「クロスオーナーシップ (メディア)」の版間の差分

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{{独自研究|date=2008年8月}}
メディアにおける'''クロスオーナーシップ'''(相互所有)とは、[[新聞社]]が[[放送]]業に資本参加するなど、特定資本(つまり特定企業など)が多数のメディアを傘下にして影響を及ぼすことをいう<ref name="j-cast">{{cite news |url = http://www.j-cast.com/2009/09/06048887.html |title = テレビがなぜ「新聞再販」報じないか 民主新政権のマスコミ政策に注目 |work = J-CASTニュース |publisher = [[ジェイ・キャスト]] |date = 2009-09-06 |accessdate = 2009-09-06}}</ref>。各国の法律によって、このクロスオーナーシップが規制されているケース(いわゆる[[マスメディア集中排除原則]])がある。これは、言論の自由と多様性を保障するためには、より多くの者がメディア事業に参画できる機会を与えることが必要だと考えられているからである<ref name=Soumu-Glossary>{{Cite web |url=https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/media/ |title=マスメディア集中排除原則 |website=電波利用ホームページ |publisher=[[総務省]] |accessdate=2019-12-26 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20191226071046/https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/media/ |archivedate=2019-12-26}}</ref><ref name=NHK-Deleg-US>{{Cite web |url=https://www.nhk.or.jp/bunken/research/focus/f20180101_8.html |title=米FCC,メディア所有の規制を大幅に緩和 |work=『放送研究と調査』2018年1月号 掲載内容の転載 |publisher=NHK放送文化研究所 |accessdate=2019-12-26}}</ref>。
メディアにおける'''クロスオーナーシップ'''とは、[[新聞社]]が[[放送]]業に資本参加するなど、特定資本が多数のメディアを傘下にして影響を及ぼすことをいう<ref name="j-cast">{{cite news
|url = http://www.j-cast.com/2009/09/06048887.html
|title = テレビがなぜ「新聞再販」報じないか 民主新政権のマスコミ政策に注目
|work = J-CASTニュース
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|accessdate = 2009-09-06
}}</ref>。アメリカではこれを排除するため、1920年代に[[ワシントン・ポスト]]と[[デトロイト・ニュース]]が所有するラジオ局を別都市で入れ替えている。
 
しかしお、近年がら実体としては、世界的にメディアグループの買収・再編が進み、複数のメディア媒体を傘下にした[[メディア・コングロマリット]]と呼ばれるグループが、事実上の寡占大きな存在感している。その代表例は、[[ルパート・マードック]]で有名な[[ニューズ・コーポレーション]]などである。21世紀に入り、クロスオーナーシップへの規制を緩和する改正立法の動きも見られる<ref name=NHK-Deleg-US/><ref name=Soumu-Rep2015>{{Cite report |url=https://www.soumu.go.jp/main_sosiki//joho_tsusin/pdf/150401_02.pdf |title=放送法及び関係省令等の改正について |publisher=[[総務省]]情報流通行政局放送政策課 |date=2015-04-01 |format=PDF |accessdate=2019-12-26}}</ref>
 
== 欧米における現状 ==
=== アメリカ合衆国 ===
}}</ref>。アメリカ合衆国 (米国) ではこれクロスオーナーシップを排除するため、1920年代に[[ワシントン・ポスト]]と[[デトロイト・ニュース]]が所有するラジオ局を別都市で入れ替えている{{要出典|date=2019年12月}}
アメリカ合衆国では、[[連邦通信委員会]](FCC)により言論の多様性を確保する観点からクロス・オーナーシップが制限されている<ref name="soumu">{{Cite web |url=http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/houtai/pdf/080313_1_s3.pdf |title=諸外国の通信・放送法制と動向 |publisher=[[総務省]] |accessdate=2017-10-06}}</ref>。
 
アメリカ合衆国で1975年には、米国政府の独立機関として国内の放送通信事業を規制・監督する[[連邦通信委員会]](FCC)により言論の多様性を確保する観点からクロスオーナーシップへの規限されがかかるようになった。具体的には、同一企業が特定の地域内で新聞と放送局を相互所有することなどを禁じている<ref name=NHK-Deleg-US/><ref name="soumu">{{Cite web |url=http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/houtai/pdf/080313_1_s3.pdf |title=諸外国の通信・放送法制と動向 |publisher=[[総務省]] |accessdate=2017-10-06}}</ref>。
ただし、2002年以降は経営の効率化などの観点からクロス・オーナーシップ等の緩和が議論されている<ref name="soumu" />。
 
しかし2002年以降、経営の効率化などの観点からクロス・オーナーシップ等の緩和が議論されるようになった<ref name="soumu" />。この流れを受け、2017年11月には、1975年当初の規制を撤廃する提案がFCCで可決した<ref name=NHK-Deleg-US/><ref name=WaPo-2017>{{Cite web |url=https://www.washingtonpost.com/news/the-switch/wp/2017/11/16/the-fcc-just-repealed-decades-old-rules-blocking-broadcast-media-mergers/ |title=The FCC just repealed a 42-year-old rule blocking broadcast media mergers |trans-title=米国連邦通信委員会が42年続いたメディア合併・統合規制を撤廃 |publisher=[[ワシントンポスト]] |date=2017-11-17 |first=Brian |last=Fung |accessdate=2019-12-26 |language=en}}</ref>。この規制撤廃により、新聞・ラジオ・テレビ業界の統合が進むと見られる。その一方で、[[ブログ]]や[[ポッドキャスト]]といった新世代の中小メディアにとっては、この規制撤廃により存続が脅かされる懸念も指摘されている<ref name=WaPo-2017/>。
 
=== イタリア ===
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現在は建前上は独立企業である放送局(特にローカル局)も一種の子会社レベルの存在意義である現状である。しかも、クロスオーナーシップの影響で新聞社>キー局>ローカル局という力関係ができ、新聞・テレビともお互いに方針に逆らいにくいという弊害が出ている。
 
日本では総務省令(放送局に係る表現の自由享有基準)おいてクロスオーナーシップを制限する規定としては、[[放送局に係る表現の自由享有基準]](平成20年03月26日 総務省令第29号)があるが、一つの地域でテレビ・ラジオ・新聞のすべてを独占的に保有する状態を禁止する条項であるしていた<ref>{{Cite web
|url = https://web.archive.org/web/20160716000707/http://law.e-gov.go.jp/haishi/H20F11001000029.html
|title = 放送局に係る表現の自由享有基準 (平成二十年三月二十六日総務省令第二十九号)
|publisher = 総務省
|accessdate = 2016-03-01 }}</ref>ため、複数のテレビ・ラジオ局がある地域で一つのメディアグループがこの3つの媒体をすべて所有する事は事実上妨げられない。そのため、[[フジ・メディア・ホールディングス]]が[[フジテレビジョン]]・[[ニッポン放送]](ラジオ局)・[[産業経済新聞社]](産経新聞)を、[[日本経済新聞社]]が[[テレビ東京]]と[[日経ラジオ社]](ラジオNIKKEI=[[短波放送]]ラジオ局)を所有する事が可能となっていた<ref name=Soumu-Rep2015/>
 
日本では「クロスオーナーシップ」が温存されているが、[[2009年]]9月に成立した[[鳩山由紀夫内閣]]の[[原口一博]][[総務大臣]]([[民主党 (日本 1998-2016)|民主党]])が[[2010年]]1月13日の文化通信社のインタビュー<ref>{{Cite news
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|accessdate = 2010-01-22
}}</ref>。しかし、これに対し各新聞社は強く反発し、[[日本新聞協会]]は[[インターネット]]の普及などでメディアが多様化した事などを理由にクロスメディア規制の撤廃を求める意見書を同年3月1日に総務省へ提出した<ref>総務省ホームページより、2010年3月1日付 [http://www.soumu.go.jp/main_content/000056422.pdf 「クロスメディア所有のあり方に関する意見」]</ref>。原口総務相はこれを押し切り、3月5日には事実上形骸化している現行のクロスオーナーシップ規制について3年後の見直し規定を盛り込んだ[[放送法]]や[[電波法]]などの改正法案が閣議決定されたが、同年6月に鳩山政権は総辞職して[[菅内閣|菅直人内閣]]が成立し、7月の[[第22回参議院議員通常選挙|参議院選挙]]で民主党が大敗して与党が過半数を失う[[ねじれ国会]]となり、法制化は目処が立たなくなった。9月に成立した[[菅改造内閣]]では原口が総務大臣を退任し、後任の[[片山善博]]はクロスオーナーシップ規制の見直し条項の削除を行ったため、11月26日に成立した(改正)放送法ではクロスオーナーシップ規制の強化が見送られた。
 
前述の放送局に係る表現の自由享有基準(平成20年03月26日 総務省令第29号)はその後、2011年の改正放送法によって[[基幹放送の業務に係る表現の自由享有基準に関する省令]](平成23年6月29日 総務省令第82号)などに改廃されている。さらに2015年の改正放送法によって、[[基幹放送の業務に係る特定役員及び支配関係の定義並びに表現の自由享有基準の特例に関する省令]](平成27年3月27日 総務省令第26号)<ref name=Law-H27>{{Cite web |url=https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=427M60000008026 |title=基幹放送の業務に係る特定役員及び支配関係の定義並びに表現の自由享有基準の特例に関する省令(平成二十七年総務省令第二十六号) |website=[[e-Gov法令検索]] |publisher=[[総務省行政管理局]] |accessdate=2019-12-26}}</ref>などに引き継がれている。2015年の改正により、メディア企業の経営力強化を目的とする場合には、グループ内の複数メディア企業で役員が兼務できるよう規制を緩和している<ref name=Soumu-Rep2015/>。
 
=== 現在の資本関係 ===
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==脚注==
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<references />