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{{百科事典的でない|type=IINFO|date=2011年4月}}
{{告知|注意|典型例の過剰な列挙は控えて欲しい}}
'''パワーハラスメント'''({{和製英語|power harassment}})は、社会的な地位の強い者(政治家、会社社長、上司、役員、大学教授など)による「自らの権力(パワーハラスメント)や立場を利用した[[嫌がらせ]]」のことである<ref name=":0">[https://kotobank.jp/word/%E3%83%91%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%8F%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88-362544 パワーハラスメント とは - コトバンク]</ref>。略称は'''パワハラ'''。地位や権力に対応したものではなく[[いじめ]]に近い概念としての理解に変わってきた<ref name="naid120005607689"/>。加害者は[[名誉毀損]](めいよきそん)、[[侮辱罪]]の刑事責任を問われる場合があり、[[民法 (日本)|民法]]の不法行為や労働契約違反も成立することがある<ref name=":0" />。加害者を雇用している企業がパワーハラスメントを放置した場合、職場環境調整義務違反に問われ、加害者やその上司への懲戒処分などが求められる<ref name=":0" />。加害者に自覚がなく指導と思いこんでいるケースが多く、対処法としては、記録を残し、行政機関など外部への告発が有効とされる<ref name=":0" />。
 
国際的に1993年以降、欧米諸国で法制化が行われ日本で2001年にパワーハラスメントという言葉が提唱され<ref name="naid120005607689"/>、2019年には国連によって防止条約の制定が予定されている<ref name="日経2018"/>。厚生労働省によれば、典型例は、身体的な暴力、精神的なものである強迫や暴言、人間関係の切り離し、遂行できない過大な要求、程度の低いことを命じる過小な要求、私的な領域への侵害となる<ref name="ワーキング"/>。影響は、法的責任やその訴訟に関わるコストだけでなく、健康被害、職場の生産性の低下による損失がある<ref name="naid120005607689"/>。対策には、相談窓口の設置、管理職の研究会への参加、就業規則に盛り込むといったことが挙げられる{{sfn|厚生労働省|2018|p=4}}。
 
== 定義 ==
パワーハラスメントとは、[[2001年]](平成13年)に東京のコンサルティング会社[[クオレ・シー・キューブ]]の代表取締役[[岡田康子]]代表取締役による和製英語である<ref name="naid120005607689"/>。セクハラ以外にも職場にはさまざまなハラスメントがあると考えた岡田代表取締役らは、2001年(平成13年)12月から定期的に一般の労働者から相談を受け付け、その結果を調査・研究し、2003年(平成15年)に「パワーハラスメントとは、職権などのパワーを背景にして、本来業務の適正な範囲を超えて、継続的に人格や尊厳を侵害する言動を行い、就労者の働く環境を悪化させる、あるいは雇用不安を与える」と初めて定義づけた。<ref>日経文庫「パワーハラスメント」Ⅱ-1パワハラはこうして生まれた p.40-43.</ref> その後、マスコミなどで多く取り上げられたこともあり、パワーハラスメントの概念は広く一般に浸透することとなった{{要出典|date=2015-06-23}}。
 
[[東京都]]は1995年(平成7年)から「職場において、地位や人間関係で弱い立場の労働者に対して、精神的又は身体的な苦痛を与えることにより、結果として労働者の働く権利を侵害し、職場環境を悪化させる行為」という定義のもとで労働相談<ref>[http://www.hataraku.metro.tokyo.jp/soudan-c/center/ 東京都労働相談情報センター]</ref>を受け付けている<ref name=iwanami769> 『パワーハラスメント なぜ起こる? どう防ぐ?』 pp.9-14. 取引先や顧客の自宅なども含む「[[仕事]]をする場所」における、実質的な力関係(職責、肩書き、人間関係)を背景にした、業務上の[[合理性]]や必要性がない言動によって、相手の人格や[[名誉]]を傷つける行為、仕事を続けるうえでの支障を生じさせる行為のことで、制度上の地位だけではなく、同僚であっても、力関係が存在する場合はパワーハラスメントに該当する。</ref>。
 
2009年(平成21年)の[[金子雅臣]]の『パワーハラスメント なぜ起こる? どう防ぐ?』 による定義は、「職場において、地位や人間関係で弱い立場の相手に対して、繰り返し精神的又は身体的苦痛を与えることにより、結果として働く人たちの権利を侵害し、職場環境を悪化させる行為」で、ハラスメントであるか否かの判断基準は、「執拗に繰り返されることが基本」であり、しかし「一回限りでも、相手に与える衝撃の大きさによって」ハラスメントとみなされる<ref name=iwanami769/><ref>夕刊フジ2012年(平成24年)2月24日の記事「パワハラか否かの線引きはドコ?」によれば、パワハラか否かの線引きはその行為の「[[目的]]」にあり、職務上必要な教育や指導を目的とした言動ではなく[[人格]]を傷つけること、[[嫌がらせ]]を目的とした言動が「ハラスメント」にあたる。その行為は[[人格権]]の侵害とされる。</ref>。
 
しかし、こうした力関係を背景としたものではない[[いじめ]]に似た理解が広まっている<ref name="naid120005607689">{{Cite journal |和書|author=入江正洋 |date=2015 |title=職場のパワーハラスメント : 現状と対応 |journal=健康科学 |volume=37 |issue= |pages=23-35 |naid=120005607689 |doi=10.15017/1515750 |url=https://doi.org/10.15017/1515750}}</ref>。また国際的にはハラスメントとは、性別、人種、宗教、労働組合、見解や信条、といったことに基づいて、一方的、または不要に尊厳を侵害する行為と解釈され、差別的な意味合いが強く、日本におけるハラスメントとは[[いじめ]]だと捉えられ、1993年のスウェーデンでの防止規則を皮切りに欧米諸国での法制化が行われてきた<ref name="naid120005607689"/>。日本は取り組みが遅かったが、2011年には厚生労働省によるワーキンググループが組織された<ref name="naid120005607689"/>。
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[[厚生労働省]]の「職場の[[いじめ]]・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」(2012年)は、「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性(※)を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為をいう。※上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われるものも含まれる」という定義を提案した<ref>[http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021hkd.html 職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ審議会資料 厚生労働省] 2012年(平成24年)1月31日閲覧。</ref><ref>{{Cite news |url=http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG3003H_Q2A130C1CR8000/ |title=「同僚のいじめ」も…職場のパワハラ6類型 厚労省 |newspaper=日本経済新聞 電子版 |publisher=日本経済新聞社 |date=2012-01-30 |accessdate=2012-02-12}}</ref>。
 
厚生労働省はこれ以外のパワハラにも十分注意すべきであるとし、2012年(平成24年)1月にパワーハラスメントの典型例を示した<ref name="ワーキング">{{PDFLink|[http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000021i2v-att/2r98520000021i4l.pdf 職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告]}}</ref>。
# 暴行・傷害(身体的な攻撃)
# 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
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2007年には裁判によってうつ病と労働環境との因果関係を認定する判決が下され、2008年には厚生労働省も各地の労働局に対し通達を行ってきたし、2009年には労災基準に嫌がらせや暴行といったものを追加した<ref name="法務省2010"/>。
 
パワーハラスメントの定義・指針を策定した9県は、[[岩手県]](2005年)、[[大分県]](2006年)、[[佐賀県]](2007年)、[[熊本県]](2007年)、[[富山県]](2008年)、[[兵庫県]](2009年)、[[和歌山県]](2009年)、[[静岡県]](人権啓発センター:2009年、人権問題に関する調査・職場における人権問題)、[[沖縄県]]教育委員会(ホームページでもパワハラ定義を公開2010年)である。岩手、大分、佐賀、熊本の4県は「コンプライアンス基本方針」やセクハラも含む「ハラスメント要綱」などの一部に盛り込んだ。
 
日本の企業では相談窓口の設置や、管理職に研究会に参加させる、就業規則に盛り込むといった厚生労働省の推奨している予防策の実施が上位3位となっている{{sfn|厚生労働省|2018|p=4}}。厚生労働省のアンケートでは、8割の企業が相談窓口を設置し、6割の企業が就業規則に対策を盛り込んでいる{{sfn|厚生労働省|2018|p=4}}。就業規則では懲戒を行うという規定である{{sfn|厚生労働省|2018|pp=20-23}}。
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パワーハラスメント行為が[[刑法]]の規定に触れる場合には、その行為者は刑法によって処罰される可能性もある。
 
たとえば、「Y1から職場に戻るよう言われた際に同人や作業長ら(に)……腕をつかんで引き戻されるなどし」「右上腕内部に皮下出血」<ref name=toshiba>「東芝府中工場事件」 東京地判平成2年2月1日、昭和57年(ワ)64 労働判例558号58頁</ref>を生じた場合は[[傷害罪]](刑法204条)に該たるし、「全従業員の面前で……横領事件(があったこと)を告げた上、(被害者)らに対し、『二年間も横領が続くことは誰かが協力しないとできないことだ。』、『(被害者)ら二人は関与しないはずはない。』、『正直に言うならば許してやる。』などと告げ」<ref name=credit>「クレジット債権管理組合退職金等請求事件」 福岡地判平成3年2月13日 福岡地裁昭和62年(ワ)3334</ref>れば[[名誉毀損罪]](刑法230条)に該たりうる。同様に、事実を摘示せずに侮辱すれば[[侮辱罪]](刑法231条)に該当しうるし、と、パワーハラスメント罪というものがない限りは、刑法の適用においてはパワーハラスメント以外のケースと同じ扱いを受けることになる。
 
== 民事責任 ==
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また、パワーハラスメントが事業の執行に関してなされたものであれば、民法715条によって使用者もこの不法行為の損害賠償責任を負う<ref name=daiei>「ダイエー事件」 横浜地判平成2年5月29日 労働判例451号35頁</ref>。さらに、使用者がパワーハラスメントが行われていることを認識していたにもかかわらずこれを防止する措置をとらずに放置していたという事情がある場合には、使用者は雇用契約に基づく安全配慮義務違反による[[債務不履行責任]](民法415条)を負い損害を賠償する義務を負う<ref name=seisho>「誠昇会北本共済病院事件」さいたま地判平成16年9月24日 2003年(平成15年)(ワ)581</ref>。
 
つまり、民事の場合もパワーハラスメント以外のケースとそう変わるものではない。
 
== 被害者支援 ==
長嶋 (2010) は「パワー・ハラスメントの場合には、部署の異動や、加害者への処分を希望すれば、担当部署と連携して解決に当たるでしょう」と述べた<ref name=":1">長嶋 あけみ (2010). その他のハラスメント 日本心理臨床学会(監修)日本心理臨床学会支援活動プロジェクト委員会(編)危機への心理支援学――91のキーワードでわかる緊急事態における心理社会的アプローチ―― (pp. 107-108) 遠見書房</ref>。
 
また、「心身の健康を取り戻し、失った自信や自尊心を回復することのお手伝い」などの心理的ケアも行う<ref name=":1" />。心身が不調になる場合や[[心的外傷後ストレス障害|心的外傷後ストレス障害 (PTSD)]] が発症する場合もあり、「医療が必要な相談者には、医療機関への受診を勧め、治療と並行しながら、支援を進めていく」と述べた(詳細は「[[心的外傷後ストレス障害#治療|心的外傷後ストレス障害 (PTSD)#治療]]」を参照)<ref name=":1" />。
 
==影響==
ほかの被害として仕事への意欲やパフォーマンスの低下、心身の健康被害、会社全体の士気や忠誠心の低下、そうしたことによる優秀な人材の流出もありえ、生産性が低下すれば会社は損失を被る<ref name="naid120005607689"/>。
 
== 事例 ==
{{出典の明記|section=1|date=2011年6月15日 (水) 08:44 (UTC)}}
<!--記述の正確性を担保するために出典の明記をお願いします。-->
* 秋田県警で当時[[本荘警察署|本荘署]](現・[[由利本荘警察署|由利本荘署]])に勤務していた当時48歳の男性[[警部]]が、上司の副署長から大声で叱責を繰り返されるなどパワハラ行為を受け、2005年(平成17年)2月に自殺した。秋田県警はその後[[交通部]]長となっていたこの元副署長について、[[本部長]][[訓戒]]処分としていたが「関係者へのプライバシーの配慮」を理由に、2014年(平成26年)3月に報道されるまで公表していなかった<ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0103L_R00C14A3CC1000/ パワハラ受けた男性警部が自殺 秋田県警、公表せず] 日本経済新聞 2014年(平成26年)3月2日</ref>。
* 日研化学(現・[[興和創薬]])におけるパワーハラスメントが原因とされる男性会社員の自殺事件について、自殺の原因は上司の暴言にあったとして、2007年に東京地裁が初の[[労働災害]]認定を行なった。[[労働基準監督署]]が労災として認めなかったため争われていた裁判だが、この事件がパワーハラスメントに起因する自殺を労災と認めた初の司法判断となった<ref>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=37800&hanreiKbn=06 「静岡労基署長遺族補償不支給処分取消事件」 東京地裁平成19年10月15日判決 平成18(行ウ)143]</ref>。
* [[串岡弘昭]]の[[トナミ運輸]]時代は内部告発が原因で研修所に異動後は雑用を強いられたうえに昇給すらなく、暴力団からも脅迫され、冷遇されたとして2002年(平成14年)に訴訟を起こした<ref>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=7907&hanreiKbn=06 「トナミ運輸賠償訴訟」 富山地判平成17年2月23日 平成14年(ワ)第17号]</ref><ref>[https://web.archive.org/web/20060207054428/http://www006.upp.so-net.ne.jp/pisa/2005/pisa20050225.html トナミ運輸事件判決後のコメント]</ref>。
* [[茨城県]][[水戸市]]の[[アカス紙器]]では社長が[[知的障害者]]の従業員への虐待を日常的に行っていた。事件を原案としたドラマが制作されている。{{main|水戸事件}}
* [[前田道路]]の社員だった男性(当時43歳)、愛媛県内の同社営業所に勤務していた2004年(平成16年)7月ごろから四国支店(高松市)の上司に何度も呼び出され「この成績は何だ」「会社を辞めれば済むと思っているんじゃないか」などと叱責され、同年9月に自殺。新居浜労働基準監督署はこれを労災と認定し、遺族側に通知した。自殺した男性はパワーハラスメントを受けていただけでなく、下請け会社への未払いの工事代金まで家計から穴埋めしていたという<ref>『読売新聞』2005年(平成17年)10月28日{{要ページ番号|date=2013年9月}}</ref>。
* [[松戸市]][[消防署]]で、ある新人の訓練生より暴言を吐かれたり、暴力を振るわれたりとパワーハラスメントを受けたとして損害賠償を求める訴訟を起こされ、訓練指導員と上司の計11人が処分された<ref>{{Cite news |url=http://mainichi.jp/area/chiba/news/20090702ddlk12040104000c.html |title=パワハラで消防局上司ら11人処分 |newspaper=毎日jp |publisher=毎日新聞社 |date=2009-07-02}}{{リンク切れ|date=2012年6月}}</ref>。
* [[大東建託]]の社員だった男性(当時42歳)静岡県[[藤枝市]]の支店に勤務していた際、2005年(平成17年)に担当したマンションの建築工事における損失の一部約360万円を自己負担するよう会社側から強要され、精神的に追い詰められて2007年(平成19年)10月に自殺した。この件について遺族が損害賠償を求め同社を静岡地裁に提訴し<ref>{{cite news|url=http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009112401000905.html |agency=共同通信|title=大東建託の社員遺族が提訴 「超過工事費強要で自殺」|date=2009-11-24 }}</ref>。同社員の自殺の原因は上司からのパワーハラスメントであると島田労働基準監督署(静岡県[[島田市]])は労災の認定をした<ref>毎日新聞 2010年(平成22年)6月5日</ref>。
* [[熊本県]]農水商工局の男性係長及び男性技術参事の2人が、2009年(平成21年)6月から2011年(平成23年)7月頃にかけ、部下の職員が公用車の運転中に道を間違えたことをきっかけに、寿司やウナギなどの昼食を次々に奢らせたり(最終的には100万円以上に達した)、正座を強要するなどのパワハラを執拗に繰り返し、2011年(平成23年)12月26日に停職6ヵ月の処分となった<ref>{{Cite news |url=http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111226-OYT1T01196.htm |title=部下に昼食100万円たかる…熊本市係長ら停職 |newspaper=YOMIURI ONLINE |publisher=読売新聞社 |date=2011-12-26 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20111226165757/http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111226-OYT1T01196.htm |archivedate=2011年12月26日 |deadurldate=2017年9月 }}</ref>。
* [[静岡県]][[磐田信用金庫]]関連会社、[[いわしんビジネスサービス]]の男性職員が同社社長と社長代理の2名により2009年(平成21年)10月頃から2010年(平成22年)4月にかけて根拠のないひどいパワーハラスメントを受けうつ病を発症。2012年(平成24年)4月審査請求を経て労災認定された<ref>『朝日新聞』静岡版2012年(平成24年)4月25日{{要ページ番号|date=2013年9月}}、『読売新聞』静岡版2012年(平成24年)4月26日{{要ページ番号|date=2013年9月}}</ref>。
* 2010年(平成22年)11月に、飲食店チェーン「[[サン・チャレンジ]]」が運営する「[[ステーキのくいしんぼ]]」で店長として勤務していた当時24歳の男性が自殺。男性の遺族は、サン・チャレンジや当時の上司らに対し、約7,300万円の支払いを求め[[東京地方裁判所]]に提訴。この男性は、[[東京都]][[渋谷区]]の2店舗での勤務時、1日当たりの勤務時間が12時間を超えており、休暇もほとんど取れない状況だった。また、上司から暴言や暴行を何度も受けており、これらが元で強度の心理的負荷が生じていたとされた。2014年(平成26年)11月4日に同地裁は、遺族の主張を認め、パワハラ等以外の原因は認められないとした上で、サン・チャレンジに対し約5,800万円の支払いを命じた<ref>[http://mainichi.jp/shimen/news/20141105ddm041040140000c.html 店長自殺:会社に全責任 過労とパワハラ 過失減額認めず−−東京地裁判決] 毎日新聞 2014年(平成26年)11月5日</ref>。
* [[大阪府警察|大阪府警]][[四條畷警察署|四条畷署]]刑事課に2013年(平成25年)4月に当時28歳の男性[[巡査長]]が新人刑事として配属されたが、上司に当たる49歳の男性[[警部補]]らはこの巡査長に対し、連日大声で怒鳴り付けたり回し蹴りするなどの[[いじめ]]やパワハラを行った。なお、この巡査長は同年9月に首吊り自殺した。府警は2014年(平成26年)3月に、関わった警部補ら刑事課員4人を減給などの処分とした<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/job/news/20140306-OYT8T00766.htm 大阪府警がいじめ、パワハラで4人懲戒…被害部下は自殺] 読売新聞 2014年(平成26年)3月6日</ref>。
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* [[阪神高速道路]]の子会社である[[阪神高速パトロール]]に2010年に入社した当時24歳の男性社員は、2012年から上司となった46歳の男性から仕事内容について注意を受けた際に「殺すぞ」などの暴言を受けるなどし、同年5月に自殺。男性の遺族は[[神戸労働基準監督署]]に労災申請したものの棄却されたため、[[大阪地方裁判所]]に訴訟を提起。一審では訴えが退けられたが、2017年9月29日の[[大阪高等裁判所]]の二審の判決は、労災であると認定し、遺族補償を命じた<ref>[https://mainichi.jp/articles/20170930/k00/00m/040/177000c パワハラ自殺 遺族側、逆転勝訴 大阪高裁が労災認定] 毎日新聞 2017年9月29日</ref>。
* [[埼玉県警察]][[秩父警察署]]地域課の当時52歳の男性警部が、2016年3月から7月にかけて、当時の署長から決済書類を巡り大声での叱責を受けたり、幹部会議で発言した際に強い非難を受けるなどしたことが原因で、精神状態が悪化し同年7月に自殺。[[地方公務員災害補償基金]]埼玉県支部は2017年3月に、警部の自殺について、署長によるパワーハラスメントが原因であるとして公務災害と認定した<ref>[https://mainichi.jp/articles/20180316/dde/041/040/021000c 埼玉県警の警部自殺 公務災害認定 パワハラ原因] 毎日新聞 2018年3月16日</ref>。
* [[劇団四季]]の27歳の男性俳優が、[[横浜市]]内のマンションの同僚俳優の部屋から飛び降りていたことが2018年9月に明らかになった。飛び降りた俳優は一命は取り留めたものの重傷を負った。56歳の男性俳優からパワーハラスメントを受けていたためとされ、劇団四季は調査委員会を設置し調査を行ったが、プライバシー保護を理由に当事者の俳優らの氏名は公表していない<ref>[https://mainichi.jp/articles/20180906/k00/00m/040/086000c 劇団四季 男性俳優が飛び降り重傷 パワハラか] 毎日新聞 2018年9月7日</ref>。
* 2018年12月28日、[[広島大学]]は在職中に学生らに暴言を吐くパワーハラスメント行為を繰り返したとして、元教授(60歳代、男性)を諭旨解雇相当に認定したと発表した。認定は同月18日付。元教授は大学の調査に応じないまま、12月上旬に退職した<ref>[https://www.yomiuri.co.jp/national/20181228-OYT1T50082.html 学生らに「ブタ野郎」「くそ野郎」…適応障害に] YOMIURI ONLINE 2018年12月28日</ref>。
* 2018年9月10日、[[海上自衛隊]][[横須賀基地 (海上自衛隊)|横須賀基地]]所属の[[補給艦]]「[[ときわ (補給艦)|ときわ]]」で、30歳代の男性[[三尉]]が自殺しているのが見付かった。これを受け海自は、同年11月末に乗員らに対しアンケートを実施したところ、艦長の男性[[二佐]]から「休むな」と指示された他、他の上官からも「死ね」「消えろ」などの暴言を受けるなどパワハラを指摘する記述が多数寄せられた。また、艦長は他の乗員にもパワハラをしていた疑いも指摘された<ref>[https://mainichi.jp/articles/20181226/ddm/041/040/145000c?pid=14542 自殺 3尉に上官暴言 海自パワハラ疑いで調査] 毎日新聞 2018年12月26日</ref>。海自はパワハラに関わったとされる艦長について、[[海上自衛隊護衛艦隊司令部]]付に更迭した<ref>[https://mainichi.jp/articles/20181227/k00/00m/040/125000c 海自3尉自殺、「ときわ」艦長を更迭] 毎日新聞 2018年12月27日</ref>。
 
==出典==