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'''サクラ'''('''桜''')は、[[バラ科]][[モモ亜科]][[スモモ属]](サクラ属)<ref>[http://kotobank.jp/word/%E6%A1%9C コトバンク‐桜]小学館の大辞泉の解説に「バラ科サクラ属の落葉高木の総称」と記され、また、三省堂の大辞林第三版の解説に「バラ科サクラ属の落葉高木または低木」と記されている。</ref>(Prunus, Cerasus) の落葉樹の総称。
 
サクラは日本文化に馴染みの深い植物である([[サクラ#日本人とサクラ]])。また、日本において観賞用として植えられているサクラの多くは[[ソメイヨシノ]]という品種である。英語では桜の花のことを[[w:Cherry blossom|Cherry blossom]]と呼ぶのが一般的であるが、日本文化の影響から、sakuraと呼ばれることも多くなってきている。
 
現在、[[ヨーロッパ]]・西[[シベリア]]・[[日本]]・[[中国]]・[[アメリカ合衆国|米国]]・[[カナダ]]<ref>『[[赤毛のアン]]の冒頭にも桜の大木が出てきて、アンは「雪の女王」と名づける。[[松本侑子]]『誰も知らない「赤毛のアン」』([[集英社]])によれば、これは[[ハンス・クリスチャン・アンデルセン]]の童話『雪の女王』が源泉であり、[[花言葉]]が樹は「良き教育」、花は「精神美』で、女主人マリラそのものとしている。</ref>など、主に[[北半球]]の[[温帯]]に、広範囲に分布している<ref>{{Cite web |url=http://www.hananokai.or.jp/sakura/sakuramihonen-faq/ |title=FAQ |publisher=財団法人[[日本花の会]] |accessdate=2016-04-24}}</ref><ref>{{cite web |url=http://www.sakuranokai.or.jp/chishiki/index.html |title=桜の種類 |publisher = 財団法人[[日本さくらの会]]|accessdate=2011-02-01}}</ref>。
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日本では、ほぼ全土で何らかの種類が生育可能である。さまざまな自然環境に合わせて多様な種類が生まれており、日本においてもいくつかの[[固有種]]が見られる。たとえばソメイヨシノの片親であるオオシマザクラは[[伊豆大島]]など、南部暖帯に自生する固有種とされる。日本では少なくとも数百万年前から自生しているとされ、[[鮮新世]]の地層とされる[[三朝層群]]からムカシヤマザクラの葉の化石が見つかっている<ref>{{Cite web |url=http://www.torikyo.ed.jp/tottorisizenn/K011.htm |title=サクラの化石 |publisher = 鳥取県教育センター|accessdate=2011-02-01}}</ref>。
 
全てではないが、多くの種に共通して見られる特徴を挙げる。雌雄同株であり、中高木から低木程度の大きさである。若い樹皮は光沢があり[[カバノキ]]にも似た水平方向の皮目が出来、この部分は細胞に隙間が生じて呼吸孔になっている。古くなると皮目が消えて表面から徐々に細かく風化していく。葉の形は楕円形であり、枝に[[互生]]し、葉の縁はぎざぎざ([[鋸歯]])になっている。葉に薄い細毛が生えるものも少なくない。葉は秋になると[[紅葉]]する。根は浅く水平に広がり、ここから新たな茎([[蘖|ひこばえ]])がしばしば生え、[[不定根]]も良く発生する。
 
サクラは木を傷つけるとそこから腐りやすい性質を持つ。昔は剪定した部分の消毒も難しかったため、「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」という諺もある。このため、花見の宴会でサクラの木を折る観光客の被害によってサクラが弱ってしまうこともある。しかし適切な剪定は可能である。本来、特に自生種は病害にも害虫にもそれほど弱くはないが、人為的に集中して植えられている場合や人工的に作られた品種はこれらに弱くなる場合もある。
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=== 花 ===
[[画像:Prunus Sprout Sakura20080405.JPG|thumb|left|200px|サクラの蕾]]
花を観賞する園芸品種として好まれたため、さまざまな姿の花が見られる。花びらは五枚から百数十枚までさまざまであり、多くのものが白から桃色である。サクラに限らないが用語を挙げる。花弁が五枚までのものを一重、五枚から十枚のものを半八重、十枚以上の花弁をもつものを[[八重咲き|八重]]とう。また、花弁が非常に多く、一枚一枚が細長い場合、菊咲きと称する。さらに[[萼]]、[[花弁]]、[[雄蕊]]の中にさらに萼、花弁、雄蕊のある二重構造のものも見られ、これは段咲きと呼ばれる。花弁の枚数の増え方には雄蕊が花弁に変化するものと、花弁や雄蕊そのものが倍数加する変化が見られる<ref name="harutugerusakura">{{Cite book|和書 |editor=竹内均 |date=2004-05-07 |title=[[ニュートン (雑誌)|Newton]] |publisher=株式会社ニュートンプレス |page=74-83}}</ref>。同じ[[サクラ属]]の[[モモ]]や[[ウメ]]は[[花柄]]が短く枝に付くように咲くが、サクラはこれらと違って長い花柄をもっており、枝からはなれて咲く。
 
開花期間は、[[ソメイヨシノ]]では、満開から一週間程度で花が散る。またソメイヨシノは[[クローン]]であるために、株ごとのばらつきも小さく、一斉に咲く。しかし、ソメイヨシノが爆発的に植えられる以前の日本では、少しずつ別の株、別の種に移りながら、様々な桜が咲くというのが、普通の姿であった。温度や雨が散る散らないの原因になる。花が咲いた後に気温が下がる[[花冷え]]が起こると、花は長く持ち、花が盛りになった後に雨が降ると早く散る。
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古事記についても、「日本語」の表記がいまだ確立する前である、という意識を持って、
本記事の充実をお願いします。-->しかし、中国文化の影響が強かった[[奈良時代]]は[[和歌]]などで単に「花」といえば[[梅]]をしていた。万葉集においては梅の歌118首に対し桜の歌は44首に過ぎなかった。その後[[平安時代]]に[[国風文化]]が育つに連れて徐々に桜の人気が高まり、「花」とは桜を指すようになる。<!-- でもこれは貴族社会の話で、政治問題でもある。そういった点や、また一般人の記述についても加筆が望まれる。-->
 
[[古今和歌集]]仮名序にある[[王仁]]の歌とされる「難波津の咲くやこの花冬ごもり今は春べと咲くやこの花」の「花」は梅であるが<!--
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[[豊臣秀吉]]は[[醍醐寺]]に700本の桜を植えさせ、[[慶長]]3年[[3月15日 (旧暦)|3月15日]]([[1598年]][[4月20日]])に近親の者や諸大名を従えて盛大な花見を催したとされる([[醍醐の花見]])。
[[画像:Mount Fuji seen throught cherry blossom.jpg|thumb|250px|葛飾北斎によるサクラと富士の絵]]
江戸時代には河川の整備に伴って、護岸と美観の維持のために柳や桜が植えられた<ref name="sakuratonihonjin"/>。また[[園芸品種]]の開発も大いに進み、さまざまな種類の花を見ることができるようになる。江戸末期までには300を超える品種が存在するようになった<ref name="harutugerusakura"/>。江戸末期に出現した[[ソメイヨシノ]]をはじめ、[[明治]]以降には加速度的に多くの場所に桜が植えられていった。
 
[[明治維新]]後に[[大名屋敷]]の荒廃や[[文明開化]]・[[西洋化]]の名の下に多くの庭園が取り潰されると同時に、そこに植えられていた数多くの品種の桜が切り倒され燃やされた。これを憂いた[[駒込]]の植木・庭園職人の高木孫右衛門は多くの園芸品種の枝を採取し自宅の庭で育てた。これに目を付けた江北地区[[戸長]](後に[[江北村]]村長)の清水謙吾が[[村おこし]]として[[荒川堤]]に多くの品種による桜並木を作り、これを嚆矢として多くの園芸品種が[[小石川植物園]]などに保存されることになり、その命脈を保った。
 
=== 日本を象徴する花 ===
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[[江戸時代]]の[[国学者]]、[[本居宣長]]は「[[敷島]]の大和心を人問はば朝日に匂ふ山桜花」と詠み、桜が「[[もののあはれ]]」などを基調とする日本人の精神の具体的な例えとみなした。<!-- これが宣長の個人的な好みを越えて、広く知られるようになったのでなければ、特筆性なし。一方で、後に「武士道」関連で我田引水に引用されたのは事実であるので、その点での記述の充実が求められる。宣長の歌は、直接には武士道とは関係ないので、一旦ここで切る。 -->
 
<!--この段落を「武士道」に -->平安時代や明治以降では花のように散る人などのたとえにされてきた。ただし、江戸時代はそのようにすぐに花が散ってしまう様は、家が長続きしないという想像を抱かせたため、桜を[[家紋]]とした武家は少なく、桜は未だに時代に根付いてなかったとされる。桜は日本精神の象徴のようなものとしての例えとして用いられているが、この喩えが使われた時期は大正後期からである。<!-- これはあくまでも新渡戸個人の思想であり、武士は桜花を象徴としていたかどうかは些か疑問が残る。一休の俳句では花は桜木、人は武士(この時代の武士は平安時代から鎌倉時代、そして室町前期の武士であり、そもそも武士道が成立する以前のものである。所謂戦闘を行う武士のことで、武士道が成立していた江戸時代の武士とは異なる。前述の宣長と同様に我田引水に武士道=桜花であるということとして引用されたのは事実である。)と詠んでいるがこれは一休が当時の世相に関して想像し詠んだ句である。 -->[[日本軍]]においても桜は好まれ、「[[歩兵の本領]]」や「[[同期の桜]]」などといった歌詞に「桜」「散る」という表現を反映した[[軍歌|軍歌・戦時歌謡]]も多数作られ、[[太平洋戦争]]([[大東亜戦争]])末期には[[特別攻撃隊|特攻]]兵器の名称にも使われている([[桜花 (航空機)|桜花]]や[[四式重爆撃機#特別攻撃専用型|桜弾機]]など)。いずれにせよ、桜は日本精神に根ざしており影響力を持っているため、国花の代表例とされることがある(正式には日本の国花は存在しない。ただし国花の代表例として桜と[[キク|菊]]が使われることがある)。
 
=== 人気 ===
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=== 食用 ===
果実を食用とする品種の3系統は、概ね甘果桜桃([[セイヨウミザクラ]]、''Prunus avium'')、酸果桜桃(スミノミザクラ, ''Prunus cerasus'')と中国桜桃([[カラミザクラ]]、''Prunus pseudocerasus'')に分けることができる。
 
六月から七月にかけて実をつけるオウトウ(サクラの一種)の果実を日本では一般的に[[サクランボ]]と呼び、栽培されている多くがヨーロッパの甘果桜桃(セイヨウミザクラ)系である。品種としては、[[佐藤錦]]の他に、[[紅秀峰]]、[[豊錦]]、ナポレオン、[[アメリカンチェリー]]等が有名である。佐藤錦は、明治より山形県東根市の佐藤栄助によって品種改良され、岡田東作が名づけて世に広めたものである。酸味が強い酸果桜桃(スミノミザクラ)は料理に利用される。中国桜桃(カラミザクラ)は日本であまり栽培されていない。
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[[てんぐ巣病]]は枝に発生し、枝が竹箒状になる病気である。この病変も徐々に桜が弱り、全ての枝に広がると手遅れになりかねない。発見したら、休眠期を待ち、消毒した鋏や鋸で病変部位を切り落とすことが望ましい。切り落とした後は癒合剤などで回復を促し、剪定した枝は焼却、鋏や鋸も切った後すぐに消毒することが必要である。消毒の行われていないはさみを使うとそれを元に移る可能性もあるので気をつけるべきである。菌が原因であるので風通しを良くすることも対策になる。
 
膏薬病や[[うどんこ病]]については水気が多い場所や湿気の多い場所、あるいは病害虫が引き起こす。胴の部分に菌が入ったりキノコができることによって病気になる。病害虫は菌が入るための傷口を作ったり、傷口を広げるのに加担することが多い。風通しを良くすることや水気がたまらないようにすること、病害虫を駆除することによって病気を抑えることができる。
 
桜によく付く害虫として、2012年(平成24年)以降に顕著な話題となっているのが外来種の[[クビアカツヤカミキリ]]である。サクラに寄生する同カミキリの大量繁殖と食害の大きさから、各地でサクラ、特にソメイヨシノの大量伐倒に至っており、その被害の深刻さから、2018年1月に同カミキリが[[環境省]]より[[特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律#特定外来生物|特定外来生物]]に指定された<ref>[https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/list/tsuika.html シリアカヒヨドリ等16種類の追加指定について] 環境省</ref><ref>{{PDFlink|[https://www.env.go.jp/nature/intro/4document/data/sentei/insect10/02_kontyu_10_siryo2.pdf 環境省 特定外来生物等専門家会合(第11回)議事次第 特定外来生物等の選定作業が必要と考えられる外来生物に係る情報及び評価(案)p13]}}</ref><ref name=kubiaka>[http://www.hananokai.or.jp/sakura/sakuramihonen-topic/sakuramihonen-topic-170616/ クビアカツヤカミキリ] 日本花の会</ref>。これを受けて[[埼玉県環境科学国際センター]]ではサクラへ寄生するクビアカツヤカミキリ対策を広く公開している<ref>[http://www.pref.saitama.lg.jp/cess/center/kubiaka.html サクラの外来害虫“クビアカツヤカミキリ”情報] 埼玉県環境科学国際センター</ref>。
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<!-- 煩雑にならないよう、曖昧さ回避に書けば十分なものは、ここには追加しないで下さい。-->
樹木ではない「さくら」を含む語:
* [[秋桜]]は[[コスモス]]のことを指す。桜に似た花の形からこう呼ばれる
* [[馬肉]]のことを桜肉という。
*淡い紅色を「桜色(さくらいろ)」という。