「日本の救急車」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
無駄空白、brタグ、冗長記述、スタイル、文体
2行目:
{{画像提供依頼|<br />感染症対策 特殊救急車Ⅲ型 の外装と車内の装備|date=2016年3月|cat=自動車|}}
{{画像提供依頼|<br />[[熊本赤十字病院]]及び[[諏訪赤十字病院]]の特殊医療救護車両並びに[[京都市消防局]]の高度救急救護車(項番10.3 中型・大型トラックベースなど)|date=2016年4月|cat=自動車|}}
[[日本]]における[[救急車]]とは[[日本の消防車|消防車]]や[[パトカー]]と同様[[緊急自動車]]の一つで、車内に傷病者を収容し[[緊急自動車#.E7.B7.8A.E6.80.A5.E8.B5.B0.E8.A1.8C|緊急走行]]で[[病院]]などの医療機関まで搬送する車両の事を指す。<br />また、[[ドクターカー]]も救急車の一種である。 [[消防法]]施行令上の正式名称は'''救急自動車'''(きゅうきゅうじどうしゃ)。
 
この項目では、日本の救急車について説明する。
 
== 概要 ==
*日本の救急車は、
:# [[地方公共団体]] ([[日本の消防|消防]])が所有するもの
:# [[病院]]などの[[医療機関]]が所有するもの
:# [[自衛隊]]が所有するもの
:# [[空港]]の検疫所が所有するもの
:などがあり、同じ「救急車」と呼ばれる[[緊急自動車]]であっても、所属している組織によって、配備の目的や車内の装備、管轄省庁などが異なる。 
 
*日本の[[地方公共団体]] ([[日本の消防|消防]])における救急自動車は[[総務省消防庁]]が管轄している。他省庁管轄の救急車と比べて出動件数が最も多い。
*[[地方公共団体]] ([[日本の消防|消防]])の救急車は、構造や設備が[[総務省消防庁]]により定められている<ref>救急業務実施基準(昭和39年3月3日自消甲教発第6号)(最終改正 平成26年10月31日消防救第186号)総務省消防庁</ref>。例として、[[救急隊員]]3人以上及び傷病者2名以上を収容でき、[[四輪駆動]]車であること等が定められている。
*普段一般道路を走行している大部分の救急車は[[119番]]通報により出動した[[地方公共団体]] ([[日本の消防|消防]])の救急車である。
*日本の119番通報で出動する消防の救急車は傷病者の人種、年齢、国籍、納税の有無を問わず無料で利用する事ができる。
*緊急走行時は赤色灯の点灯と90dB以上のサイレンの吹鳴が法律で義務付けられており、状況によるサイレンの実効性・必要性が明らかに無い場合であっても現在のところはこれが当てはまる。また、警察の[[パトロールカー#.E6.97.A5.E6.9C.AC|パトロールカー]]と違い、搬送される傷病者の家族などが乗った車両を赤信号で先導することは出来ない。<br />このため、救急車の後について走行し信号無視をすると道路交通法違反で検挙される
*'''医療機関の救急車''' は、病院間の[[転院搬送]]などに使用され、[[ドクターカー]]などと同じく、[[厚生労働省]]が管轄している。
 
* '''[[救急車 (陸上自衛隊駐屯地用)|自衛隊の救急車]]''' は[[防衛省]]が管轄しており、通常時は駐屯地や基地内で発生した傷病者を医務室へ運ぶために使われている。<br />[[大規模災害]]などの際に[[地方公共団体#.E6.97.A5.E6.9C.AC.E3.81.AE.E5.9C.B0.E6.96.B9.E5.85.AC.E5.85.B1.E5.9B.A3.E4.BD.93|地方公共団体]]の[[首長]]からの要請を受けて「[[災害派遣]]」として出動するのは[[1トン半救急車]]と呼ばれる車両で、大きな[[赤十字]]標章が付いたトラックのような外見であるが、これも関係法令に適合した 正式な日本の救急車の一つである。
*'''医療機関の救急車''' は、病院間の[[転院搬送]]などに使用され、[[ドクターカー]]などと同じく、[[厚生労働省]]が管轄している。
*'''空港'''(検疫所)'''の救急車''' は、海外からの入国者・帰国者等が[[感染症]]を罹っていた場合などに使用する。[[厚生労働省]]が管轄している
 
* '''[[救急車 (陸上自衛隊駐屯地用)|自衛隊の救急車]]''' は[[防衛省]]が管轄しており、通常時は駐屯地や基地内で発生した傷病者を医務室へ運ぶために使われている。<br />[[大規模災害]]などの際に[[地方公共団体#.E6.97.A5.E6.9C.AC.E3.81.AE.E5.9C.B0.E6.96.B9.E5.85.AC.E5.85.B1.E5.9B.A3.E4.BD.93|地方公共団体]]の[[首長]]からの要請を受けて「[[災害派遣]]」として出動するのは[[1トン半救急車]]と呼ばれる車両で、大きな[[赤十字]]標章が付いたトラックのような外見であるが、これも関係法令に適合した 正式な日本の救急車の一つである。
 
*'''空港'''(検疫所)'''の救急車''' は、海外からの入国者・帰国者等が[[感染症]]を罹っていた場合などに使用する。[[厚生労働省]]が管轄している 。
 
*大企業の工場や火力[[発電所]]、石油コンビナートなどの大規模事業所や、一部の大型[[テーマパーク]]などが所有<ref>公安委員会に届け出をして正式な『緊急自動車』として認定されていれば公道で救急車として病院まで『緊急走行』を行うことができる。</ref>していることがある。
 
33 ⟶ 29行目:
*[[1934年]](昭和9年) - [[愛知県警察部]]が名古屋市中消防署<ref>現在の[[名古屋市消防局]]中消防署</ref>に、[[日本赤十字社]]東京支部が[[東京市]]に救急自動車を配備。運用を開始する。
*[[1936年]](昭和11年) - [[警視庁 (内務省)|警視庁消防部]]<ref>現在の[[東京消防庁]]</ref>にアメリカ製救急自動車が寄贈され、[[東京市]]で救急隊による救急業務が始まる。同年、[[京都府警察部]]が[[京都市]]に救急自動車を配備。運用を開始する。
*[[1948年]](昭和23年) - [[消防組織法]]の施行に伴い、警察の消防部門から独立・分離し、以後、[[地方公共団体#.E6.97.A5.E6.9C.AC.E3.81.AE.E5.9C.B0.E6.96.B9.E5.85.AC.E5.85.B1.E5.9B.A3.E4.BD.93|地方公共団体]]の消防本部が消防・救急業務を担うようになる
*[[1949年]](昭和24年) - 警察の消防部門から独立した[[名古屋市消防局]]が救護業務を再開<ref>名古屋消防史、P.238</ref>。
*[[1952年]](昭和27年) - [[東京消防庁]]が「消防関係救急業務に関する条例」を制定。
*[[1953年]](昭和28年) - 東京消防庁が「消防関係救急業務に関する条例施行規則」を制定。
*[[1963年]](昭和38年) - [[消防法]]が改正され、各[[地方公共団体#.E6.97.A5.E6.9C.AC.E3.81.AE.E5.9C.B0.E6.96.B9.E5.85.AC.E5.85.B1.E5.9B.A3.E4.BD.93|地方公共団体]]の消防本部が救急業務を行うよう規定・法制化<ref>昭和23年に施行された消防組織法は消防が救急業務を行う法的根拠が曖昧な状態だった為。</ref>される。
*[[1970年]](昭和45年) - 消防自動車と同じサイレン音だった「ウー」音との識別や搬送中の傷病者ならびに道路沿いの地域住民がうける騒音軽減のため、救急自動車専用「ピーポー」音電子サイレンへ変更<ref name="kyukyu-siren-shokai">「救急自動車に備えるサイレンについて(照会)(昭和45年3月17日消防防第187号)」 消防庁</ref><ref>「救急自動車に備えるサイレンの音色の変更について(昭和45年6月10日消防防第337号)」 消防庁</ref>される。
*[[1991年]](平成3年) - 救急救命士法が制定され救急救命士が全国各地で誕生。日本初の高規格救急車「メルセデス・ベンツ製310D型([[2WD]])」が[[政令指定都市]]に導入され、救急救命士と高規格救急車の本格運用が始まる。
*[[1992年]](平成4年)
57 ⟶ 53行目:
 
== 納入に至るまで ==
日本の地方[[地方公共団体#.E6.97.A5.E6.9C.AC.E3.81.AE.E5.9C.B0.E6.96.B9.E5.85.AC.E5.85.B1.E5.9B.A3.E4.BD.93|自治体]]が救急車を購入する場合、一般的に[[競争入札]]で購入する。納入までの主な手順は次の通り。
# 救急自動車を購入する際は更新および増隊の必要の有無に基づいて決定され、消防本部を運営する地方自治体の議会(以下、議会)が新年度計画を発表する。
# その後、各消防本部が運営する地方自治体の入札業者名簿に登録されている販売業者に対し、入札の公告を告示をする。販売業者は期間内に仕様や金額を書いた各種用紙一式をまとめた封筒を各消防本部の指定先に届ける。
# 開札が行われた後、一番安い価格を提示した業者が落札し仮契約を結ぶ。その後、議会で審議・可決された後、契約が成立する。
# その後販売業者は自動車メーカーに発注し、自動車メーカーから指示を受けた艤装メーカーが車輌を生産する。
# 生産完了後、販売業者の元に車両が届けられる。なお、救急自動車は型式を取得していても指定自動車でないため[[国土交通省]]直轄の運輸局にて持ち込み検査を行い、登録完了後各本部に納入される。
 
* 逆に[[随意契約]]になることもある。例として、入札を締め切った後入札業者名簿に登録されている業者が1社しかない場合や指示内容や諸事情(生産中止など)により納入が不可能になったりした場合である。
* 入札で救急自動車が納入されるだけでなく企業や法人<ref>非営利法人では[[JA共済連]]、[[日本損害保険協会]]、[[日本自動車工業会]]、[[宝くじ|日本宝くじ協会]]など。営利法人では[[安田生命]](現[[明治安田生命]])や[[山之内製薬]](現[[アステラス製薬]])などが有名である。</ref>、一般の個人などから寄贈されることもある。この場合は車体に寄贈者名や「助成車両」のネームやマークが入る。交付金で購入した場合も車体に交付金名が入る。類似したケースでは[[日本赤十字社]]の新潟県支部などが消防本部に救急車を貸与している。この車両は赤十字マーク<ref name="redcross">日本においてでは、赤十字マークは[[赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律]]に基づき、日本赤十字社とその許可を受けた者(“軍隊”。自衛隊所属車両)のみに許されるマークである。</ref>が付けられている。
 
== 搭載されている主な医療用資器材 ==
72 ⟶ 67行目:
*観察用資器材 - [[聴診器]]、[[血圧計]](自動式・タイコス式)、検眼用[[ペンライト]]、患者監視装置([[心電図]]・脈波・[[血圧]]・血中[[酸素飽和度]])等- 傷病者の[[バイタルサイン]]などを測定するために使用する。
*[[人工呼吸器]] - バックバルブマスク・デマンドバルブ・自動式人工呼吸器等
*自動式体外[[除細動器]] - 電気ショックを与える医療器具。[[心室細動]]や無脈性[[心室頻拍]]の、致死的[[不整脈]]を治療するために使用する。法改正により一般市民でも使用できるように可能となった[[自動体外式除細動器|AED]]と救急車に積載されるものと異なる点は、隊員自らが心電図モニターにより除細動の適応を判断し解析を行い除細動適応であれば通電する点である<ref>一般市民仕様の[[自動体外式除細動器|AED]]を救急隊装備として使用するケースもある。</ref>。
*気道管理セット - 吸引器、[[喉頭鏡]]、マギル[[鉗子]]、開口器、経口経鼻エアウェイ等
*搬送器材各種 - [[ストレッチャー]](メイン、サブ、スクープ型など)・布担架等
80 ⟶ 75行目:
*外傷キット - 滅菌ガーゼ・タオル包帯・三角巾・空気膨張型副木等
*分娩セット
*救出用具 - サイドウィンドウを割る為の[[ハンマー]]、[[シートベルト]]カッター、[[バール (工具)|バール]]、トップマン鳶等。これらで対応出来ない事案の場合は[[特別救助隊]]の支援を求める(通報で状況を聞き取った際に同時出動する事が多い)
* [[医療用酸素]] - 10リットルボンベ×2~3本
*特定行為セット - [[ラリンゲアルマスク]]、食道閉鎖式エアウェイ、[[気管チューブ]]、静脈留置針、輸液セット、<br />[[アドレナリン]]。(気管チューブとアドレナリンは医師の具体的指示を受けた「認定救急救命士」が使用できる。)
 
== 法令関係・デザインなど ==
[[ファイル:Star_of_life2.svg|thumb|160px|right|[[スター・オブ・ライフ]](生命の星)]]
{{試聴|filename=Japanese ambulances in Sendai immediately after the 2011 earthquake off the Pacific coast of Tōhoku.ogv|title=日本の救急車の走行|description=東日本大震災後、仙台に到着した他道県からの支援車列}}
消防法施行令第44条によると救急車は「救急自動車」と表記されており、[[特種用途自動車]]の緊急自動車の形状例示では「救急車」と表記されている。また、道路交通法施行令第13条では緊急自動車の指定を受けることができる自動車として「国、都道府県、市町村、関西国際空港株式会社、成田国際空港株式会社又は医療機関が傷病者の緊急搬送のために使用する'''救急用自動車'''のうち、傷病者の緊急搬送のために必要な特別の構造又は装置を有するもの」を挙げている。車体の色は[[道路運送車両法]]で白色と定められ、横に赤色のラインが引かれているのが一般的であるが、青色<ref>静岡県[[熱海市消防本部]]や、福井県の鯖江・丹生消防組合など。<br /ref>又は黄緑色<ref>三重県[[亀山市消防本部]]</ref>のラインが引かれている車両もあるなど、ラインの色やデザインは地方自治体ごとに異なる。例えば、[[札幌市消防局]]の場合は色帯を「''Sapporo''」の頭文字である「S」をモチーフに変形させたものや[[大阪市消防局]]<ref>赤帯がない理由として、「あかん(駄目・助からない)」に繋がり、縁起が良くないと忌まれていたが、認識性の向上を目的に[[2004年]](平成16年)から配備された高規格救急車のリアのテールゲートのハンドル付近に赤帯が入った。</ref>を含む一部の地方自治体では、赤色のラインが無い車両もある。車両上部に赤色警告灯(側面や後部に補助警告灯として高輝度LEDを用いたものが設置されている)やスピーカー、[[消防無線|消防無線機]]などを備えている。
車体の色は[[道路運送車両法]]に基づき白色と定められており、横に赤色のラインが引かれているのが一般的であるが、青色<ref>静岡県[[熱海市消防本部]]や、福井県の鯖江・丹生消防組合など。</ref>又は黄緑色<ref>三重県[[亀山市消防本部]]</ref>のラインが引かれている車両もあるなど、ラインの色やデザインは地方自治体ごとに異なる。例えば、[[札幌市消防局]]の場合は色帯を「''Sapporo''」の頭文字である「S」をモチーフに変形させたものや[[大阪市消防局]]<ref>赤帯がない理由として、「あかん(駄目・助からない)」に繋がり、縁起が良くないと忌まれていたが、認識性の向上を目的に[[2004年]](平成16年)から配備された高規格救急車のリアのテールゲートのハンドル付近に赤帯が入った。</ref>を含む一部の地方自治体では、赤色のラインが無い車両もある。車両上部には赤色警告灯(側面や後部には補助警告灯として高輝度LEDを用いたものが設置されている)やスピーカー、[[消防無線|消防無線機]]などを備えている。
救急車のデザインは所属・隊名の他に、[[スター・オブ・ライフ]]や消防本部または市町村章のマーク、オリジナルキャラクター、火災予防や救命講習の呼びかけなど、多種多様である。車両前部に“救急”の表示を左右反転させ鏡文字にしている車両があるが、これは走行中の一般車両が後方から接近する救急車をバックミラーで認識しやすいようにするためで、ヨーロッパ<ref>“AMBULANCE”を左右反転させ鏡文字にしている。</ref>などでは一般的である。
[[空港]]近くの消防署・出張所に配置されている救急車の中には、空港構内へ進入して航空機のすぐ近くへ接近するために、空港構内登録用のナンバープレートを装着した車両もある。
 
救急車のデザインは所属・隊名の他に、[[スター・オブ・ライフ]]や消防本部または市町村章のマーク、オリジナルキャラクター、火災予防や救命講習の呼びかけなど、多種多様である。車両前部に“救急”の表示を左右反転させ鏡文字にしている車両があるが、これは走行中の一般車両が後方から接近する救急車をバックミラーで容易に認識しやすいようにすさせるためで、ヨーロッパ<ref>“AMBULANCE”を左右反転させ鏡文字にしている。</ref>などで一般的である。[[空港]]近くの消防署・出張所に配置されている救急車に、空港構内へ進入して航空機のすぐ近くへ接近するために、空港構内登録用のナンバープレートを装着した車両もある。
救急車のサイレンは、[[1970年]](昭和45年)に現在の「ピーポー」音電子サイレンに切り替える際、運輸省(現国土交通省)に[[道路運送車両法#道路運送車両の保安基準|道路運送車両の保安基準]]への適合について照会しており、法令上正式なサイレンである<ref name="kyukyu-siren-shokai"/><ref>「緊急自動車に備えるサイレンについて(昭和45年3月24日自車第323号)」運輸省</ref>。近年では補助警告音としてイェルプ<ref>yelpとは「犬などがキャンキャン甲高くほえる」という意味で、「ピュウピュウ」や「ファンファン」などに聞こえる早いテンポで甲高く吹鳴するサイレンの事。</ref>音付サイレンアンプを装備する車両も増えている。イェルプ音は日本で正式なサイレンと認められていない為、公道での単独吹鳴は違法<ref>サイレンの適正な運用について(平成19年3月13日消防消第36号)総務省消防庁</ref>になる。その為、正規の「ピーポー」音電子サイレンが消えないよう同時吹鳴するようになっている。
 
救急車のサイレンは、[[1970年]](昭和45年)に現在の「ピーポー」音電子サイレンに切り替える際に[[運輸省(現国土交通省)に]]へ[[道路運送車両法#道路運送車両の保安基準|道路運送車両の保安基準]]への適合について照会しており、法令上正式なサイレンである<ref name="kyukyu-siren-shokai"/><ref>「緊急自動車に備えるサイレンについて(昭和45年3月24日自車第323号)」運輸省</ref>。近年は補助警告音としてイェルプ<ref>yelpとは「犬などがキャンキャン甲高くほえる」という意味で「ピュウピュウ」や「ファンファン」などに聞こえる早いテンポで甲高く吹鳴するサイレンの事である。</ref>音付サイレンアンプを装備する車両も増えていみられ。イェルプ音はが、日本で正式なサイレンとめら定されていない為、おらず公道での単独吹鳴は違法<ref>サイレンの適正な運用について(平成19年3月13日消防消第36号)総務省消防庁</ref>になる。その為、正規の「ピーポー」音電子サイレンが消えないよう同時吹鳴するようになっている。
 
== 種別 ==
98 ⟶ 92行目:
:従来型や外国製などを参考に[[1980年代]]から基本研究・開発がスタートし、[[1991年]]の[[救急救命士法]]施行にあわせて規格化された車両で、日本の消防で現在主力の救急車両である。
:[[救急救命士]]が乗務し運用されている。
:車両の装備品等の基準が定られている。以前まで総務省消防庁認定「高規格救急車」又は「高規格救急自動車」と表示され販売されていたが、<br />要件具備の確認行為が廃止<ref>(平成22年4月1日消防救第73号)総務省消防庁</ref>された為、現在では「高規格基準救急自動車」又は「高規格基準救急車」と表示し販売されている。<br />ちなみに、高規格救急車=災害対応特殊救急自動車というわけではなく、国が行う緊急消防援助隊設備整備費補助金交付要綱<ref>(平成18年4月1日消防消第49号 最終改正 平成28年4月8日消防消第70号)総務省消防庁</ref>の要件を満たす救急自動車の事をいう。<br />このため、高規格救急自動車だけではなく、災害対応特殊救急自動車の要件に適合すれば2B型救急自動車(準高規格救急車)も補助金交付の対象<ref>例、[[平塚市消防本部]]の[[日産・キャラバン#5.E4.BB.A3.E7.9B.AE.E3.80.8CNV350.E3.82.AD.E3.83.A3.E3.83.A9.E3.83.90.E3.83.B3.E3.80.8D.EF.BC.88E26.E5.9E.8B_2012.E5.B9.B4-.EF.BC.89|NV350・キャラバン]] ディーゼルエンジン仕様救急車</ref>となり、[[緊急消防援助隊]]に登録される。
;2B型救急自動車
[[ファイル:JR_Sapporo_hospital01.JPG|thumb|180px|right|2B型救急車<br />([[JR札幌病院]])]]
:2(ツー)[[ベッド]]型の略。高規格救急車に対して 「標準救急車」、「普通救急車」 等と呼ばれている。<br />自治体消防で救急車として運用が始まった[[1960年代]]では、消防車と同じ音のサイレンを装備し、主にトラックをベースにした車両だったが、<br />[[1970年代]]前半から[[ステーションワゴン]]をベースにした車両に変わり、サイレンも救急車専用の「ピーポー音」電子サイレンになった。<br />[[1970年代]]後半からは商用ワンボックスカーをベースにした車両になり、現在に至る。
:一般的な病院所有の救急車<ref>[[ドクターカー]]など一部を除く。</ref>や 自衛隊駐屯地・基地で見られる救急車<ref>[[1トン半救急車]]などを除く。</ref>は基本的に2B型救急車である。
:一部の地方自治体で「準高規格救急車<ref>2B型救急車又は商用ワンボックスカーに高規格救急車と同等の設備と高度救命処置用資器材などを設置・積載した車両。</ref>」と呼ばれる救急車があるが、「準高規格救急車」という名称・規格は総務省消防庁が正式に定めた規格ではないため、種別は2B型救急車に属する。<br />なお、準高規格救急車は販売されている高規格救急車では地方自治体の要求する性能又は条件を満たすことが出来ない場合に導入されている。事例は次の通り。
# 道幅が狭い地域を管轄する地方自治体が高規格救急車より車幅や全長の短い商用ワンボックスカーをベースに高規格救急車と同等の架装をして運用<ref>福山地区消防組合消防局や総社市消防本部など</ref>。
# 規模の小さい地方自治体や財政が厳しい地方自治体などへ寄贈された2B型救急車を高規格救急車と同等に架装して運用<ref>北海道の一部の地方自治体など</ref>。
# 販売されている高規格救急車に設定されていないエンジン設定がある最新型車種をベースに独自仕様を製作し運用<ref>[[平塚市消防本部]]の[[日産・キャラバン#5.E4.BB.A3.E7.9B.AE.E3.80.8CNV350.E3.82.AD.E3.83.A3.E3.83.A9.E3.83.90.E3.83.B3.E3.80.8D.EF.BC.88E26.E5.9E.8B_2012.E5.B9.B4-.EF.BC.89|NV350・キャラバン]] ディーゼルエンジン仕様、災害対応特殊救急自動車</ref>。
;3B型救急自動車
:3(スリー)ベッド型の略で、[[日産・シビリアン]]など[[マイクロバス]]をベースにした救急車。<br />[[1970年代]]から[[1990年代]]前半にかけて普及していた<ref>2B型救急車より車内が広いため、管轄する地域が広域の自治体(北海道・東北地方や九州地方など)では負傷者が複数発生している現場にも(他の地域から応援を呼んでも現場到着までかなりの時間がかかる為)一隊で複数人同時搬送できる車両として配備されていた。</ref>。
:2003年6月の消防組織法上に[[緊急消防援助隊]]が正式に位置づけられ、緊急消防援助隊車両に対する補助金が義務的補助金として優先的に扱われるようになったが、補助金の支給対象は救急車が災害対応特殊救急自動車、人員搬送用は2007年に規格化された消防車両の支援車III型となっており、3B型救急車は補助金支給の対象外であるため新たな需要はなく、製造メーカーからも[[カタログ]]落ちしているため新たに導入された3B型救急車は近年確認されていない。
;大型救急自動車
[[ファイル:地方独立行政法人市立堺病院.JPG|thumb|180px|right|大型救急車<br />([[ドクターカー]]タイプ)<br />([[堺市立総合医療センター|地方独立行政法人<br />堺市立総合医療センター]])]]
:[[マイクロバス]]をベースにした車両で、[[日産・シビリアン]]や[[トヨタ・コースター]]がベース車両として主に使われている。<br />用途別に[[特装車|架装]]タイプが概ね4種類あり、高度な医療用機器を積載し三次救急医療機関で使用される[[ドクターカー]]タイプ、[[新生児]]患者を搬送するため[[インキュベーター (生物学)|大型保育器]]などの医療用機器を積載している新生児用救急車([[ドクターカー]])タイプ、多くのベッド(担架)を積載又は20名程度の座席を装備し、事故や災害で複数の負傷者が発生した時に使用する多数負傷者搬送用<ref>平常時は[[人員輸送車]]として使用されている場合もある。</ref>タイプ、[[東京消防庁]]に配備されている[[感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律#.E6.84.9F.E6.9F.93.E7.97.87.E3.81.AE.E5.88.86.E9.A1.9E|一類・二類感染症]]患者兼特殊災害傷病者搬送タイプがある。新生児搬送用大型救急車は、[[総合周産期母子医療センター]]に指定されている総合病院等に、多数負傷者搬送用の大型救急車は[[空港]]や[[日本の高速道路|高速道路]]を管轄する自治体<ref>[[成田国際空港]]や、[[泉州南消防組合]]([[関西国際空港]]直近)、[[糸魚川市消防本部]]等。</ref>等に配備されている。
;軽救急自動車
[[ファイル:軽救急車.jpg|thumb|180px|right|軽救急車<br />([[姫路市消防局]])]]
:規模の小さい[[離島]]や高規格救急車、2B型救急車が進入できないような[[狭隘道路]]地域などで使用される。
:[[軽自動車|軽]]ワゴン車をベースに救急車へ改造した車両で、狭隘道路地域における「'''高機動性'''」と、傷病者「'''搬送'''」の2点に特化した救急車である。
:高規格救急車等が進入できない狭隘道路地域を管轄する[[地方公共団体]] ([[日本の消防|消防]])で軽ワゴン車をベースに改造した救急車両「軽救急車」を運用できるよう2011年4月に総務省消防庁が救急車の規格基準を改訂。構造や設備の基準適用をしないことが出来るよう緩和され、軽救急車が誕生した。以降、全国各地で普及が進んでいる<br />
:運用例として[[宮崎県]][[高千穂町]]の役場救急隊<ref>[http://www.town-takachiho.jp/~soumu/kyuukyuu7.html 軽救急車] - [[高千穂町]]役場消防防災課</ref>や[[鹿児島県]][[三島村]]の診療所救急<ref>[http://www.minc.ne.jp/~katiiken/mishima.html 三島村巡回診療] - 鹿児島県地域医学研究会</ref>があるほか、2011年に[[兵庫県]]の[[姫路市消防局]]が[[家島諸島|家島本島]]と[[坊勢島]]予備車を含めて各2台ずつ配備し運用している<ref>「救急車:軽自動車改造、道路狭い2島で活躍」 [[毎日新聞]]2011年8月3日付</ref>。
:また、[[東日本大震災]]の後からは、被災地の医療機関からのニーズに基づき、患者モニタや [[超音波検査|超音波エコー]]など8種類の高度な医療機器を搭載した軽救急車を[[日本医科大学]]多摩永山病院救急救命センターが監修した。この軽救急車版[[ドクターカー]]といえる車両<ref>「[http://www.e-radfan.com/hospitalshow2012-pro/20325/ 小型ドクターカー・軽救急車]」 国際ホスピタルショー2012</ref>が2011年10月以降、被災地の宮城・岩手・福島の3県で計11台が運用を開始している<ref>「[http://www.youtube.com/watch?v=i53yrhYrduA 軽救急車]」 安心をのせて、走れ -被災地で活躍する軽救急車(動画)</ref>。
: 2012年に[[高知県]][[南国市]]で市北部山間地域の狭隘道路に対応させるため導入され、同県土佐市消防本部でも2013年1月に導入され、運用されている<ref>「軽救急車:狭い道幅もOK 南国市、県内初導入へ/高知」 [[毎日新聞]]2012年9月20日付</ref><ref>「県内初の軽救急車 南国で導入」 [[読売新聞]]2012年12月23日付</ref>。
 
;その他特殊な車両
:[[京都市消防局]]では、市街地から遠く離れた一部の出張所に、患者搬送を目的とした「器材搬送車」と消救車を配備している。器材搬送車のベース車両として[[日産・セレナ|セレナ]]や[[三菱・デリカスペースギア|デリカスペースギア]]等の[[ミニバン]]が用いられており、車内は前述の軽救急車と同様に狭く、搭載資器材は限られている。これらの車両は[[京都市消防局]]では「救急車」ではなく「'''消防車'''」の扱いになるため、車体塗色は朱色に白が入ったものとなっている。
:また東京消防庁八王子消防署浅川出張所は[[高尾山]]山頂まで走行するため、[[トヨタ・タウンエース#4代目 S402M/402U系(2008年 - )|トヨタ・タウンエース]]をベースにした小型救急車が[[2017年]][[4月]]に配備された<ref>{{Cite news|title=山頂まで登れる特殊な小型救急車、高尾山向けに導入|date=2017-04-19|url=http://www.asahi.com/articles/ASK4G76BTK4GUTIL07H.html|newspaper=朝日新聞|accessdate=2017-07-29}}</ref>。 
 
== 医療機関の救急自動車 (病院救急車)==
{{出典の明記|date=2016年3月|section=1}}{{独自研究|date=2016年3月|section=1}}
医療機関所有する救急車は、主として 患者容体の急変や専門外の治療などにより、の病院施設へ[[転院搬送]]が必となったする患者救急搬送するため使される車両である。なお、「病院救急車」 という呼称称であり正式なものではなく、法令上の正式名称は 消防と同じく「救急自動車」である。 
*管轄省庁は [[ドクターカー]]などと同じく [[厚生労働省]]であり、このため総務省消防庁が発出した「救急業務実施基準(昭和39年3月3日自消甲教発第6号)」などの通達の効力は、医療機関の救急車は一切及ばない。 また、ドクターカーも、医療機関の救急車の中の一種である (詳細は[[ドクターカー]]の項を参照)。
*基本的に救急車内には、搬送される患者と共に 医療機関の[[看護師]]や、付き添いの家族が同乗している。 容体によっては主治医も同乗する。<br />産婦人科を有する医療機関において母体搬送する場合、医師とともに [[助産師]]が同乗することもある。 
*病院によっては、[[救急科]]だけでなく 他の診療科でも救急車を使用する場合があるため、どの診療科で使えるように考慮して、汎用性の高い '''2B型救急車''' を所有するところが一般的で医療機関もある。<br />医療機関によっては、[[ステーションワゴン]]や[[ミニバン]]、軽ワゴン車などを改造して救急車にしているところもあり 車種や外装などは、実にバリエーションに富んでいる。
*割と古い年式の車両がいまだに現役で数多く活躍しているのも、医療機関の救急車の大きな特徴のひとつである。 これは、出動件数や走行距離が比較的少ないため、そのぶん車体の損耗が少なく、車両更新のスパン期間が長く、旧年式車両も少なくなためである
*通常時(待機時)の車内の装備は、基本的に ストレッチャー、酸素ボンベ一式、点滴フック、救急蘇生セット一式、程度と比較的簡素である。 高齢者が多い医療機関では、吸引器や車イスを乗せ積載するリフト装備しているところみられる。<br />医療機関では 各診療科によって、患者ごとに必要とる医療機器が異なるため、患者モニターや補助人工心肺、人工呼吸器、精密輸液ポンプ、[[超音波検査|超音波エコー]]、など 普段通常時は車内に未搭していない機器が必要な場合は、診療科の外来や 病棟で使用している医療機器を 必要に応じて一時的に搭載するといったなど患者に合わせた拡張性の高い運用が行われている。
*医療機関の救急車は、[[医療法]]定めるところの[[病院]]だけに限らず、[[診療所]]有床診療所医院・クリニック、また被災地の仮設診療所など)でも所有することが出来できる。また地元の[[公安委員会]]から緊急車両指定を受けられれば、施設あたりの台数制限など特にいため地方によっては診療所が複数の救急車を所有してい運用すケース施設もある。
*救急車を所有していない医療機関などにおいて転院搬送が必となったする場合は、地元消防の救急車に出動を依頼する。その際に消防本部によっては、送り手側の医療機関に対し主治医の署名・押印が入った 「転院搬送依頼書」など所定の書類提出を要求するところもある。 なお、転院搬送の際時に、患者と共は 「診療情報提供書」(いわゆる 紹介状 各種検査データ、看護サマリー など一式「診療情報提供類一式)送り側医療機関から受入れ側医療機関に渡され、患者と共に引き継がれる。
 
;医療機関の救急車に搭載されている主な医療用資器材
*医療機関や 各診療科によって、車内で使用する医療機器や薬剤、搬送される患者の症状や程度は 大きく異なるため、搭載する器材などは 消防のようにと異なり画一化規格化されていない。 <br />通常時(待機時)、車内はストレッチャーや酸素ボンベ一式、救急蘇生セットなど、最低限の医療機器のみを搭載しており、実際の搬送時は、患者の容態に応じて 外来や病棟で使用している医療機器を一時的に搭載するといった、弾力的な運用を行っている。
*大学病院など一部の病院の救急車の中、[[超音波検査|超音波エコー]]装置や精密輸液ポンプ、気管切開、体腔穿刺(胸腔・心嚢・腹腔穿刺やドレナージなどを含む)用の器材一式、骨内注射用機器一式、など車内での簡易な救急処置・外科手術セットを搭載しているものも見られる。
*産婦人科や[[NICU]](小児集中治療室) GCU(回復治療室) などを有する医療機関の救急車の中には、車内に未熟児用の保育器や補助人工心肺 などの医療機器が搭載されているものもある。
*自治体消防の救急車と異なり、赤色灯やサイレンを消して走行すれば 一般車両の[[患者搬送車]]としての運用が可能であるため、転院搬送のために [[車イス]]を 車内に搭載しているものもある。
 
<gallery>
ファイル:Doctor car of the NMS.JPG|高機能型救急車
ファイル:OgawaRedCross-Ambulance.jpg|2B型救急車
</gallery>
*一部の地方自治体病院では、同じ[[自治体]]の消防本部で更新により不要になった旧型の高規格救急車を廃車にせず、整備し転属させ、自治体病院の2B型救急車として再利用するケースがある。 消防本部の管理下から離れて病院に転属する際や民間の医療機関払い下げる場合は、車内の[[消防無線]]機や 搭載していた医療機器は すべて取り外される。 (民間の医療機関に払い下げられる場合も同じ)
*「送り搬送」 「迎え搬送」 、「三角搬送」 、「下り(くだり)搬送」 などは、医療機関の救急車に特徴的な 搬送方式である。<br />緊急を要しない転院搬送の場合は、基本的に赤色灯やサイレンが装備されていない 「[[患者搬送車]]」での搬送となるが、下り搬送などの場合は、医療機関の救急車がサイレンを消して患者を搬送することもある。
*医療機関の一般的な救急車の場合、利用する者は基本的に当院に入院中の患者か外来受診中の患者に限られる。従って、救急車に乗せる前の段階で 医師による診察、検査、応急処置を院内である程度 行うことが出来るため、搬送に耐えられる程度まで 患者の状態が安定しているケースを主として想定している。 生命に危険が生じているなどの重篤患者の場合は、消防の高規格救急車を呼ぶか、[[ドクターカー]]を所有している三次医療機関に搬送(迎え搬送)を依頼する場合もあるドクターカーも医療機関の救急車の一種である
*医療機関の救急車の運転は、基本的に病院施設事務職員が行っている運転<ref>事務職員以外では用務員が運転していたり、運転業務自体をタクシー会社など外部に委託している病院もある。</ref>を務めて医師や看護師が直接運転すること基本的に携わらないが、医師一人で待機するドクターカーで医師が運転していケース事例もある<br />また、救急車の運転には、一般的な自動車の「普通運転免許」以外に 何か特別な資格は不要である。
*大規模災害時武力攻撃事態、テロ発生など有事の際医療機関の救急車が傷病者の搬送に協力する場合があるが、これは[[国民保護法]]や[[災害対策基本法]]に基づきあらかじめ指定された一部の指定医療機関(主に赤十字病院など)や、[[災害拠点病院]]の救急車が大半であり、大部分の医療機関の救急車は基本的に出動しない
*車内に[[消火器]]を積載しているが、これは救急車内で高濃度の医療用[[酸素]]ガスを取り扱うためである(車内禁煙であるのも同様の理由)
 
== 空港の救急自動車 (感染症患者専用緊急搬送車) ==
 
空港の救急車は、海外から我が国に入ってくる[[感染症]](伝染病)患者からの病原体拡散や2次感染の拡大を防止するため、患者を収容・緊急搬送することを第一の目的としている。空港内で感染症以外の負傷者などが発生した場合は、普通に地元消防や、空港に併設された消防署の分駐署の救急車が搬送する。
*一部の地方自治体病院では、同じ[[自治体]]の消防本部で更新により不要になった旧型の高規格救急車を廃車にせず、整備し転属させ、自治体病院の2B型救急車として再利用するケースがある。 消防本部の管理下から離れて病院に転属する際には、車内の[[消防無線]]機や 搭載していた医療機器は すべて取り外される。 (民間の医療機関に払い下げられる場合も同じ)
*危険性の高い感染症患者疑い例を含む)は、空港[[検疫所]]などから事前に[[感染症法]]定める次のいずれかの指定医療機関(厚労大臣指定の特定感染症指定医療機関、都道府県知事指定の第1種・第2種感染症指定医療機関、のいずれかの指定医療機関に受け入れ要請の連絡となるホットライン)をした上でののちに緊急搬送される<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=NgtIJoeKdOU NHKニュース 2014年10月28日 【動画】]</ref>。
 
*[[成田国際空港|成田空港]]の場合、[[厚生労働省]]成田空港[[検疫所]]が担当する、感染症患者専用の救急車空港地下駐車場に停留しる。検疫所内では空港併設の消防の救急車と混同するのを防ぐため、空港の救急車を「感染症患者専用緊急搬送車」と呼び分けて区別している。
 
:車体は医療機関の救急車などと同じ E24 日産キャラバン 3000 SuperAmbulance3000SuperAmbulanceで、屋根上にシンプルな円柱型の赤色回転灯とサイレンが付いている。また、運転席にカーナビ、車体正面に空港進入用の青色ナンバーが付い、をそれぞれ装着している。
*「送り搬送」 や 「迎え搬送」 、「三角搬送」 、「下り(くだり)搬送」 などは、医療機関の救急車に特徴的な 搬送方式である。<br />緊急を要しない転院搬送の場合には、基本的には赤色灯やサイレンが装備されていない 「[[患者搬送車]]」での搬送となるが、下り搬送などの場合には、医療機関の救急車がサイレンを消して患者を搬送することもある。
*空港の救急車は、2次感染ぐための工夫止策として大きく3つの特徴があるを有す<ref>[http://icnet.umin.ac.jp/other/transfer.htm 感染症の患者の移送について 厚生労働省保健医療局]</ref>。
 
*:# 運転手など係官は全員[[化学防護服|防護服]]を着用する<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=Ih4vEWaiP2I 国立国際医療研究センター 「エボラ出血熱対応防護服 着用訓練」 【動画】]</ref>が、さらに前方の運転席側と後方の患者収容部は、車内の金属製仕切り壁によって完全に遮断されている。
*医療機関の一般的な救急車の場合、利用する者は基本的に当院に入院中の患者か外来受診中の患者に限られる。従って、救急車に乗せる前の段階で 医師による診察、検査、応急処置を院内である程度 行うことが出来るため、搬送に耐えられる程度まで 患者の状態が安定しているケースを主として想定している。 生命に危険が生じているなどの重篤患者の場合は、消防の高規格救急車を呼ぶか、[[ドクターカー]]を所有している三次医療機関に搬送(迎え搬送)を依頼する場合もある(ドクターカーも、医療機関の救急車の一種である)。
*:# 患者収容部の中でも、天井のカーテンレールから床まで伸びたビニールカーテンにより、ストレッチャー周囲を区切られるようになっている。
 
*:# ビニールカーテンで区切られたストレッチャー側の天井に排気口が設置されており、車内でも常に患者側陰圧になるように気流が工夫されを常時保持している。天井の排気口から吸引された車内の汚染空気は、ウイルスを通さないフィルターによって病原体を除去してから車外に排気されるようになっている。
*医療機関の救急車の運転は、基本的に病院の事務職員が行っている<ref>事務職員以外では用務員が運転していたり、運転業務自体をタクシー会社など外部に委託している病院もある。</ref>(医師や看護師が直接運転することは基本的にないが、ドクターカーでは運転しているケースもある)。<br />また、救急車の運転には、一般的な自動車の「普通運転免許」以外に 何か特別な資格は不要である。
*車内仕切り壁の後方側(患者収容部側)の面は、ビニールカバーの付いたスチール棚が設置してあり、棚の中はストレッチャーの上に敷く防護シーツや消毒剤、ポリ袋、予備の手袋・・・など最小限の消耗品などが入っている。
 
*大規模災害時や武力攻撃事態、テロ発生など有事の際に、医療機関の救急車が傷病者の搬送に協力する場合があるが、これは[[国民保護法]]や[[災害対策基本法]]に基づき、あらかじめ指定された一部の指定医療機関(主に赤十字病院など)や、[[災害拠点病院]]の救急車であり、大部分の医療機関の救急車は基本的に出動しない。
*車内には[[消火器]]を積載しているが、これは救急車内で高濃度の医療用[[酸素]]ガスを取り扱うためである(車内禁煙であるのも同様の理由)。
*消防や自衛隊の救急車が行っているような「朝夕点検」は、基本的に行われていない。
 
== 空港の救急自動車 (感染症患者専用緊急搬送車) ==
空港の救急車は、海外から我が国に入ってくる[[感染症]](伝染病)患者からの病原体拡散や2次感染の拡大を防止するため、患者を収容・緊急搬送することを第一の目的としている。(空港内で感染症以外の負傷者などが発生した場合には、普通に地元消防や、空港に併設された消防署の分駐署の救急車が搬送する。)
*危険性の高い感染症患者(疑い例を含む)は、空港[[検疫所]]などから事前に[[感染症法]]で定める次のいずれかの指定医療機関(厚労大臣指定の特定感染症指定医療機関、都道府県知事指定の第1種・第2種感染症指定医療機関)に受け入れ要請の連絡(ホットライン)をした上で緊急搬送される<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=NgtIJoeKdOU NHKニュース 2014年10月28日 【動画】]</ref>。
*[[成田国際空港|成田空港]]の場合、[[厚生労働省]]成田空港[[検疫所]]が担当する、感染症患者専用の救急車が 空港地下駐車場に停めてある。(検疫所内では、空港併設の消防の救急車と混同するのを防ぐため、空港の救急車を「感染症患者専用緊急搬送車」と呼び分けて区別している。)
:車体は医療機関の救急車などと同じ E24 日産キャラバン 3000 SuperAmbulanceで、屋根の上にはシンプルな円柱型の赤色回転灯とサイレンが付いている。また、運転席にはカーナビ、車体正面には空港進入用の青色ナンバーが付いている。
*空港の救急車には、2次感染を防ぐための工夫として大きく3つの特徴がある<ref>[http://icnet.umin.ac.jp/other/transfer.htm 感染症の患者の移送について 厚生労働省保健医療局]</ref>。
*:# 運転手など係官は全員[[化学防護服|防護服]]を着用する<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=Ih4vEWaiP2I 国立国際医療研究センター 「エボラ出血熱対応防護服 着用訓練」 【動画】]</ref>が、さらに前方の運転席側と後方の患者収容部とは、車内の金属製仕切り壁によって完全に遮断されている。
*:# 患者収容部の中でも、天井のカーテンレールから床まで伸びたビニールカーテンにより、ストレッチャー周囲を区切られるようになっている。
*:# ビニールカーテンで区切られたストレッチャー側の天井には排気口が設置されており、車内でも常に患者側が陰圧になるように気流が工夫されている。天井の排気口から吸引された車内の汚染空気は、ウイルスを通さないフィルターによって病原体を除去してから車外に排気されるようになっている。
*車内仕切り壁の後方側(患者収容部側)の面には、ビニールカバーの付いたスチール棚が設置してあり、棚の中にはストレッチャーの上に敷く防護シーツや消毒剤、ポリ袋、予備の手袋・・・など最小限の消耗品などが入っている。
*空港の救急車内では、搬送中の2次感染事故や病原体汚染拡大を防ぐため、応急手当も含め車内での医療行為は一切行わない事、となっている。
*空港の救急車や、保健所の[[患者搬送車]]によっては、「アイソレーター」という、ストレッチャーの上に寝た患者をカプセル型のカバーで覆う隔離器具<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=uxoQg35y8tI 産経新聞 「大阪市でエボラ出血熱対策訓練」 【動画】]</ref>や、空気中の[[ウイルス]]などの病原体に対して殺菌効果があるとされる、[[オゾン]]の発生装置、または [[紫外線]]殺菌灯 などを搭載している車もある。
*患者収容部は搬送により病原体で汚染されることを最初から前提としている。このため、使用後の病原体の除染を容易かつ迅速に実施するため、車内は患者モニタや酸素ボンベ、防振機能付きの架台は最初から装備されていない。このため、患者の乗り心地はあまり良いとは言えないが、車内の消毒しやすさを最優先とし、あえて簡素な造りとなっている。
*空港の救急車や保健所の[[患者搬送車]]を所有していない中・小規模の自治体で感染症患者が発生した場合は「アイソレーター」を使用し消防の救急車で搬送するか、保健所などの[[患者搬送車]]を所有する他都市の自治体や病院からの応援を待って対応することになる。
 
;空港の救急車に搭載されている主な医療用資器材
*基本的に車内での医療行為は、職員等への2次感染の危険性を増大させるため一切行わない事 となっているため、搭載している医療資器材は、ストレッチャーをはじめ、感染防御用具やアイソレーターなどの隔離器具、車内の空中を浮遊・飛散する病原体に効果があると言われる[[オゾン]]発生器や紫外線殺菌灯、希釈した塩素系消毒剤などが中心となっている。
 
== 自衛隊の救急自動車 ==
{{main|救急車 (陸上自衛隊駐屯地用)|1トン半救急車}}
自衛隊の車両は[[陸上自衛隊]]と[[海上自衛隊]]が[[オリーブドラブ|OD色]]、[[航空自衛隊]]は紺色だが、現在は白色の車両も導入されている<ref>「[http://www.mod.go.jp/asdf/iruma/special/013/p1.html SUPECIAL FEATURE 013 4300人の命は預かる!]」航空自衛隊[[入間基地]]</ref>。<br />なお、[[衛生科 (陸上自衛隊)|陸上自衛隊衛生科]]では、手術車・手術準備車・滅菌車・衛生補給車の4台で構成される[[野外手術システム]]を所有している。
 
<gallery>
221 ⟶ 203行目:
;三菱ふそう・オプティマ(OPTIMA、製造時期不明)
:架装は[[帝国繊維]]。[[三菱ふそう・キャンター]]がベース。
:ワイドキャブと標準キャブの2ボディで構成されており、前期・中期・後期の3種が存在。西日本で多く導入されていた。
この他に[[日野自動車]]の中型トラック[[日野・レンジャー]]ベースの高規格救急車が北海道[[網走郡]][[大空町]]東藻琴にある網走地区消防組合東藻琴分署と[[千葉県]]の[[市川市消防局]]に導入されていた。
 
230 ⟶ 212行目:
 
=== 外国産高規格救急自動車一覧===
[[1991年]](平成3年)の医師法改正により[[救急救命士]]が誕生し「応急処置」の範囲を超える高度な処置が出来可能となようになったしかし、当時の国産救急車規格は隊員の活動が制限されたり、新しく増える医療器具や処置器材を置くスペースがないなどの問題が発生する事がわかった。そこでし、救急救命士が車内で迅速に救命処置ができ、なおかつ医療器具などを無理なく搭載できる高規格な救急車、「高規格救急車」を規格化することになった。
 
==== フォード・モーター製 ====
237 ⟶ 219行目:
:高規格救急車が導入される以前、オーストラリア仕様が[[東京消防庁]]や川崎市消防局などに導入された記録がある。この車両はディーラーの[[近鉄モータース]]が[[オーストラリア]]仕様を輸入したため、右ハンドル仕様だった<ref>外務省がODA物資として海外に輸出しようと購入したが、納入先が右ハンドル車が使用不可の地域だったため、止むを得ず納入を取りやめ、余剰分を国内に割り当てたとする説もある。</ref>。
;[[フォード・Eシリーズ]]E-350高規格救急自動車
:架装はウィールドコーチ (''WHEELEDCOACH)''
:高規格救急車の導入に合わせ、[[東京消防庁]]、[[京都市消防局]]、[[名古屋市消防局]]など大都市圏に配備された。大都市以外は大垣地区消防組合がある。また数台が民間の病院や患者搬送サービス業者等にも納入された。
 
==== メルセデス・ベンツ製 ====
;307D型救急自動車
:架装は[[クリスチャン・ミーセン]] (''C.Miesen)'' またはビンツ (''BINZ)''
:[[1987年]](昭和62年)頃に[[東京消防庁]]と[[横浜市消防局]]、[[名古屋市消防局]]に従来の2B型救急車として配備された。
:当時の自治省消防庁が、後に施行される救急救命士法の検討段階において、従来のキャブオーバー型救急車に代わる新しいタイプの救急車の検討・比較材料として輸入車ディーラーであるウエスタン自動車<ref>のちに[[ヤナセ]]に吸収された。</ref>を通じ[[東京消防庁]]に2台試験的に導入、運用させた。[[横浜市消防局]]にウエスタン自動車が寄贈したという話である
:車体が大きく資器材の収容能力等が高いので、車内で行う処置を拡大した場合のシミュレーションや、搬送時患者に与える振動を軽減する防振機能付架台などのテストを行い、新しいタイプの救急車の検討・比較材料として多くのデータを得ることができた。この事から後の国産高規格救急車規格の基礎とも言える車両だが、エンジンパワーが出力は不足していると言われていた後継車両の310D型(約100馬力)もエンジン出力が約70馬力と更に小さく、動力性能が明らかに国産車より劣っていた為、実際は予備車的扱いであまり現場では運用されていなかったようである
[[ファイル:20080105_広島 広島市西 救急.JPG |thumb|200px|right|[[メルセデス・ベンツ]]310D型]]
;310D型高規格救急自動車
:架装は[[クリスチャン・ミーセン]] (''C.Miesen)'' 社またはビンツ(BINZ) (BINZ) 社。
:救急救命士法施行に伴い全国に初めて配備された高規格救急車の代表車両。[[メルセデス・ベンツ]]社製で、前述の307D型の後継車両である。車両のサイズや車内の広さなどバランスがとれており、現在の高規格救急車の手本になった。また、ベンツの救急車として当時雑誌やテレビで紹介され話題になった。この車両は[[1991年]](平成3年)頃より導入され始め、[[1995年]](平成7年)まで政令指定都市やその周辺都市に配備され、自治体以外にも[[3次医療機関]]の[[ドクターカー]]として導入されていた。
:当時メルセデス・ベンツの商用車両を販売していた[[三菱ふそうトラック・バス|三菱ふそう]]系列のSTBが、ドイツでミーセン社によってぎ装されたモデルを輸入後、同じく[[三菱自動車工業|三菱自動車]]系列の三菱自動車テクノサービスで日本の仕様に追加ぎ装したものを「メルセデス・ベンツ救急車」として多数販売した。国内の310D救急車のほとんどはミーセン社のぎ装によるものである。なお、一部ではあるが、[[帝国繊維]]もビンツ社でぎ装された車両を輸入し、帝国繊維鹿沼工場で日本仕様に追加ぎ装し、「テイセン F-5型」として販売していた。
 
=== 中型・大型トラックベースなど ===
[[東京消防庁]]に配備されている京成自動車工業の「'''特殊救急車:スーパーアンビュランス'''」に代表される救急車のことである。このほかにも[[日本赤十字社]][[岡山県]]支部は多目的救急車(仕様は[[日野・レンジャー]])を、[[熊本県]]支部は片側だけが拡張するタイプ(仕様は[[いすゞ・ギガ]])で4床の[[集中治療室]]と同等の機能を有した「'''特殊医療救護車両:ディザスターレスキュー'''」を保有している<ref>[http://www.kumamoto-med.jrc.or.jp/facilities/rescue/interior/disasterrescue.html 特殊医療救護車両 熊本赤十字病院]</ref>。“救急車”ではなく、現場救護所や移動医務・処置室として使用する。また、2015年度に[[京都市消防局]]がそれまで運用していた[[札幌ボデー・トライハート]]の大型救急車を更新する形で[[いすゞ・ギガ]]ベースの東京消防庁のスーパーアンビュランスと同型の車両「'''高度救急救護車:ハイパーアンビュランス'''」を導入し2015年6月より運用を開始した<ref>[http://www.city.kyoto.lg.jp/shobo/page/0000183512.html 新消防指令センター及び高度救急救護車の本格運用開始!(京都市消防局HP)]</ref>。
 
=== 東京消防庁の特殊救急自動車 ===
266 ⟶ 248行目:
:[[2006年]](平成18年)、引退。この間、[[地下鉄サリン事件]]、[[営団日比谷線脱線衝突事故]]、[[歌舞伎町ビル火災]]等に出動した。
:2台目
:[[2004年]](平成16年)、[[三菱ふそう・スーパーグレート]]をベースにしたモデルが第二消防方面本部消防救助機動部隊に配備される。<br >1台目に比べ、患者室のドアやドアステップの構造が改善されている。<br >最近では[[秋葉原通り魔事件]]等に出動した他にTBS系ドラマ[[オルトロスの犬]]や[[Dr.DMAT〜瓦礫の下のヒポクラテス〜]]の劇中にも登場した。<br >2007年より始まった[[東京マラソン]]では毎年、ゴール地点の[[東京国際展示場|東京ビッグサイト]]で待機している。
:3台目
:[[2006年]](平成18年)、[[いすゞ・ギガ]]をベースにしたモデルが第八消防方面本部消防救助機動部隊に配備される。[[渋谷温泉施設爆発事故]]等で出動している。
 
;感染症対応 特殊救急車
:[[NBC災害]]対応部隊である[[東京消防庁第三消防方面本部]]消防救助機動部隊([[渋谷区]])に配備されている。<br >[[日産・シビリアン]]ベースの大型救急自動車に[[エボラ出血熱]]や[[MERS]]ウイルスなどの[[感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律#.E6.84.9F.E6.9F.93.E7.97.87.E3.81.AE.E5.88.86.E9.A1.9E|一類・二類感染症]]患者や体格が大きい外国人・[[力士]]等、<br >約450Kgまで対応できる電動油圧昇降式ストレッチャーを搭載した特殊救急車で、運転席と患者室は隔壁と気密性ドアにより完全に遮断する事ができる。<br >感染症患者搬送時は[[感染症]]患者用陰圧カプセル型ストレッチャー『アイソレーター』を使用。物理的に密閉されたカプセル内の感染症患者に対して<br >搬送中の追加処置や本格的治療はほぼ不可能である。
 
;感染症対応 特殊救急車Ⅲ型
:[[札幌ボデー・トライハート#.E3.83.AA.E3.83.8B.E3.83.A5.E3.83.BC.E3.82.A2.E3.83.AB.E3.83.A2.E3.83.87.E3.83.AB.EF.BC.882009.E5.B9.B4-.EF.BC.89|札幌ボデー・トライハート]]をベースに[[エボラ出血熱]]や[[MERS]]ウイルスなどの[[感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律#.E6.84.9F.E6.9F.93.E7.97.87.E3.81.AE.E5.88.86.E9.A1.9E|一類・二類感染症]]患者や体格が大きい外国人等に対応させた高規格救急車で2016年に2台導入された。<br >そのうち1台が新規創設された救急機動部隊に配備されている。<br >患者室全体が車外へのウイルス拡散を防ぐ陰圧構造になっており、運転席と患者室は隔壁と気密性ドアにより完全に遮断する事が可能。<br >さらに、[[エボラ出血熱]]や[[MERS]]ウイルスなどを不活性化する[[オゾン]]ガス発生装置を装備している。<br >前述の感染症対応特殊救急車と違い、Ⅲ型は患者室全体を陰圧(カプセル型ストレッチャー『アイソレーター』内部と同じ)状態が可能なため<br >搬送中の感染症患者に対し、追加処置や本格的治療を継続して行う事が可能である。
 
;スーパーアンビュランス以前の特殊救急車
[[ファイル:旧矢口消防署 矢口特殊救急隊.jpg|thumb|190px|2代目の特殊救急車<br />(矢口消防署)]]
:[[大田区]]矢口消防署は、かつて矢口特殊救急隊が配置されており、スーパーアンビュランスの前身と言えである特殊救急車が配備されていた。<br />この車両は現場救護所として活躍する車両で、酸素吸入器を備え救急資機材等を運ぶ車両でもあった。
:[[1974年]](昭和49年)初代型となるいすゞライトバスをベースにしたモデルが[[大田区]]矢口消防署に配備される。
:[[1989年]](平成元年)引退、この間に[[ホテルニュージャパン火災]]等に出動した。2代目となる[[いすゞ・ジャーニーQ]]ベースにしたモデルが配備される。
:[[1996年]](平成8年)12月、[[東京消防庁第八消防方面本部]]消防救助機動部隊([[立川市]])発足のため、同隊に配転となる。 
:[[2004年]](平成16年)第二消防方面本部消防救助機動部隊のスーパーアンビュランス更新に伴い、<br />初代スーパーアンビュランスが[[東京消防庁第八消防方面本部]]消防救助機動部隊([[立川市]])に配転になり同時に引退。この間[[地下鉄サリン事件]]等に出場した。
:
:
 
=== 消救車等 ===
[[ファイル:Matsudo Fire Department Fire Fighting Ambulance.JPG|thumb|190px|right|消救車<br />([[松戸市消防局]])]]
'''消救車(しょうきゅうしゃ、正式名称:消防救急自動車)'''は、消防車の出動頻度に比べて、よく駆り出される救急車の運用効率化を図り、消火と救急の両方の機能を持つ車を配備することを目指して作られた車である。2台買うよりは若干安いが、両方の機能を持つ車両は法令上も想定外だったこともあり、効率的に運用できるかどうかはこれからの課題である。配備されている消防機関はまだ少なく、[[2004年]](平成16年)12月に[[モリタ]]が開発・製造した[[日野・デュトロ]]ベースの車両が、千葉県[[松戸市消防局]]六実消防署に第1号として導入された。[[2007年]](平成19年)4月に[[京都市消防局]]北消防署中川消防出張所に全国第2号として消救車が導入されたが、消防車部分は[[京都市消防局]]特注モデルのため小型動力ポンプしか搭載していない。また、救急車部分でも防振ベッドや生体情報モニターなどを備えるが、高規格救急車と比べると設備は劣るため、救急車としては準高規格救急車と同レベルであるといえる。[[2008年]](平成20年)4月に青森県むつ市大畑町の大畑消防団本部付分団に全国3号目の消救車が配備された。同分団の[[消防団]]がポンプ車として使い[[救急車]]としては、同分団に隣接する下北地域広域行政事務組合消防本部大畑消防署が運用する。2015年度に福井県の[[嶺北消防組合]]にも配備された。患者収容スペースを活かした[[消防車#指揮車(指令車)|指揮車]]仕様のタイプが[[2007年]](平成19年)4月現在[[福岡市消防局]]、[[北九州市消防局]]に配備されている。
[[2008年]](平成20年)4月には青森県むつ市大畑町の大畑消防団本部付分団に全国3号目の消救車が配備された。同分団の[[消防団]]がポンプ車として使い[[救急車]]としては、同分団に隣接する下北地域広域行政事務組合消防本部大畑消防署が運用する。
2015年度には福井県の[[嶺北消防組合]]にも配備された。
患者収容スペースを活かした[[消防車#指揮車(指令車)|指揮車]]仕様のタイプが[[2007年]](平成19年)4月現在[[福岡市消防局]]、[[北九州市消防局]]に配備されている。
 
他に通常の消防車を用いるケースとして、救急出場時に救急現場に近い消防署・出張所から[[消防車]]を同時に出場させ、救命処置や救急隊の活動支援等に当たらせる、いわゆる「PA連携」<ref>'''P'''ump(ポンプ車) and '''A'''mbulance(救急車)の意</ref>と呼ばれる出場がある。一時、[[愛媛県]]と[[高知県]]の[[公安委員会]]が「消防車の本務は消防活動でありPA連携は目的外使用。道交法違反の疑い」などと指摘<ref>[http://mainichi.jp/select/wadai/news/20111031k0000e040076000c.html PA連携:ポンプ車の救命出動 一部公安委が「待った」] 毎日新聞2011年10月31日</ref>したことを受け、2011年12月28日に警察庁交通局交通企画課からPA連携について「消防自動車が緊急走行により救急現場に向かうことが許されると解される」と各都道府県警察本部などに通知。同日、総務省消防庁からも同内容が都道府県に通知<ref>消防救第349号(平成23年12月28日)総務省消防庁</ref>され、現在では全国で問題なくPA連携が行えるようになっている。
 
== 車内での救命処置 ==
{{main|外傷病院前救護ガイドライン}}
[[人工呼吸]]、[[心臓マッサージ]]などの他に、現在では救急救命士の免許取得後一定の講習を修了した「[[気管挿管]](きかんそうかん)認定救急救命士」によって、気管挿管で呼吸の確保が行えるようになっている、また[[自動体外式除細動器|自動体外式除細動器(AED)]]の発達により[[電気的除細動]]を医師の指示なしに行うことも可能になっている。[[2006年]](平成18年)4月からはやはり講習修了済みの「薬剤投与認定救急救命士」によって、[[アドレナリン]]の投与が可能になった。
 
心肺停止の時間をできるだけ短くするため、救急車の現場到着の時点で、救命処置が開始されることが望ましい。このため、医師が現場へ臨場したり、医師の指示の元で救命処置が行われるのが理想である。
 
== 要員 ==
{{main|救急隊}}
多くの場合、救急隊長、機関員([[運転手]])、救急隊員([[救急救命士]]資格者の場合もある)の3名で構成され、午前9時から翌日午前9時までの24時間勤務である。従って、1台の救急車を維持するために3交代とする必要上3個隊9名が必要であり<ref>本部により1分署に2個隊6名の場合もあり、このような分署では隔日2交代勤務となる。</ref>、救急の専属でなく、消防隊(ポンプ・梯子)・救助隊との兼任で隊員資格を取得させ要員を確保している救急隊もある。3名のうち最低1名は[[救急救命士]]資格者である事が望ましいとされている。
 
== 運用状況 ==
[[ファイル:Kanja-hansou.jpg|thumb|250px|right|民間の患者搬送車]]
消防庁によると近年救急車の出場回数は増え続けており、[[2007年]](平成19年)は529万件にも及んだである<ref name="h20-kyukyu-kyujo">「平成20年版救急・救助の現状」 消防庁</ref>。要請の過半数が入院加療を必要としない軽症であり<ref name="h20-kyukyu-kyujo"/>、「虫歯が痛む」「深爪した」「病院まで歩くのが苦痛」などの、救急車を出動させる必要のない不適切な要件いわゆるタクシーのような利用を含む軽症事案を事実上拒否できないことが大きな要因とされる。そのために本当に救急車が必要な症状のケガ人や病人を搬送するための救急車が足りない、サイレンが[[騒音公害]]になる(詳細は後述)など多くの問題が発生している。そのため、消防庁は救急車出動有料化する検討ておりこれについて国民の間では40%が有料化に賛成、50%が反対している<ref>「[http://www8.cao.go.jp/survey/h15/h15-shoubou/index.html 消防・救急に関する世論調査]」 内閣府、[[2003年]](平成15年)8月</ref><ref>[http://www8.cao.go.jp/monitor/answer/h15/ans1511-002.html 国政モニター お答えします・救急車の有料化について]</ref>。また一定の条件の下で民間の患者搬送車に緊急自動車認定をおろすことも検討されている。また、自治体によっては使用の基準の広報活動や緊急性の薄い患者は民間[[患者搬送車]]への紹介等を行っている。また、悪質な患者と判断できるケースの場合[[偽計業務妨害罪]]が成立することもあり過料他罰則を設定する自治体もある。
 
== サイレンの騒音公害としての側面 ==
救急車の出動回数が増えているのは前述の通りで、本来非常時にのみ運用されるべきはずであった緊急走行が現在では慢性的に行われ、サイレンが市民生活に与える影響もそれに伴い増大している。サイレンが人々に負担を与えるものであることが住民意識調査により示されている<ref>「[http://ci.nii.ac.jp/naid/110003106718/ 救急車の警告音に関する住民の意識調査]」 社団法人日本音響学会</ref>。救急車がうるさいという事象は、歌謡曲の歌詞にもなるなど<ref>[[石崎ひゅーい]] - 夜間飛行</ref>、現代社会の歪みの象徴の一つとして定着している。一方、消防庁の見解によると、出動増加は利用者側に責任があるとし、サイレン騒音が市民生活に弊害をもたらしている事実については具体性に欠けるとして認めておらず、消防庁側は責任がなく新たに騒音対策を検討する予定はないとしている。そのため、騒音を巡る住民とのトラブルも増加し、2014年8月21日に川崎市において搬送中の救急車に自転車が投げつけられるなど深刻な事件に至るケースも少なくない。(救急車のサイレンを含む騒音問題一般については[[騒音]]を参照)。
 
== ギャラリー ==