「デッドセクション」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
+cite, +tmp, 注釈/出典を分離, →‎地上切替方式: 黒磯駅構内に関する記述(ノート参照)
1行目:
{{出典の明記|date=2019年3月}}
'''デッドセクション'''とは、電化された[[鉄道]]において、異なる電気方式や会社間の接続点に設けられる、[[架線]]に給電されていない区間・地点のことである。
 
25 ⟶ 26行目:
上述類例3.の異相区分セクションは随所に存在するが、上述した中セクション方式では高速下で運転士が架線死区間標識を見落としやすい上に惰行運転が高速維持の妨げとなるため変電所の数を増やすことができず、列車本数や編成長で制約を受ける欠点があるものの、[[TGV]]や[[韓国高速鉄道|KTX]]などの高速鉄道はこの方式の下で運転されている。
 
これに対して[[日本国有鉄道]]は[[1964年]](昭和39年)の[[東海道新幹線]]開業に際し、2つのエアセクション間に1 km 程度の中間セクションを設置して、それが真空開閉器を介して変電所や饋電区分所に接続されており、列車が中間セクション通過中に真空開閉器により電源を0.05 - 0.3秒程度の無電時間を介して、進行後方側から進行前方側の変電所に自動で切替える<ref>{{efn2|切替は[[軌道回路]]からの列車条件を元に連動して切替える。</ref>}}'''饋電'''(きでん)'''区分切替セクション'''方式を開発して、惰行することなく異相区分セクションを通過できるようにした。
* ただし、加速もしくは[[回生ブレーキ|回生制動]]が作動中にセクションを通過すると無電時間の開始・終了時車両制御装置が一定時間停止後、フルパワーでリトライするために前後方向の衝動が発生する。これを避けるために切替セクションの位置を覚えておき、自主的に惰行状態で通過する運転士もいる。また[[新幹線N700系電車|N700系]]では[[自動列車制御装置|デジタルATC]]と連動させて、切替セクションに差し掛かる前に自動的にノッチオフ・ブレーキ解除、通過後にノッチオン・ブレーキ作動する機構を搭載する。
 
== 車上切替方式 ==
{{Double image aside|right|JRW EC419 inside night.jpg|200|JRW EC419 inside deadsection night.jpg|200|夜間走行中の車内(左)<br />デッドセクション通過中は非常灯のみ点灯(右)}}
[[電車]]・[[電気機関車]]がセクション通過直前でマスコンをノッチオフ(ノッチ戻し)することで主回路を開放し惰性で走行して、直後に運転士がスイッチまたはレバーにより手動で電気方式を切替えてからデッドセクションを通過する。その際には、交流遮断器により主回路を一旦切り離してから、交直切替器による切替を行い、切替先の電力を検知すると交流遮断器により再び主回路が閉じられる動作を自動的に行い、再び力行・制動が可能になる電源切替方式である。たとえば直流から交流に転換する場合は、交流遮断器の主回路開→交直切替器の回路切り替え(直流回路開、交流回路閉)<ref>{{efn2|DC>AC。まだ直流区間であるが、電源検知回路により交流用回路は開であり、交流遮断器による主回路開後に回路の切り替え操作をとった上であれば、交流遮断器による主回路閉操作をしても問題は生じない。主回路閉のままの操作では切り替えが完了する前に異種電源(直流電源)に接続されるため許容されない</ref>→}})→セクション通過→交流検知→順次自動的に交流遮断器の主回路閉となる<ref>{{efn2|日本と韓国はこの方法で切り替える、欧州ではパンタグラフの上げ下げで切り替える。</ref>}}
*「切替先の送電区間までに無給電区間を走りながら回路を切替てから、全パンタグラフが切替先の送電区間に進入後に再び通電」という誤解が広くなされているが、これは間違いである<ref>{{efn2|1=仮に485系9両編成を例にすれば、編成間両端モハ484形同士で100m以上離れている上に、100km/h=1.67km/min=28m/s程度で走行している場合確実に編成がセクションに入った事を確認して、さらに操作を完遂するために必要な時間と余裕を考慮すればデッドセクションが数km必要になる。</ref>}}
セクション通過時に設計年次が古い電車の場合では、一時的に室内の照明が消え空調が停止するとともに、蓄電池からの電源により非常灯のみが点灯する。これは回路を切り替える際に[[遮断器]](ブレーカー)が作動し一時的に編成全体が停電状態となるためである。
*一方で設計年次の新しい車両では補助電源で車内灯が点灯するため消灯しないが、空調装置などは一旦停止するため再稼動する際の音でセクション通過を判断できる。
また地上側でも車両側の切替忘れ防止<ref>{{efn2|1=異種電源接続は機器を損傷する可能性があり危険である。安全装置が正常に動作すれば機器の大きな損傷は避けられ、直流→交流の冒進では遮断機が作動するだけなので機器を操作すれば運転継続が可能であり比較的影響は少ないが、交流→直流への冒進事故は、交流側回路を保護するため取付けられたヒューズの交換が必要となりそれまで交流区間では運転ができなくなるなどリスクが大きい。直流→交流の冒進では無電区間走行(約0.5秒)の検知により遮断機を動作させられるが、交流→直流では交流電化区間に交交セクションが存在することにより「無電区間突入=交直セクション突入」を前提とした機構を構成することが不可能でありヒューズ以外の十分に確実性のある防護措置が確保できないからである。</ref> }}の観点から、標識設置・ブリンカーライトの点滅・車両に搭載された[[自動列車停止装置|ATS]]や[[自動列車制御装置|ATC]]を使用して、運転士がスイッチまたはレバーを手動で電気方式を切替えず、すべての操作を自動で行う自動切替装置の導入などの対策を行っている。
 
なお、[[気動車]]もしくは[[ディーゼル機関車]]・[[蒸気機関車]]牽引の列車では架線から電気の供給を一切受けないため前述の動作は必要ないほか、[[剛体架線]]採用区間のデッドセクションでは、FRPを用いず剛体を平行にすることで対応する。
41 ⟶ 42行目:
駅構内で架線に流す電流を切替える方式。電気機関車牽引の列車が少なく、電車が主流となった日本の鉄道では採用例が少なく、常用のものは以下の例のみであったが、[[2018年]]までにすべて廃止された。
*[[仙山線]][[作並駅]]:[[1957年]]9月 [[仙台駅|仙台]] - 作並間交流電化開業にともない設置。1968年9月、仙山線作並 - [[山形駅|山形]]間の交流電源切替により廃止。
*[[東北本線]][[黒磯駅]]:[[1959年]]7月 黒磯 - [[白河駅|白河]]間交流電化開業にともない設置。2018年1月、デッドセクションを黒磯 - 駅構内(北寄りの[[高久駅|高久]]・仙台方)に移設し廃止された<ref>鉄道界2012年12月号 P44-45</ref><ref name="omiya2017">{{Cite web|url=http://www.jreast.co.jp/press/2017/omiya/20171124_o01.pdf |title=東北本線黒磯駅電気設備改良切換工事に伴う列車運休及びバス代行輸送計画についてのお知らせ |date=2017-11-24 |format=PDF |publisher=東日本旅客鉄道株式会社 |accessdate=2019-03-20 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20180103054517/http://www.jreast.co.jp/press/2017/omiya/20171124_o01.pdf |archivedate=2018-01-03}}</ref><ref name="response2017">{{Cite news|url=https://response.jp/article/2017/11/28/303039.html |title=交流・直流の切換えは仙台方に…東北本線黒磯駅構内の全面直流化が2018年1月3日に完了へ |author=佐藤正樹 |date=2017-11-28 |newspaper=レスポンス |publisher=株式会社イード |accessdate=2019-03-20}}</ref>。
*[[奥羽本線]][[福島駅 (福島県)|福島]] - [[庭坂駅|庭坂]]間:[[1960年]]3月 東北本線白河 - 福島間交流電化開業にともない設置。1968年9月、奥羽本線福島 - [[米沢駅|米沢]]間の交流電源切替により廃止。
なお、2006年9月24日の[[北陸本線]][[長浜駅|長浜]] - [[敦賀駅|敦賀]]間・[[湖西線]][[永原駅|永原]] - [[近江塩津駅|近江塩津]]間の直流電源切替に伴い敦賀 - 南今庄間に交直デッドセクションが新設されたが、下り線のセクションは上り勾配上に設置されたため切替中に万一セクション手前で停止したような場合に備えて、以下の非常時のみ取扱の地上切替方式とう形態での設備を設置した。
* デッドセクション手前の直流区間の架線電源を交流20kVへ切替える切替断路器
* その際に交交セクションとして機能するデッドセクションの中間部を交流加圧し無電区間の長さを短縮するための断路器
68 ⟶ 69行目:
}}
※{{Color|#9cf|■}}の網掛の箇所は電化方式が直流区間にある駅、{{Color|#fbc|■}}の網掛の箇所は電化方式が交流区間にある駅。
* [[常磐線]] <span style="background-color:#9cf">[[取手駅|取手]]</span> - <span style="background-color:#fbc">[[藤代駅|藤代]]</span>間<!--{{efn2|藤代駅構内扱い。}}-->
* [[水戸線]] <span style="background-color:#9cf">[[小山駅|小山]]</span> - <span style="background-color:#fbc">[[小田林駅|小田林]]</span>間
* [[東北本線]] <span style="background-color:#9cf">[[黒磯駅|黒磯]]</span> - <span style="background-color:#fbc">[[高久駅|高久]]</span>間{{efn2|黒磯駅構内扱い<ref name="omiya2017"/><ref name="response2017"/>。}}
* [[羽越本線]] <span style="background-color:#9cf">[[村上駅 (新潟県)|村上]]</span> - <span style="background-color:#fbc">[[間島駅|間島]]</span>間
* [[首都圏新都市鉄道]][[首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス|つくばエクスプレス線]] <span style="background-color:#9cf">[[守谷駅|守谷]]</span> - <span style="background-color:#fbc">[[みらい平駅|みらい平]]</span>間
120 ⟶ 121行目:
* [[東海旅客鉄道|JR東海]][[御殿場線]]・[[小田急電鉄|小田急]][[小田急小田原線|小田原線]] [[松田駅]]構内
** 特急「[[ふじさん]]」が使用する連絡線に長さ10m程度のセクションが設置されている。ただし栗橋駅構内と同様に無電区間内の架線は断路器を介して小田急側の饋電線に接続されており小田急側電源で加圧することも可能である。
**同区間で営業運転を行う[[小田急60000形電車]]は仕様上セクション通過の際に室内灯が消灯する<ref>{{efn2|以前「[[ふじさん|あさぎり]]」運用に投入されていた[[小田急20000形電車]]は室内灯消灯。[[JR東海371系電車]]では車内表示機消灯・室内灯点灯の差異があった。</ref>}}
* JR東日本[[高崎線]]・[[秩父鉄道]] [[熊谷駅]]構内
** 高崎線下り本線と秩父鉄道の渡り線上に長さ数m程度のセクションが設置されているが、現在渡り線には車止めとして枕木がくくりつけられており使用されていない。また、架線死区間標識に交直セクション用の六角形のものが流用されている。
237 ⟶ 238行目:
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist2}}
=== 出典 ===
{{Reflist}}