |pmid=26700245 |doi=10.1016/j.neuropharm.2015.11.032}}</ref>。[[:en:Cannabinoid receptor type 2|カンナビノイド2受容体]]作用を有することも示唆されており<ref name="pmid23960212">{{cite journal |author=Lopez-Rodriguez AB, Siopi E, Finn DP, Marchand-Leroux C, Garcia-Segura LM, Jafarian-Tehrani M, Viveros MP. |title=CB1 and CB2 cannabinoid receptor antagonists prevent minocycline-induced neuroprotection following traumatic brain injury in mice. |journal=Neurology |volume=25 |issue=1 |pages=35-45 |month=Augsut |year=2013 |pmid=23960212 |doi=10.1093/cercor/bht202}}</ref>、消化器系の組織に直接作用し[[IBD]]が起こりうる<ref>[[:en:Cannabinoid receptor type 2#Gastrointestinal system|カンナビノイド2受容体-胃腸系]]</ref>。
 
==== 治療薬による副作用 ====
市販薬及び医療用医薬中に非ステロイド性外用薬として配合される[[イブプロフェンピコノール]]を含有する薬剤(軟膏)による接触皮膚炎の発生が報告されている<ref>[http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/report/t160/201110/521889.html 症例で学ぶ接触皮膚炎  Vol.5 市販のにきび治療薬で顔面が腫れる]日経メディカル オンライン 記事:2011.10.20 閲覧:2011.11.04</ref>。
 
=== 医薬品によらない治療 ===
内服薬では、皮膚の新陳代謝を促す[[リボフラビン|ビタミンB2]]、皮膚の抵抗力を高める[[ビタミンB6]]の他、色素沈着などを防ぐ為に[[ビタミンC]]を使用する。基本的に皮膚科での治療は上記に書かれたように保険適用の範囲内である外用の抗菌剤や抗炎症剤やビタミン剤だけであり、下記の美容行為は保険適用外であり治療費が高くなる。<!--ニキビが酷い場合ホルモン剤による治療もある、ホルモン剤([[ステロイド]]剤)の内服剤、外用剤を用る。-->{{要出典範囲|赤くなる前の段階(黒ニキビ、白ニキビ)を治療する薬は、海外にはあるが日本では認可されていない。しかし、その中には市販はされていないが開業医が自家調合することが可能な治療薬もある。|date=2015-12}}
 
1998年以降より[[リン酸ビタミンC]]などの[[ビタミンC誘導体]]、[[レチノイド]]のような[[ビタミンA誘導体]]、[[リン酸ビタミンE]]のような[[ビタミンE誘導体]]といった皮膚に直接吸収されやすいビタミンを成分とした薬剤の外用塗布によって、抗酸化作用によるニキビの改善や色素沈着の改善が国内外で継続的に報告されている<ref>池野宏「ビタミン療法の現状と課題」『フレグランスジャーナル』No.324, 35(8), 39-42, 2007-08, {{NAID|40015612271}}。</ref>。また、紅茶エキスによる治療効果も報告されている<ref>伊藤洋子  川嶋善仁「紅茶エキスによるニキビケア」『フレグランスジャーナル』 No.321, Vol.35(5), 42-46, 2007-05, {{NAID|40015493547}}</ref>。
 
海外の疫学的調査では、[[チョコレート]]など甘い食べ物はニキビの有病率を有意に高めていると示されている。他の調査でも、[[野菜]]や[[果物]]、[[魚]]などを多く摂取している者はニキビの有病率が有意に低いことが示されている。疫学的調査の項を参照。
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* [[扁平疣贅]](へんぺいゆうぜい)<ref>[http://www.dermatol.or.jp/qa/qa23/q03.html イボ(ウイルス性疣贅)には、どんな種類がありますか?] 日本皮膚科学会</ref>
* [[面疔]]
* [[毛嚢炎]]、[[マラセチア毛包炎]]<ref>[http://merckmanuals.jp/home/皮膚の病気/細菌による皮膚感染症/毛包炎と皮膚膿瘍.html 毛包炎と皮膚膿瘍] メルクマニュアル医学百科  家庭版</ref>
 
== 文化 ==
前述の通り、ニキビは人に恋し恋される青年や思春期に主に用いられる言葉であり、日本ではそれを表現する「思い面瘡思われ面皰」(おもいおもくさおもわれにきび)といった[[ことわざ]]も存在する。また、ニキビ治療薬[[クレアラシル]]の[[コマーシャルメッセージ|CM]]([[1986年]]、[[島田奈美]])では、「思い思われ振り振られ」([[額]]=思い、[[顎]]=思われ、[[頬|左頬]]=振り、右頬=振られ)という、ニキビの部位による[[恋]][[占い]]が登場したこともある。
 
== 参考文献 ==
* 林伸和、赤松浩彦、岩月啓氏ほか、[https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/126/6/126_1045/_article/-char/ja/ 尋常性痤瘡治療ガイドライン2016] 本皮膚科学会雑誌 Vol.126 (2016) No.6 p.1045-1086, {{DOI|10.14924/dermatol.126.1045}}
 
== 脚注 ==
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== 外部リンク ==
* [https://www.jstage.jst.go.jp/article/skinresearch/3/6/3_6_622/_article/-char/ja/ 西嶋攝子:ニキビの最近の治療] 皮膚の科学 Vol.3 (2004) No.6 P622-627, {{JOI|JST.JSTAGE/skinresearch/3.622}}
* 須貝哲郎、[http://dx.doi.org/10.11340/skinresearch1959.35.155 薬用アクネシリーズの皮膚安全性および座瘡に対する有用性の検討] 皮膚 Vol.35 (1993) No.1 P155-161, {{DOI|10.11340/skinresearch1959.35.155}}
* [http://www.drugsinfo.jp/2008/03/04-234814 ニキビ及び顔の湿疹の場合の化粧水・乳液の使用について] 医薬品情報21
* {{PDFlink|[http://www.galderma.jp/c_medical/2007_pdf/jda106_evening2.pdf ニキビ治療のブレークスルー]}}