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[[File:Dore jonah whale.jpg|thumb|right|200px|『大魚に吐き出された[[ヨナ]]』([[ギュスターヴ・ドレ]])]]
{{旧約聖書}}
『'''ヨナ書'''』(ヨナしょ)は[[旧約聖書]]文書のひとつ。[[ユダヤ教]]では「後の預言者」に、[[キリスト教]]では[[預言書]]に分類する。キリスト教でいう[[十二小預言書]]の5番目に位置する。4章からなる。内容は[[預言者]]の[[ヨナ]]と神のやりとりが中心になっているが、ヨナが大きな魚に飲まれる話が有名。著者は不明。ヨナ自身が書いたとする説はある<ref>{{Cite web |url=https://wol.jw.org/ja/wol/d/r7/lp-j/1200002504 |title=ヨナ書 |publisher=[[ものみの塔]] オンライン・ライブラリー |accessdate=2017-10-29}}</ref>
 
この書は、異邦人を主人公としている[[ルツ記]]と同じように、イスラエルの民の[[選民思想]]・特権意識を否定しており、当時のユダヤ人には驚くべき内容であった。この点において旧約聖書文書の中で異彩を放っている。
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=== 主人公 ===
旧約聖書・[[列王記下]]14章25節によると、ヨナ書の主人公であるアミタイの子ヨナは、預言者として、(周囲の国々からの圧迫が減り、それによって)イスラエルの領土が回復することを預言している<ref>[[s:列王紀下(口語訳)#14:25|列王紀下(口語訳)#14:25]]</ref>。間もなく、イスラエル王[[ヤロブアム2世]]統治下で、イスラエルは実際に失地を回復している。
 
=== 主題 ===
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== 物語 ==
『ヨナ書』の主人公はアミタイの子、預言者ヨナ(イオナ)である。ヨナは、神から、イスラエルの敵国である[[アッシリア]]の首都[[ニネヴェ (メソポタミア)|ニネヴェ]]に行って「(ニネヴェの人々が犯す悪のために)40日後に滅ぼされる」<ref>[[s:ヨナ書(口語訳)#3:4|ヨナ書(口語訳)#3:4]]</ref>という預言を伝えるよう命令される。しかし、ヨナは敵国アッシリアに行くのが嫌で、船に乗って反対の方向の[[タルシシュ]]に逃げ出す<ref>[[s:ヨナ書(口語訳)#1:3|ヨナ書(口語訳)#1:3]]</ref>。このため、神は船を嵐に遭遇させた。船乗りたちは誰の責任で嵐が起こったかくじを引く。そのくじはヨナにあたったので船乗りたちは彼を問い詰めると、彼は自分がヘブル人で海と陸を造られた天の神、主を畏れていることを告白する(神から逃げていたことは既に話してあった)。ヨナは自分を海に投げれば嵐はおさまると船乗りたちに言う。最初、船乗りたちは陸にたどり着こうと努力したが、激しい嵐のためできず、ヨナの言うとおり彼の手足をつかんで海に投げ込んだ。ヨナは神が用意した大きな魚に飲み込まれ3日3晩魚の腹の中にいたが、神の命令によって海岸に吐き出された。
 
ヨナは悔い改め、ニネヴェにいって神のことばを告げると、意外なことに人々はすぐに悔い改めた。指導者はニネヴェの人々に悔い改めと[[断食]]を呼びかけ、人々が実行したため、神はニネヴェの破壊を考え直して、中止した<ref>[[s:ヨナ書(口語訳)#3:5|ヨナ書(口語訳)#3:5-10]]</ref>。ヨナは、1度滅ぼすと言ったがそれを中止し、イスラエルの敵であるニネヴェの人々をゆるした神の寛大さに激怒する<ref>[[s:ヨナ書(口語訳)#4:1|ヨナ書(口語訳)#4:1-4]]</ref>
 
ヨナがその後庵を建ててニネヴェがどうなるか見るためにそこに住んでいると、その横に[[ひょうたん]]([[トウゴマ]]とも)が生えた。ヨナはひょうたんが影を作り日よけになったので喜ぶが、神は虫を送ってひょうたんを枯らしてしまう。ヨナが激怒して、怒りのあまり死にそうだと訴えると、神はヨナに向かい、ヨナがたった1本のひょうたんを惜しんだのだから、神が12万人以上の人間と無数の家畜がいるニネヴェを惜しまないことがあろうかと諭す<ref>[[s:ヨナ書(口語訳)#4:5|ヨナ書(口語訳)#4:5-11]]</ref>
 
== イエスの説教における引用 ==
 
[[新約聖書]]では[[イエス・キリスト|イエス]]がヨナの名前に言及する場面がみられる。たとえば[[マタイによる福音書]](12([[s:マタイによる福音書(口語訳)#12:39|12: 39]][[s:マタイによる福音書(口語訳)#16:4|16: 4)4]])や[[ルカによる福音書]](11([[s:ルカによる福音書(口語訳)#11:29|11: 29)29]])で、イエスはしるしを求める人にむかって「ヨナのしるし」のほかには何のしるしも与えられないと言っている。[[キリスト教]]では伝統的に、ヨナが魚の腹にいた3日3晩とイエスが死んでから復活するまでの3日間を対応するものとしてとらえてきた。そのような解釈から[[福音書]]の当該部分はヨナの体験を自らの死と復活の[[予型]]としてイエスが語っているというふうに理解されてきている<ref name="osb1021">"[[:en:Orthodox Study Bible|Orthodox Study Bible]]" ([[正教会|正教]]聖書註解) P. 1021(2008年)</ref><ref>[[村瀬俊夫]]『[[新聖書注解]] 新約第一巻』129頁</ref><ref>川島貞雄著 (1991/07)『新約聖書注解―新共同訳 (1)』91頁、[[日本基督教団]]出版局 ISBN 9784818400818</ref>。
 
== 後代への影響 ==