「勝力 (敷設艦)」の版間の差分
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南洋群島巡航報告から要目追加、戦時日誌と戦闘詳報から1944年6月以降の艦歴、沈没時の兵装の追記 タグ: サイズの大幅な増減 |
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|進水 = 1916年10月5日<ref name="進水">[[#T6公文備考19/磯風、浜風、天津風、時津風(1)]]画像43、海軍大臣宛電報『天津風、磯風、勝力本日無事進水セリ 十月五日 呉鎮守府司令長官』(大正5年10月5日艦政局接受の印有り)</ref><ref name="大正9年要目一覧表3" />
|竣工 = [[1917年]]1月15日<ref name="S3艦船要目公表範囲" />
|最後 = [[1944年]]9月21日戦没<ref name="沈没"/>
|除籍 = [[1944年]]11月10日<ref name="S19内令第1254号" />
|母港 = 呉(最終時)<ref name="S19内令第1254号" />
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|要目注記 = <ref>[[#写真日本の軍艦第14巻]]31頁(『敷設艇』要目一覧)による。ただし主要寸法は(小数点以下2桁を四捨五入して)小数点以下1桁まで記載されている。</ref>
|基準排水量 = 1,540[[英トン]]<ref name="S3艦船要目公表範囲">[[#海軍制度沿革11-2(1972)]]pp.1064-1065、昭和3年2月14日(内令43)艦船要目公表範囲</ref>
|常備排水量 =
|満載排水量 = 1917年1月：2,126英トン<ref name="排水量・吃水"/>
|全長 =
|水線長 =
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|水線幅 = 公表値 11.89m<ref name="S3艦船要目公表範囲" />
|深さ =
|吃水 = 計画 {{Ft in to m|14|0|precision=2|abbr=on}}<!--4.267m--><ref name="大正9年要目一覧表3" /><br />1917年1月：常備平均 {{Ft in to m|13|6|precision=2|abbr=on}}<!--4.115m--><ref name="排水量・吃水"/><br />同：満載平均 {{Ft in to m|14|2+5/8|precision=2|abbr=on}}<!--4.334m--><ref name="排水量・吃水"/><br />公表値 4.11m<ref name="S3艦船要目公表範囲" />
|推進 = 2軸<ref name="S3艦船要目公表範囲" />
|主機 = 直立3気筒3段[[蒸気機関|レシプロ]] 2基<ref name="大正12年要目一覧表1"><!--1923年-->[[#戦史叢書31海軍軍戦備1]]付表第二その一「大正十二年三月調艦艇要目等一覧表 その一 軍艦」</ref>
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|ボイラー = [[艦本式ボイラー|艦本式]] 2基<ref name="S3艦船要目公表範囲" /><ref name="大正9年要目一覧表3" />
|速力 = 13.0[[ノット]]<ref name="S3艦船要目公表範囲" /><ref name="大正9年要目一覧表3" />
|燃料 = [[石炭]] 449英トン<ref name="大正9年要目一覧表3" /><br />1917年1月：石炭 472英トン<ref>[[#T6公文備考巻41/勝力巡航報告(2)]]画像33-34、別紙乙、二.炭水の計欄。但し各数値の合計は473。</ref>
|航続距離 = <!-- [[カイリ]] / ノット -->
|乗員 = 竣工時定員 138名(1916年10月11日)<ref>[[#海軍制度沿革10-1(1972)]]p.567、大正5年10月11日内令第218号、敷設船定員表。將校、機關將校、將校相當官10人、特務士官、准士官5人、下士29人、卒94人。</ref><br />敷設艦時定員 184名(1920年8月1日)<ref>[[#海軍制度沿革10-2(1972)]]pp.608,635、大正9年8月1日内令第267号、第56表(敷設艦定員表其三)。士官9人、特務士官2人、准士官5人、下士官38人、兵130人。</ref><ref name="S3艦船要目公表範囲" />
|兵装 = 40口径安式12cm単装砲 3門<ref name="大正9年要目一覧表3" /><br />5号機雷100個<ref name="特務艦船史(1997)p63" />(または480個<ref name="写真日本の軍艦第14巻p57中">[[#写真日本の軍艦第14巻]]p.57中写真の解説</ref>)<br />1917年1月：五号[[機雷]]360個<ref name="機雷数">[[#T6公文備考巻41/勝力巡航報告(2)]]画像13、三.準備。同33、別紙乙、一.兵器。</ref>
|搭載艇 = 4隻<ref name="S3艦船要目公表範囲" />
|その他 =
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==概要==
敷設艦/特務艦「'''勝力'''」は日本海軍の[[機雷敷設艦]]（排水量約1,500トン）<ref name="補助艦艇奮戦勝力">[[#補助艦艇奮戦記]]176頁『勝力(かつりき)』</ref><ref name="福井補助43">[[#日本補助艦艇物語]]43-45頁『わが敷設艦の概要』</ref>。
[[1917年]]（大正6年）1月に竣工した際は「'''敷設船 勝力'''」<ref name="大正4達178" />(もしくは「勝力丸」
旧式化にともない[[1935年]]（昭和10年）7月より呉鎮守府部隊測量艦となり、[[測量]]任務に従事<ref name="補助艦艇奮戦勝力" />。[[太平洋戦争]]でも[[東南アジア]]方面で測量任務に従事した<ref name="補助艦艇奮戦勝力" />。[[1942年]]（昭和17年）7月20日で特務艦（測量艦）に類別変更される<ref name="補助艦艇奮戦勝力" /><ref name="昭和17内令1317" />。その後も測量任務に従事していたが、
[[1944年]]（昭和19年）9月21日、潜水艦の雷撃を受け沈没した<ref name="沈没"/><ref group="注釈">[[#写真日本の軍艦第14巻]]55頁(『敷設艦』行動年表◇勝力◇)や[[#補助艦艇奮戦記]]176頁『勝力(かつりき)』では空襲により沈没としている。</ref>。
== 艦型 ==
=== 敷設艦 ===
[[日露戦争]]以降、日本海軍は旧式[[装甲巡洋艦]]を敷設艦に改造して機雷戦に備え、同時に[[敷設艇]]として400トン級の「[[夏島 (二等敷設艇)|夏島]]」等を建造した<ref name="福井補助43" />。大正時代になると、巡洋艦改造大型艦と敷設艇の中間型として本艦（勝力）が開発・建造された<ref name="福井補助43" />。従来の[[敷設艇]]（マイン・ボート）の拡大型的な艦艇で<ref name="写真14勝力">[[#写真日本の軍艦第14巻]]27頁『◇勝力◇』</ref>、船体形状には商船の雰囲気が残る<ref>[[#写真日本の軍艦第14巻]]57頁(勝力側面写真)</ref>。速力13ノット<ref name="写真14勝力" />。五号機雷100個<ref name="写真14勝力" />、上甲板に120個、船艙内に360個を搭載とする文献もある<ref name="写真日本の軍艦第14巻p57中" />。[[1917年]](大正6年)の南洋巡航の際は上甲板に20個、1番から4番までの機雷庫に340個の計360個の五号機雷を搭載している<ref name="機雷数"/>。主砲は安式四〇口径一二センチ砲3門<ref name="写真14勝力" />。配置は艦首に2門、艦尾上構上に1門だが、艦首の2門は日本海軍では珍しく並列に配置されていた<ref name="特務艦船史(1997)p63" />。
===
{{Infobox 艦艇
|名称 =
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|燃料 = 456トン
|航続距離 = 5,310[[カイリ]] / 10ノット
|乗員 = 定員 154名（1942年7月20日、測量艦編入時）<ref>昭和17年7月20日付 内令第1320号別表。アジア歴史資料センター レファレンスコード C12070164200 で閲覧可能。</ref><br />沈没時：乗員195名<ref>[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]画像22-23。准士官以上16名、下士官兵176名、傭人3名。</ref>、測量班員25名<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像32-33測量班人員現状">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]画像32-33、『六. 参考 (三)測量班(南方海軍航路部第四測量班)人員状況』</ref>
|搭載量 =
|兵装 = 8cm砲2門(1935年)<ref name="海軍艦艇公式図面集pp258-259">[[#海軍艦艇公式図面集]]pp.258-259、45.測量艦・勝力 昭和10年の公式図。</ref><br />または 8cm高角砲3門(1942年)<ref name="日本海軍全艦艇史p872No2761">[[#日本海軍全艦艇史]]下巻p.872No.2761、1942年9月1日撮影の写真。[[#写真日本の軍艦第13巻]]p.59下、勝力の写真及び解説。</ref><br />'''最終時'''<br/>8cm高角砲3門<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像16功績">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]画像16、(ロ)功績</ref><br />[[ルイス軽機関銃|7.7mm機銃]]5挺<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像16功績"/><br />爆雷<ref name="1944.9.11日誌">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]画像4、1944年9月11日『〇九五〇 威嚇投射始ム 一〇〇〇 同右止ム 消耗爆雷○個』</ref>
|搭載艇 = 28[[フィート|ft]]内火艇1隻、30ftカッター1隻、26ftカッター1隻、27ft通船1隻、20ft通船1隻<ref name="海軍艦艇公式図面集pp258-259" /><br />'''最終時'''：カッター2隻、内火艇1隻、測量艇
|レーダー = 1944年6月：零式電波探知器([[逆探]])<ref name="1944.06逆探装備">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(1)]]画像6</ref>
|その他 =
|備考 = 測量艦としての要目
}}
[[1935年]](昭和10年)に「[[満州 (通報艦)|満州]]」の測量器材を引き継いで測量用に改造された<ref name="特務艦船史(1997)p63" />。この時に後部マストを三脚（測量艇揚卸用デリック装備）に変更した<ref name="写真日本の軍艦第14巻57頁下">[[#写真日本の軍艦第14巻]]57頁下(勝力昭和6年写真)</ref>。公式図によると主砲前部2門は8cm砲に換装、後部1門は撤去され羅針儀が設置された<ref name="海軍艦艇公式図面集pp258-259" />。「写真日本の軍艦第14巻」では『そのさい備砲は[[四十口径三年式八糎高角砲|三年式8センチ高角砲]]に換装された』としている(高角砲の門数の記載は無い)<ref name="写真日本の軍艦第14巻57頁下" />。[[1942年]]に撮影された写真では8cm高角砲3門(前部2門、後部1門)が搭載されている<ref name="日本海軍全艦艇史p872No2761" />。
[[1944年]](昭和19年)9月の沈没時の兵装は8cm高角砲3門、7.7mm機銃5挺<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像16功績"/>、爆雷となっている<ref name="1944.9.11日誌"/>。その他逆探の装備が確認される<ref name="1944.06逆探装備"/>。また搭載艇はカッター2隻、内火艇1隻、筏2隻も搭載していた<ref name="S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)画像29"/>。測量艇は任務に応じて搭載しており<ref group="注釈">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(1)]]画像7、昭和19年6月9日令達報告等『測量艇三隻(一隻現地ノ要望ニ依リ残置)搭載作業地発』や同画像30、昭和19年8月15日無電『一.現在本艦ニ測量班及測量艇搭載シ居ラズ』。</ref>、沈没時は4隻を搭載していた<ref name="S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)画像29"/>。なお、1944年9月の戦時日誌には水偵による直衛任務の記載もある<ref>[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]画像4、昭和19年9月10日、11日の経過摘要欄。</ref>。
== 艦歴 ==
[[1915年]]（大正4年）12月10日、日本海軍は建造予定の2,000トン級水雷敷設船を「'''勝力'''」と命名する<ref name="大正4達178" /><ref>[[#海軍制度沿革(巻8、1940)]]p.218『◎水雷敷設船勝力命名ノ件 大正四年十二月十日(達一七八) <small>大正九年四月三六號勝力ト命名</small> 臨時軍事費ヲ以テ呉海軍工廠ニ於テ要造スヘキ二千噸級水雷敷設船ヲ <ruby><rb>勝</rb><rt>カツ</rt></ruby><ruby><rb>力</rb><rt>リキ</rt></ruby> ト命名ス』</ref>。この艦名は、[[神奈川県]][[横須賀市]]（[[横須賀港|横須賀軍港]])にある岬の
[[1916年]]（大正5年）[[5月5日]]、「勝力」（一部文献では勝力丸<ref name="幕末以降帝国軍艦写真と史実p145"/>）は[[呉海軍工廠]]で起工<ref name="11巻艦船要目勝力">[[#海軍制度沿革(巻11、1940)]]p.570『勝力|敷設艦|73.15|11.89|4.11|1,540|13.0|184|4|呉工廠|大正5-5-5|大正5-10-5|大正6-1-15|8c/m…3|―|―|1|直立三段膨張式2|艦本式2|2|1,800』</ref><ref name="艦船要目勝力">[[#艦船要目公表範囲(昭和16年6月30日)]]p.18『勝力|敷設艦|73.15|11.89|4.11|1,540|13.0|184|4|呉工廠|大正5-5-5|大正5-10-5|大正6-1-15|8c/m…3|―|―|1|直立三段膨張式2|艦本式2|2|1,800』</ref>。
起工直後の5月17日に'''敷設船'''(工作船、運送船と合わせて'''特務船'''と総称)が制定される<ref name="T5軍令海6">[[#海軍制度沿革3-2(1971)]]p.1162『大正五年五月十七日(軍令海六) <small>大正八年三月一號消滅</small> 艦船令 第一條 艦船ハ之ヲ左ノ如ク種別ス 軍艦 驅逐艦 水雷艇 潜水艇 敷設船 工作船 運送船 雑役船 軍艦、驅逐艦、水雷艇及潜水艇ヲ総称シテ艦艇ト謂ヒ敷設船工作船及運送船ヲ総称シテ特務船ト謂フ』(第2條以下省略)</ref>。それまでは[[雑役船]]の扱いだった<ref name="写真日本の軍艦第14巻p57上" />。
同年[[10月5日]]、進水<ref name="艦船要目勝力" /><ref name="写真14勝力行動">[[#写真日本の軍艦第14巻]]55頁(『敷設艦』行動年表◇勝力◇)</ref>。
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[[1935年]]（昭和10年）7月1日、呉鎮守府部隊の測量艦となる<ref name="補助艦艇奮戦勝力" /><ref name="写真14勝力行動" />。この頃から測量艦として用いられた<ref name="福井補助47">[[#日本補助艦艇物語]]48頁『(1) <ruby><rb>勝力</rb><rt>かつりき</rt></ruby>(二代)』</ref>。南洋諸島や支那海での測量任務に従事する<ref name="写真14勝力行動" />。
=== 太平洋戦争 ===
[[1941年]]（昭和16年）6月より南洋方面の測量を実施したあと、12月1日に横須賀到着<ref name="写真14勝力行動" />。
[[1942年]]（昭和17年）1月12日より呉で入渠・整備をおこなった<ref name="写真14勝力行動" />。横須賀に回航されたのち3月10日附で第一南遣艦隊附属となる<ref name="写真14勝力行動" />。3月16日、第三測量隊と器材を搭載して横須賀を出撃<ref name="補助艦艇奮戦勝力" />。[[シンガポール]]に進出後、[[マラッカ海峡]]や[[ビルマ]]方面の測量任務に従事した<ref name="補助艦艇奮戦勝力" /><ref name="写真14勝力行動" />。
同年7月20日附で、「勝力」は敷設艦から削除<ref>[[#内令昭和17年7月(3)]]p.19『内令第千三百十六號 艦艇類別等級別表中左ノ通改正ス 昭和十七年七月二十日 海軍大臣 嶋田繁太郎｜軍艦、敷設艦ノ項中「勝力、」ヲ削ル/驅逐艦、一等峯風型ノ項中「、矢風」ヲ削ル』</ref>。特務艦（測量艦）に類別変更<ref name="補助艦艇奮戦勝力" /><ref name="補助艦艇勝力測量" />。引続き、東南アジアやインド洋方面での測量業務に従事した<ref name="福井補助47" /><ref name="福井補助43" />。
=== 1944年 1944年(昭和19年)6月の時点で南西方面艦隊に所属し、測量任務に就いていた<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(1)画像1">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(1)]]画像1</ref>。1日、[[マカッサル]]着<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(1)画像2">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(1)]]画像2</ref>。4日測量艇3隻を乗せて同地発<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(1)画像2"/>、測量を行い8日[[ソロン]]着<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(1)画像3">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(1)]]画像3</ref>、測量艇1隻を同地に残した<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(1)画像7">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(1)]]画像7</ref>。翌9日同地発<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(1)画像3"/>、14日マカッサルに到着した<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(1)画像4">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(1)]]画像4</ref>。17日マカッサル発<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(1)画像4"/>、19日[[スラバヤ]]に帰着、同地で整備作業や<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(1)画像5">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(1)]]画像5</ref>逆探装備<ref name="1944.06逆探装備"/>等を行った。
7月4日スラバヤ発<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(1)画像12">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(1)]]画像12</ref>、7日[[バリクパパン]]着、測量班先発隊と測量艇1隻を降ろした<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(1)画像13">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(1)]]画像13</ref>。10日同地発<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(1)画像13"/>、12日[[タラカン]]着、15日同地発<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(1)画像14">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(1)]]画像14</ref>、17日バリクパパン着、21日同地発<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(1)画像15">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(1)]]画像15</ref>、24日スラバヤに帰着した<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(1)画像16">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(1)]]画像16</ref>。
測量機材52トンを搭載し8月8日にスラバヤ発<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(1)画像24">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(1)]]画像24</ref>、12日[[シンガポール]]着、測量機材を降ろした<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(1)画像25">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(1)]]画像25</ref>。以後[[パレンバン]]で測量の予定であったが<ref>[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(1)]]画像29、8月1日受信、機密南航命令第8号『南方航路部命令 勝力ハ八月上旬「スラバヤ」發同下旬帰港予定ヲ以テ左記測量ニ関スル作業ニ従事スベシ 一.測量器在ヲ「スラバヤ」ヨリ昭南ニ輸送 二.「パレンバン」方面測量作業終了次第同地第三測量班ヲ撤収「スラバヤ」ニ帰投』</ref>、[[フィリピン]]方面で測量を行っていた「第36共同丸」が消息不明となる<ref>[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(1)]]画像29、8月12日19時受信、GKF機密第101042番電『発GKF参謀長宛南航通報水路部長大○参謀第一部長 第三六共仝丸ノ消息不明ナル処仝船救援ハ急ヲ要スルヲ以テ勝力ヲ使用○○ニ付準備サレ度 右計画並ニ要○テ事項知ラサレ度』。同画像30。</ref>。このため勝力は{{仮リンク|ブルネイ湾|en|Brunei Bay}}の測量引き継ぎ、[[マニラ]]への進出を命令された<ref>[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(1)]]画像31、17日11時受信、GKF機密第170950番電『GKF電令作第四一九号 一.「ブルネイ」湾測量ハ大○機密大一四二〇一〇番電ニ依リ勝力ヲ以テ実施ス 二.勝力ハ「スラバヤ」ニ於テ準備○速カニ「マニラ」ニ回航スベシ』</ref>。便乗者40名や兵器等を搭載しシンガポールを18日発<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(1)画像25"/>、22日スラバヤ着<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(1)画像26">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(1)]]画像26</ref>、[[マニラ]]への物品約70トン等を搭載し28日スラバヤ発、30日バリクパパン着<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(1)画像26"/>。9月1日同地発<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像3">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]画像3</ref>、12日[[マニラ湾]]に入港、直ちに出港しマニラ湾西方で避泊<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像4">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]画像4</ref><ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像25">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]画像25</ref>、同地で整備作業を行い16日[[マニラ港]]に再度入港した<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像5">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]画像5</ref><ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像25"/>。17日同地で新艦長が着任し、前艦長は退艦、20日測量班員25名と測量艇4隻を収容した<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像5"/>。また第36共同丸の生存者9名も勝力に収容された<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像26">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]画像26</ref><ref group="注釈">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]には、勝力沈没時の生存者に記載が無い。</ref>。
=== 沈没 ===
この頃フィリピン中南部は既に[[アメリカ海軍]]艦載機の空襲を受けていた<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像12敵情">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]画像12、特務艦勝力戦闘詳報第5号・敵情。</ref>。北部にあるマニラも空襲の可能性が高くなり<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像12敵情"/>、勝力は[[ルソン島]]西岸の{{仮リンク|マシンロック|en|Masinloc}}に待避する為、21日午前3時に単艦マニラを出港した<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像13">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]画像13</ref>。しかし、北上中の午前11時30分頃に敵戦闘機約60機を認め<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像13"/>、このうち約10機から午前11時40分頃から約20分間、機銃掃射と急降下爆撃を受けた<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像14">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]画像14</ref><ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像15">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]画像15</ref>。爆弾2発は回避したが機銃掃射により重傷者2名、軽傷者数名を出した他、艦には機銃弾約100発を被弾した<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像14"/>。勝力搭載の7.7mm機銃は敵機に相当数命中したが、威力不足の為に<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像16功績"/><ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像17戦訓所見ロ">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]画像17、戦訓所見(ロ)『敵機ノ攻撃ニ際シ機銃弾(七、七粍)相当数機体ニ命中セルヲ認メラルモ効果負確認ニシテ大口径ノ機銃アリセバ更ニ戦果大ナルヲ得ム 少数ノ単八糎高角砲ニテノ急降下爆撃艦橋掃射ノ敵機ニ対スル攻撃ハ概ネ効果少シ』</ref>敵機の撃破は1機に留まった<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像14"/>。勝力は一旦敵機攻撃圏内から離脱するために西方に進路を向け、予定を[[ブルネイ]]回航に変更した<ref>[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]画像20、一.形勢(ロ)、二.計画。</ref>。午後4時30分頃に[[病院船]][[高砂丸]]を認め、重傷者2名を高砂丸に入院させた<ref>[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]画像21、三.経過概要(ロ)『一六三〇頃病院船高砂丸ヲ認メ前記重傷者二名ヲ高砂丸ニ入院セシム 一七〇〇 二一〇度 二〇〇〇 一九三度ニ変針セリ』。</ref>。
同日午後10時30分、北緯13度30分・東経119度20分の地点で<ref name="沈没地点">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]画像24。『一. 遭難日時 昭和十九年九月二十一日 二二三〇 二. 遭難位置 一三 - 三〇北 一一九 - 二〇東』</ref>
潜水艦による雷撃3本を受け、回避行動を取ったが内1本が右舷[[艦橋]]前部に命中、艦首を下にして約1分で沈没した<ref name="沈没">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]画像21-22。、同画像27-28。</ref>。沈没による乗員の戦死、行方不明者は計167名<ref>[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]画像36-43、人員明細書(行方不明者)准士官以上、人員明細書(戦死又ハ行方不明者)下士官兵。准士官以上15名、下士官61名、兵89名、傭人2名。</ref>、生存者28名(うち重傷4名)<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像22-23兵力現状">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]画像22-23、六.我ガ兵力ノ現状。</ref>。また便乗していた南方海軍航路部第4測量班の25名のうち、10名が行方不明となった<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像32-33測量班人員現状"/>。「沈没顛末報告」では生存者の少なかった原因として単艦での行動、夜間でかつ海が荒れていた、沈没が急だった、沈没後に敵潜水艦が浮上し銃撃を行った事をあげている<ref>[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]画像33、『六. 参考 (六)生存者少キ原因ト思考スル事項左ノ如シ』</ref>。
生存者は浮いていたカッター1隻と測量艇1隻に乗り、カッターは24日、測量艇は25日にそれぞれ[[ルバング島]]に到着<ref>[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]画像29-31、四.遭難後生存者ノ行動・ロ、同・ハ。</ref>、現地の陸軍情報隊で合流した<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像31生存者行動ニ">[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]画像31、四.遭難後生存者ノ行動・ニ。</ref>。24日から数回に分かれてマニラへ移動<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像31生存者行動ニ"/>、30日生存者はマニラに集合した<ref>[[#S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)]]画像23『生存者ハ浮揚セシ第一カッター及測量艇一ニ分乗二十五日ルバング島到着三十日「マニラ」ニ集合セリ』。</ref>。生存者のうち、下士官10名と傭人1名は9月30日附で呉海兵団に転勤、重傷者4名は第103病院に入院、残り12名は第5補充部に転勤した<ref name="S19.6-9勝力日誌詳報(2)画像22-23兵力現状"/>。
11月10日、「勝力」は測量艦<ref>[[#内令(秘)昭和19年11月(2)]]p.22『内令第一二四八號 特務艦類別等級別表中左ノ通改正ス｜昭和十九年十一月十日 海軍大臣｜測量艦ノ部中「勝力」ヲ削ル』</ref>および帝国特務艦籍から削除された<ref name="S19内令第1254号">[[#内令(秘)昭和19年11月(2)]]pp.27-28『『内令第一二五四號 横須賀鎮守府在籍 軍艦 秋津洲 軍艦迅鯨|呉鎮守府在籍 軍艦 雲鷹|佐世保鎮守府在籍 軍艦 八重山|舞鶴鎮守府在籍 軍艦 蒼鷹 右帝國軍艦籍ヨリ除カル｜佐世保鎮守府在籍 驅逐艦 皐月 右帝國驅逐艦籍ヨリ除カル｜横須賀鎮守府在籍 海防艦 平戸|呉鎮守府在籍 海防艦 五百島|佐世保鎮守府在籍 第十號海防艦 右帝國海防艦籍ヨリ除カル｜呉鎮守府在籍 第三號輸送艦 第四號輸送艦 第五號輸送艦|佐世保鎮守府在籍 第百二十七號輸送艦 第百三十四號輸送艦 右帝國輸送艦籍ヨリ除カル｜横須賀鎮守府在籍 第三十二號驅潜艇|呉鎮守府在籍 第五十五號驅潜艇|舞鶴鎮守府在籍 第十號驅潜艇 右帝國驅潜艇籍ヨリ除カル｜呉鎮守府在籍 特務艦 勝力 右帝國特務艦籍ヨリ除カル 昭和十九年十一月十日 海軍大臣』』</ref>。敷設艦2隻（[[八重山 (敷設艦)|八重山]]、[[蒼鷹 (急設網艦)|蒼鷹]]）も同日附で除籍されている<ref name="S19内令第1254号" />。
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==略歴==
* [[1916年]]5月5日 [[呉海軍工廠]]にて起工<ref name="起工" />
** 10月5日 進水<ref name="進水"/>
* [[1917年]]1月15日
* [[1920年]]4月1日 敷設艦へ類別変更<ref name="大正9達38"/>、軍艦'''勝力'''となる<ref name="大正9達36" />
* [[1935年]] 測量艦に改造
* [[1942年]]7月20日 特務艦（測量艦）に類別変更<ref name="昭和17内令1317" />
* [[1944年]]9月21日 マニラ南西方にて戦没<ref name="沈没地点"/><ref name="沈没"/>
** 11月10日 除籍<ref name="S19内令第1254号"/>
== 歴代艦長 ==
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== 脚注 ==
=== 注釈 ===
{{Reflist|2}}▼
<references group="注釈"/>
=== 出典 ===
==参考文献==
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**{{Cite book|和書|id=Ref.C08020766000|title=大正5年 公文備考 巻27 艦船4/起工|ref=T5公文備考27/起工}}
**{{Cite book|和書|id=Ref.C08020923000|title=大正6年 公文備考 巻19 艦船1/磯風、浜風、天津風、時津風(1)|ref=T6公文備考19/磯風、浜風、天津風、時津風(1)}}
**{{Cite book|和書|id=Ref.C08020962600|title=大正6年 公文備考 巻41 艦船23止/敷設船勝力南洋群島巡航報告(1)|ref=T6公文備考巻41/勝力巡航報告(1)}}
**{{Cite book|和書|id=Ref.C08020962700|title=大正6年 公文備考 巻41 艦船23止/敷設船勝力南洋群島巡航報告(2)|ref=T6公文備考巻41/勝力巡航報告(2)}}
**{{Cite book|和書|id=Ref.C08030635700|title=昭和19年6月1日～昭和19年9月24日 特務艦勝力戦時日誌戦闘詳報(1)|ref=S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(1)}}
**{{Cite book|和書|id=Ref.C08030635800|title=昭和19年6月1日～昭和19年9月24日 特務艦勝力戦時日誌戦闘詳報(2)|ref=S19.6.1-S19.9.24勝力日誌詳報(2)}}
**{{Cite book|和書|id=Ref.C08051772000|title=昭和16年～昭和20年 戦隊 水戦輸送戦隊 行動調書|ref=戦隊行動調書}}
**{{Cite book|和書|id=Ref.C12070069900|title=大正4年 達完/12月|ref=達大正4年12月}}
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