「政党制」の版間の差分
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サルトーリの分割法は、うまく機能する民主主義として'''二大政党制'''と'''穏健な多党制'''を取り出した。二大政党制に入れられたのは、イギリス系の[[アングロサクソン]]諸国である。穏健な多党制に入れられたのは、ドイツの他、[[ベネルクス]]三国や[[スカンディナヴィア]]三国などがある。これらの政党制は、イデオロギーの差異が小さいことが共通の特徴である。
またサルトーリは、民主主義ではあるが、政治的には非効率なものとして'''一党優位政党制'''('''一党優位制''')と'''分極的多党制'''を指摘した。典型的な一党優位制としては、[[55年体制]]の[[日本]]、([[ジャワハルラール・ネルー]]、[[インディラ・ガンディー]]下の)[[インド]]がある。分極的多党制に入れられたのは、サルトーリの母国[[イタリア]]の他には、[[ヴァイマル共和政]]、[[フランス第三共和政]]、[[フランス第四共和政]]などが上げられる。これらの政党制は、イデオロギーの差異が大きいことが共通の特徴である。
サルトーリの念頭にあったのは、デュベルジェに対する批判ではなく、その拡張である。デュベルジェは二党制をもって、もっとも効率的な民主主義であるという結論を出していたが、サルトーリはそれに付け加えて、穏健な多党制も効率的な民主主義であると結論づけた。
色々な批判を受けながらも、この分類法は、21世紀初めの現在に至るまで、もっとも大きな影響力を持つものとして政治学者の間で広く受け入れられている。
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** [[一党制]]
** [[ヘゲモニー政党制]] * [[複数政党制]](競合的政党制)
** [[一党優位政党制]]
*** [[
** [[
*** [[
** [[穏健な多党制]]
*** [[三大政党制]]
*** [[北欧五党制]]
** [[分極的多党制]]
** [[原子化政党制]]
=== レイプハルトの民主主義類型 ===
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まずレイプハルトは、政党制を[[有効議会政党数]]を手がかりに、2党制、2.5党制、優位政党のある多党制、優位政党のない多党制の4つに分類した。その上で2党制と2.5党制とを'''[[多数決型民主主義]]'''([[ウェストミンスター]]型モデル)とし、優位政党のある多党制と優位政党のない多党制とを'''[[合意形成型民主主義]]'''(コンセンサス型モデル)とした。サルトーリの政党制との関連性は以下の通りである。
* 多数決型民主主義
** 二大
* 合意形成型民主主義
** 一党優位政党制
** 穏健な多党制
** 分極的多党制
** 原子化政党制
そしてレイプハルトは、多くの面において合意形成型民主主義が優れているという結論を、36か国に及ぶ実証研究の中から「証明」した。レイプハルトによれば、合意形成型民主主義はイギリスに代表される多数決型民主主義よりも、マイノリティ(女性や人種的マイノリティ)の代表性の度合いが高いことから、より「優しい」民主主義である一方、成長率・失業率その他の経済的業績は両者に有意な差がないことを主張している。
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デュベルジェは、その後の彼の論文の中で、[[フランス第五共和政]]の事例を取り上げることで、[[絶対多数制]]の選挙制度の下における多党制を推薦するかのような論調を採っている。またサルトーリも[[フランス第五共和政]]の[[二回投票制]]をもっとも優れた選挙制度であるという結論を留保つきながら著述している。
フランス第五共和政は、定説となるような類型は名付けられてはいないが、'''二大ブロック
しかし、近年のフランスでは第三勢力の[[国民戦線 (フランス)|国民戦線]]が台頭してきているほか、イギリスやカナダでも伝統的な[[トーリー]]・[[ホイッグ]]・[[レイバー]]が併存している状況となっているため、デュベルジェとサルトーリの想定外の事態になっているとも言えなくもない。[[1993年]]以降のイタリアの状況の方が、より想定に近いかも知れないが、サルトーリ自身は小選挙区制と比例代表制の混在している選挙制度は批判している。なお、サルトーリが母国のイタリアで分極的多党制を批判し、二大政党制への変革を求めて選挙制度の改革を推進したことは有名である。
日本の各政党や政治家も、政党制のあり方に対する支持・不支持を表明している。[[民主党 (日本 1998-2016)|民主党]]は二大政党制を強く推進する言動をしており、[[公明党]]・[[日本共産党]]以下の小政党は穏健な多党制を推奨している。[[自由民主党_(日本)|自由民主党]]は一党優位制を暗に望む政治家([[55年体制]]を知るベテランに多い)と、二大政党制を主張する政治家(若手に多い)が混在しているようである。しかし、当然のことながら、これらは、各党・政治家の利害に大きく影響された主張であると
== 敗戦後日本の政党制 ==
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しかし、[[日本共産党]]を含めると、その[[イデオロギー]]の差異からみて、ずっと分極的多党制であり続けたという議論も成り立つ。日本共産党を有為な政党と見るかどうかで、日本の政党制をどのようにみるかが異なってしまう(カリフォルニア大学のバークレー校のロバート・A・スキャラピーノも同意見)。発言者の政治的思惑も絡んで、意見の一致は不可能であろう。定説は無いというのが正しいとする見方も根強い。
ただし、全体としては、日本の政党制は、1993年の選挙制度改革を契機に、自民党一党支配から、紆余曲折を経ながらも徐々に二大政党制へ移行しつつある、という見解が最も妥当なところであろう。とはいうものの、日本の場合のいわゆる二大政党制は選挙制度改革の所産という性格が強く、さらに選挙制度改革後も共産党に加えて、設立母体たる[[創価学会]]の価値観を色濃く反映し独自の政治姿勢を保持し続ける公明党勢力が厳然と存在していることから、米国や英国流の二大政党制と同列に論じることには批判がある。仮に日本で再び選挙制度が改正されると、極めて人為的に作られた民主党や結党当初より党内対立を抱える自民党の分裂も十分に予想され、その時は、再び理念・政策をもとに政党が結集する穏健な多党制へ戻る可能性も指摘されている。また[[自由民主党の派閥]]のような[[派閥]]を重んじる日本独特の
2012年の[[第46回衆議院議員総選挙|第46回総選挙]]では、自民党・[[公明党]]が勝利し政権復帰したが、与党第一党の民主党は比例区では[[日本維新の会 (2012-2014)|日本維新の会]]に及ばず、選挙区を含め辛くも比較第二党を確保した。また、[[2013年東京都議会議員選挙]]では民主党は公明党・共産党をも下回り第四党に転落した。さらに[[第23回参議院議員通常選挙|第23回参院選]]では民主党は比例区で公明党を下回る第三党となり、選挙区議席で比較第二党を確保した。これは55年体制期にも見られなかった'''一大政党制'''の現象であり、自民党の一党優位制に回帰した
そして2017年の[[第48回衆議院議員総選挙|第48回総選挙]]では、自民党・[[立憲民主党 (日本)|立憲民主党]]・[[希望の党]]と[[自公連立政権]]の一翼を担う公明党による三極対決が実現し、三大政党制に移行した。
== 冷戦後のグローバリゼーション・情報化と政党 ==
冷戦の終了とグローバリゼーション・情報化の進展が政党のあり方にも影響を与えつつある。冷戦後、政党がイデオロギー政党としての性格からプラグマティック政党の性格に変化せざるを得ないという議論もある。いずれにしろ、多くの点で今後世界の政党制が変動する可能性が
== 参考文献 ==
* ジョヴァンニ・サルトーリ 『現代政党学』(普及版)、岡沢憲芙・川野秀之訳、[[早稲田大学出版部]]、[[2000年]](原著:[[1976年]])。
== 脚注
{{Reflist}}
==関連項目==
* [[政党]]
* [[包括政党
* [[
* [[
* [[五・一五事件]]
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[[Category:政党制|*]]
[[Category:間接民主主義|せいとうせい]]
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