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| GeneReviewsName = Autism overview
}}
'''自閉症'''(じへいしょう、{{lang-en|''Autism''}}<ref group="*注釈">'''自閉性障害'''とする場合、''Autistic DisordersDisorder''と英語表記する場合もある。ただし、通常は、[[自閉症スペクトラム]]の英訳である''AutisticAutism Spectrum DisordersDisorder''で"''AutisticAutism''"という単語を使うケースが一般的。</ref>)は、[[人間関係|社会性の障害]]や他者とのコミュニケーション能力に障害・困難が生じたり、こだわりが強くなる[[神経発達症|神経発生的障害]]の一種。[[先天性]]の脳機能障害である。幼少期に発症した場合は、[[小児期崩壊性障害]]とされるが、脳機能上の異常から[[認知障害]]の発症へといたる具体的なメカニズムについては未解明の部分が多い。時に、早期幼児自閉症小児自閉症、あるいまたはカナー自閉症と呼ばれることもある。
 
一般的には、[[広汎性発達障害]]における[[自閉症スペクトラム]]のうち、いわゆる'''従来型自閉症'''や'''古典的自閉症'''と呼ばれるもの(あるいはスペクトラムピラミッドの頂点に近いところに位置している状態, たとえば[[アスペルガー症候群]]が除外される)を、単に「自閉症」と称することが多い{{Sfn|サイモン・バロン・コーエン|2011|pp=21-22}}。
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<!-- Epidemiology -->
世界的には自閉症を持つ人は21702,170万人ほど(2013年)<ref name="Collab">{{cite journal |author = Global Burden of Disease Study 2013 Collaborators |title=Global, regional, and national incidence, prevalence, and years lived with disability for 301 acute and chronic diseases and injuries in 188 countries, 1990–2013: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2013.|journal=Lancet|year = 2015|pmid=26063472 |doi=10.1016/S0140-6736(15)60692-4}}</ref>。世界において,1000人あたり約1-2人が自閉症を持っているとされ、また男子には女子の5倍以上多い。
2014年の米国では児童の約1.5%(68人に1人)がASDと診断され、これは2012年比で30%も増加している<ref name="ASD Data and Statistics">{{cite web |url = http://www.cdc.gov/ncbddd/autism/data.html |title = ASD Data and Statistics |website = CDC.gov |accessdate= 5 April 2014 |archiveurl = https://web.archive.org/web/20140418153648/http://www.cdc.gov/ncbddd/autism/data.html |archivedate = 18 April 2014 }}</ref><ref name="MMWR2012">{{cite journal |vauthors = |title = Prevalence of autism spectrum disorders&nbsp;— autism and developmental disabilities monitoring network, 14 sites, United States, 2008 |journal = MMWR Surveill Summ |volume = 61 |issue = 3 |pages = 1–19 |year = 2012 |pmid = 22456193 |url = http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/ss6103a1.htm |archivedate = 25 March 2014 |archiveurl = https://web.archive.org/web/20140325235639/http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/ss6103a1.htm }}</ref><ref name="NHSR65">{{cite journal |vauthors = Blumberg SJ, Bramlett MD, Kogan MD, Schieve LA, Jones JR, Lu MC |title = Changes in prevalence of parent-reported autism spectrum disorder in school-aged U.S. children: 2007 to 2011–2012 |journal = Natl Health Stat Report |volume = |issue = 65 |pages = 1–11 |year = 2013 |pmid = 24988818 |url = http://www.cdc.gov/nchs/data/nhsr/nhsr065.pdf |archiveurl = http://www.webcitation.org/6JoG0uE7r|archivedate=21 September 2013 }}</ref>。英国の18歳以上成人においては1.1%であった<ref name=NHSEstimating>{{cite web |work= The Information Centre for Health and Social Care |publisher=National Health Service, UK |url=http://www.hscic.gov.uk/catalogue/PUB05061/esti-prev-auti-ext-07-psyc-morb-surv-rep.pdf |author= Brugha T, Cooper SA, McManus S |title= Estimating the prevalence of autism spectrum conditions in adults: extending the 2007 Adult Psychiatric Morbidity Survey |date= 31 January 2012 |accessdate= 29 December 2014|display-authors=etal}}</ref> 。
 
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* 意思伝達の質的な障害
** 話し言葉の発達に遅れがある。または全く話し言葉がない。
**:例:クレーン現象<ref group="*注釈">何かして欲しい事があった場合に、そのことを直接言葉では伝えず(伝えられず)、近くの人の手を引っ張って対象物の所まで連れていく行動。</ref>
** 言語能力があっても、他人と会話をし続けることが難しい。
**:例:一問一答の会話になってしまう。長文で会話ができない。
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**:例:特定の物、行動などに対する強い執着心。
** 特定の機能的でない習慣・儀式にかたくなにこだわる。
**:例:物を規則正しく並べる行動<ref group="*注釈">「規則」といってもあくまで本人の基準による「規則」の場合があり、健常者から見た場合、乱雑であったり、規則性が無いように見えることもある。</ref>。
**:例:水道の蛇口を何度も開け閉めする行動。
** 常同的で反復的な衒奇(げんき)的運動物体の一部に持続的に熱中する。
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自閉症者は様々な繰り返し行動、限定的行動をもっており、反復的行動尺度修正版(Repetitive Behavior Scale-Revised ,RBS-R)によるカテゴライズには以下がある<ref name="Lam-Aman">{{cite journal |authors = Lam KS, Aman MG |title = The Repetitive Behavior Scale-Revised: independent validation in individuals with autism spectrum disorders |journal = J Autism Dev Disord |volume = 37 |issue = 5 |pages = 855-66 |year = 2007 |pmid = 17048092 |doi = 10.1007/s10803-006-0213-z }}</ref>。
 
* '''[[常同症]]'''(Stereotypy)({{en|''Stereotypy''}})。手を叩く、首振り、体振りなどの反復運動。
* '''[[強迫性障害|強迫行為]]'''。モノの並び・積み上げがルールで一意であることにこだわるなど。
* '''同一性'''。変化に対する抵抗。たとえば家具を動かすことに抵抗・拒否する。
* '''儀式的行動'''。特定の機能的でない習慣や儀式。日常生活における不変パターン。たとえばメニューや服が決まっている。盛られたご飯を2つに分割して食べる。
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現在では先天性の脳機能障害によるとされており<ref>自閉症とはー高知自閉症協会http://wwb.jp/j-kochi/autism.htm</ref>、'''多くの遺伝的因子が関与'''すると考えられている。幼少期に発症した場合は、[[小児期崩壊性障害]]とされる。
現在では先天性の脳機能障害によるとされており<ref>自閉症とはー高知自閉症協会http://wwb.jp/j-kochi/autism.htm</ref>、'''多くの遺伝的因子が関与'''すると考えられている。フランス・[[パスツール研究所]]の研究チームが、[[フランス国立医学研究機構]]およびスウェーデン・[[ヨーテボリ大学]]と行った共同研究では、自閉症者の脳内で遺伝子「[[シャンク3]] (SHANK3)」に異常があることが指摘されている。ただし、研究チームからはシャンク3で自閉症の全ての症状を説明できるわけではないと警告が発せられており、主要な社会的障害についてある程度説明ができるかもしれないと述べるにとどまっている。また、ヒトの自閉症患者から見つかった[[シナプス]]タンパク質[[ニューロリギン]]の遺伝子変異を導入したマウスで自閉症症状が引き起こされることが確認されており<ref>{{cite journal|last=Tabuchi|first=K.|coauthors=<i>et al.</i>|journal=Science|year=2007|issue=318|doi=10.1126/science.1146221|pages=71-76|url=http://www.sciencemag.org/content/318/5847/71.full.pdf|title=*|format=PDF|accessdate=2012-05-10}}</ref>、この発見からシナプス異常と自閉症との関連が注目されている。日本でも[[理化学研究所]]の研究チームが、神経細胞の生存や分化に重要な神経栄養因子の分泌を調節する遺伝子(CAPS2遺伝子)の異常が、自閉症の発症メカニズムに関係しているとの研究成果を発表している<ref>[http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2007/070323/detail.html 自閉症に関連する遺伝子異常を発見 -自閉症の病因解明や早期診断に向けた新知見- 2007/3/23] 独立行政法人 [[理化学研究所]]</ref>。
 
自閉症などの認知障害は[[樹状突起スパイン]]の異常、特に[[スパイン]]の数と成熟度の結果として生じることがある。未熟なスパインは、[[シナプス]]の[[シグナル伝達]]を障害することから、スパインの未熟と成熟の比率は、シグナル伝達において重要である。[[脆弱X症候群]]は、皮質内の樹状突起に複数の[[糸状仮足]]を持っている未熟なスパインの過剰が特徴である<ref name="pmid21346746">{{cite journal |authers=Peter Penzes, Michael E Cahill, Kelly A Jones, Jon-Eric VanLeeuwen & Kevin M Woolfrey. |title=Dendritic spine pathology in neuropsychiatric disorders. |journal=[[:en:Nature Neuroscience]]. |volume=14 |issue=3 |pages=285-93 |date=2011-3 |url=http://www.nature.com/neuro/journal/v14/n3/full/nn.2741.html |doi=10.1038/nn.2741 |nihms=426936 |pmc=3530413 |pmid=21346746}}</ref>。
なお近年の米国の研究で、父親が中高年のときに授かった子供である場合に新生児が自閉症になりやすいという知見がある。同研究によると、父親が40歳以上の新生児は、自閉症や関連の症例が30歳未満の父親の場合の約6倍で、30〜39歳の父親と比較すると1.5倍以上であったとされている。一方、母親については、年齢が高い場合でも多少の影響を及ぼす可能性は排除できないものの、子供の自閉症に与える有意な影響は認められなかった<ref>{{cite journal |author=Reichenberg A, Gross R et al. |title=Advancing paternal age and autism. |journal=Arch Gen Psychiatry. |volume=63 |issue=9 |pages=1026-1032 |year=2006 |id=PMID 16953005}}</ref>。これらの研究では、得られた知見が社会的に晩婚になる男性の遺伝子特性であるのか、遺伝的個人差を問わず加齢が精子に及ぼした影響であるのかは、明らかにされていない。
 
他者の動作を観察している際に自分が動いている時と同じように反応する[[ミラーニューロン]]の活動低下の影響を指摘する説も存在する。カリフォルニア大学の[[ヴィラヤヌル・S・ラマチャンドラン|V・S・ラマチャンドラン]]とL・M・オバーマン (Lindsay M. Oberman) らのグループ、スコットランドのセントアンドリューズ大学のホイッテン (Andrew Whitten) らのグループは、ほぼ同じ時期に、対人スキルや共感の欠如、言語障害、模倣が上手く出来ない等の自閉症の特徴は、すべてミラーニューロンの機能不全と同じ特徴を持つとの説を発表した<ref>マルコ・イアコボーニ『ミラーニューロンの発見』塩原通緒訳、早川書房、2009年、212、213頁</ref>。<!--親に自閉的傾向があると、子の正常なミラーニューロンの働きが阻害されることがある。-->[[ヘパラン硫酸]]の関与を指摘する説もあるが、原因として確定的であるという段階にまでは至っていない。
 
=== ミクログリア仮説(ニューロン/グリア) ===
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; オキシトシン/オキシトシン受容体の関与
: ミクログリアの異常が[[オキシトシン]]/[[オキシトシン受容体]]媒介性ASDと同様の表現型へ進展する潜在的なメカニズムであることが示唆された<ref name="pmid26926566">{{cite journal |authors=Shinji Miyazaki, Yuichi Hiraoka, Shizu Hidema, Katsuhiko Nishimori. |title=Prenatal minocycline treatment alters synaptic protein expression, and rescues reduced mother call rate in oxytocin receptor-knockout mice. |journal=[[:en:Biochemical and Biophysical Research Communications]]. |volume=472 |issue=2 |pages=319-23 |date=2016-4-1 |url=http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006291X16302959 |doi=10.1016/j.bbrc.2016.02.109 |pmid=26926566}}</ref>。また、ミノサイクリン(経口 100mg/kg<ref group="注釈">マウス100mg/kg経口投与は、ヒト臨床用量の200mg経口投与と、[[時間曲線下面積]]{{enlink|Area under the curve (pharmacokinetics)|AUC}}が同等である。</ref>)処置によりミクログリアの活性化を阻害すると、オキシトシン受容体欠損マウスにおける母仔のコミュニケーションを向上させた<ref name="pmid26926566" />。
 
; CT/MRI検査では判別不能
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: [[抗うつ薬]]、特に[[SSRI]]を妊娠中に使用することは、母体の[[うつ病]]を考慮しても、子供が自閉症スペクトラムになるリスクを増大させる<ref name="pmid26660917">{{cite journal |author=Boukhris T, Sheehy O, Mottron L, Bérard A. |title=Antidepressant Use During Pregnancy and the Risk of Autism Spectrum Disorder in Children. |journal=JAMA pediatrics. |volume=170 |issue=2 |pages=117-124 |date=2016-2-1 |url=http://archpedi.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2476187 |pmid=26660917 |doi=10.1001/jamapediatrics.2015.3356}}</ref>。
: 抗うつ薬やSSRI(特に[[パロキセチン]])などがミクログリアの活性化を抑制することも示された<ref name=kaken.nii.ac.jp_23590113>{{cite web |title=脊髄においてグルタミン酸作動性神経伝達の異常を惹起する因子の探索 |url=https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23590113/ |format=pdf |work=kaken.nii.ac.jp |publisher=[[国立情報学研究所]] |year=2011-2013 |accessdate=2016-5-19}}</ref><ref name="pmid19389225">{{Cite journal |authors=Nagata K, Imai T, Yamashita T, Tsuda M, Tozaki-Saitoh H, Inoue K. |title=Antidepressants inhibit P2X4 receptor function: a possible involvement in neuropathic pain relief. |journal=Molecular Pain. |volume=5 |issue= |page=20 |date=2009-4-23 |url=https://mpx.sagepub.com/content/5/1744-8069-5-20.long |doi=10.1186/1744-8069-5-20 |pmc=2680826 |pmid=19389225}}</ref>。
 
=== 父親の高齢との関連 ===
なお近年の米国の研究で、父親が中高年のときに授かった子供である場合に新生児が自閉症になりやすいという知見がある。同研究によると、父親が40歳以上の新生児は、自閉症や関連の症例が30歳未満の父親の場合の約6倍で、30〜39歳の父親と比較すると1.5倍以上であったとされている。一方、母親については、年齢が高い場合でも多少の影響を及ぼす可能性は排除できないものの、子供の自閉症に与える有意な影響は認められなかった<ref>{{cite journal |author=Reichenberg A, Gross R et al. |title=Advancing paternal age and autism. |journal=Arch Gen Psychiatry. |volume=63 |issue=9 |pages=1026-1032 |year=2006 |id=PMID 16953005}}</ref>。これらの研究では、得られた知見が社会的に晩婚になる男性の遺伝子特性であるのか、遺伝的個人差を問わず加齢が精子に及ぼした影響であるのかは、明らかにされていない。
 
=== 遺伝子の影響 ===
現在では先天性の脳機能障害によるとされており<ref>自閉症とはー高知自閉症協会http://wwb.jp/j-kochi/autism.htm</ref>、'''多くの遺伝的因子が関与'''すると考えられている。フランス・[[パスツール研究所]]の研究チームが、[[フランス国立医学研究機構]]およびスウェーデン・[[ヨーテボリ大学]]と行った共同研究では、自閉症者の脳内で遺伝子「[[シャンク3]] (SHANK3)」に異常があることが指摘されている。ただし、研究チームからはシャンク3で自閉症の全ての症状を説明できるわけではないと警告が発せられており、主要な社会的障害についてある程度説明ができるかもしれないと述べるにとどまっている。また、ヒトの自閉症患者から見つかった[[シナプス]]タンパク質[[ニューロリギン]]の遺伝子変異を導入したマウスで自閉症症状が引き起こされることが確認されており<ref>{{cite journal|last=Tabuchi|first=K.|coauthors=<i>et al.</i>|journal=Science|year=2007|issue=318|doi=10.1126/science.1146221|pages=71-76|url=http://www.sciencemag.org/content/318/5847/71.full.pdf|title=*|format=PDF|accessdate=2012-05-10}}</ref>、この発見からシナプス異常と自閉症との関連が注目されている。日本でも[[理化学研究所]]の研究チームが、神経細胞の生存や分化に重要な神経栄養因子の分泌を調節する遺伝子(CAPS2遺伝子)の異常が、自閉症の発症メカニズムに関係しているとの研究成果を発表している<ref>[http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2007/070323/detail.html 自閉症に関連する遺伝子異常を発見 -自閉症の病因解明や早期診断に向けた新知見- 2007/3/23] 独立行政法人 [[理化学研究所]]</ref>{{リンク切れ|date=2016年9月}}
 
=== ミラーニューロン仮説 ===
他者の動作を観察している際に自分が動いている時と同じように反応する[[ミラーニューロン]]の活動低下の影響を指摘する説も存在する。カリフォルニア大学の[[ヴィラヤヌル・S・ラマチャンドラン|V・S・ラマチャンドラン]]とL・M・オバーマン (Lindsay M. Oberman) らのグループ、スコットランドのセントアンドリューズ大学のホイッテン (Andrew Whitten) らのグループは、ほぼ同じ時期に、対人スキルや共感の欠如、言語障害、模倣が上手く出来ない等の自閉症の特徴は、すべてミラーニューロンの機能不全と同じ特徴を持つとの説を発表した<ref>マルコ・イアコボーニ『ミラーニューロンの発見』塩原通緒訳、早川書房、2009年、212、213頁</ref>。<!--親に自閉的傾向があると、子の正常なミラーニューロンの働きが阻害されることがある。-->[[ヘパラン硫酸]]の関与を指摘する説もあるが、原因として確定的であるという段階にまでは至っていない。
 
===俗説と謬説===
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未だに、自閉症は虐待や過保護が原因である「[[母原病]]」であるとの認識は一部に根強い。そもそもレオ・カナー自身自閉症児を統合失調がごく幼少期に発現したものと考えており、「自閉症」という言葉も統合失調の無為自閉からきている。なかでも、自閉症研究者として名が知られていた[[ブルーノ・ベッテルハイム]]が「[[冷蔵庫マザー]]」説をたたえ『虚ろな砦』等の著作も広く読まれたこともあって、これらの説が広く社会一般に信じられたばかりか、自閉症児を持つ母親を孤立させ、かえって対策を妨げる結果になったという悪影響が指摘されていたりする。
 
日本でも、[[七田眞]]や[[岩佐京子]]<ref>『危険!テレビが幼児をダメにする!!―現場カウンセラーが明かす驚くべき事実 言葉の遅れ、思考力の低下、自閉症児の原因が判明』1998年3月、コスモトゥーワン 978-4906361700。『自閉症の謎に挑む―活性酸素によるニューロンの破壊』 ルナ子ども相談所 (2000) 978-4795248731</ref>らによって「[[テレビ]]の見せすぎが自閉症の原因」などの環境原因説が流行し、同様に自閉症児を持つ母親を孤立させる弊害を生んだ(岩佐はのちに自説を一部撤回)が、[[2004年]] - [[2005年]]前後にかけて日本大学教授[[森昭雄]]が自閉症を持つ子供たちを「おかしい子供」の一言で表現したことなどと発言<ref group="*注釈">「未熟な状態である赤ちゃんの頃から朝から晩までテレビを垂れ流して育てると、正常に育たず自閉症的な子供として育つ」<br>「最近自閉症の人数が増えているが、先天的なものは非常に少ない。テレビやビデオを見ている子供は自閉症の状態になることがある」</ref>しており、この手の説は現在も日本で流布されていたりする。
 
現在では、ごく一部の学者を除いて、自閉症は先天性の障害であり、育て方が原因ではないとする見解が多数である。
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[[File:Asperger Syndrome hist.svg|thumb|400px|right|自閉症とアスペルガーの比較{{Sfn|サイモン・バロン・コーエン|2011|pp=21-22}}]]
 
[[自閉症スペクトラム]]のうち、認知機能が高い場合(一般的にはIQ70以上とされる<ref group="*注釈">ボーダーとされるIQ70〜85を除いた、IQ85以上とする場合もある</ref>)を高機能自閉症(知的遅れのないカナータイプ)、略称は、'''HA'''または'''HFA''')と呼ぶことがある<ref name="Sanders2009">{{cite journal|last1=Sanders|first1=James Ladell|title=Qualitative or Quantitative Differences Between Asperger’s Disorder and Autism? Historical Considerations|journal=Journal of Autism and Developmental Disorders|volume=39|issue=11|year=2009|pages=1560-1567|issn=0162-3257|doi=10.1007/s10803-009-0798-0|pmid=19548078}}</ref><ref name="arn">{{cite journal |last1=Carpenter |first1=Laura Arnstein |last2=Soorya |first2=Latha |last3=Halpern |first3=Danielle |title=Asperger's Syndrome and High-Functioning Autism |journal=Pediatric Annals |year=2009 |volume=38 |issue=1 |pages=30-5 |doi=10.3928/00904481-20090101-01}}</ref>。「高機能」というのは知能指数が高いという意味であるが、平均的な健常者より高いとは限らず、知的障害との境界域の場合もあれば、一部平均的な健常者をはるかに上回る場合もある。1980年代以降、急速に認知されてきた。
 
また定義的には高機能自閉症に当てはまるが自覚がない人も多く、無自覚な高機能自閉症対象者には個人の生まれ持った性格と認識されることも多い。
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== 脚注 ==
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=== 出典注釈 ===
 
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== 出典 ==
=== 出典 ===
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